JIS Z 2371:2015 塩水噴霧試験方法 | ページ 2

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5 装置

5.1   一般
この試験に必要な装置は,噴霧塔又は噴霧ノズル,塩溶液貯槽,試験片保持器,噴霧液採取容器などを
備えた噴霧室,塩溶液補給タンク,圧縮空気供給器,空気飽和器,温度調節装置,排気ダクトなどで構成
し,次による。
a) 装置は,試験が正常に行えるように維持・管理しなければならない。
b) 排気ダクトは,外気の風圧の影響を受けないようにしなければならない。
c) 装置は,試験後の噴霧液を大気に放出する前に,環境保全のため適切に処理できるとともに,噴霧液
を処理した水を排水設備に排水する前に適切に処理できる設備をもっていることが望ましい(附属書
A参照)。
5.2 構成部品の保護
塩溶液及び噴霧液と接触する全ての構成部品(噴霧室,試験片保持器など)は,塩溶液及び噴霧液の腐
食性に影響を与えたり,それ自体が腐食するような材料であってはならない。
5.3 噴霧室
噴霧室は,次による。
a) 噴霧室は,噴霧室内の噴霧液及び温度の分布が均一に調整できれば,噴霧室の形及び大きさは任意で
よい。ただし,噴霧室の容積が0.4 m3よりも小さい場合は,噴霧及び温度の分布に十分注意する必要
がある。
b) 噴霧塔又は噴霧ノズルは,プラスチックなどの不活性な材料でなければならない。また,噴霧室の上
部から噴霧液を試験片に均等に噴霧する性能をもつものとする(附属書A参照)。
c) 噴霧は,噴霧液の自由落下とし,噴霧液が試験片に直接かからない方向に噴霧塔又は噴霧ノズルを調
節する。噴霧塔は,この目的に適している。噴霧室の天井にたまった噴霧液の滴が,試験片の上に落
ちてはならない。
d) 噴霧室内の噴霧液及び温度は,外気の影響を受けないものとする。
e) 試験片保持器は,試験片を規定の角度に保持できるものとする1)。
注1) 試験片保持器の材料は,プラスチックなどの不活性な材料又はそれらで被覆された材料とし,
試験片の底裏又は側面から保持するのがよい。試験片が規定の位置に保たれるならば,ガラス
かぎ又はビニルひもでつるしてもよく,この場合,必要であれば試験片の底を保持する。
5.4 温度制御
噴霧室内の試験片保持器付近の温度は,中性塩水噴霧試験及び酢酸酸性塩水噴霧試験の場合は35 ℃±
2 ℃,キャス試験の場合は50 ℃±2 ℃に保たなければならない。温度の測定は,壁から少なくとも100 mm
以上離した位置とする。
5.5 噴霧装置
噴霧装置は,次による。
a) 塩溶液を噴霧するための噴霧塔又は噴霧ノズルへ送る圧縮空気は,油及びほこりが除去されており,
圧力が70 kPa170 kPaの範囲でなければならない。
なお,圧力は,98 kPa±10 kPaに保つことが望ましい。
b) 噴霧液からの水の蒸発を防ぐために,噴霧塔又は噴霧ノズルへ送る圧縮空気は,加湿器又は空気飽和
器の中を通過させて加湿しなければならない。また,噴霧塔又は噴霧ノズルへ送る圧縮空気は,塩溶
液と混合したとき,噴霧室内の温度が著しく乱れないように加熱しなければならない。圧縮空気の加

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湿及び加熱を制御するために,空気飽和器を用いることが望ましい。表1に,空気飽和器における圧
縮空気の圧力と空気飽和器内の水の温度との組合せの目安値を示す。
c) 噴霧塔又は噴霧ノズルへ送る圧縮空気を加湿する加湿器又は空気飽和器に使用する水は,4.1 b)による。
注記 水中のシリカ成分が高い場合,ヒータ及び水位センサの性能に影響を与える可能性があるの
で注意する。
d) 噴霧塔又は噴霧ノズルに供給する塩溶液は,連続的,かつ,均一な噴霧となるように保持しなければ
ならない。噴霧を安定させるためには,塩溶液貯槽内の塩溶液の液面高さを制御するか,又は噴霧塔
若しくは噴霧ノズルに供給する塩溶液の流れを制御する。
表1−空気飽和器内における圧縮空気の圧力と水の温度との組合せの目安値
圧縮空気の圧力 水の温度 ℃
kPa 中性塩水噴霧試験及び キャス試験
酢酸酸性塩水噴霧試験
70 45 61
84 46 63
98 47 63
112 49 66
126 50 67
140 52 69
5.6 噴霧液採取容器
噴霧液採取容器は,次による。
a) 噴霧液を採取する噴霧液採取容器は,プラスチックなどの不活性な材料でなければならない。
b) 噴霧液採取容器は,水平採取面の直径約100 mm,面積約80 cm2の清浄な容器とし,噴霧の均一性が
確認できるような2か所以上の位置に置く。例えば,試験片の近くで,一つは噴霧塔又は噴霧ノズル
の近くに,他の一つは遠い所に置く。
c) 噴霧液採取容器は,噴霧室の天井及び試験片にたまった噴霧液の滴の落下ではなく,噴霧塔又は噴霧
ノズルからの噴霧液だけを採取できるように配置しなければならない。
5.7 装置の再使用
酢酸酸性塩水噴霧試験,キャス試験,又は中性塩水噴霧試験以外の溶液による噴霧試験に用いた装置は,
中性塩水噴霧試験に再使用してはならない。
ただし,やむを得ず再使用する場合は,装置を完全に洗浄した後,箇条6の規定を満足することを確認
しなければならない。

6 腐食性に関わる装置の再現性の検証方法

6.1 一般

  試験結果の再現性及び繰返し性を確認するため,6.26.4に従って装置を定期的に検証しなければなら
ない。
注記 適切な検証期間は,連続的な使用状況では,通常3か月である。
この検証には,鋼の照合試験片を使用しなければならない。必要ならば,鋼の照合試験片に加えて,高
純度の亜鉛の照合試験片を用いてもよい(附属書B参照)。

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6.2 中性塩水噴霧試験

6.2.1  照合試験片
腐食性に関わる装置の再現性の検証方法に用いる照合試験片は,次による。
a) 照合試験片は,JIS G 3141によるSPCEの冷間圧延鋼板で,150 mm×70 mm,厚さ1 mm±0.2 mmの,
表面にきずがなく,つや消し仕上げ(表面粗さRa=0.8 μm±0.3 μm)のものを4個,又は噴霧室の大
きさなどに応じて6個用いる。
b) 照合試験片は,試験結果に影響を与える懸念のある粉じん,油分又はその他の不純物を取り除くため,
清浄な柔らかいブラシ又は超音波洗浄装置を使用して,エタノールなどの有機溶剤で十分に洗浄する。
洗浄は,エタノールなどの有機溶剤を満たした容器の中に照合試験片を浸せきして行う。洗浄後,新
しいエタノールなどの有機溶剤ですすぎ,その後乾燥する。
c) 照合試験片の質量を1 mgの桁まで測定する。
d) 照合試験片の暴露しない面を,可はく性の被覆材,例えば,粘着テープで保護する。必要ならば,さ
らに,照合試験片の端面を,粘着テープで保護してもよい。
6.2.2 照合試験片の配置及び試験
腐食性に関わる装置の再現性の検証方法に用いる照合試験片の配置及び試験は,次による。
a) 4個の照合試験片は,噴霧室内の試験片保持器の四隅に1個ずつ置き(6個の照合試験片を用いる場合
は,四隅を含めた適切な6か所の位置に置く。),可はく性の被覆材で保護していない暴露する面を上
向きにして,鉛直線に対し20°±5°の角度に傾けて置く。
b) 照合試験片の試験片保持器の材料は,プラスチックなどの不活性な材料又はそれらで被覆された材料
としなければならない。照合試験片は,その下端が噴霧液採取容器の上端とほぼ同じ位置に置く。
c) 照合試験片が置かれていない試験片保持器の全ての箇所は,プラスチック又はガラスのような不活性
な擬似試験片で満たす。
d) 受渡当事者間の協定がある場合は,プラスチック又はガラスのような不活性な擬似試験片の代わりに,
試験片を噴霧室内の試験片保持器に配置して,照合試験片と同時に試験を行ってもよい。この場合に
は,その旨を試験報告書に記載する。
注記 照合試験片と試験片とが互いの試験結果に影響を及ぼさないように注意する。
e) 表2に示す試験条件によって,試験を48時間行う。
6.2.3 腐食減量の測定
腐食性に関わる装置の再現性の検証方法における腐食減量の測定は,次による。
a) 試験の終了後,直ちに照合試験片を噴霧室から取り出し,可はく性の被覆材を取り除く。その後,40 ℃
以下の流水で洗浄し,軽くブラシをかけるなどの機械的及び化学的洗浄によって腐食生成物を取り除
く。化学的洗浄では,照合試験片をJIS K 8284に規定するくえん酸水素二アンモニウム
[(NH4)2HC6H5O7]200 mgに蒸留水を加え1 Lにした溶液に,23 ℃±2 ℃で10分間浸せきする。
なお,化学的洗浄に使用する溶液は,JIS K 8180に規定する塩酸500 mLに4.1 b) の水500 mLを加
えて調製した溶液1 Lにつき,腐食抑制剤としてJIS K 8847に規定するヘキサメチレンテトラミン
(C6H12N4)3.5 gを加えた溶液を用いてもよい。
b) 腐食生成物を除去した後,照合試験片を40 ℃以下の流水で洗浄し,軽くブラシをかけ,次に,エタ
ノールなどの有機溶剤ですすぎ,その後乾燥する。
c) 照合試験片の質量を1 mgの桁まで測定し,質量減をグラム毎平方メートル(g/m2)の単位で表示する。
さらに,減量の変化がほとんどなくなるまで数回腐食生成物を除去し,腐食減量を決定する。

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注記 腐食生成物除去用の溶液は,新しく作ったものを使用することが望ましい。
6.2.4 装置の検証
各照合試験片の腐食減量が48時間運転で70 g/m2±20 g/m2であれば,装置は正常であるものとみなす。

6.3 酢酸酸性塩水噴霧試験

6.3.1  照合試験片
腐食性に関わる装置の再現性の検証方法に用いる照合試験片は,次による。
a) 照合試験片は,JIS G 3141によるSPCEの冷間圧延鋼板で,150 mm×70 mm,厚さ1 mm±0.2 mmの,
表面にきずがなく,つや消し仕上げ(表面粗さRa=0.8 μm±0.3 μm)のものを4個,又は噴霧室の大
きさなどに応じて6個用いる。
b) 照合試験片は,試験結果に影響を与える懸念のある粉じん,油分又はその他の不純物を取り除くため,
清浄な柔らかいブラシ又は超音波洗浄装置を使用して,エタノールなどの有機溶剤で十分に洗浄する。
洗浄は,エタノールなどの有機溶剤を満たした容器の中に照合試験片を浸せきして行う。洗浄後,新
しいエタノールなどの有機溶剤ですすぎ,その後乾燥する。
c) 照合試験片の質量を1 mgの桁まで測定する。
d) 照合試験片の暴露しない面を,可はく性の被覆材,例えば,粘着テープで保護する。必要ならば,さ
らに,照合試験片の端面を,粘着テープで保護してもよい。
6.3.2 照合試験片の配置及び試験
腐食性に関わる装置の再現性の検証方法に用いる照合試験片の配置及び試験は,次による。
a) 4個の照合試験片は,噴霧室内の試験片保持器の四隅に1個ずつ置き(6個の照合試験片を用いる場合
は,四隅を含めた適切な6か所の位置に置く。),可はく性の被覆材で保護していない暴露する面を上
向きにして,鉛直線に対し20°±5°の角度に傾けて置く。
b) 照合試験片の試験片保持器の材料は,プラスチックなどの不活性な材料又はそれらで被覆された材料
としなければならない。照合試験片は,その下端が噴霧液採取容器の上端とほぼ同じ位置に置く。
c) 照合試験片が置かれていない試験片保持器の全ての箇所は,プラスチック又はガラスのような不活性
な擬似試験片で満たす。
d) 受渡当事者間の協定がある場合は,プラスチック又はガラスのような不活性な擬似試験片の代わりに,
試験片を噴霧室内の試験片保持器に配置して,照合試験片と同時に試験を行ってもよい。この場合に
は,その旨を試験報告書に記載する。
注記 照合試験片と試験片とが互いの試験結果に影響を及ぼさないように注意する。
e) 表2に示す試験条件によって,試験を24時間行う。
6.3.3 腐食減量の測定
腐食性に関わる装置の再現性の検証方法における腐食減量の測定は,次による。
a) 試験の終了後,直ちに照合試験片を噴霧室から取り出し,可はく性の被覆材を取り除く。その後,40 ℃
以下の流水で洗浄し,軽くブラシをかけるなどの機械的及び化学的洗浄によって腐食生成物を取り除
く。化学的洗浄では,照合試験片をJIS K 8284に規定するくえん酸水素二アンモニウム
[(NH4)2HC6H5O7]200 mgに蒸留水を加え1 Lにした溶液に,23 ℃±2 ℃で10分間浸せきする。
なお,化学的洗浄に使用する溶液は,JIS K 8180に規定する塩酸500 mLに4.1 b) の水500 mLを加
えて調製した溶液1 Lにつき,腐食抑制剤としてJIS K 8847に規定するヘキサメチレンテトラミン
(C6H12N4)3.5 gを加えた溶液を用いてもよい。
b) 腐食生成物を除去した後,照合試験片を40 ℃以下の流水で洗浄し,軽くブラシをかけ,次に,エタ

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ノールなどの有機溶剤ですすぎ,その後乾燥する。
c) 照合試験片の質量を1 mgの桁まで測定し,質量減をグラム毎平方メートル(g/m2)の単位で表示する。
さらに,減量の変化がほとんどなくなるまで数回腐食生成物を除去し,腐食減量を決定する。
注記 腐食生成物除去用の溶液は,新しく作ったものを使用することが望ましい。
6.3.4 装置の検証
各照合試験片の腐食減量が24時間運転で40 g/m2±10 g/m2であれば,装置は正常であるものとみなす。

6.4 キャス試験

6.4.1  照合試験片
腐食性に関わる装置の再現性の検証方法に用いる照合試験片は,次による。
a) 照合試験片は,JIS G 3141によるSPCEの冷間圧延鋼板で,150 mm×70 mm,厚さ1 mm±0.2 mmの,
表面にきずがなく,つや消し仕上げ(表面粗さRa=0.8 μm±0.3 μm)のものを4個,又は噴霧室の大
きさなどに応じて6個用いる。
b) 照合試験片は,試験結果に影響を与える懸念のある粉じん,油分又はその他の不純物を取り除くため,
清浄な柔らかいブラシ又は超音波洗浄装置を使用して,エタノールなどの有機溶剤で十分に洗浄する。
洗浄は,エタノールなどの有機溶剤を満たした容器の中に照合試験片を浸せきして行う。洗浄後,新
しいエタノールなどの有機溶剤ですすぎ,その後乾燥する。
c) 照合試験片の質量を1 mgの桁まで測定する。
d) 照合試験片の暴露しない面を,可はく性の被覆材,例えば,粘着テープで保護する。必要ならば,さ
らに,照合試験片の端面を,粘着テープで保護してもよい。
6.4.2 照合試験片の配置及び試験
腐食性に関わる装置の再現性の検証方法に用いる照合試験片の配置及び試験は,次による。
a) 4個の照合試験片は,噴霧室内の試験片保持器の四隅に1個ずつ置き(6個の照合試験片を用いる場合
は,四隅を含めた適切な6か所の位置に置く。),可はく性の被覆材で保護していない暴露する面を上
向きにして,鉛直線に対し20°±5°の角度に傾けて置く。
b) 照合試験片の試験片保持器の材料は,プラスチックなどの不活性な材料又はそれらで被覆された材料
としなければならない。照合試験片は,その下端が噴霧液採取容器の上端とほぼ同じ位置に置く。
c) 照合試験片が置かれていない試験片保持器の全ての箇所は,プラスチック又はガラスのような不活性
な擬似試験片で満たす。
d) 受渡当事者間の協定がある場合は,プラスチック又はガラスのような不活性な擬似試験片の代わりに,
試験片を噴霧室内の試験片保持器に配置して,照合試験片と同時に試験を行ってもよい。この場合に
は,その旨を試験報告書に記載する。
注記 照合試験片と試験片とが互いの試験結果に影響を及ぼさないように注意する。
e) 表2に示す試験条件によって,試験を24時間行う。
6.4.3 腐食減量の測定
腐食性に関わる装置の再現性の検証方法における腐食減量の測定は,次による。
a) 試験の終了後,直ちに照合試験片を噴霧室から取り出し,可はく性の被覆材を取り除く。その後,40 ℃
以下の流水で洗浄し,軽くブラシをかけるなどの機械的及び化学的洗浄によって腐食生成物を取り除
く。化学的洗浄では,照合試験片をJIS K 8284に規定するくえん酸水素二アンモニウム
[(NH4)2HC6H5O7]200 mgに蒸留水を加え1 Lにした溶液に,23 ℃±2 ℃で10分間浸せきする。
なお,化学的洗浄に使用する溶液は,JIS K 8180に規定する塩酸500 mLに4.1 b) の水500 mLを加

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JIS Z 2371:2015の引用国際規格 ISO 一覧

  • ISO 9227:2012(MOD)

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