JIS Z 2242:2018 金属材料のシャルピー衝撃試験方法

JIS Z 2242:2018 規格概要

この規格 Z2242は、金属材料に衝撃を与えて,吸収されるエネルギーを測定するシャルピー(Vノッチ及びUノッチ)衝撃 試験方法について規定。この規格には,JIS B 7755で規定する金属用シャルピー振子式衝撃試験-計装化装置は,含まない。

JISZ2242 規格全文情報

規格番号
JIS Z2242 
規格名称
金属材料のシャルピー衝撃試験方法
規格名称英語訳
Method for Charpy pendulum impact test of metallic materials
制定年月日
1952年3月8日
最新改正日
2018年8月20日
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‐ 
対応国際規格

ISO

ISO 148-1:2016(MOD)
国際規格分類

ICS

77.040.10
主務大臣
経済産業
JISハンドブック
鉄鋼 I 2021, 鉄鋼 II 2021, 非鉄 2021, 溶接 I(基本) 2021, 溶接 II(製品) 2021, 熱処理 2020
改訂:履歴
1952-03-08 制定日, 1955-02-12 確認日, 1956-01-19 改正日, 1959-01-19 確認日, 1961-12-16 確認日, 1968-03-01 改正日, 1971-01-01 確認日, 1974-04-01 確認日, 1977-08-01 改正日, 1980-01-01 改正日, 1985-09-01 確認日, 1990-01-01 確認日, 1993-06-01 改正日, 1998-12-20 改正日, 2005-03-20 改正日, 2009-10-01 確認日, 2014-10-20 確認日, 2018-08-20 改正
ページ
JIS Z 2242:2018 PDF [32]
                                                                                   Z 2242 : 2018

pdf 目 次

ページ

  •  序文・・・・[1]
  •  1 適用範囲・・・・[1]
  •  2 引用規格・・・・[1]
  •  3 用語及び定義・・・・[1]
  •  4 記号,単位及び名称・・・・[3]
  •  5 原理・・・・[4]
  •  6 試験片・・・・[5]
  •  6.1 一般・・・・[5]
  •  6.2 ノッチ形状・・・・[5]
  •  6.3 試験片の寸法許容差・・・・[5]
  •  6.4 試験片の製作・・・・[7]
  •  6.5 試験片の印字・・・・[7]
  •  7 試験装置・・・・[7]
  •  7.1 一般・・・・[7]
  •  7.2 据付け及び検証・・・・[7]
  •  7.3 衝撃刃・・・・[7]
  •  8 試験手順・・・・[7]
  •  8.1 一般・・・・[7]
  •  8.2 摩擦測定・・・・[7]
  •  8.3 試験温度・・・・[8]
  •  8.4 試験片の移動・・・・[9]
  •  8.5 試験機の能力超過・・・・[9]
  •  8.6 不完全破断・・・・[9]
  •  8.7 試験片の詰まり・・・・[9]
  •  8.8 破断後の検査・・・・[10]
  •  9 試験報告書・・・・[10]
  •  9.1 必須項目・・・・[10]
  •  9.2 協定による項目・・・・[10]
  •  附属書A(参考)センタリングトング・・・・[11]
  •  附属書B(規定)横膨出の求め方・・・・[12]
  •  附属書C(規定)破面率の求め方・・・・[16]
  •  附属書D(規定)遷移曲線,破面遷移温度及びエネルギー遷移温度の求め方・・・・[20]
  •  附属書E(参考)吸収エネルギー値Kの測定の不確かさ・・・・[22]
  •  附属書JA(参考)JISと対応国際規格との対比表・・・・[29]

(pdf 一覧ページ番号 1)

――――― [JIS Z 2242 pdf 1] ―――――

Z 2242 : 2018

まえがき

  この規格は,工業標準化法第14条によって準用する第12条第1項の規定に基づき,一般社団法人日本
鉄鋼連盟(JISF)から,工業標準原案を具して日本工業規格(日本産業規格)を改正すべきとの申出があり,日本工業標準
調査会の審議を経て,経済産業大臣が改正した日本工業規格(日本産業規格)である。
  これによって,JIS Z 2242:2005は改正され,この規格に置き換えられた。
  この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。
  この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願又は実用新案権に抵触する可能性があることに注意
を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会は,このような特許権,出願公開後の特許出願及び実
用新案権に関わる確認について,責任はもたない。

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                                       日本工業規格(日本産業規格)                             JIS
                                                                              Z 2242 : 2018

金属材料のシャルピー衝撃試験方法

Method for Charpy pendulum impact test of metallic materials

序文

 この規格は,2016年に第3版として発行されたISO 148-1を基とし,材料規格からの引用に対応するた
め,技術的内容を変更して作成した日本工業規格(日本産業規格)である。
  なお,この規格で側線又は点線の下線を施してある箇所は,対応国際規格を変更している事項である。
変更の一覧表にその説明を付けて,附属書JAに示す。

1 適用範囲

  この規格は,金属材料に衝撃を与えて,吸収されるエネルギーを測定するシャルピー(Vノッチ及びU
ノッチ)衝撃 試験1)方法について規定する。この規格には,JIS B 7755で規定する金属用シャルピー振子
式衝撃試験−計装化装置は,含まない。
  ASTM E23を基にした附属書B及び附属書Cは,ASTM International,100 Barr Harbor Drive, P.O. Box C700,
West Conshohocken, PA 19428-2959, USAの許可を得て用いている。
    注記 この規格の対応国際規格及びその対応の程度を表す記号を,次に示す。
          ISO 148-1:2016,Metallic materials−Charpy pendulum impact test−Part 1: Test method(MOD)
            なお,対応の程度を表す記号“MOD”は,ISO/IEC Guide 21-1に基づき,“修正している”
          ことを示す。
    注1)   SO 148-1では,“Charpy pendulum impact test”と記載しているが,この規格では,“シャルピー
          衝撃試験”として記載している。

2 引用規格

  次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。これらの
引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。
    JIS B 7722 金属材料のシャルピー衝撃試験−試験機の検証
      注記 対応国際規格 : ISO 148-2,Metallic materials−Charpy pendulum impact test−Part 2: Verification
             of testing machines(IDT)
    JIS G 0202 鉄鋼用語(試験)
    JIS Z 8401 数値の丸め方

3 用語及び定義

  この規格で用いる主な用語及び定義は,次によるほかJIS G 0202による。

――――― [JIS Z 2242 pdf 3] ―――――

2
Z 2242 : 2018
3.1   エネルギーに関する用語
3.1.1
初期位置エネルギー,Kp(initial potential energy)
  衝撃試験を行うための振子式ハンマーの振り下ろし前の位置エネルギーで直接検証によって求められる
エネルギー。
3.1.2
吸収エネルギー,K(absorbed energy)
  振子式衝撃試験機で試験片を破断するのに要するエネルギーで摩擦損失の補正後のエネルギー。
    注記 ノッチ形状を表すためV又はUの文字を付記する。すなわち,KV又はKUとする。衝撃刃の
          半径を表すために2又は8を添え字する。例えば,KV2で示す(表1参照)。
3.1.3
公称初期位置エネルギー(nominal initial potential energy),公称エネルギー,KN(nominal energy)
  シャルピー振子式衝撃試験機の製造業者によって定められたその試験機で試験可能な位置エネルギー。
3.2   試験片に関する用語
3.2.1
幅,W(width)
  ノッチ面とその反対面との間隔。
    注記1 図1参照。
                         図1−振子式衝撃試験機の載せ台及び受け台の配置

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                                                                                              3
                                                                                   Z 2242 : 2018
   1 受け台
  2 標準試験片
  3 載せ台
  4 覆い
  5 試験片の幅,W
  6 試験片の長さ,L
  7 試験片の厚さ,B
  8 打撃の中心
  9 振子のスウィング方向
                     図1−振子式衝撃試験機の載せ台及び受け台の配置(続き)
    注記2 この規格の以前の版(2005年版以前)では,ノッチ面とその反対面との間隔は,“高さ”と
            規定していた。“幅”への変更は,この規格の用語を他の破壊試験のJISで用いる用語との整
            合を図るためである。
3.2.2
厚さ,B(thickness)
  ノッチと平行で,幅に垂直な寸法。
    注記1 図1参照。
    注記2 この規格の以前の版(2005年版以前)では,ノッチと平行で,幅に垂直な寸法は,“幅”と
            規定していた。“厚さ”への変更は,この規格の用語を他の破壊試験のJISで用いる用語との
            整合を図るためである。
3.2.3
長さ,L(length)
  ノッチに直角方向の最大寸法。
    注記 図1参照。

4 記号,単位及び名称

  この規格で用いる記号,単位及び名称は,表1及び表2による。また,試験片の寸法の記号を,図2に
示す。
                                 表1−記号,単位及び名称・定義
        記号       単位                              名称・定義
         B         mm      試験片の厚さ
        BFA         %      ぜい性破面率a)
         α        °      振子の振り降ろし角度
         β1       °      試験片のない状態で通常の方法で試験機を操作したときの振り上がり角度
         β2       °      試験片のない状態で通常の方法で試験機を操作し,表示機構をリセットしな
                           い(置き針を伴わない)ときの振り上がり角度
         β3       °      試験片のない状態で,10回目の空振り後の振り上がり角度
         L         mm      試験片の長さ
         LE        mm      横膨出b)

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4
Z 2242 : 2018
                             表1−記号,単位及び名称・定義(続き)
        記号       単位                              名称・定義
         K          J      吸収エネルギー(ノッチ形状及び衝撃刃端の半径によって,KV2,KV8,KU2
                           及びKU8で示される。)
         K1         J      試験片のない状態で,通常の方法によって試験機を操作したときの吸収エネ
                           ルギーの読み
         K2         J      試験片のない状態で,通常の方法によって試験機を操作し,表示機構をリセ
                           ットしない(置き針を伴わない)ときの吸収エネルギーの読み
         K3         J      試験片のない状態で,11回目の空振り後の吸収エネルギーの読み
         KN         J      公称初期位置エネルギー
         Kp         J      初期位置エネルギー(位置エネルギー)
         KT         J      全吸収エネルギー
         KV2        J      半径2 mmの衝撃刃を用いたVノッチ試験片の吸収エネルギー
         KV8        J      半径8 mmの衝撃刃を用いたVノッチ試験片の吸収エネルギー
        KU2         J      半径2 mmの衝撃刃を用いたUノッチ試験片の吸収エネルギー
        KU8         J      半径8 mmの衝撃刃を用いたUノッチ試験片の吸収エネルギー
         M         N・m    積F・l2に等しいモーメント
                           Fは振子を水平に保ち,l2の距離で測定された力。l2は回転軸中心から力Fが
                           加わる点までの距離。
         p          J      置き針の摩擦による吸収エネルギー損失
         p'         J      軸受の摩擦及び空気抵抗による吸収エネルギー損失
         pβ        J      振り上がり角βに対する吸収エネルギー損失の補正値
         SFA        %      延性破面率c)
         Tt        ℃      遷移温度d)
         W         mm      試験片の幅
         Tt27      ℃      吸収エネルギーが特定の値(この表示例では27 J)となるときの遷移温度
       Tt50 %US    ℃      上部棚吸収エネルギーの特定の百分率(この表示例では,50 %)となるとき
                           の遷移温度
       Tt50 %SFA   ℃      延性破面率が特定の百分率(この表示例では50 %)となるときの遷移温度
        Tt0.9      ℃      横膨出が特定の値(この表示例では0.9 mm)になるときの遷移温度
      注a) ぜい性破面率は,JIS G 0202の番号1334参照。
         b) 横膨出は,JIS G 0202の番号1336参照。
         c) 延性破面率は,JIS G 0202の番号1335参照。
         d) 遷移温度は,JIS G 0202の番号1361参照。

5 原理

  この試験は,箇条6箇条8で規定する条件の下で,振子の一振りによって,ノッチを付けた試験片を
破断して行う。試験片のノッチ部分は,指定された形状とし,試験時に衝撃方向と反対に位置する二つの
受け台の中心に置く。試験によって吸収されるエネルギー,横膨出及び破面率を求める。
  多くの金属材料の衝撃値は,試験温度によって変化するため,試験は指定された温度で行う。その温度
が室温でない場合は,試験片は,管理された状態で指定温度に加熱又は冷却しなければならない。
    注記 この試験では,試験片が完全に破断する場合と不完全破断となる場合がある(8.6参照)。
            研究,設計又は学術の場では,測定されたエネルギーが,より詳細に調べられるので,試験
          片が破断したかどうかには,大きな意味がある。一方,産業界において日常かつ大量に合否判
          定する試験では,試験片が完全破断したか,部分破断か又は単純に塑性変形し受け台を通り抜
          けたかは,あまり大きな意味をもたない。

――――― [JIS Z 2242 pdf 6] ―――――

                                                                                              5
                                                                                   Z 2242 : 2018
            また,全てのシャルピー衝撃試験の結果が,そのまま比較できるものでないことに留意する
          必要がある。例えば,この試験は,異なる半径の衝撃刃をもつハンマー又は異なる試験片形状
          で試験を行うことがある。異なった衝撃刃で行った試験は,異なる結果を示す可能性があり[1],
          異なる試験片形状で得られる試験結果も同様である。したがって,試験結果の比較を行うため
          には,この規格を単に順守するだけでなく,機器のタイプ,試験片及び試験後の試験片の詳細
          を全て明確に報告することが極めて重要になる。

6 試験片

6.1 一般

  標準試験片は,長さ55 mmで,一辺が10 mmの正方形断面をもつ形状とする。長さの中心に6.2.1及び
6.2.2に規定するVノッチ又はUノッチのいずれかを付ける。ただし,材料から標準試験片を採取できな
い場合は,特に規定のない限り,厚さが7.5 mm,5 mm又は2.5 mmのサブサイズ試験片を用いなければな
らない(図2及び表2参照)。
    注記1 結果の直接比較は,同一形状及び同一寸法の試験片の場合だけ意味をもつ。
    注記2 サブサイズ試験片が衝撃刃の中心になるように当て物(シム)を使用することは,特に低吸
            収エネルギーの材料では,重要である。一方,高吸収エネルギーの材料では,当て物を使用
            しても,影響は小さい。当て物は,試験片の厚さの中心(打撃の中心)が,載せ台上面位置
            から5 mmの位置となるように,載せ台の上又は下に設置することができる。当て物は,テ
            ープ又はその他の方法で,一時的に載せ台に固定することができる。
  熱処理した材料を評価する場合,試験片は,最終的な熱処理後に機械加工しなければならない。ただし,
熱処理前に機械加工しても試験結果に差異が生じないことが明らかな場合は,熱処理前に機械加工を行っ
てもよい。

6.2 ノッチ形状

6.2.0  ノッチの加工
  ノッチは,吸収エネルギーに影響する可能性のあるような切削きずがノッチの底部に付かないように,
注意して加工しなければならない。
  ノッチを通る対称面は,試験片の長さ方向の軸に垂直でなければならない(図2参照)。
6.2.1  Vノッチ
  Vノッチは,ノッチ角度45°,ノッチ深さ2 mm及びノッチ底半径0.25 mmとする[図2 a)及び表2参
照]。
6.2.2  Uノッチ
  Uノッチは,ノッチ深さ5 mm(他に規定がない場合)及びノッチ底半径1 mmとする[図2 b)及び表2
参照]。ただし,受渡当事者間の協定によって,ノッチ深さ2 mm及びノッチ底半径1 mmとしてもよい。

6.3 試験片の寸法許容差

  この規格で規定する試験片及びノッチ形状の許容差は,図2及び表2による。

――――― [JIS Z 2242 pdf 7] ―――――

6
Z 2242 : 2018
                                     a)   ノッチ試験片の形状
                                     b)   ノッチ試験片の形状
   注記 記号L,W,B及び数字1から5は,表2を参照。
                                   図2−シャルピー衝撃試験片
                                  表2−試験片の寸法及び許容差
                      記号            Vノッチ試験片                     Uノッチ試験片
         名称         及び
                                  寸法            許容差            寸法            許容差
                      番号d)
 長さ                   L         55 mm          ±0.60 mm         55 mm          ±0.60 mm
 幅                    W          10 mm         ±0.075 mm         10 mm          ±0.11 mm
 厚さb) (標準試験片)  B         10 mm          ±0.11 mm         10 mm          ±0.11 mm
        (サブサイズ)           7.5 mm          ±0.11 mm         7.5 mm         ±0.11 mm
                                  5 mm           ±0.06 mm          5 mm          ±0.06 mm
                                 2.5 mm          ±0.05 mm           −              −
 Vノッチ角度            1         45°             ±2°             −              −
 ノッチ下幅             2         8 mm          ±0.075 mm         5 mm           ±0.09 mm
 ノッチ底半径           3        0.25 mm        ±0.025 mm         1 mm           ±0.07 mm
 ノッチ位置(中心)     4        27.5 mm        ±0.42 mm c)      27.5 mm        ±0.42 mm c)
 試験片長手方向とノッ             90°             ±2°            90°            ±2°
 チ対称面との角度
 端面を除く隣り合う面   5         90°             ±2°            90°            ±2°
 間の角度
 表面粗さa)            −        <5 μm            −             <5 μm           −
 注a) 表面粗さは,試験片の端部を除き,Ra 5 μm未満でなければならない。
    b) 他の厚さ(例えば,2 mm又は3 mm)を指定する場合,対応する許容差も規定しなければならない。
    c) 自動位置調整を行う試験機の場合には,許容差は,±0.42 mmに代えて±0.165 mmが望ましい。
    d) 記号及び番号は,図2を参照。

――――― [JIS Z 2242 pdf 8] ―――――

                                                                                              7
                                                                                   Z 2242 : 2018

6.4 試験片の製作

  試験片の製作は,例えば,加工熱又は冷間加工の影響が最小になるように行わなければならない。

6.5 試験片の印字

  試験片には,載せ台,受け台又は衝撃刃に接しない面に,印字による塑性変形を与えず,かつ,表面の
不連続部(discontinuity)が吸収エネルギーに影響を与えない位置に印字してもよい(8.8参照)。

7 試験装置

7.1 一般

  機器及び試験片細部の測定は,国家規格又は国際規格にトレーサブルでなければならない。測定に用い
る装置は,適切な間隔で校正されなければならない。

7.2 据付け及び検証

  試験機は,JIS B 7722に従って据付け及び検証を行わなければならない。

7.3 衝撃刃

  衝撃刃の形式は,半径2 mmの衝撃刃又は半径8 mmの衝撃刃のいずれかでなければならない。衝撃刃
の半径は,KV2又はKV8及びKU2又はKU8のように,添え字で示すのが望ましい。
  製品規格では,いずれの衝撃刃の形式を適用するかを明示しなければならない。
    注記 試験結果は,衝撃刃が半径2 mmと半径8 mmとで異なる可能性がある[7]。

8 試験手順

8.1 一般

  試験片は,試験片のノッチ中央部と試験片受け台間の中央との食い違いが0.5 mm以内となるように,
試験片受け台間の中央に置く。試験は,衝撃刃によって,試験片のノッチを通る対称面で,ノッチの反対
面に衝撃を与えなければならない(図1参照)。
    注記 通常,試験片は,一つの試験温度当たり3本用いている。

8.2 摩擦測定

8.2.0  摩擦損失は,各試験日の最初の試験の前に,確認しなければならない。摩擦損失は,次によっても
よいし,他の方法によってもよい。
    注記 摩擦によって吸収されるエネルギーは,空気抵抗,軸受による摩擦及び置き針による摩擦が含
          まれるが,これだけに限らない。試験機における摩擦の増加は,吸収エネルギーの測定に影響
          を及ぼす可能性がある。
8.2.1  置き針の摩擦による損失を求めるためには,試験片を置かない状態で通常の試験を行い,振り上が
り角度β1又はエネルギーの読みK1を記録する。2回目の試験は,置き針を再セットせずに(置き針を伴わ
ない状態)行い,振り上がり角度β2又はエネルギーの読みK2を記録する。結果として,振り上がり中の
置き針の摩擦による損失(p)は,次の式(1)又は式(2)に等しい。
  目盛が角度で示されている場合
                                   1cos
                        p      cos       2   (1)
  目盛がエネルギー単位で示されている場合
                        p   K1K2    (2)
    注記 置き針のない試験機では,この摩擦測定は必要ない。
8.2.2  片振り(1/2回の振り)に対する軸受の摩擦及び空気抵抗による損失は,次の手順で求める。

――――― [JIS Z 2242 pdf 9] ―――――

8
Z 2242 : 2018
  β2又はK2を求めた後,振子を元の位置に戻す。置き針をセットせず,衝撃及び振動のないように振子を
振り下ろし,10回の片振りを行う。振子が11回目の片振りを開始した後,目盛の範囲(最大値)の約5 %
に置き針を動かし,β3又はK3として記録する。1回の片振りの軸受の摩擦及び空気抵抗による損失(p')
は,次の式(3)又は式(4)に等しい。
  目盛が角度で示されている場合
                                       3cos
                        p   /1 10M cos        2  (3)
  目盛がエネルギー単位で示されている場合
                        p   /1 10 K3K2    (4)
  片振りの回数は,試験機の使用者の任意で変更してもよい。p'は,適用した片振り回数によって補正す
ることが望ましい。
    注記 実際の試験で得られる振り上がり角度βに,これらの損失を考慮する要求がある場合には,吸
          収エネルギーの値から次の式(5)から求まる量を減じることができる。
                         p   p     p         (5)
                                1        2
  β1及びβ2は,ほぼ振り降ろし角度αに等しいので,実用的には,式(5)は,次の式(6)に近似できる。
                         p   p     p        (6)
                                      2
  目盛がエネルギー単位で示された試験機では,βの値は,次の式(7)によって計算できる。
                                      p
                            arccos 1K    KT /M    (7)
  測定された全摩擦損失p+p' は,定格容量エネルギーKNの0.5 %を超えてはならない。0.5 %を超える場
合で,置き針の摩擦損失を減らしても許容差内に入らない場合には,軸受を洗浄するか又は交換する。

8.3 試験温度

8.3.1  試験は,特に指定がない限り,23±5 ℃(室温)で行う。温度が指定された場合は,試験片の温度
は,指定温度の±2 ℃以内に維持しなければならない。
8.3.2  液体を使用して調節(加熱又は冷却)する場合,試験片は,液体を入れた容器の中に入れ,容器の
底から少なくとも25 mm離した格子の上に置き,液面から25 mm以上沈め,容器の側面から10 mm以上
離す。液体は,かくはんし,適切な方法で所定の温度にする。液体の温度を測定する装置は,試験片のグ
ループの中心に置くのが望ましい。液体の温度は,少なくとも5分間以上,指定温度に対して±1 ℃に維
持しなければならない。
    注記 液体が沸点に近い場合,液体中から取り出して破断させるまでの間に,気化冷却によって試験
          片の温度が著しく下がる場合がある。
8.3.3  気体によって調節(加熱又は冷却)する場合,試験片は,少なくとも容器の表面から50 mm以上
離し,個々の試験片は,10 mm以上離さなければならない。気体は,常に循環させ,適切な方法で所定の
温度にする。気体の温度を測定する装置は,試験片のグループの中心に設置する。気体の温度は,試験の
ために試験片を気体から取り出す前に少なくとも30分間以上,指定温度に対して±1 ℃に維持しなければ
ならない。
8.3.4  8.3の関連する他の要求事項を満たす場合には,加熱又は冷却に他の方法を用いてもよい。

――――― [JIS Z 2242 pdf 10] ―――――

                                                                                              9
                                                                                   Z 2242 : 2018

8.4 試験片の移動

  室温以外で試験を行う場合には,試験片を加熱又は冷却媒体から取り出してから衝撃刃によって衝撃を
与えるまでの時間は,5秒以内としなければならない。ただし,室温又は機器の温度と試験片温度との差
異が25 ℃未満の場合は,例外として,10秒以内としてもよい。
  移動用のジグは,試験片の温度が許容する温度範囲内となるように設計したものを使用しなければなら
ない。
  媒体中から試験機に移送する間に試験片と接する部分は,試験片と同じ温度にしておかなければならな
い。
  受け台上で試験片の中心合わせに用いる装置は,低い吸収エネルギーで破断した高強度の試験片が,装
置に跳ね返って振子に当たらないように留意することが望ましい。振子と試験片との干渉は,異常な高値
につながる。試験位置に置かれた試験片の端部とセンタリング装置又は試験機の固定部との隙間は,13 mm
以上としなければならない。これは,試験片の端が試験中に振子に跳ね返るおそれがあるのを防ぐためで
ある。
    注記 附属書Aで示すようなVノッチ試験片用のセンタリングトングは,温度制御用媒体中から適切
          な試験位置まで試験片を移動するのによく使用される。このトングを用いると,半割れした試
          験片と固定したセンタリング装置との間の干渉が起きにくくなる。

8.5 試験機の能力超過

  吸収エネルギーKは,初期位置エネルギーKpの80 %を超えないことが望ましい。この値を超える場合に
は,吸収エネルギーは,概数として報告し,試験機の初期位置エネルギーKpの80 %を超えていることを試
験報告書に付記しなければならない。
    注記 衝撃試験は,理想的には,一定の衝撃速度で行うことが望ましい。振子式の試験の場合には,
          衝撃速度は,試験片の破壊の進展とともに減少する。吸収エネルギーが振子の能力に近いよう
          な試験片に対しては,正確な吸収エネルギーを得ることができないほど試験片が破壊に至る間
          に振子の速度が減少する。

8.6 不完全破断

  試験片が,常に試験中に二つに分離するわけではない。
  材料(合否判定)試験では,不完全破断に関する情報を報告する必要はない。
  材料(合否判定)試験以外の試験では,不完全破断試験片を報告しなければならない。
    注記1 個々の試験片について,試験記録で識別できない場合には,破断のグループと不完全破断の
            グループとに分けることでよい。
    注記2 衝撃によって完全に二つに分離しない試験片は,丁番状になった半割れが,工具を用いず,
            試験片を疲労させることもなく押し合わせることによって分離できる場合には,破断とみな
            してもよい。

8.7 試験片の詰まり

  試験機の中で試験片が詰まった場合は,試験結果は,無効とし,校正された試験機の状態に影響を及ぼ
す損傷が生じたかどうか,試験機の検査を行う。
    注記 試験片の詰まりは,破断した試験片が,試験機の可動部と非可動部との間で挟まれて生じる。
          結果として,大きなエネルギー吸収が生じる可能性がある。試験片の詰まりは,試験片につい
          た1次衝撃刃痕と反対側の一対の痕と関連付けられるので,2次衝撃刃痕とは区別できる。

――――― [JIS Z 2242 pdf 11] ―――――

10
Z 2242 : 2018

8.8 破断後の検査

  破断後の検査で,試験片の識別表示の部分が試験によって変形した部分に入っていることが目視で認め
られるときには,試験結果が,材料を代表していない可能性があり,この場合は,試験報告書にその旨を
記録しなければならない。

9 試験報告書

9.1 必須項目

  次の事項を,試験報告書に記載しなければならない。ただし,顧客の了解を得た場合には,試験所の試
験報告書に記載されたトレーサブルコードを基に,次の事項が入手できるようにしなければならない。
a) この規格の番号
b) 試験片の識別(例 鋼の種類及び溶鋼番号)
c) 試験片が標準試験片以外の場合は,試験片の寸法
d) 試験温度又は試験片の調整された温度
e) 吸収エネルギー(ノッチ形状と衝撃刃の半径とを識別できるように記載する。)
f)  試験片又は試験片のグループの過半数が,破断したかどうか(材料評価試験には,適用されない。)
g) 試験に影響を与えると思われる異常事態

9.2 協定による項目

  9.1に加えて,受渡当事者間の協定によって次の事項を試験報告書に記載してもよい。
a) 試験片の軸方向(ISO 3785参照)
b) 試験機の定格容量(単位 J)
c) 横膨出(附属書B参照)
d) 延性破面率又はぜい性破面率(附属書C参照)
e) 吸収エネルギー・温度曲線(D.1参照)
f)  横膨出−温度曲線
g) 破面率−温度曲線
h) 遷移温度及び決定した基準(D.2参照)
i)  試験で完全に分離しなかった試験片の数
j)  直近の直接検証及び間接検証の年月
k) 測定値の不確かさ(附属書E参照)

――――― [JIS Z 2242 pdf 12] ―――――

                                                                                             11
                                                                                   Z 2242 : 2018
                                          附属書A
                                          (参考)
                                   センタリングトング
  図A.1に示したようなトングは,試験片をシャルピー衝撃試験機の適切な位置に移送するのにしばしば
使用する。
                                                                                      単位 mm
    注a) 互いに平行になるように,トングに銀はんだ付けされた鋼製部。
                 試験片厚さ                    A                         B
                    10                     1.601.70                   1.521.65
                     5                     0.740.80                   0.690.81
                     3                     0.450.51                   0.360.48
                     図A.1−Vノッチシャルピー衝撃試験片センタリングトング

――――― [JIS Z 2242 pdf 13] ―――――

12
Z 2242 : 2018
                                          附属書B
                                          (規定)
                                      横膨出の求め方
B.1   一般
  シャルピー試験片のノッチ底部に生じる三軸応力下での材料の破断抵抗能の測定は,この部位で生じる
変形量で行う。この場合の変形は,収縮となる。破断後であっても,この変形の測定は困難であるため,
通常,破断面の端部に生じる張出しを測定し,収縮の代替とする。
B.2   手順
  横膨出の測定においては,横方向の張出しの状態は,二つの破断片で必ずしも一致しないことを考慮す
ることが望ましい。したがって,最大の張出しは,破断した試験片の片方の試験片の両側面に含まれるこ
と,片側面だけに含まれること又はいずれにも含まれないことがある。
  そのため,測定は次のいずれかによる。横膨出の値は,通常,JIS Z 8401の規則Aによって小数点第2
位まで求める。
a) 二つの破断した試験片の衝撃面(ノッチのある面と反対の面)を合わせ(図B.1参照),試験片端部付
    近の変形が生じていない側面(ノッチのある面に直角な面)を両破断片で一致させる。この両側面間
    の幅(図B.1のb参照)を基準とし,横方向に最大に張り出している箇所の幅(図B.1のa参照)を
    求め,基準とした幅との差を横膨出とする。
b) 二つの破断面の張出し量をそれぞれ測定して,破断面の片側側面で,大きい方の値を決定し,その両
    側面についての和として算出する。それぞれの片側の試験片の各側面の膨出量を,試験片の側面で変
    形していないとみなす面に対して測定する(図B.2のB参照)。測定には,接触法及び非接触法を用
    いることができる。
      横膨出は,図B.3及び図B.4で示すようなゲージを用いて,試験片を測定してもよい。ゲージを用
    いるときは,最初に,ノッチに直角な両側の面を観察し,衝撃試験中に生じたばりがないことを確認
    する。ばりがある場合には,ばりの除去中に,測定すべき突出部を擦らないようにして,例えば,研
    磨布で擦るなどして,ばりを除去する。次に,当初ノッチの反対であった面が,互いに向かい合うよ
    うに二つの破断した試験片を置く。破断した試験片の一方を取り(図B.2参照),測定子に突出部を合
    わせて,基準面(reference support)にしっかりと押し付ける。読みを記録し,もう一方の破断した試
    験片についても,同じ側面を測定するように,この手順を繰り返す(図B.2参照)。それぞれの面で得
    られた大きい方の値をこの側面の張出し量とする。この方法を繰り返して反対側の張出し量を測定し,
    それぞれの側面から得られた大きい方の値を加える。例えば,A1>A2及びA3=A4の場合,LE=A1+(A3
    又はA4)となる。A1>A2及びA3>A4の場合,LE=A1+A3となる。
      測定子,機械の取付け表面などに接触することで,試験片の一つ以上の突出部を損傷した場合は,
    その試験片を測定してはならず,状況を試験報告書に記載しなければならない。

――――― [JIS Z 2242 pdf 14] ―――――

                                                                                             13
                                                                                   Z 2242 : 2018
                         LE=a−b
                        ここに,LE : 横膨出(mm)
                        図B.1−横膨出(両破断片を一括して測定する場合)
                          1 破断した試験片の片方
                          2 破断した試験片のもう片方
                          B 試験片の厚さ,mm
                          A1,A2,A3,A4 測定した距離,mm
                          図B.2−横膨出(破断片を別々に測定する場合)

――――― [JIS Z 2242 pdf 15] ―――――

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JIS Z 2242:2018の引用国際規格 ISO 一覧

  • ISO 148-1:2016(MOD)

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