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附属書2(規定)真空外覆法(真空フード法)
1. 適用 この附属書は,試験体内部を真空に排気し,試験体外側をフードで覆い,フード内にヘリウム
ガスを満たし,試験体内に漏れ出てきたヘリウムガスを検出する真空外覆法方法について規定する。真空
外覆法は,真空排気可能な試験体全体のリークを見落としなく検出し,漏れ量を定量できるが,漏れ位置
は特定できないので,漏れ位置の特定が必要な場合は,真空吹付け法を用いる。
2. 試験手順
2.1 試験条件 試験条件は,次による。
a) 試験温度 試験温度が規定されている場合は,それによる。
b) 校正リーク 校正リークは,あらかじめ数個の校正リークでの相互比較法などによって確認され,異
常のないものを用いる。試験時の校正リークの値については,使用環境温度での補正を行う。
c) サーチガス 濃度が体積分率90 %以上のヘリウムガス又はヘリウム混合ガスを用いる。
d) 試験圧力 試験体の試験圧力が規定されている場合は,それによる。特に規定がない場合は,リーク
ディテクタがもつ排気装置及び試験に用いる補助排気装置によって排気可能な圧力とする。
2.2 準備 準備は,次による。
a) リークディテクタ,ヘリウムガス,校正リーク,試験体を覆うためのフード材料などを準備する。試
験体の大きさによっては,別に真空排気装置を準備する。
b) 試験体の前処理及び開口部処理を行う。
1) 前処理 試験体の内外表面の漏れに影響を与えるおそれのある水分,油分,有機溶剤,グリース・
塗料などを除去する。
2) 開口部処理 開口部は,試験後,完全に取り除くことができる適切な材料で密閉する。ただし,使
用する密閉材は,試験体に悪影響を及ぼすおそれがあってはならない。
c) 校正リークは,できるだけ試験体の遠い位置(リークディテクタから見て最も遠い位置)に取り付け
る。ただし,校正リークを備えたリークディテクタ(補助排気装置を使用しない)を用いて,小容量
の試験体の漏れ試験を行うときは,その校正リークを用いてもよい。
2.3 真空排気 試験体を規定の圧力まで真空排気する。規定のない場合は,少なくともリークディテク
タ又は真空排気装置の動作に支障のない圧力まで排気する。
2.4 応答時間の測定 附属書2図1に,応答時間測定の場合の試験体と各機器の接続例を示す。附属書2
図2にそのときのヘリウム出力値と経過時間との関係を示す。
――――― [JIS Z 2331 pdf 11] ―――――
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校正リーク
校正リークバルブ
ヘリウムバルブ
試験体 リークディテクタ
ヘリウムガスボンベ
附属書2図 1 応答時間測定の場合の試験体と各機器の接続例
出力値
τ : 応答時間
(X2-X1)の37%
(X2−X1)の37 %
X2X2
X1X1
校正リークバルブ 校正リークバルブ
開 閉
時間
附属書2図 2 測定時のヘリウム出力値及び経過時間
a) 校正リークのバルブを開けてヘリウムガスを導入する。応答時間が長い系では,バルブと校正リーク
との間に蓄積されたヘリウムガスの流入によって,長時間試験体内のヘリウムガス分圧が安定しない
ことがある。このため,応答時間が長いことが予想される場合は,別の排気系によって校正リークと
バルブとの間の空間を排気しておくことが望ましい。
b) 校正リークからヘリウムガスを導入して,リークディテクタの出力が安定してから記録する。この出
力値を平衡指示値(X2)とする。
c) 校正リークのバルブを閉じ,出力が安定してから記録する。この出力値(X1)をバックグラウンドとし,
経過時間及び出力値を記録しておく。ただし,バックグラウンドが安定しない場合は,その最大値
X1.min.
X1.max.
(X1.max.)及び最小値(X1.min.)を記録し,その平均値(
2
)をバックグラウンドとする。
――――― [JIS Z 2331 pdf 12] ―――――
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d) 校正リ−クのバルブを閉じた状態で出力値が,(X2−X1)の37 %になるまでの経過時間を応答時間(τ)
として,これを記録する。
e) 補助排気装置を使用する漏れ試験の場合で,試験体及び接続配管の構造上,試験体の遠い位置に校正
リークの取付けができない場合は,取付け可能な位置(試験体又は接続配管)に校正リークを取り付
け,2.12.4と同様にして,応答時間を求めた値を,附属書1の2.4の方法によって補正し,補正値と
して使用する。
2.5 漏れ測定 漏れ測定は,次による。
a) 試験体をフードによって覆う。このとき,フード内を真空装置で減圧し,内部の空気の容積を減じて
おくことが望ましい。ただし,試験体とフードのすき間には,ヘリウムガスが行きわたるよう適切な
すき間を設け,試験体とは密着させてはならない。
b) バックグラウンド(X1)を測定,記録する。
c) フードがふくらむまでフード内にヘリウムガスを導入する。
d) ヘリウムガス導入完了時点から,少なくとも応答時間(τ)以上リークディテクタの指示値(XT)を観察又
は記録する。
e) 試験体のリーク量QT (Pa・m3/s)は,次の式によって求める。
QT XT X1 (1)
f) 注意事項 注意事項は,次による。
1) 試験体のシール部分に有機高分子材料を用いる場合は,ヘリウムガスがシール部を透過して漏れと
誤認する可能性があるため,ヘリウムガスを吹き付けた後,速やかに圧縮空気などを吹き付け,シ
ール部分のヘリウムガスを除去する。
2) 作業は,ヘリウムガスの滞留を防ぐため換気のよい環境で行う。
3) 漏れ箇所を探すときには,真空吹付け法を併用する。
4) リークディテクタによる表示値は,漏れ箇所部のヘリウムガス濃度に依存するため,定量を行うと
きにはヘリウムガスの濃度に注意する。
5) 校正リークを試験体に取り付けられない場合は,リークディテクタ内蔵の校正リークを代用しても
よいが,試験体自体のもつコンダクタンスに考慮し,試験を実施する。
6) 測定時に必要なヘリウムガスバックグラウンドは,目的とする測定値に対して1/10以下で測定する
ことが望ましい。
7) 漏れ経路に空孔があると想定される試験体の場合は,応答時間の遅れが想定できるため,フードに
ヘリウムガスを導入してからの放置時間を十分に考慮する。
2.6 開放 フード内のヘリウムガスを試験箇所以外へ放出し,フードを外し,試験体に大気を導入する。
2.7 後処理 必要な後処理を行う。
2.8 判定 仕様に記載された漏れ量以下の場合に合格とする。
――――― [JIS Z 2331 pdf 13] ―――――
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附属書3(規定)吸込み法(スニッファー法)
1. 適用 この附属書は,試験体内部をヘリウムガスで加圧し,漏れ箇所から外部に漏れ出るヘリウムガ
スを,リークディテクタに接続した吸込みプローブで吸引し,漏れを検出する吸込み法について規定する。
吸い込み法は,次に示すような漏れ位置を特定するのに有効な方法である。
a) 大気圧より高い圧力で漏れ検査を実施する場合
b) 形状が複雑で試験箇所の被覆ができない場合
c) 加圧積分法で大きな漏れがある場合で,漏れ位置を特定する場合
2. 校正・試験方法の選択 吸込み法は,運用によって,次の試験・校正方法を選択することができる。
a) 基準濃度法 : 最小可検濃度比を測定して,濃度で測定する方法 校正方法をJIS Z 8754に準じて使用
する方法で,試験体から漏れ出るヘリウムガスの濃度を測定して,漏れの有無を判別する方法である。
測定値は,ヘリウムガスの濃度となる。
b) 校正リーク法 : 校正リークを利用して,リーク量の定量を行う方法 校正リークから出力されるヘリ
ウムガスの濃度を基に,リーク量を定量する方法である。測定値は流量となるが,測定プローブの掃
引速度,リーク箇所からの距離などによって濃度が変化するため,漏えい箇所が限定できる場合に適
用するのが望ましい。別の方法としてリークディテクタに内蔵の校正リークでリークディテクタ単体
の感度校正を実施し,あらかじめ設定された吸込み法での検出感度の比率を乗じることによって,検
出感度を換算する方法もある。
c) 大気校正法 : 大気に含有されるヘリウムガス濃度を活用して校正する方法 大気に含有されるヘリウ
ムガスの濃度を体積分率5 ppmと仮定して校正する簡易的な方法であり,測定値は,ヘリウムガスの
濃度となる。狭い室内での試験では漏えいしたヘリウムガスによって大気に含有されるヘリウムガス
の濃度が上がるため注意が必要である。このため,濃度が分かっているヘリウム混合ガス,チャネル
形校正リークなどを併用して,使用するのがよい。測定値は濃度となるが,あらかじめ機器が校正リ
ークで校正されていれば,リーク量での表示も可能である。
3. 試験手順
3.1 試験装置及び試験材料 試験装置及び試験材料は,次による。
a) リークディテクタ
b) 吸込みプローブ(ヘリウムガス漏れ吸込み口)
c) 基準器
1) 基準濃度 既知のヘリウムガス濃度をもったヘリウムガスと窒素又は空気との混合気体で,圧力1
×105Pa±5 %の条件下で,リークディテクタに最小可検濃度比の10倍以上の測定値が得られるも
の。
2) 校正リーク チャネル形校正リークを使用する(メンブレン形校正リークは,一般的にその出力値
が小さいため,吸込み法の基準器には適さない。)。チャネル形校正リークは,それ自体を規定の圧
力で加圧することで,キャピラリーを通したヘリウムガスが流量として構成されているものをいう。
校正リークは,あらかじめ数個の校正リークでの相互比較法などによって確認され,異常のない
ものを用いる。また,密閉形の校正リークを使用する場合,校正リークの値については使用環境温
――――― [JIS Z 2331 pdf 14] ―――――
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度での補正を行う。附属書3図1にチャネル形校正リークの構造を示す。
バルブ キャピラリー部
ヘリウムにて
ヘリウムで 校正された値の
規定圧力で加圧する
規定圧力で加圧する ヘリウム流量が
出力される
附属書3図 1 チャネル形校正リークの構造
3) 大気 ヘリウムガスの大気中の濃度はおおよそ体積分率5 ppmであるが,狭い部屋などでヘリウム
ガスを使用すると,室内のヘリウムガス濃度が上昇し,誤差が生じる可能性がある。このため,校
正に使用する大気は試験装置の置かれている建物の外壁から少なくとも2 m以上離れた位置から採
取したものを使用するのが望ましい。
d) 圧力計
e) ヘリウムガス及び圧力調整器
f) 真空排気装置
3.2 前処理 漏れ検出及び測定器に影響を与えるようなグリース,油脂,塗料などの表面付着物を除去
し,水分などが付着しないように乾燥させる。
3.3 試験準備
a) 試験体に圧力計,圧力調整器などを接続する。附属書3図2に接続例を示す。
チャネル型校正リーク
(チャネル型校正リークの規定圧力とテスト圧力が同じ場合)
チャネル型校正リーク
圧力計 吸込みプローブ
大気開放弁
安全弁
加圧弁
減圧弁 減圧弁
ガス置換弁 試験体 リークディテクタ
ヘリウムボンベ ヘリウムボンベ ガス置換用真空ポンプ
附属書3図 2 使用機器接続例
――――― [JIS Z 2331 pdf 15] ―――――
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JIS Z 2331:2006の国際規格 ICS 分類一覧
JIS Z 2331:2006の関連規格と引用規格一覧
- 規格番号
- 規格名称
- JISZ2300:2009
- 非破壊試験用語
- JISZ2300:2020
- 非破壊試験用語
- JISZ2330:2012
- 非破壊試験―漏れ試験方法の種類及びその選択
- JISZ8754:1999
- 真空技術―質量分析計形リークディテクター校正方法