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b) 選択した校正方法によってリークディテクタの校正を行う。次に代表的な校正例を示す。
1) 基準濃度法 : トレーサビリティがとれた校正ガスを使用する場合 濃度が校正されているヘリウム
混合ガスを大気圧が維持できる容器又は袋に導入し,リークディテクタの吸込みプローブで吸引し
たときの出力を記録し,リークテスト時の測定値と比較校正する。基準濃度法の機器構成例を,附
属書3図3に示す。基準濃度は,容積の明確な容器などで製作したものを用いても構わない。
大気圧を維持できる容器又は袋
ガス抜け穴
吸込みプローブ
圧力計
リークディテクタ
減圧弁
校正されたヘリウム濃度が出力される
トレーサビリティーの取れたヘリウム混合ガス
附属書3図 3 基準濃度法の機器構成例
2) 校正リーク法 : チャネル形校正リークを使用する場合 チャネル形校正リークから出力されるヘリ
ウムガスを,リークディテクタの吸込みプローブで吸引したときの出力を記録し,リークテスト時
の測定値と比較校正する。校正リーク法の機器構成例を,附属書3図4に示す。
キャピラリー先端から吸込みプローブの先端の距離 吸込みプローブ
圧力計
校正されたヘリウム流量が出力される
リークディテクタ
チャネル型校正リーク
チャネル形校正リーク
減圧弁
ヘリウムボンベ
附属書3図 4 校正リーク法の機器構成例
――――― [JIS Z 2331 pdf 16] ―――――
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3) 大気校正法 大気が含有しているヘリウムガスの濃度を体積分率5 ppmと仮定し,大気を基準とし
て校正する方法である。使用する機器のもつ機能によって大きく2種類の方法を選択することがで
きる。
3.1) 分析管フィラメントのON/OFF又は同等の方法 分析管のフィラメントをOFFにすると,ヘリ
ウムガスを測定しない状態と同じになる。スニッファー法の場合は,常に分析管にヘリウムガス
を導入している状態のため,フィラメントONにすることで大気圧に含有しているヘリウムガス
分の出力が得られる。その出力を記録し,リークテスト時の測定値と比較校正する。この他にも,
分析管に導入するためのバルブを閉じることで吸引しているときとしないときとの濃度差を体積
分率5 ppmとする方法もある。分析管フィラメントのON/OFFによる大気校正法の模式を,附属
書3図5に示す。
力
ヘリウム濃度比
5p pm の出
リークディテクタの出力
フィラメント フィラメント フィラメント
OFF ON OFF
附属書3図 5 分析管フィラメントのON/OFFによる大気校正法の模式
3.2) 窒素ガスの併用 窒素ガスを吸込みプローブからリークディテクタに導入することで,大気に含
有する体積分率5 ppmのヘリウムガスをキャンセルすることができる。窒素ガス併用による大気
校正法の構成例を,附属書3図6に示す。吸込みプローブの流量に応じて,すぐにガスがなくな
らない程度の袋を用意し,内部に窒素ガスを充てんし,充てんされた窒素ガスを吸込みプローブ
で吸引する。そのときにリークディテクタの出力が下がるので,機器のゼロ点を合わせた後,吸
引を止め雰囲気の大気圧を吸引する。そのときの表示値を大気に含まれる濃度が体積分率5 ppm
とし,その出力を記録し,リークテスト時の測定値と比較校正する。窒素ガスを併用した大気校
正法の模式を,附属書3図7に示す。
吸込みプローブ
リークディテクタ
減圧弁
100%に近い窒素ガスを吸引させる
100%に近い窒素ガスをつくる
窒素ガス
――――― [JIS Z 2331 pdf 17] ―――――
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附属書3図 6 窒素ガスの併用による大気校正法の構成例
ヘリウム濃度比
5ppmの出力
リークディテクタの出力
窒素ガスを
窒素ガスを 窒素ガスの吸引を吸引させて
吸引させて ゼロ点の再現性を
止めて雰囲気の大気
測定状態 を吸引する
ゼロ点を合わせる 確認する
附属書3図 7 窒素ガスの併用による大気校正法の模式
3.4 測定 測定は,次による。
a) 試験体の加圧
1) 加圧圧力 加圧圧力が規定されている場合は,それによる。規定のない場合は,大気圧より1.5×104
Pa以上に加圧する。
2) ヘリウムガス濃度 規定されている場合は,それによる。規定のない場合は,濃度は,体積分率10 %
(圧力比)以上とする。
3) ヘリウムガス拡散時間(ヘリウムガスが試験体内に均一に混合される時間) 拡散時間が規定され
ている場合は,それによる。規定のない場合は,30分以上とする。ただし,あらかじめ試験体を真
空にした状態でヘリウムガスを置換(注入)した場合,拡散時間をとる必要はない。
b) 走査速度及び走査間隔 吸込みプローブの走査速度と走査間隔とは,検出したい漏れ量が十分確認で
きる条件とする。
c) 漏れ測定 3.4 b)の試験条件に従って,吸込みプローブによって試験箇所を走査させ,このときのリー
クディテクタの出力変化量を記録する。操作は,試験体の下部から上部へ行う。
d) 注意事項
1) 試験順序は,ヘリウムガスが上方向に拡散しやすいので,試験体の下部から,上部方向に進める。
2) 試験体のシール部に有機高分子材料を用いている場合は,ヘリウムガスがシール部を透過して漏れ
と誤認する可能性があるので,目的とする測定値と照らし合わせて評価をする。
3) 試験場所及び近辺の大気に,加圧したヘリウムガスを開放すると,大気がヘリウムガスで汚染され
て,測定に影響を及ぼす可能性がある。このため,大気開放は屋外で行うか,排気ダクトなどを使
用して,試験場所と隔離して行うことが望ましい。また,作業は,ヘリウムガスの滞留を防ぐため
換気のよい環境で行う。
4) リークディテクタによる表示値は,内部に加圧したヘリウムガス濃度及び圧力に依存するため,そ
れらを記録として残して,補正値として利用する。
5) 試験体の形状が細く複雑な場合は,末端までヘリウムガスが行きわたらない場合があるため,末端
を開放しヘリウムガスが内部を通過したことを確認した後に加圧することが望ましい。
6) 測定時に必要なヘリウムガスバックグラウンドは,目的とする測定値に対して1/10以下で測定する
ことが望ましい。
3.5 後処理 覆いなどを除去し,必要な場合洗浄,乾燥などの処理をする。
――――― [JIS Z 2331 pdf 18] ―――――
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3.6 判定 仕様に記載された漏れ量以下の場合に合格とする。
3.7 安全 加圧時試験体の破損,爆発などには十分注意し,必要以上の圧力を加えない。また,加圧状
態で試験体の温度を上げない。加圧中である旨を第三者(試験担当者以外)に明示する。
――――― [JIS Z 2331 pdf 19] ―――――
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附属書4(規定)加圧積分法
1. 適用 この附属書は,試験体をヘリウムガスで加圧し,漏れ箇所から外部に漏れるヘリウムガスを,
試験部を覆ったフード(被覆材料)で捕集し,これをリークディテクタに接続したスニッファープローブで
吸引し検出する方法について規定する。漏れたヘリウムガスを一定時間ため込み,濃度を上げる方法のた
め,吸込み法に比べ小さな漏れの検出に有効である。また,大気圧より高い圧力条件下で高精度な漏れ検
査を実施する場合に適している。
2. 校正・試験方法の選択 附属書3に示す2. a)の基準濃度法又は2. c)の大気校正法のいずれかを採用す
る。
3. 試験手順
3.1 試験装置及び試験材料 試験装置及び試験材料は,次による。
a) リークディテクタ
b) 吸込みプローブ(ヘリウムガス漏れ吸込み口)
c) 基準器 附属書3の3.1 c) 1)又は3.1 c) 3)に規定のものを使用する。
d) 圧力計
e) ヘリウムガス及び圧力調整器
f) 被覆用フード ヘリウムガスの透過性が少ないもの(ビニールシート,アクリル板による箱なども可)
g) 真空排気装置
3.2 前処理 漏れ検出及びリークディテクタに影響を与えるようなグリース,油脂,塗料などの表面付
着物を除去し,水分などが付着しないよう乾燥させる。
3.3 試験準備 試験準備は,次による。
a) 試験体に圧力計,圧力調整器などを接続する。附属書4図1に接続例を示す。
安全弁 大気開放弁 スニッファープローブ
ヘリウムガススニファープローブ
圧力計
加圧弁
リークディテクタ
試験体 フード
ガス置換弁
減圧弁
ガス置換用真空ポンプ
ヘリウムポンプ
附属書4図 1 測定時の接続例
――――― [JIS Z 2331 pdf 20] ―――――
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JIS Z 2331:2006の国際規格 ICS 分類一覧
JIS Z 2331:2006の関連規格と引用規格一覧
- 規格番号
- 規格名称
- JISZ2300:2009
- 非破壊試験用語
- JISZ2300:2020
- 非破壊試験用語
- JISZ2330:2012
- 非破壊試験―漏れ試験方法の種類及びその選択
- JISZ8754:1999
- 真空技術―質量分析計形リークディテクター校正方法