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Z 3910 : 2017
V6 : 9.5で得た0.03 mol/Lチオシアン酸カリウム溶液の使用量
(mL)
f4 : 0.03 mol/Lチオシアン酸カリウム溶液1 mLに相当する銀
量(g)
m4 : 試料はかりとり量(g)
10 過マンガン酸カリウム滴定法
10.1 要旨
試料を硫酸と硫酸カリウムとで分解し,塩酸を加えた後,アンチモン(III)を過マンガン酸カリウム溶
液で滴定する。
10.2 試薬
試薬は,次による。
10.2.1 塩酸
10.2.2 硫酸
10.2.3 硫酸カリウム[純度99.0 %(質量分率)以上]
10.2.4 0.04 mol/L過マンガン酸カリウム溶液
過マンガン酸カリウム0.63 gを水1 000 mLに溶解し,三角フラスコ(2 000 mL)に入れ,穏やかに10
15分間煮沸した後,1夜間(8時間以上)暗所に放置する。上澄み液をガラスろ過器(ブフナー形17G4)
で乾いた容器にろ過する(ろ過の前後でガラスろ過器を水洗してはならない。)。ろ液は,褐色瓶に入れ暗
所に保存する。この溶液1 mLは,アンチモン約0.001 2 gに相当するが,標定は次の手順によって行う。
a) アンチモン標準液(Sb : 800 mg/L)の調製 アンチモン[純度99.9 %(質量分率)以上]0.200 gをは
かりとり,三角フラスコ(500 mL)に移し入れ,硫酸20 mLを加え,10.4.1 b) の操作を行って分解す
る。放冷した後,注意しながら水50 mLを少量ずつ加え,更に塩酸50 mLを加えて塩類を溶解する。
常温まで冷却した後,溶液を250 mLの全量フラスコに塩酸(1+1)を用いて移し入れ,塩酸(1+1)
で標線までうすめる。
b) 標定 a) で調製したアンチモン標準液を三角フラスコ(500 mL)に正確に25 mLとり,水100 mL及
び硫酸20 mLを加え,約5分間穏やかに煮沸した後,水で液量を250 mLとする。以下,10.4.1 d) 及
び10.4.2の手順に従って操作し,0.04 mol/L過マンガン酸カリウム溶液1 mLに相当するアンチモン量
を,次の式によって算出する。
.002
f5
(V7 V8 )
ここに, f5 : 0.04 mol/L過マンガン酸カリウム溶液1 mLに相当するア
ンチモン量(g/mL)
0.02 : アンチモン標準液25 mL中のアンチモン量(g)
V7 : b) で得た0.04 mol/L過マンガン酸カリウム溶液の使用量
(mL)
V8 : c) で得た0.04 mol/L過マンガン酸カリウム溶液の使用量
(mL)
c) 空試験 アンチモン標準液を用いずに,b) と同じ操作をb) の操作と並行して行う。この溶液を空試
験液とする。
10.3 試料はかりとり量
試料はかりとり量は,2.0 gとする。ただし,種類Sn95Sb5は0.30 gとする。
――――― [JIS Z 3910 pdf 16] ―――――
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Z 3910 : 2017
10.4 操作
10.4.1 試料溶液の調製
試料溶液の調製は,次の手順によって行う。
a) 試料をはかりとり,三角フラスコ(500 mL)に移し入れ,硫酸30 mLを加える。
b) 硫酸カリウム4 gを加え,始めは徐々に加熱し,次第に温度を高めて十分に分解した後,引き続き10
30分間加熱して二酸化硫黄を除去する。このとき,加熱温度が高すぎると硫酸アンチモンの分解に
よってアンチモンは低値となるおそれがあるので,分解温度よりも低い温度で行う。
c) 放冷した後,注意しながら水50 mLを少量ずつ加える。三角フラスコの内壁を水で洗い,塩酸25 mL
を加える。溶液を5分間穏やかに煮沸し,水で液量を約400 mLとする。このとき,硫酸塩の沈殿が
多量に存在する場合は,アンチモンの定量値が,高値となりやすいので,更に1分間煮沸し,直ちに
振り混ぜて沈殿をできるだけ溶解させる。
なお,すず基はんだでは,塩酸25 mLの代わりに塩酸15 mLを加え,水で液量を400 mLとする代
わりに,250 mLとしてもよい。
d) 溶液を,約10 ℃に冷却する。
10.4.2 滴定
10.4.1 d) で得た溶液の温度を約10 ℃に保ちながら,0.04 mol/L過マンガン酸カリウム溶液(10.2.4)で
滴定し,最後の1滴で溶液の色が微黄色を呈した点を終点とし,過マンガン酸カリウム溶液の使用量を求
める。
10.5 空試験
試料を用いないで,試料と同じ操作を試料と並行して行う。この溶液を空試験液とする。
10.6 計算
試料中のアンチモン含有率を,次の式によって算出する。
(V9 V10 ) f6
Sb 100
m5
ここに, Sb : 試料中のアンチモン含有率[%(質量分率)]
V9 : 10.4.2で得た0.04 mol/L過マンガン酸カリウム溶液の使用
量(mL)
V10 : 10.5で得た0.04 mol/L過マンガン酸カリウム溶液の使用量
(mL)
f6 : 0.04 mol/L過マンガン酸カリウム溶液1 mLに相当するア
ンチモン量(g)
m5 : 試料はかりとり量(g)
11 原子吸光分析法
11.1 要旨
試料を塩酸と硝酸とで加熱分解した後,溶液を原子吸光分析装置のアセチレン・空気フレーム中に噴霧
し,その吸光度を測定する。
11.2 装置
原子吸光分析装置は,JIS K 0121の5.1(装置の構成)に規定するものを用いる。
11.3 鉛,アンチモン,銅,ビスマス,インジウム,亜鉛,鉄,カドミウム及びゲルマニウムの定量
11.3.1 試薬
――――― [JIS Z 3910 pdf 17] ―――――
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試薬は,次による。
11.3.1.1 混酸A(塩酸85,硝酸10,水5)
11.3.1.2 混酸B(硝酸3,塩酸1,水8)
11.3.1.3 すず[純度99.99 %(質量分率)以上]
11.3.1.4 鉛[純度99.99 %(質量分率)以上]
11.3.1.5 銀[純度99.99 %(質量分率)以上]
11.3.1.6 アンチモン[純度99.9 %(質量分率)以上]
11.3.1.7 銅[純度99.9 %(質量分率)以上]
11.3.1.8 ビスマス[純度99.9 %(質量分率)以上]
11.3.1.9 インジウム[純度99.9 %(質量分率)以上]
11.3.1.10 亜鉛[純度99.9 %(質量分率)以上]
11.3.1.11 鉛標準液(Pb : 100 mg/L)
鉛[純度99.99 %(質量分率)以上]0.100 gをはかりとり,ビーカー(200 mL)に移し入れる。時計皿
で覆い,硝酸(1+1)50 mLを加え,加熱して分解する。常温まで冷却した後,時計皿の下面及びビーカ
ーの内壁を水で洗い,時計皿を取り除き,溶液を100 mLの全量フラスコに水を用いて移し入れ,水で標
線までうすめて原液(Pb : 1 g/L)とする。この原液を使用の都度,必要量だけ硝酸(1+10)で正確に10
倍にうすめて鉛標準液とする。
11.3.1.12 アンチモン標準液(Sb : 400 mg/L)
アンチモン[純度99.9 %(質量分率)以上]1.000 gをはかりとり,ビーカー(200 mL)に移し入れる。
時計皿で覆い,混酸(塩酸3,硝酸1)30 mLを加え,加熱して分解する。常温まで冷却した後,時計皿の
下面及びビーカーの内壁を塩酸(1+1)で洗い,時計皿を取り除き,溶液を100 mLの全量フラスコに塩
酸(1+1)を用いて移し入れ,塩酸(1+1)で標線までうすめて原液(Sb : 10 g/L)とする。この原液を
使用の都度,必要量だけ塩酸(1+1)で正確に25倍にうすめてアンチモン標準液とする。
11.3.1.13 銅標準液(Cu : 50 mg/L)
銅[純度99.9 %(質量分率)以上]0.100 gをはかりとり,ビーカー(200 mL)に移し入れる。時計皿で
覆い,硝酸(1+1)30 mLを加え,加熱して分解する。常温まで冷却した後,時計皿の下面及びビーカー
の内壁を水で洗い,時計皿を取り除き,溶液を100 mLの全量フラスコに水を用いて移し入れ,水で標線
までうすめて原液(Cu : 1 g/L)とする。この原液を使用の都度,必要量だけ水で正確に20倍にうすめて
銅標準液とする。
11.3.1.14 ビスマス標準液(Bi : 200 mg/L)
ビスマス[純度99.9 %(質量分率)以上]0.200 gをはかりとり,ビーカー(200 mL)に移し入れる。時
計皿で覆い,硝酸(1+1)50 mLを加え,加熱して分解する。常温まで冷却した後,時計皿の下面及びビ
ーカーの内壁を水で洗い,時計皿を取り除き,溶液を100 mLの全量フラスコに塩酸(1+10)を用いて移
し入れ,塩酸(1+10)で標線までうすめて原液(Bi : 2 g/L)とする。この原液を使用の都度,必要量だ
け塩酸(1+10)で正確に10倍にうすめてビスマス標準液とする。
11.3.1.15 インジウム標準液(In : 100 mg/L)
インジウム[純度99.9 %(質量分率)以上]0.100 gをはかりとり,ビーカー(200 mL)に移し入れる。
時計皿で覆い,塩酸(1+1)30 mLを加え,加熱して分解する。常温まで冷却した後,時計皿の下面及び
ビーカーの内壁を水で洗い,時計皿を取り除き,溶液を1 000 mLの全量フラスコに塩酸(1+20)を用い
て移し入れ,塩酸(1+20)で標線までうすめてインジウム標準液とする。
――――― [JIS Z 3910 pdf 18] ―――――
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11.3.1.16 亜鉛標準液(Zn : 2 mg/L)
亜鉛[純度99.99 %(質量分率)以上]0.100 gをはかりとり,ビーカー(200 mL)に移し入れる。時計
皿で覆い,硝酸(1+1)20 mLを加え,加熱して分解する。常温まで冷却した後,時計皿の下面及びビー
カーの内壁を水で洗い,時計皿を取り除き,溶液を100 mLの全量フラスコに水を用いて移し入れ,水で
標線までうすめて原液(Zn : 1 g/L)とする。この原液を使用の都度,必要量だけ水で正確に500倍にうす
めて亜鉛標準液とする。
11.3.1.17 鉄標準液(Fe : 20 mg/L)
鉄[純度99.5 %(質量分率)以上]0.100 gをはかりとり,ビーカー(200 mL)に移し入れる。時計皿で
覆い,硝酸(1+1)20 mLを加え,加熱して分解する。常温まで冷却した後,時計皿の下面及びビーカー
の内壁を水で洗い,時計皿を取り除き,溶液を100 mLの全量フラスコに水を用いて移し入れ,水で標線
までうすめて原液(Fe : 1 g/L)とする。この原液を使用の都度,必要量だけ水で正確に50倍にうすめて
鉄標準液とする。
11.3.1.18 カドミウム標準液(Cd : 50 mg/L)
カドミウム[純度99.9 %(質量分率)以上]0.100 gをはかりとり,ビーカー(200 mL)に移し入れる。
時計皿で覆い,硝酸(1+1)10 mLを加え,加熱して分解する。常温まで冷却した後,時計皿の下面及び
ビーカーの内壁を水で洗い,時計皿を取り除き,溶液を100 mLの全量フラスコに水を用いて移し入れ,
水で標線までうすめて原液(Cd : 1 g/L)とする。この原液を使用の都度,必要量だけ水で正確に20倍に
うすめてカドミウム標準液とする。
11.3.1.19 ゲルマニウム標準液(Ge : 100 mg/L)
酸化ゲルマニウム(IV)[純度99.99 %(質量分率)以上]0.144 gをはかりとり,ビーカー(200 mL)
に移し入れる。時計皿で覆い,1 mol/L水酸化ナトリウム溶液を20 mL加えて加熱して分解する。常温ま
で冷却した後,時計皿の下面及びビーカーの内壁を水で洗い,時計皿を取り除き,溶液を100 mLの全量
フラスコに移し入れ,水で標線までうすめて原液(Ge : 1 g/L)とする。この原液を使用の都度,必要量だ
け水で正確に10倍にうすめてゲルマニウム標準液とする。
11.3.2 試料はかりとり量
試料はかりとり量は,1.0 gとする。
なお,定量感度及び精度を上げるために,試料はかりとり量を増やしてもよい。
11.3.3 操作
11.3.3.1 試料溶液の調製
試料溶液の調製は,次の手順によって行う。
a) 試料をはかりとり,ビーカー(200 mL)に移し入れる。
b) 混酸A 50 mLを加え,時計皿で覆い,加熱して分解した後,1020 mLになるまで濃縮する。常温ま
で冷却した後,時計皿の下面及びビーカーの内壁を水で洗い,時計皿を取り除く。
なお,鉛の含有率が低い試料には,分解酸として混酸Bを用いてもよい。
ゲルマニウムを含有する試料の場合,分解酸として混酸B 50 mLを加え,時計皿で覆い,80 ℃以
下で加熱して分解した後,濃縮しないで常温まで冷却し,時計皿の下面及びビーカーの内壁を塩酸(1
+2)で洗い,時計皿を取り除く。
注記 分解過程で沸点84 ℃の四塩化ゲルマニウムを生成すると煮沸によって蒸発するおそれがあ
る。
c) 溶液を100 mLの全量フラスコに水を用いて移し入れ,水で標線までうすめる。合金成分としてビス
――――― [JIS Z 3910 pdf 19] ―――――
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マスを含有する試料の場合,酸濃度が低くなると加水分解を起こして白色沈殿が発生する場合がある
ため注意する。
d) 約1時間静置した後,溶液を乾いたろ紙(5種C)を用いてろ過する。
11.3.3.2 吸光度の測定
11.3.3.1 d) で得たろ液の一部を,水を用いてゼロ点を調整した原子吸光分析装置のアセチレン・空気フ
レーム中に噴霧し,表5に示す各定量成分の測定波長における吸光度を測定する。
なお,精度及び正確さを満足することを確認してあれば,水素・空気,その他のフレームを用いてもよ
い。また,共存元素の影響がある場合は,表5に示す以外の波長を用いて測定してもよい。
表5−測定波長の例
単位 nm
定量成分 波長
鉛 283.3
アンチモン 217.6又は231.1
銅 324.8
ビスマス 223.1
インジウム 230.6
亜鉛 213.9
鉄 248.3
カドミウム 228.8
ゲルマニウム 265.1
11.3.4 空試験
試料を用いないで,試料と同じ操作を試料と並行して行う。この溶液を空試験液とする。
11.3.5 検量線の作成
検量線の作成は,次による。
a) 試料用検量線の作成
1) すず,鉛,銀,アンチモン,銅,ビスマス,インジウム及び/又は亜鉛を,11.3.2ではかりとった
試料中に含まれる合金成分の量とほぼ同じになるように,数個はかりとり,それぞれビーカー(200
mL)に移し入れる。
2) 11.3.3.1 b) の操作を行った後,定量成分の標準液(11.3.1.1111.3.1.19)020 mLを段階的に加え
る。以下,11.3.3.1 c)11.3.3.2の手順に従って試料溶液と並行して操作し,得た吸光度と定量成分
量との関係線を作成し,この関係線を原点を通るように平行移動して検量線とする。
b) 空試験用検量線の作成 数個のビーカー(200 mL)を用意し,定量成分の標準液(11.3.1.1111.3.1.19)
020 mLを段階的にはかりとる。以下,11.3.3.1 c)11.3.3.2の手順に従って[ただし,11.3.3.1 d) の
操作は,行わなくてもよい。]試料溶液と並行して操作し,得た吸光度と定量成分量との関係線を作成
し,この関係線を原点を通るように平行移動して検量線とする。
11.3.6 計算
11.3.3.2及び11.3.4で得た吸光度と11.3.5 a) 及び11.3.5 b) で作成した検量線とから,それぞれ定量成分
量を求め,試料中の定量成分含有率を,次の式によって算出する。
(A1 A2 )
Xi1 100
m6
――――― [JIS Z 3910 pdf 20] ―――――
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JIS Z 3910:2017の国際規格 ICS 分類一覧
- 25 : 生産工学 > 25.160 : 溶接,ろう付け及びはんだ付け > 25.160.50 : ろう付け及びはんだ付け
JIS Z 3910:2017の関連規格と引用規格一覧
- 規格番号
- 規格名称
- JISH0301:1997
- 非鉄金属地金のサンプリング,試料調製及び分析検査通則
- JISH0321:1973
- 非鉄金属材料の検査通則
- JISH2105:1955
- 鉛地金
- JISK0050:2019
- 化学分析方法通則
- JISK0116:2014
- 発光分光分析通則
- JISK0119:2008
- 蛍光X線分析通則
- JISK0121:2006
- 原子吸光分析通則
- JISK0211:2013
- 分析化学用語(基礎部門)
- JISK1105:2017
- アルゴン
- JISZ2611:1977
- 金属材料の光電測光法による発光分光分析方法通則
- JISZ3001-1:2018
- 溶接用語―第1部:一般
- JISZ3001-3:2008
- 溶接用語―第3部:ろう接
- JISZ3282:2017
- はんだ―化学成分及び形状
- JISZ8401:2019
- 数値の丸め方