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b) リークディテクタの校正 附属書3の3.3 b)1)(基準濃度法)又は3.3 b)3)(大気校正法)によって校
正する。
3.4 測定 測定は,次による。
a) 試験箇所の覆い 試験箇所をヘリウムガス透過性が少ないビニールシートなどの材質によるフードで
覆い,その内容積(V)を求める。
b) ため込み時間の決定 検出可能な最小レベルのため込み時間t (s)は,次の式で決定される。
Patm X2 X1 V
t (1)
QS G
ここに, Patm : 雰囲気圧力(Pa)
X1 : 被覆用フードにスニッファープローブを挿入する前の
バックグラウンドに対する測定値(濃度値)
X2 : 被覆用フードにスニッファープローブを挿入し,平衡
に達したときの測定値(濃度値)
V : 被覆用フード内容積 (m3)
QS : 判定基準 (Pa・m3/s)
G : 試験体内部のヘリウムガス濃度(圧力比)(体積分率
100 %を1とする)
c) 試験体の加圧 次の項目に従って加圧する。
1) 加圧圧力 規定がある場合は,それによる。規定のない場合は,大気圧より1.5×104 Pa以上に加圧
する。
2) ヘリウムガス濃度 規定がある場合は,それによる。規定のない場合は,濃度は,体積分率10 %
(圧力比)以上とする。
3) ヘリウムガス拡散時間(ヘリウムが試験体内に均一に混合される時間) 規定がある場合は,それ
による。規定のない場合は,30分以上とする。ただし,あらかじめ試験体を真空にした状態でヘリ
ウムガスを置換(注入)した場合は,拡散時間をとる必要はない。
d) ため込み時間放置 3.4 b)で求めたため込み時間放置する。ただし,ため込み時間が3時間を超える場
合は,3時間が上限となるようにすることが望ましい。ため込み時間内は,3.4 c)の圧力を維持する。
e) 漏れ測定
1) ヘリウムガス漏れ量の計算 ヘリウムガスリーク量Q(Pa・m3/s)は,次の式による。
Patm X2 X1 V
Q (2)
t G
ここに, Patm : 雰囲気圧力(Pa)
X1 : 被覆用フードにスニッファープローブを挿入する前の
バックグラウンドに対する測定値(濃度値)
X2 : 被覆用フードにスニッファープローブを挿入し,平衡
に達したときの測定値(濃度値)
V : 被覆用フード内容積 (m3)
t : ため込み時間 (s)
G : 試験体内部のヘリウムガス濃度(圧力比)(体積分率
100 %を1とする。)
2) ヘリウムガス漏れ量の計算例 ヘリウムガス濃度が体積分率50 %(0.5)のヘリウム混合ガスで試験
体を加圧した状態で,1時間(3 600 s)ため込み,被覆用フード内容積100 cm3(1×10−4 m3)の試験箇所の
バックグラウンド5 (体積分率 ppm)と,被覆用フードにスニッファープローブを挿入し,平衡に達し
――――― [JIS Z 2331 pdf 21] ―――――
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たときの値10 (体積分率ppm)からヘリウムガスリーク量を求める。
試験体内部のヘリウムガス濃度 (G) 0.5
ため込み時間 (t) 3 600 (S)
被覆用フード内容積(V) 1×10−4 (m3)
雰囲気圧力(大気圧) (Patm) 1.0×105 (Pa)
被覆用フードにスニッファープローブを挿入する前
5 (体積分率 ppm)
のバックグラウンドに対する測定値(濃度値)(X1)
被覆用フードにスニッファープローブを挿入し,平衡
10 (体積分率 ppm)
に達したときの測定値(濃度値) (X2)
であるから
Patm 2 1 V
Q (3)
t G
0.1 10 5 10 10 6 5 106
1 10 4
3600 5.0
8
8.2 10
f) 注意事項
1) 試験体のシール部に有機高分子材料を用いる場合は,ヘリウムガスがシール部を透過し,漏れと誤
認する可能性があるので,透過レベルが測定精度に影響しないことをあらかじめ確認することが必
要である。
2) 試験場所において,加圧したヘリウムガスを大気中に開放すると,大気がヘリウムガスで汚染され
て測定に影響を及ぼす可能性がある。このため,大気開放は屋外に行うか,排気ダクトなどを使用
して,試験場所と隔離して行うことが望ましい。また,作業は,ヘリウムガスの滞留を防ぐため換
気のよい環境で行う。
3) 漏れ箇所を探すときは,吸込み法(スニッファー法)との併用が望ましい。
4) リークディテクタによる表示値は,試験体内部の加圧されたヘリウムガス濃度及び圧力に依存する
ため,その値によって補正する。
5) 試験体の形状が細く複雑な場合は,末端までヘリウムガスが行きわたらない場合があるため,末端
を開放しヘリウムガスが内部を通過することを確認した後に加圧することが望ましい。
6) 測定時に必要なヘリウムガスバックグラウンドは,目的とする測定値に対して1/10以下で測定する
ことが望ましい。
3.5 後処理 加圧を解き,試験体内部を大気圧に戻す。繰返し試験を行う場合は,測定場所のヘリウム
濃度が上昇し,測定に影響を及ぼすため,ダクトなどを用いて屋外に排出するのがよい。
3.6 判定 仕様に記載された漏れ量以下の場合に合格とする。
3.7 安全 加圧時には試験体の破損・爆発には十分注意し,必要以上の圧力を加えない。また,加圧状
態で試験体の温度を上げない。加圧中であることを第三者(試験担当者以外)に明示する。
――――― [JIS Z 2331 pdf 22] ―――――
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附属書5(規定)吸盤法(サクションカップ法)
1. 適用 この附属書は,試験体を部分的に真空にして行う吸盤法について規定する。大形真空容器,そ
の他圧力容器などで,製作過程及び製品の状況によって全体を真空又は加圧することができない場合に適
用できる。適用例を次に示す。
a) 大形の真空容器の製作過程での工程中確認検査
b) 局部的な漏れの有無の確認検査
2. 試験手順
2.1 試験条件 試験条件は,次による。
a) 試験温度 試験温度が規定されている場合は,それによる。
b) 校正リーク あらかじめ校正されたものを用いる。
なお,校正リークは,数個の校正リークでの相互比較法などによって確認され,異常のないものと
する。校正リーク値については,使用温度での補正を行う。
c) 吸盤 (サクションカップ) 試験体との接触面をゴムパッキングなどによってシールし,試験体を局
部的に真空にするための小形真空容器。吸盤(サクションカップ)の内部は,リークディテクタの動
作に支障のない圧力となる真空が確保できなければならない。吸盤(サクションカップ)は,排気到
達圧力を考慮し,できるだけ内容積の小さいものとする。ゴムパッキングの真空シールを効果的に行
うため,必要に応じてシーリング材を用いてもよい。
2.2 準備 準備は,次による。
a) 吸盤(サクションカップ),校正リーク,排気装置,リークディテクタ,ヘリウムガスを封入するため
のフード及びヘリウムガスを準備する。排気装置は,排気する吸盤(サクションカップ)の内容量と
到達圧力に応じ,必要なものを選択する。
b) 試験体の前処理を行う。この場合,漏れ検出に影響を与えるグリース,油脂,塗料などの表面付着物
を除去し,十分に乾燥させる。
c) 校正リークは吸盤(サクションカップ)に直接取り付けるか,できるだけ吸盤(サクションカップ)
に近い位置(リークディテクタから見て最も遠い位置)に取り付ける。ただし,校正リークを取り付
けることのできない吸盤(サクションカップ)の場合,配管途中に校正リークを取り付けるか,校正
リークを備えたリークディテクタを用いる。ただし,補助排気装置を使用しない小容量の吸盤(サク
ションカップ)を用いる場合は,その校正リークを用いてもよい。
2.3 真空排気 試験箇所に吸盤(サクションカップ)を取り付け,真空排気する。到達圧力は,リーク
ディテクターの動作に支障のない圧力で可とする。
2.4 感度校正及び応答時間の測定 附属書1と同様な方法で感度校正及び応答時間を測定する。
2.5 漏れ測定 漏れ測定は,次による。
a) 附属書5図1及び附属書5図2に試験体,吸盤(サクションカップ),校正リーク,フード,排気装置
及びリークディテクタの構成例を示す。
b) 吸盤を試験面に取り付け,真空排気を行う。圧力は,2.4で実施した応答時間の測定時と同程度とする。
c) 試験面の反対側をヘリウムガスで満たす方法として,真空吹付け法の場合と同様にヘリウムガスを吹
き付ける方法及び附属書5図1及び図2に示すようなフードで覆い,フード内の空気を排出した後に,
――――― [JIS Z 2331 pdf 23] ―――――
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ヘリウムガスを封入する方法があるが,いずれの方法を採用するかはその対象となる試験体の形状及
び試験の行いやすさによって判断してよい。
校正リーク
吸盤(サクションカップ)
排気装置 リークディテクタ
試験体 シール
フード ヘリウムガス
附属書5図 1 平面溶接部への吸盤法適用例
校正リーク
吸盤(サクションカップ)
フード
排気装置 リークディテクタ
ヘリウムガス 試験体 シール
附属書5図 2 隅肉溶接部への吸盤法適用例
d) フード内部にヘリウムガスを封入してから,2.4で測定,補正された応答時間τ以上経過後のリークデ
ィテクタの指示値を観察又は記録する。その指示値も2.4で測定,補正された校正感度で必要に応じ
て補正する。
e) 注意事項
1) 試験体のシール部に有機高分子材料を用いている場合は,ヘリウムガスがシール部を透過して一般
の漏れと誤認するので,ヘリウムガス吹付け後,速やかに圧縮空気などを吹き付け,有機高分子材
料部分のヘリウムガスを除去する。
――――― [JIS Z 2331 pdf 24] ―――――
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2) 作業は,ヘリウムガスの滞留を防ぐため換気のよい環境で行う。
3) リーククディテクタの表示値は,漏れ箇所部のヘリウム濃度にするため,定量を行うときにはヘリ
ウムガスの濃度を考慮する。
4) 校正リークを試験体に取り付けられない場合は,リークディテクタ内蔵の校正リークを代用しても
よいが,試験体自体のもつコンダクタンスに十分考慮し試験を実施する。
5) 測定時に必要なヘリウムガスバックグランドは,目的とする測定値に対して1/10以下で測定するこ
とが望ましい。
6) 漏れ経路に空孔があると想定される場合は,応答時間の遅れが予想されるため,十分な吹付け時間
を考慮する。
2.6 開放及び後処理 開放及び後処理は,次による。
a) フード内のヘリウムガスを放出し,吸盤(サクションカップ)の真空排気を終了した後,大気・乾燥
窒素などを吸盤(サクションカップ)に導入して内部圧力を大気圧に戻す。
b) 吸盤(サクションカップ),校正リーク,フード,排気装置,リークディテクタなど,ヘリウム漏れ試
験を行うために取り付けた機器を,試験体から取り外す。
c) ヘリウム漏れ試験のため吸盤(サクションカップ)のゴムパッキング部をシーリング材で密閉したと
きは,そのシーリング材を取り除く。
2.7 判定 仕様に記載された漏れ量以下の場合に合格とする。
――――― [JIS Z 2331 pdf 25] ―――――
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JIS Z 2331:2006の国際規格 ICS 分類一覧
JIS Z 2331:2006の関連規格と引用規格一覧
- 規格番号
- 規格名称
- JISZ2300:2009
- 非破壊試験用語
- JISZ2300:2020
- 非破壊試験用語
- JISZ2330:2012
- 非破壊試験―漏れ試験方法の種類及びその選択
- JISZ8754:1999
- 真空技術―質量分析計形リークディテクター校正方法