JIS Z 3910:2017 はんだ分析方法 | ページ 3

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水酸化ナトリウム1 g及びよう化カリウム10 gを水200 mLに溶解した後,よう素酸カリウム3.567 gを
加えて溶解する。溶液を1 000 mLの全量フラスコに水を用いて移し入れ,水で標線までうすめる。この溶
液1 mLは,すず約0.006 gに相当するが,標定は,次の手順によって行う。
a) すず標準液(Sn : 4 g/L)の調製 すず標準液(Sn : 4 g/L)の調製は,次のいずれかによる。
1) すず[純度99.99 %(質量分率)以上]1.0 gを1 mgの桁まで正確にはかりとり,トールビーカー(300
mL)に移し入れる。硫酸20 mLを加え,時計皿で覆い,加熱分解した後,引き続き加熱して時計
皿及びビーカーの内壁に付着した硫黄を揮散させる。放冷した後,水及び塩酸(1+1)を用いて時
計皿の下面及びビーカーの内壁を洗い,時計皿を取り除き,塩酸(1+1)50 mLを加えて塩類を溶
解する。常温まで冷却した後,溶液を250 mLの全量フラスコに塩酸(1+1)を用いて移し入れ,
塩酸(1+1)で標線までうすめる。
2) すず[純度99.99 %(質量分率)以上]1.0 gを1 mgの桁まで正確にはかりとり,ビーカー(300 mL)
に移し入れ,塩酸50 mLを加え,すずを白金板と接触させながら水浴上で加熱して分解する。常温
まで冷却した後,時計皿の下面及びビーカーの内壁を塩酸(1+1)で洗い,時計皿を取り除く。溶
液を250 mLの全量フラスコに塩酸(1+1)を用いて移し入れ,塩酸(1+1)で標線までうすめる。
b) 標定 a) の1) 又は2) で調製したすず標準液を正確に25 mLとり,装置(8.3)の三角フラスコ(500
mL)に入れる。以下,8.5 a) の2)6) 又は8.5 b) の2)5) の手順に従って操作し,0.017 mol/Lよう
素酸カリウム溶液1 mLに対するすず量を,次の式によって算出する。
m1
f1
V1
ここに, f1 : 0.017 mol/Lよう素酸カリウム溶液1 mLに相当するすず量
(g/mL)
m1 : a) の1) 又は2) ではかりとったすず量(g)×0.1
V1 : 0.017 mol/Lよう素酸カリウム溶液の使用量(mL)
8.2.9 0.003 4 mol/Lよう素酸カリウム溶液
0.017 mol/Lよう素酸カリウム溶液(8.2.8)を使用の都度,必要量だけ水で正確に5倍にうすめる。この
溶液1 mLに相当するすず量を,次の式によって算出する。
f2 2.0 f1
ここに, f2 : 0.003 4 mol/Lよう素酸カリウム溶液1 mLに相当するすず
量(g/mL)
8.2.10 でんぷん溶液
でんぷん(溶性)1 gに少量の水を加えて泥状としたものを,80 ℃以上に加熱した100 mLの熱水中に
かき混ぜながら加え,約1分間煮沸した後放冷し,不溶解物があればろ過する。この溶液は,使用の都度
調製し,よう素によって赤褐色となるものを用いてはならない。

8.3 装置

  装置は,通常,次のいずれかによる。
8.3.1 還元装置A
還元装置Aは,図2による。

――――― [JIS Z 3910 pdf 11] ―――――

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単位 mm
a) キャップ b) 還元装置
図2−還元装置Aの例
8.3.2 還元装置B
還元装置Bは,図3による。
図3−還元装置Bの例

――――― [JIS Z 3910 pdf 12] ―――――

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8.4 試料はかりとり量

  試料はかりとり量は,通常,表4による。
表4−試料はかりとり量
単位 g
はんだの種類a) 試料はかりとり量
鉛含有はんだ 鉛フリーはんだ
Pb97.5Ag1.5Sn1,Pb95Sn5 − 2.0
Pb90Sn10,Pb80Sn20 − 1.0
Pb70Sn30,Pb65Sn35 − 0.50
Pb60Sn40,Pb55Sn45,Pb50Sn50,Pb50Sn50E Bi58Sn42 0.30
Sn57Pb40Bi3,Sn46Pb46Bi8,Sn43Pb43Bi14 In52Sn48
Sn60Pb40,Sn60Pb40E,Sn63Pb37,Sn63Pb37E− 0.20
Sn62Pb36Ag2
注a) IS Z 3282による。

8.5 操作

  定量操作は,次のいずれかの手順によって行う。
a) 還元装置Aを用いる場合
1) 試料をはかりとり,三角フラスコ(500 mL)に移し入れ,硫酸15 mLを加え,加熱して分解した後,
室温まで放冷する。
2) 水140 mL,塩酸50 mL,塩化アンチモン(III)溶液(8.2.6)10 mL,及び鉛(8.2.3)10 g又はニッ
ケル(8.2.4)を加える。三角フラスコ(500 mL)にキャップ(図2)を付けたゴム栓を施し,キャ
ップに水50 mLを入れ,約10分間穏やかに煮沸してすずを還元する。
3) 加熱を止め,キャップ中の水の約2/3が三角フラスコに逆流したとき,炭酸水素ナトリウム溶液(飽
和)50 mLを加え,再び40分間加熱して完全にすずを還元する。
4) 三角フラスコの熱源を取り除いて加熱を止め,5分間放冷した後,氷水中に浸して10 ℃以下になる
まで冷却する。この操作の間にキャップ中の炭酸水素ナトリウム溶液は,三角フラスコ中に流入し,
キャップ中の液量が減少して三角フラスコ中に空気を吸い込むおそれがあれば,炭酸水素ナトリウ
ム溶液(飽和)をキャップに追加する。
5) キャップとともにゴム栓を外し,直ちにゴム栓の下端及び三角フラスコの内壁を,煮沸して空気を
追い出してから,二酸化炭素(8.2.5)を通じながら10 ℃以下に冷却した水で洗浄し,更にニッケ
ルを還元剤として用いた場合には,ニッケルシリンダ又はニッケル線を取り出し,洗浄する。洗液
は,いずれも三角フラスコ中の溶液に合わせる。
6) でんぷん溶液(8.2.10)5 mLを指示薬として加え,0.017 mol/Lよう素酸カリウム溶液(8.2.8)で滴
定し,溶液の色が青紫に変わった点を終点とし,よう素酸カリウム溶液の使用量を求める。
なお,はんだの種類がPb97.5Ag1.5Sn1及びPb95Sn5の場合には,0.017 mol/Lよう素酸カリウム
溶液の代わりに0.003 4 mol/Lよう素酸カリウム溶液(8.2.9)を用いて滴定する。
b) 還元装置Bを用いる場合
1) ) 1) の操作を行う。
2) 水200 mL,塩酸50 mL,鉛(8.2.3)10 g及び塩化アンチモン(III)溶液(8.2.6)10 mLを加え,装

――――― [JIS Z 3910 pdf 13] ―――――

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置を組み立て,二酸化炭素(8.2.5)を通じながら約50分間加熱し,完全にすずを還元する。
3) 放冷した後,10 ℃以下に冷却する。
4) ガラス棒をゴム栓から抜き取り,煮沸して空気を追い出してから二酸化炭素(8.2.5)を通じながら
10 ℃以下に冷却した水を入れた洗瓶の口を,ガラス棒を抜き取った孔に差し込み,三角フラスコの
内壁,ゴム栓の下端を洗浄する。
5) でんぷん溶液(8.2.10)5 mLを指示薬として加えた後,0.017 mol/Lよう素酸カリウム溶液(8.2.8)
を入れたビュレットの先を図3のfの孔に差し込み,約10 ℃で滴定し,溶液の色が青紫に変わっ
た点を終点とし,よう素酸カリウム溶液の使用量を求める。
なお,はんだの種類がPb97.5Ag1.5Sn1及びPb95Sn5の場合には,0.017 mol/Lよう素酸カリウム
溶液の代わりに0.003 4 mol/Lよう素酸カリウム溶液(8.2.9)を用いて滴定する。

8.6 空試験

  空試験は,行わない。

8.7 計算

  試料中のすず含有率を,次の式によって算出する。
a) 0.017 mol/Lよう素酸カリウム溶液を用いた場合
V2 f1
Sn 100
m2
ここに, Sn : 試料中のすず含有率[%(質量分率)]
V2 : 8.5のa) 6) 又はb) 5) で得た0.017 mol/Lよう素酸カリウ
ム溶液の使用量(mL)
f1 : 0.017 mol/Lよう素酸カリウム溶液1 mLに相当するすず量
(g/mL)
m2 : 試料はかりとり量(g)
b) 0.003 4 mol/Lよう素酸カリウム溶液を用いた場合
V3 f2
Sn 100
m2
ここに, Sn : 試料中のすず含有率[%(質量分率)]
V3 : 8.5のa) 6) 又はb) 5) で得た0.003 4 mol/Lよう素酸カリウ
ム溶液の使用量(mL)
f2 : 0.003 4 mol/Lよう素酸カリウム溶液1 mLに相当するすず
量(g/mL)
m2 : 試料はかりとり量(g)

9 チオシアン酸カリウム滴定法

9.1 要旨

  試料を硝酸で分解し,硫酸アンモニウム鉄(III)を指示薬として銀(I)チオシアン酸カリウム溶液で滴
定する。

9.2 試薬

  試薬は,次による。
9.2.1 硝酸(1+1)
9.2.2 0.03 mol/Lチオシアン酸カリウム溶液
チオシアン酸カリウム2.9 gを水に溶解し,溶液を1 000 mLの全量フラスコに水を用いて移し入れ,水

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で標線までうすめる。この溶液1 mLは,銀約0.003 mgに相当するが,標定は,次の手順によって行う。
a) 銀標準液(Ag : 4 g/L)の調製 銀[純度99.99 %(質量分率)以上]約1.0 gを1 mgの桁まで正確に
はかりとり,ビーカーに移し入れる。硝酸(1+1)30 mLを加え,時計皿で覆い,加熱して完全に分
解する。常温まで冷却した後,水を用いて時計皿の下面及びビーカーの内壁を洗い,時計皿を取り除
く。溶液を250 mLの全量フラスコに水を用いて移し入れ,水で標線までうすめる。
b) 標定 a) で調製した銀標準液をビーカー(200 mL)に正確に25 mLとる。以下,9.4.1 b) 及び9.4.2
の手順に従って操作し,0.03 mol/Lチオシアン酸カリウム溶液1 mLに相当する銀量を,次の式によっ
て算出する。
m3
f3
V4
ここに, f3 : 0.03 mol/Lチオシアン酸カリウム溶液1 mLに相当する銀
量(g/mL)
m3 : a) ではかりとった銀量(g)×0.1
V4 : 0.03 mol/Lチオシアン酸カリウム溶液の使用量(mL)
9.2.3 硫酸アンモニウム鉄(III)溶液
硫酸アンモニウム鉄(III)・12水を水に溶解して飽和させ,溶液が黄色を呈するまで硝酸(1+1)を滴
下する。

9.3 試料はかりとり量

  試料はかりとり量は,1.0 gとする。ただし,種類Sn99Cu0.7Ag0.3は,5.0 gとする。

9.4 操作

9.4.1  試料溶液の調製
試料溶液の調製は,次の手順によって行う。
a) 試料をはかりとり,ビーカー(300 mL)に移し入れ,硝酸(1+1)30 mLを加え,時計皿で覆い,徐々
に温度を上げ,穏やかに加熱して分解し,引き続き加熱して酸化窒素を追い出す。時計皿の下面及び
ビーカーの内壁を水で洗い,時計皿を取り除く。
b) 常温まで冷却した後,水で液量を約100 mLとする。
9.4.2 滴定
9.4.1 b) で得た溶液に硫酸アンモニウム鉄(III)溶液(9.2.3)5 mLを指示薬として加え,十分にかき混
ぜながら,0.03 mol/Lチオシアン酸カリウム溶液(9.2.2)で滴定し,最後の1滴で溶液がかすかに赤褐色
を呈したときを終点とし,チオシアン酸カリウム溶液の使用量を求める。

9.5 空試験

  試料を用いないで,試料と同じ操作を試料と並行して行う。ただし,空試験は,分析試料が種類
Sn99Cu0.7Ag0.3の場合にだけ行う。

9.6 計算

  試料中の銀含有率を,次の式によって算出する。
(V5 V6 ) 4
Ag1 100
m4
ここに, Ag1 : 試料中の銀含有率[%(質量分率)]
V5 : 9.4.2で得た0.03 mol/Lチオシアン酸カリウム溶液の使用量
(mL)

――――― [JIS Z 3910 pdf 15] ―――――

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