JIS Z 2371:2015 塩水噴霧試験方法 | ページ 4

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Z 2371 : 2015
附属書A
(参考)
噴霧液の排出及び排水の処理装置をもった装置の一例
A.1 一般
本体の要求している条件に合う装置の基本的な構造及びレイアウトの一例を,図A.1に示す。
A.2 噴霧室内の調整
塩水噴霧の塩濃度の変動をなくすため,供給空気の相対湿度は,95 %98 %でなければならない。この
ためには,中性塩水噴霧試験で供給空気の圧力が98 kPa±10 kPaの場合,空気飽和器の温度を47 ℃±2 ℃
に保持する。また,空気飽和器の水は,空気中の不純物の除去ができるように,一定期間ごとに取り替え
なければならない。
噴霧室は,外気温の変動に影響されないようにするため,保温を考慮した構造でなければならない。温
度調節及び温度・湿度表示のためのセンサは,噴霧室内の壁から少なくとも100 mm以上離したところに
置き,温度及び湿度が外部から読み取ることができなければならない。
A.3 排気
排気は,強制排気とせず,また,外気の風圧がかからないようにしなければならない。
噴霧液を大気に放出する前に,環境保全のため排気処理装置を使用して噴霧液を適切に処理するととも
に,噴霧液を処理した水を排水する前に,排水処理装置を使用して適切に処理することが望ましい。
A.4 長時間運転
長時間の運転をする場合,塩溶液補給タンクには,自動塩溶液補給装置を設けることが望ましい。塩溶
液補給タンク及び自動塩溶液補給装置中の塩溶液には,塩濃度及びpHの変動を防ぐために,周囲の空気
及び不純物を混入させてはならない。

――――― [JIS Z 2371 pdf 16] ―――――

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a) 正面図
b) 側面図
1 噴霧塔 8 塩溶液貯槽 15 排気ダクト
2 噴霧ノズル 9 空気飽和器 16 排気処理装置
3 蓋 10 圧縮空気供給器 17 空気出口
4 噴霧室 11 電磁弁 18 排水処理装置
5 試験片 12 圧力計 19 塩水トレイ
6 試験片保持器 13 塩溶液補給タンク 20 加熱素子
7 噴霧液採取容器 14 温度調節装置
図A.1−噴霧液の排出及び排水の処理装置をもった装置の一例

――――― [JIS Z 2371 pdf 17] ―――――

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附属書B
(参考)
腐食性に関わる装置の再現性の検証方法(亜鉛の照合試験片)
B.1 一般
装置の中性塩水噴霧試験,酢酸酸性塩水噴霧試験及びキャス試験の再現性及び繰返し性を検証するため
に,鋼の照合試験片に加えて,亜鉛の照合試験片を用いて行う方法について記載する。
B.2 照合試験片
不純物が質量分率0.1 %未満の100 mm×50 mm×約1 mmの亜鉛板を4個,又は噴霧室の大きさなどに
応じて6個用いる。
照合試験片は,試験結果に影響を与える懸念のある粉じん,油分又はその他の不純物を取り除き,照合
試験片をエタノールなどの有機溶剤で注意深く洗浄する。
乾燥後,照合試験片の質量を1 mgの桁まで測定する。
照合試験片の暴露しない面を,可はく性の被覆材,例えば,粘着テープで保護する。必要ならば,さら
に,照合試験片の端面を,粘着テープで保護してもよい。
B.3 照合試験片の配置及び試験
4個の照合試験片は,噴霧室内の試験片保持器の四隅に1個ずつ置き(6個の照合試験片を用いる場合は,
四隅を含めた適切な6か所の位置に置く。),可はく性の被覆材で保護していない暴露する面を上向きにし
て,鉛直線に対し20°±5°の角度に傾けて置く。
照合試験片の試験片保持器の材料は,プラスチックなどの不活性な材料又はそれらで被覆された材料と
しなければならない。照合試験片は,その下端が噴霧液採取容器の上端とほぼ同じ位置に置く。
照合試験片が置かれていない試験片保持器の全ての箇所は,プラスチック又はガラスのような不活性な
擬似試験片で満たす。
受渡当事者間の協定がある場合は,プラスチック又はガラスのような不活性な擬似試験片の代わりに,
試験片を噴霧室内の試験片保持器に配置して,照合試験片と同時に試験を行ってもよい。この場合には,
その旨を試験報告書に記載する。
注記 照合試験片と試験片とが互いの試験結果に影響を及ぼさないように注意する。
表2に示す試験条件によって,試験を表B.1に従って試験する。
B.4 腐食減量の測定
試験の終了後,直ちに照合試験片を噴霧室から取り出し,可はく性の被覆材を取り除く。その後,40 ℃
以下の流水で洗浄し,軽くブラシをかけるなどの機械的及び化学的洗浄によって腐食生成物を取り除く。
化学的洗浄では,照合試験片を脱イオン水又は蒸留水1 L当たり250 g±5 gのグリシン(C2H5NO2)の溶
液を用い,5分間の浸せきを繰り返すことが望ましい。
腐食生成物を除去した後,照合試験片を40 ℃以下の流水で洗浄し,軽くブラシをかけ,次に,エタノ
ール又はアセトンなどの有機溶剤ですすぎ,その後乾燥する。
照合試験片の質量を,1 mgの桁まで測定し,質量減をグラム毎平方メートル(g/m2)の単位で表示する。

――――― [JIS Z 2371 pdf 18] ―――――

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さらに,質量の変化がほとんどなくなるまで数回腐食生成物を除去し,腐食生成物の除去回数と質量との
グラフを作成する。
腐食生成物の除去回数と質量とのグラフから,腐食生成物除去後の試験片の質量を測定する。この試験
前の照合試験片の初期質量から腐食生成物除去後の質量を減じ,得た値を照合試験片の暴露した面積で除
して,照合試験片の質量減をグラム毎平方メートル(g/m2)で表示する。
注記1 腐食生成物除去用の溶液は,新しく作ったものを使用することが望ましい。
注記2 腐食生成物の効率的な溶解については,腐食生成物除去用の溶液をかくはんし続けることが
重要である。腐食生成物の溶解を増大させるために,超音波洗浄装置の使用が望ましい。
B.5 装置の検証
各照合試験片の腐食減量が,表B.1に示す各試験方法の試験時間に対応する値に入っていれば,装置は
正常であるものとする。
表B.1−亜鉛照合試験片の試験時間及び腐食減量
試験方法 試験時間 亜鉛照合試験片の (参考)鋼板照合試験片の
腐食減量 腐食減量
h g/m2 g/m2
中性塩水噴霧試験 48 50±25 70±20(6.2.4参照)
酢酸酸性塩水噴霧試験 24 30±15 40±10(6.3.4参照)
キャス試験 24 50±20 55±15(6.4.4参照)

――――― [JIS Z 2371 pdf 19] ―――――

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附属書C
(規定)
塗膜などの有機被膜をもつ試験片の作製
C.1 一般
この附属書は,塗膜などの有機被膜をもつ試験片を用いる場合における,試験片の作製方法について規
定する。
C.2 試験片の作製及び塗膜
塗膜などの有機被膜をもつ各試験片は,他に規定又は受渡当事者間の協定がない場合には,JIS K
5600-1-4に従って調製し,その後,試験をする製品又は塗装系で規定する方法によって塗装する。試験片
の裏面及び端面は,製品で使用した同じ塗料で塗装する。製品と異なるもので塗装する場合は,製品で使
用した塗料よりも腐食耐久性のよいものでなければならない。
C.3 乾燥及び状態調節
製品に規定された条件下で規定時間,各試験片の乾燥(又は加熱乾燥),養生などを行う。その後,他に
規定がない場合には,23 ℃±2 ℃の温度及び50 %±5 %の相対湿度で,空気が自由に循環し,かつ,直接
の光を避ける環境で,少なくとも16時間試験片を養生する。その後,試験操作は,できるだけ早く実施し
なければならない。
C.4 膜厚の測定
有機被膜の乾燥膜厚は,JIS K 5600-1-7に規定する非破壊的試験方法の一つによって,マイクロメート
ル(μm)の単位まで測定する。
C.5 切り込みきずの作製
切り込みきずを付ける場合は,次による。
注記 切り込みきずを付ける場合は,試験結果の再現性を確保するために,刃先の角度及び素地に押
し付ける力を一定にするなどの注意が必要である。
a) 有機被膜を貫いて素地に達する真っすぐな切り込みきずを付ける。
b) 切り込みきずを付けるときは,硬い先端をもった切り込み具を使用する。切り込み具は,均一の形状
の切り込みきずを生むことが望ましい。
c) 切り込みきずは,素地上で0.2 mm1.0 mm幅をもち,側面が平行か又は有機被膜表面に向かって扇
形に広がった断面をしたものでなければならない。
d) 切り込みきずの周辺に生じる破片は,取り除く。
e) 切り込みきずの付け方は,次のような方法(図C.1参照)とするが,受渡当事者間の協定によってこ
れ以外の方法でもよい。
1) 試験片の全面又は試験片の長い方の下1/21/3に,試験片の端面から少なくとも20 mm内側に対角
状に交差する切り込みきずを付ける。
2) 一つ又は二つの平行な切り込みきずを試験片の長辺に沿って付ける。

――――― [JIS Z 2371 pdf 20] ―――――

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JIS Z 2371:2015の引用国際規格 ISO 一覧

  • ISO 9227:2012(MOD)

JIS Z 2371:2015の国際規格 ICS 分類一覧

JIS Z 2371:2015の関連規格と引用規格一覧