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持しなければならない。
組織は,次の事項を行わなければならない。
a) 順守を評価する頻度を決定する。
b) 運用上の順守事項の実施状況を評価し,定められた基準に満たない事項を,改善する。
c) 順守状況に関する知識及び理解を維持する。
組織は,順守評価の結果を,文書化した情報として保持しなければならない。
9.2
内部監査
9.2.1
一般
組織は,ロボットサービス安全マネジメントシステムが次の状況にあるか否かに関する情報を提供する
ために,あらかじめ定めた間隔で内部監査を実施しなければならない。
a) 次の事項に適合している。
− ロボットサービス安全マネジメントシステムに関して,組織自体が規定した要求事項
− この規格の要求事項
b) 有効に実施され,維持されている。
9.2.2
内部監査プログラム
組織は,次に示す事項を行わなければならない。
a) 頻度,方法,責任,計画要求事項及び報告を含む,監査プログラムの計画,確立,実施及び維持。監
査プログラムは,関連するプロセスの重要性及び前回までの監査の結果を考慮に入れなければならな
い。
b) 各監査について,監査基準及び監査範囲を明確にする。
c) 監査プロセスの客観性及び公平性を確保するために,監査員を選定し,監査を実施する。
d) 監査の結果を関連する管理層に報告することを確実にする。
e) 不適合に対しては遅滞なく,適切な修正を行い,是正処置をとる。
f)
監査プログラムの実施及び監査結果の証拠として,文書化した情報を保持する。
9.3
マネジメントレビュー
トップマネジメントは,組織のロボットサービス安全マネジメントシステムが,引き続き,適切,妥当
かつ有効であることを確実にするために,あらかじめ定めた間隔で,ロボットサービス安全マネジメント
システムをレビューしなければならない。
マネジメントレビューは,次の事項を考慮しなければならない。
a) 前回までのマネジメントレビューの結果とった処置の状況
b) 次の事項の変化
− ロボットサービスの運用内容
− ロボットサービス安全マネジメントシステムに関連する外部及び内部の課題
− 利害関係者のニーズ及び期待
− リスクアセスメント結果及びリスク低減方策
c) 次に示す傾向を含めた,ロボットサービス安全パフォーマンスに関する情報
− 安全目標が達成された程度
− 不適合及び是正処置
− 監視及び測定の結果
− 監査結果
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− 緊急事態
− 危険事象
d) 継続的改善の機会
e) 資源の妥当性
マネジメントレビューからのアウトプットには,継続的改善の機会,及びロボットサービス安全マネジ
メントシステムのあらゆる変更の必要性に関する決定を含めなければならない。
組織は,マネジメントレビューの結果の証拠として,文書化した情報を保持しなければならない。
10 改善
10.1 不適合及び是正処置
苦情から生じたものを含め,不適合が発生した場合,組織は,次の事項を行わなければならない。
a) その不適合に対処し,該当する場合には,必ず,次の事項を行う。
− その不適合を管理し,修正するための処置をとる。
− その不適合によって起こった結果に対処する。
b) その不適合が再発又は他のところで発生しないようにするため,次の事項によって,その不適合の原
因を除去するための処置をとる必要性を評価する。
− その不適合をレビューする。
− その不適合の原因を明確にする。
− 類似の不適合の有無,又はそれが発生する可能性を明確にする。
c) 必要な処置を実施する。
d) とった全ての是正処置の有効性をレビューする。
e) 必要な場合には,ロボットサービス安全マネジメントシステムの変更を行う。
是正処置は,検出された不適合のもつ影響に応じたものでなければならない。
組織は,次に示す事項の証拠として,文書化した情報を保持しなければならない。
− 不適合の性質及びそれに対してとったあらゆる処置
− 是正処置の結果
10.2 継続的改善
組織は,ロボットサービス安全マネジメントシステムの適切性,妥当性及び有効性を継続的に改善しな
ければならない。
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附属書A(参考)ロボットサービスの運用内容と製造業者の意図した使用の限定範囲との関係の分類
A.1 一般
ロボットサービスの安全性確保観点での分類をA.2〜A.4に示す。
A.2 ケース1 基本形態
製造業者が設計時に意図した使用の限定範囲内で,ロボットサービスプロバイダがロボットサービスを
運用する場合をケース1という。ケース1であっても,リスクアセスメント及びリスク低減方策の決定の
結果,運用上の順守事項によってリスク低減を行う場合には,運用状況次第で許容できないリスクが生じ
る可能性があり,この規格の要求事項への対応が必要と考えられる。
図A.1−ケース1:基本形態
A.3 ケース2 拡張形態
製造業者が設計時に意図したサービスロボットの使用の限定範囲を,ロボットサービスプロバイダが拡
張してロボットサービスを運用する。リスクアセスメントの結果,許容できないリスクがあると判断され
た場合には,ロボットサービスプロバイダが独自に講じるリスク低減方策を実施する。安全規格への適合
が確認されていないサービスロボットを使用する場合には,製造業者が設計時に意図したサービスロボッ
トの使用の限定範囲の妥当性が確認されていないため,ケース2に分類される可能性がある。
運用状況いかんによって変化する
“安全上のマージン”
“この規格に基づく運用におけるサービス
ロボットの使用範囲”
製造業者が設計時に意図したサービス
ロボットの“使用の限定範囲”
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図A.2−ケース2:拡張形態
A.4 ケース3 統合形態
複数のサービスロボット又は制御システムを組み合わせて,ロボットサービスプロバイダがロボットサ
ービスを運用する。リスクアセスメントの結果,許容できないリスクがあると判断された場合には,ロボ
ットサービスプロバイダが独自に講じるリスク低減方策を実施する。
図A.3−ケース3:統合形態
ロボット“A”
ロボット“B”又は
コントロールシステム
製造業者が設計時に意図した
サービスロボットの“使用の
限定範囲”
“統合前のサービス
ロボットの使用範囲”
ロボットサービスプロバイダが
独自に講じるリスク低減方策
“統合後のロボットサービス
システムの使用範囲”
ロボットサービスプロバイダが
独自に講じるリスク低減方策
製造業者が設計時に意図したサービス
ロボットの“使用の限定範囲”
“拡張前のサービスロボットの
使用範囲”
“拡張後のサービスロボット又はロボット
サービスシステムの使用範囲”
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附属書B(参考)運用によって生じる危険源及び原因の例
B.1
一般
典型的なサービスロボットである移動作業型ロボット,搭乗型ロボット及び身体アシストロボットを例
として,ロボットサービスの安全性を確保する観点での分類(附属書A参照)ごとの使用上の情報の例及
び運用によって生じる危険源と原因の例を次に示す。
B.2
移動作業型ロボットの使用上の情報の例
図B.1に移動作業型ロボットの例,及び表B.1に移動作業型ロボットの使用上の情報の例を示す。
図B.1−移動作業型ロボットの例
表B.1−移動作業型ロボットの使用上の情報の例
項目
条件
搬送物
・ 一般アメニティ用品及び/又はペットボトル飲料
搬送能力
・ 最大20 kg
使用場所
・ 屋内
・ 温度:10 ℃〜40 ℃
・ 照明条件:(照度:150 lx〜1 000 lx)
・ 水の使用:しぶきがかかる
・ 回避障害物:(大きさ:幅10 cm以上,高さ50 cm以上)
・ 第三者の特性:説明を受けた人だけ
走行路面
・ 最小通路幅:120 cm
・ 最大斜度:10°
・ 最大段差:20 mm
・ 最大溝幅:10 mm
・ 想定路面:タイル
運行管理
・ 安全管理者:要
・ 定期検査:要(頻度,実施内容など詳細は別に規定する。
ただし,この事例においては例につき,存在しない。)
JIS Y 1001:2019の国際規格分類一覧
- 13.110
- 25.040.30
JIS Y 1001:2019の関連規格と引用規格一覧
- 規格番号
- 規格名称
- B0134
- ロボット及びロボティックデバイス-用語
- B8445
- ロボット及びロボティックデバイス-生活支援ロボットの安全要求事項
- B8446-1
- 生活支援ロボットの安全要求事項-第1部:マニピュレータを備えない静的安定移動作業型ロボット
- B9700
- 機械類の安全性-設計のための一般原則-リスクアセスメント及びリスク低減
- Q9000
- 品質マネジメントシステム-基本及び用語
- Q9001
- 品質マネジメントシステム-要求事項
- Z8051
- 安全側面-規格への導入指針