JISY1001 : 2019 サービスロボットを活用したロボットサービスの安全マネジメントシステムに関する要求事項

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スクアセスメントの妥当性について,第三者専門家の意見聴取を行うことが望ましい。組織は,リスクア

セスメントの結果を文書化し,維持しなければならない。

これら(6.1)の要求事項は,全てのロボットサービスに適用しなければならない。

6.1.1

リスクアセスメントの準備

組織は,リスクアセスメントを実施する人に必要な力量を規定しなければならない。規定した内容に従

って,リスクアセスメントを実施する人を決定しなければならない。

組織は,リスク評価においてリスク低減活動の必要性を判断するための基準を決定しなければならない。

これらの決定に際しては,必要に応じて,4.3で規定するロボットサービス安全マネジメントシステムに

関連する利害関係者の参加を考慮しなければならない。

組織は,製造業者若しくは販売者又はリース・レンタル業者から使用上の情報を入手しなければならな

い。

6.1.2

リスク分析

6.1.2.1

使用上の情報

組織は,リスク分析の実施において,使用上の情報の内容を考慮しなければならない。

組織は,使用上の情報に不明点及び不足がある場合には,製造業者への問合せなどを通じて不明点及び

不足を解消した上でリスク分析を行わなければならない。

組織は,使用上の情報の妥当性について,第三者専門家の意見聴取を行うことが望ましい。あるサービ

スロボットが,第三者専門家によって安全規格への適合を確認されている場合は,その使用上の情報の妥

当性については既に第三者の専門家の意見聴取がなされていると考えてよい。

組織は,必要に応じて,フィールド提供者からロボットサービスを実施する施設又は場所に関する情報

を入手し,リスク分析の実施においてその内容を考慮しなければならない。

6.1.2.2

ロボットサービスの運用内容の規定

組織は,ロボットサービスの運用内容を規定し,文書化しなければならない。

組織が,ロボットサービスの運用内容を規定する場合には,次の事項を考慮に入れなければならない。

− ロボットサービスの運用内容と使用上の情報に含まれる製造業者の意図した使用の限定範囲との関係

(図A.1,図A.2及び図A.3参照)。

− 実施形態が,実証試験又は事業のいずれに該当するか。

注記1 ロボットサービスの運用内容を規定するための項目の例として,上記に加えて次が考えられ

る。

− 提供する便益

− 使用するロボット

− 実施場所

組織は,ロボットサービスに使用するサービスロボットを選ぶ場合に,第三者の専門家によって安全規

格への適合が確認されているサービスロボットを選ぶことが望ましい。そのようなサービスロボットを選

ばない場合は,組織は,用いたいサービスロボットについて,改めて第三者専門家の意見聴取を行うこと

が望ましい。

組織は,ロボットサービスに第三者専門家が安全規格への適合を確認していないサービスロボットを使

用する場合及びロボットサービスの運用内容と使用上の情報に含まれる製造業者の意図した使用の限定範

囲との関係は,その安全性について第三者専門家の意見聴取を行うことが望ましい。

注記2 例えば,附属書Aのケース2又はケース3に該当する場合がある。

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ロボットサービスの運用内容を変更する場合,組織は,変更前に箇条6〜箇条9への適合を再度確認し

なければならない。

6.1.2.3

ロボットサービスの受益者制限の規定

組織は,必要に応じて,ロボットサービス実施中の安全を確保するための受益者制限を規定し,文書化

し,保持しなければならない。

組織は,受益者制限を規定する際に,使用上の情報に含まれる製造業者が指定する受益者制限を考慮し

なければならない。

6.1.2.4

危険源の抽出及びリスク見積り

組織は,提供するロボットサービスのリスクを分析するために,ライフサイクル及びその内容に沿って,

次に示すa)〜c)の措置を実施しなければならない。

a) 提供するロボットサービスに関わる危険源を抽出する。

注記 ロボットサービスにおいて想定される危険源の例を附属書Bに示す。

b) a)で抽出した危険源に起因する危害の発生確率及びひどさを見積もる。

c) b)で見積もった危害の発生確率及びひどさを組み合わせて,その危険源のリスクを見積もる。

組織は,リスク見積りにおいて,次に示すd)及びe)を考慮に入れなければならない。

d) ロボットサービスにおける第三者へのリスク

e) 非通常の状況及び合理的に予見できる緊急事態

ロボットサービスの変更を理由として,再度リスクアセスメントを実施する際には,その変更の影響を

考慮しなければならない。

6.1.3

リスク評価

組織は,リスク見積りの結果(6.1.2.4)に対し,リスク低減活動の必要性を判断するための基準(6.1.1)

を用いて,低減の必要があるリスクを抽出しなければならない。

組織は,低減の必要があると判断したリスクに関する文書化した情報を維持しなければならない。

6.2

リスク低減への取組み

6.2.1

一般

ロボットサービス安全マネジメントシステムを策定するとき,組織は,4.2に規定する課題,4.3に規定

する要求事項及び6.1で実施するリスクアセスメントの結果に基づいて,リスク低減方策を決定し,実施

しなければならない。

組織が,リスク低減方策を決定する際には,4.3で規定するロボットサービス安全マネジメントシステム

に関連する利害関係者の参加を考慮しなければならない。

リスク低減方策の実施を担う利害関係者とは,その実施について合意し,組織は,その内容を,文書化

した情報として維持しなければならない。

6.2.2

リスク低減方策の決定

組織は,リスクアセスメントの結果に基づき,残留リスクを受容可能と判断するまで,リスク低減方策

を検討及び実施しなければならない。

リスク低減方策は,次の事項を必ずa)から順番に検討し,合理的に適用可能なものが見つかった順に採

用しなければならない。

a) 本質的安全設計

b) 安全防護及び付加保護方策によるもの

c) 運用上の順守事項によるもの

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注記1 上記のリスク低減方策は,有効性の高い順に列挙している。

注記2 運用上の順守事項には,a)及びb)を実行するために必要な実施事項も含む場合がある。

組織は,リスク低減方策の妥当性について,第三者専門家の意見聴取を行うことが望ましい。

組織は,次の事項に関する文書化した情報を維持しなければならない。

− リスク低減方策の内容

− リスク低減方策の選定理由

6.2.3

運用上の順守事項の決定

組織は,次の事項を行わなければならない。

a) リスク低減のために,運用上の順守事項を決定する。

運用上の順守事項には,次の事項を含めなければならない。

1) 製造業者が指定する項目を含め,サービスロボットについて組織が必要と判断した点検・保守作業

2) リスク低減方策の決定(6.2.2)によって,組織が必要と判断した安全防護策及び付加保護方策の維

持管理に必要な点検・保守作業

3) リスク低減方策の決定(6.2.2)によって,組織が必要と判断した運用上の順守事項

4) 製造業者から入手した使用上の情報に基づく,運用上の順守事項

b) これらの運用上の順守事項を組織にどのように適用するかを決定し,組織の管理下で働く人々に伝達

する。

c) ロボットサービス安全マネジメントシステムを確立し,実施し,維持し,継続的に改善するときに,

これらの運用上の順守事項を考慮に入れる。

組織は,運用上の順守事項に関する文書化した情報を維持しなければならない。

注記 運用上の順守事項に関する文書化した情報には,例えば,次のような情報が含まれる場合が

ある。このような情報の機密性の喪失及び不適切な使用は,ロボットサービス安全パフォー

マンスを低下させる可能性があるため,文書化した情報の管理(7.5.3)が特に重要である。

− サービスロボット及びロボットサービスシステムを使用及び設定するためのパスワード

− 組織が独自に設定した安全防護策及び付加保護方策の無効化に関する情報

6.2.4

リスク低減方策の実施計画の策定

組織は,リスク低減方策を実施するための計画を策定しなければならない。計画には次の事項を含めな

ければならない。

a) ロボットサービス安全マネジメントシステムプロセスとの統合及び実施の方法

注記1 具体的には,例えば,決定したリスク低減方策(6.2.2)の実施について,その内容及び責

任を負う者を明確にすることである。

b) リスク低減方策を実施後の有効性の評価方法及び基準

c) リスク低減方策の実施に関する利害関係者との合意事項

注記2 リスク低減方策の実施に関する利害関係者との合意事項の例として,次が考えられる。

− 低減の必要があるリスク

− リスク低減方策について

・ 内容

・ 選定理由

・ 実施する組織又は人

・ 実施に必要な資源及びそれを負担する組織又は人

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注記3 リスク低減方策の実施に関する利害関係者との合意事項を決定する場合には,トップマネ

ジメントの関与が必要な場合がある。

6.3

ロボットサービス安全目標及びそれを達成するための計画策定

組織は,リスク低減方策を考慮に入れ,関連する機能及び階層において,ロボットサービス安全目標を

確立しなければならない。

ロボットサービス安全目標は,次の事項を満たさなければならない。

a) ロボットサービス安全方針と整合している。

b) (実行可能な場合)測定可能である。

c) 適用される要求事項を考慮に入れる。

d) 監視する。

e) 伝達する。

f)

必要に応じて,更新する。

(JIS Q 9001の6.2.1を修正)

注記1 ロボットサービス安全目標とは,例えば,次のようなものが考えられる。

− 無事故連続稼働時間

− ヒヤリ・ハット件数

− 改善提案件数

− 安全関連資格保有者数

− 緊急時対応訓練実施回数

注記2 ヒヤリ・ハット件数など,危険事象の発生数をロボットサービス安全目標とした場合,発生

した危険事象の報告を当事者がためらう可能性が考えられるが,組織としては危険事象を確

実に捕捉し,改善につなげることが重要である。そのためには,危険事象の報告に対し,イ

ンセンティブを与えるなどの施策が必要な場合がある。

組織は,ロボットサービス安全目標に関する文書化した情報を保持しなければならない。

組織は,ロボットサービス安全目標をどのように達成するかについて計画するとき,次の事項を決定し

なければならない。

− 実施事項

− 必要な資源

− 責任者

− 達成期限

− 結果の評価方法

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支援

7.1

資源

組織は,ロボットサービス安全マネジメントシステムの確立,実施,維持及び継続的改善に必要な資源

を決定し,提供しなければならない。

7.2

力量

組織は,次の事項を行わなければならない。

− 組織のロボットサービス安全パフォーマンスに影響を与える業務をその管理下で行う人(又は人々)

に必要な力量を決定する。決定に当たっては,必要に応じて,組織が決定したリスク低減方策の実施

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に必要となる力量を考慮しなければならない。また,製造業者が使用上の情報で要求する力量がある

場合には,その力量を考慮しなければならない。

注記1 組織のロボットサービス安全パフォーマンスに影響を与える業務をその管理下で行う人

(又は人々)とは,例えば,設置作業者,保守作業者,オペレータ,安全管理者が該当す

る。

− 適切な教育,訓練又は経験に基づいて,それらの人々が力量を備えていることを確実にする。教育・

訓練に当たっては,必要に応じて,製造業者が指定する教育内容を考慮しなければならない。

注記2 ロボットサービスに必要不可欠,かつ,獲得に時間を要する力量を備えた人の休業に備え

て,同一の力量を備えた要員を複数確保しておくことが必要な場合がある。

− 該当する場合には,必ず,必要な力量を身に付けるための処置をとり,とった処置の有効性を評価す

る。

注記3 適用する処置には,例えば,現在雇用している人々に対する,教育訓練の提供,指導の実

施,配置転換の実施などがあり,また,力量を備えた人々の雇用,そうした人々との契約

締結などが考えられる。

− 力量の証拠として,適切な文書化した情報を保持する。

7.3

認識

組織は,組織の管理下で働く人々が,次の事項に関して認識をもつことを確実にしなければならない。

− ロボットサービス安全方針

− 自分の業務に関係する著しく安全性を低下させる又は低下させる可能性のある側面及びそれに伴う顕

在する又は潜在的なリスク

注記 実務上は,“自分の業務内の安全な使用に向けての目標”という形で組織の管理下で働く人々

へ提示する場合がある。

− ロボットサービス安全パフォーマンスの向上によって得られる便益を含む,ロボットサービス安全マ

ネジメントシステムの有効性に対する自らの貢献

− ロボットサービス安全マネジメントシステムのための要求事項に適合しないことの意味

7.4

コミュニケーション

7.4.1

一般

組織は,次の事項を含む,ロボットサービス安全マネジメントシステムに関連する内部及び外部利害関

係者のコミュニケーションに必要なプロセスを確立し,実施し,維持しなければならない。

− コミュニケーションの内容

− コミュニケーションの実施時期

− コミュニケーションの対象者

− コミュニケーションの方法

− コミュニケーションを行う人

組織は,必要に応じて,コミュニケーションの証拠として,文書化した情報を保持しなければならない。

注記 コミュニケーションの証拠として文書化した情報とは,例えば,次のようなものが考えられる。

− 電子媒体

・ E-メールの通信履歴

・ コラボレーションツールのログ

− 紙媒体

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JIS Y 1001:2019の国際規格分類一覧

  • 13.110
  • 25.040.30

JIS Y 1001:2019の関連規格と引用規格一覧

規格番号
規格名称
B0134
ロボット及びロボティックデバイス-用語
B8445
ロボット及びロボティックデバイス-生活支援ロボットの安全要求事項
B8446-1
生活支援ロボットの安全要求事項-第1部:マニピュレータを備えない静的安定移動作業型ロボット
B9700
機械類の安全性-設計のための一般原則-リスクアセスメント及びリスク低減
Q9000
品質マネジメントシステム-基本及び用語
Q9001
品質マネジメントシステム-要求事項
Z8051
安全側面-規格への導入指針