JIS Z 2331:2006 ヘリウム漏れ試験方法 | ページ 2

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附属書1(規定)真空吹付け法(スプレー法)
1. 適用 この附属書は,試験体内を真空排気し,吹付けプローブを用いて試験体外側にヘリウムガスを
吹き付け,試験体内に漏れてきたヘリウムガスを検出する真空吹付け法について規定する。微小漏れ箇所
の検出に最適であり,比較的小さな漏れの検出に適用するが,試験体全体の漏れ量の定量化が必要な場合
は,真空外覆法の採用が望ましい。
2. 試験手順
2.1 試験条件 試験条件は,次による。
a) 試験温度 試験温度が規定されている場合は,それによる。
b) 校正リーク あらかじめ校正されたものを用いる。なお,使用する校正リークは,数個の校正リークでの
相互比較法などによって確認され,異常のないものとする。また,試験時,校正リークの値については使用環境
温度での補正を行う。
c) サーチガス 濃度が体積分率90 %以上のヘリウムガスを用いる。
d) 試験圧力 規定されている場合は,それによる。特に規定がない場合は,リークディテクタがもつ排
気装置及び補助排気装置によって排気可能な圧力とする。
2.2 準備 準備は,次による。
a) リークディテクタ,ヘリウムガス,吹付けプローブ,校正リークなどを準備する。また,試験体の大
きさによっては,補助排気装置を準備する。
b) 試験体の前処理及び開口部処理を行う。
1) 前処理 試験体の内外面表面の漏れに影響を与えるおそれのある水分,油分,有機溶剤,グリース,
塗料などを除去する。
2) 開口部処理 開口部は,試験後完全に取り除くことができる適切な材料で密閉する。
3) なお,密閉材は,試験体に影響を及ぼすおそれがあってはならない。
c) 試験体にリークディテクタを取り付ける。また,必要に応じて真空計などの計器類及び真空排気装置
を取り付ける。
d) 校正リークは,できるだけ試験体の遠い位置(リークディテクタから見て最も遠い位置)に取り付け
る。ただし,校正リークを取り付けることのできない試験体の場合,配管途中に校正リークを取り付
ける。校正リークを備えたリークディテクタを使用する場合で,補助排気装置を使用しない小容量の
試験体に限り,その校正リークを用いてもよい。
2.3 排気 排気は,次による。
a) リークディテクタがもつ排気装置及び試験体に接続される補助排気装置によって,試験体を真空排気
する。
b) 補助排気装置を使用する場合,リークディテクタの接続可能圧力以下で接続する。
2.4 感度校正及び応答時間の測定 感度校正及び応答時間の測定は,試験体に取り付けた校正リークの
出力によって決定する。感度校正は,試験体に取り付けた校正リークのヘリウム漏れ量をリークディテク
タで測定し,その指示量を補正計算して用いる。計算方法は,次の式による。
QC (1)
QT XT
XC

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ここに, QC : 試験体に取り付けた校正リーク値
XC : 試験体に取り付けた校正リークに対するリークディテクタの出力値
XT : 実測のリークレートの表示値
QT : 実際のリークレート
また,校正リークの出力を確認する際に,2.4 a)に準じて応答時間の測定を行う。
a) リークディテクタ単体で試験を行う場合 附属書1図1に試験装置の構成例を,附属書1図2にヘリウム
出力値と経過時間との関係を示す。この方法は,試験体に対してリークディテクタが直接接続されている
ため,校正リークの値は真値を示す。ただし,応答時間は,試験体の特性よって異なるため,応答時
間測定には注意が必要である。
校正リーク
校正リークバルブ
吹付けプローブ
ヘリウムガス
リークディテクタ
試験体
附属書1図 1 リークディテクタ単体で試験を行う場合の構成例
出力値
τ : 応答時間
(X2−X1)の37 %
(X2-X1)の37%
X2 X2
X1
X1
校正リークバルブ 校正リークバルブ
開 閉
時間
附属書1図 2 測定時のヘリウム出力値及び経過時間
1) 校正リークのバルブを開けヘリウムガスを導入する。応答時間が長い系では,バルブと校正リーク
との間に蓄積されたヘリウムガスが流入にすることによって,長時間にわたり試験体内のヘリウム
ガス分圧が安定しないことがある。このため,応答時間の長いことが予想される場合は,あらかじ

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め別の排気系によって校正リークとバルブとの間の空間を排気しておくことが望ましい。
2) 校正リークからヘリウムガスを導入して,リークディテクタの出力が安定した状態で記録する。こ
の出力値を平衡指示値(X2)とする。
3) 校正リークのバルブを閉じ,出力が安定した状態での出力値(X1)をバックグラウンドとする。また,この間の
経過時間及び出力値(X1)を記録しておく。ただし,バックグラウンドが安定しない場合は,その最大
X1.min.
X1.max.
値(X1.max.)及び最小値(X1.min.)を記録し,その平均値(
2 )をバックグラウンドとする。
4) 校正リークのバルブを閉じ,出力値が,(X2−X1)の37 %になるまでの経過時間を応答時間(τ)とし
て,記録する。
5) 補助排気装置を使用する場合で,試験体及び接続配管の構造上,試験体の遠い位置に校正リークが
取り付けられない場合は,取付け可能な位置(試験体又は接続配管)に校正リークを取り付け,感
度及び応答時間を求めた値を,(1)式の方法によって補正し,補正値であることを記録する。
b) 補助排気装置を並列に用いる場合 附属書1図3に試験装置の構成例を示す。この方法は,リークデ
ィテクタの内蔵する排気系だけでは試験体を排気できないときに適合するもので,試験体にリークデ
ィテクタと真空ポンプが並列に接続されているため,校正リークから出力されたヘリウムガスが真空
ポンプとリークディテクタとに分流し,真値を示さない。このため,(1)式に準じた表示値の補正を行
う必要性がある。応答時間に関しては,2.4 a)と同様の方法で測定を行う。
校正リーク
校正リークバルブ
排気バルブ 吹付けプローブ
ヘリウムガス
リークディテクタ
真空ポンプ 試験体
附属書1図 3 補助排気装置を並列に用いる場合の構成例
c) 大排気速度真空ポンプの背圧側に並列又は直列接続の場合 附属書1図4に試験装置の構成例を示す。
並列に排気する場合は,図中の排気バルブ及びテストバルブを開けて測定する。この方法は,大形の
真空装置のリークテスト及び試験体容積が数m3以上になる試験体のテストに適合するが,校正リーク
から出力されるヘリウムガスが真空ポンプとリークディテクタとに分流され,真値を示さないため,
(1)式に準じた表示値の補正を行う必要性がある。直列に排気する場合は,排気バルブだけを開けた状
態で試験体内を十分に排気し,排気バルブを閉じてテストバルブを開ける。応答時間に関しては,2.4
a)と同様の方法で測定を行う。

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校正リーク
校正リークバルブ
吹付けプローブ
ヘリウムガス 大排気速度真空排気装置
接続配管
ターボ分子ポンプ
油拡散ポンプなど
排気バルブ テストバルブ
試験体
排気装置
リークディテクタ
附属書1図 4 大排気速度真空ポンプの背圧側に並列又は直列接続の場合の構成例
2.5 漏れ測定 漏れ測定は,次による。
a) 試験箇所ごとに順次ヘリウムガスを吹き付け,リークディテクタの出力(指針,デジタル表示器,記
録計など)によって漏れの有無を判定する。試験に際し,ヘリウムガスの吹付け時間及び漏れが検出
された場合の待機時間(ヘリウムガスを吹き付けてから次のヘリウムガスの吹付けまでの待ち時間)
を考慮し,式(1)を用いて漏れ量の算出及び漏れの位置検出を行う。
吹付け時間は2.4 a)で測定した応答時間τ以上とする。
待機時間は2.4 a)で測定した応答時間τ×2とする。
b) 注意事項 注意事項は,次による。
1) ヘリウムガスは上方向に拡散しやすいので,試験体の上部から,下部方向に試験を進める。
2) 試験体のシール部に有機高分子材料を用いている場合は,ヘリウムガスがシール部を透過して漏れ
と誤認する可能性があるので,ヘリウムガスを吹き付けた後,速やかに圧縮空気などを吹き付け,
有機高分子材料部分のヘリウムガスを除去する。
3) 作業は,ヘリウムガスの滞留によるバックグラウンドの上昇を防ぐため換気のよい環境で行う。
4) 試験箇所にヘリウムガスが届きにくい複雑な形状の試験体の場合は,真空外覆法との併用が望まし
い。
5) 漏れ箇所を探すときには,試験体表面に対して広い範囲でヘリウムガスを吹き付けて,漏れ箇所の
見当をつけた後に,ヘリウムガス吹付量を減らし,位置を特定する。
6) リークディテクタによる表示値は,漏れ箇所部のヘリウム濃度に依存するため,定量を行う際には,
特定された漏れ箇所に十分なヘリウムガスを吹き付けるか,真空外覆法との併用が望ましい。
7) 校正リークを試験体に取り付けられない場合は,リークディテクタ内蔵の校正リークを代用しても

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よいが,試験体自体のもつコンダクタンスに十分考慮し試験を実施する。
8) 測定時に必要なヘリウムガスバックグラウンドは,目的とする測定値に対して1/10以下で測定する
ことが望ましい。
9) 漏れ経路に空孔があると想定される試験体の場合は,応答時間の遅れが想定できるため,十分な吹
付時間を考慮する。
2.6 開放及び後処理 開放及び後処理は,次による。
a) 試験体の真空排気を終了し,大気,乾燥窒素などを試験体に導入して試験体圧力を大気圧に戻す。
b) リークディテクタ,校正リーク,補助排気装置など,ヘリウム漏れ試験を行うために取り付けた機器
を,試験体から取り外す。
c) 試験のため開口部を密閉材で密閉したときは,試験後取り除く。
2.7 判定 仕様に記載された漏れ量以下の場合に合格とする。

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