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12.3 試料の調製
分析試料及び検量用試料は,合金成分が均質になるように溶湯を調製して鋳込み,その直径は50 mm以
下,厚さは510 mmとする。試料が粉末状又は粒状の場合は,平均組成が得られる位置から,薬さじな
どを用いて採取し,融解した後,鋳型試料を調製する。鋳型は,できるだけ急冷できる熱伝導性のよい材
質を使用することが望ましい。試料のX線照射面は,旋盤又は研磨機で平滑で平たんな面に仕上げる。
試料研磨は,分析時ごとに行う1)。
注1) ゲルマニウムは,試料放置によって表面に拡散し濃化する。
12.4 検量用試料
検量用試料は,合金組成が分析試料とほぼ同じもので,定量成分含有率が試料中の定量成分含有率より
高いもの及び低いもの複数個を使用する。このとき,定量成分含有率が試料中の定量成分含有率より高い
検量用試料を1個選び,これを検量線校正試料2) とする。2点で検量線を校正する場合は,検量線の上限
及び下限付近のものをそれぞれ選び,これを検量線校正試料2) とする。
合金成分の検量用試料中の定量成分及び合金成分の含有率は,箇条8箇条11及び/又は箇条13の方
法によって定量し,決定する。
注2) 検量線校正試料は,検量線の確認及び校正に日常用いる試料である。
12.5 検量線の作成
検量線の作成は,次の手順によって行う。
a) 検量用試料及び12.4で選定した検量線校正試料を,試料ホルダを用いて装置の試料室に正しく装着し,
試料のX線照射面積を試料マスクを用いて一定にする。
b) 検量用試料及び検量線校正試料に,あらかじめ設定した条件3) に従ってX線を照射し,定量成分の測
定波長における蛍光X線の強度を測定する。
なお,定量成分の測定波長の例を,表6に示す。共存元素の影響がある場合は,表6に示す波長以
外の波長を用いて測定してもよい。
注3) 必要があれば,装置のX線通路を真空にするか,又はヘリウムで置換するとよい。
表6−測定波長の例
単位 nm
定量成分 スペクトル線
波長
すず 0.043 5(Sn K β 1)
鉛 0.117 5(Pb L α 1)
0.098 2(Pb L β 1)
銀 0.056 1(Ag K α)
アンチモン 0.047 2(Sb K α)
銅 0.154 1(Cu K α)
ビスマス 0.114 4(Bi L α 1)
インジウム 0.051 3(In K α)
亜鉛 0.143 5(Zn K α)
0.129 5(Zn K β 1)
ニッケル 0.165 9(Ni K α)
ゲルマニウム 0.134 1(Ge K α)
――――― [JIS Z 3910 pdf 26] ―――――
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c) ) で得た検量用試料中の定量成分の蛍光X線強度と定量成分含有率との関係を求め,検量線を作成
する。
なお,定量成分に対する共存元素の影響がある場合には,定量成分に対する共存元素の補正係数を
求めるとともに,基準検量線を作成する。
12.6 定量操作
定量操作は,次の手順によって行う。
a) 分析試料及び12.4で選定した検量線校正試料を,試料ホルダを用いて装置の試料室に正しく装着し,
試料のX線照射面積を試料マスクを用いて一定にする。
b) 検量線校正試料中の定量成分の蛍光X線強度を,12.5 b) と同じ条件で測定し,得た蛍光X線強度と
12.5 b) で測定した検量線校正試料中の定量成分の蛍光X線強度との比を求めて,12.5 c) で作成した
検量線の傾きを補正する。
c) 分析試料中の定量成分の蛍光X線強度を,12.5 b) と同じ条件で測定する。
d) ) で得た定量成分の蛍光X線強度とb) で傾きを補正した検量線とから,分析試料中の定量成分含有
率を求める。
なお,定量成分に対する共存元素の影響がある場合には,分析試料中の定量成分の蛍光X線強度と
12.5 c) で作成した基準検量線とから,定量成分の未補正含有率を求め,12.5 c) で求めた補正係数を
用いて未補正含有率を補正して,分析試料中の定量成分含有率を求める。
13 ICP発光分光分析法
13.1 要旨
試料を王水で分解した後,溶液をICP発光分光分析装置のアルゴンプラズマ中に噴霧し,その発光強度
を測定する。
13.2 装置
ICP発光分光分析装置は,JIS K 0116の4.1(装置の構成)に規定するものを用いる。
13.3 試薬
試薬は,次による。
13.3.1 王水(塩酸3,硝酸1)
13.3.2 混酸B(硝酸3,塩酸1,水8)
13.3.3 すず[純度99.99 %(質量分率)以上]
13.3.4 鉛[純度99.99 %(質量分率)以上]
13.3.5 銀[純度99.99 %(質量分率)以上]
13.3.6 アンチモン[純度99.9 %(質量分率)以上]
13.3.7 銅[純度99.9 %(質量分率)以上]
13.3.8 ビスマス[純度99.9 %(質量分率)以上]
13.3.9 インジウム[純度99.9 %(質量分率)以上]
13.3.10 亜鉛[純度99.9 %(質量分率)以上]
13.3.11 アルゴン
JIS K 1105に規定する1級に相当するものを用いる。
13.3.12 鉛標準液A(Pb : 10 g/L)
鉛[純度99.99 %(質量分率)以上]1.000 gをはかりとり,ビーカー(200 mL)に移し入れる。硝酸(1
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+1)50 mLを加え,時計皿で覆い,加熱して分解する。常温まで冷却した後,時計皿の下面及びビーカー
の内壁を水で洗い,時計皿を取り除く。溶液を100 mLの全量フラスコに水を用いて移し入れ,水で標線
までうすめて鉛標準液Aとする。
13.3.13 鉛標準液B(Pb : 100 mg/L)
鉛標準液Aを使用の都度,必要量だけ硝酸(1+1)で正確に100倍にうすめて鉛標準液Bとする。
13.3.14 銀標準液(Ag : 100 mg/L)
銀[純度99.99 %(質量分率)以上]0.500 gをはかりとり,ビーカー(200 mL)に移し入れる。硝酸(1
+1)20 mLを加え,時計皿で覆い,加熱して分解する。常温まで冷却した後,時計皿の下面及びビーカー
の内壁を水で洗い,時計皿を取り除く。溶液を100 mLの全量フラスコに水を用いて移し入れ,水で標線
までうすめて原液(Ag : 5 g/L)とする。この原液を使用の都度,必要量だけ硝酸(1+1)で正確に50倍
にうすめて銀標準液とする。
13.3.15 アンチモン標準液A(Sb : 5 g/L)
アンチモン[純度99.9 %(質量分率)以上]0.500 gをはかりとり,ビーカー(200 mL)に移し入れる。
王水30 mLを加え,時計皿で覆い,加熱して分解する。常温まで冷却した後,時計皿の下面及びビーカー
の内壁を水で洗い,時計皿を取り除く。溶液を100 mLの全量フラスコに塩酸(1+1)を用いて移し入れ,
塩酸(1+1)で標線までうすめてアンチモン標準液Aとする。
13.3.16 アンチモン標準液B(Sb : 250 mg/L)
アンチモン標準液Aを使用の都度,必要量だけ水で正確に20倍にうすめてアンチモン標準液Bとする。
13.3.17 銅標準液(Cu : 200 mg/L)
銅[純度99.9 %(質量分率)以上]0.100 gをはかりとり,ビーカー(200 mL)に移し入れる。硝酸(1
+1)20 mLを加え,時計皿で覆い,加熱して分解する。常温まで冷却した後,時計皿の下面及びビーカー
の内壁を水で洗い,時計皿を取り除く。溶液を500 mLの全量フラスコに水を用いて移し入れ,水で標線
までうすめて銅標準液とする。
13.3.18 ビスマス標準液A(Bi : 2 g/L)
ビスマス[純度99.9 %(質量分率)以上]2.000 gをはかりとり,ビーカー(200 mL)に移し入れる。硝
酸(1+1)30 mLを加え,時計皿で覆い,加熱して分解する。常温まで冷却した後,時計皿の下面及びビ
ーカーの内壁を塩酸(1+10)で洗い,時計皿を取り除く。溶液を1 000 mLの全量フラスコに塩酸(1+10)
を用いて移し入れ,塩酸(1+10)で標線までうすめてビスマス標準液Aとする。
13.3.19 ビスマス標準液B(Bi : 100 mg/L)
ビスマス標準液Aを使用の都度,必要量だけ塩酸(1+10)で正確に20倍にうすめてビスマス標準液B
とする。
13.3.20 インジウム標準液A(In : 10 g/L)
インジウム[純度99.9 %(質量分率)以上]1.000 gをはかりとり,ビーカー(200 mL)に移し入れる。
硝酸(1+1)20 mLを加え,時計皿で覆い,加熱して分解する。常温まで冷却した後,時計皿の下面及び
ビーカーの内壁を水で洗い,時計皿を取り除く。溶液を100 mLの全量フラスコに水を用いて移し入れ,
水で標線までうすめてインジウム標準液Aとする。
13.3.21 インジウム標準液B(In : 100 mg/L)
インジウム標準液Aを使用の都度,必要量だけ水で正確に100倍にうすめてインジウム標準液Bとする。
13.3.22 亜鉛標準液A(Zn : 10 g/L)
亜鉛[純度99.9 %(質量分率)以上]1.000 gをはかりとり,ビーカー(200 mL)に移し入れる。硝酸(1
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+1)50 mLを加え,時計皿で覆い,加熱して分解する。常温まで冷却した後,時計皿の下面及びビーカー
の内壁を水で洗い,時計皿を取り除く。溶液を100 mLの全量フラスコに水を用いて移し入れ,水で標線
までうすめて亜鉛標準液Aとする。
13.3.23 亜鉛標準液B(Zn : 2 mg/L)
亜鉛標準液Aを使用の都度,必要量だけ水で正確に5 000倍にうすめて亜鉛標準液Bとする。
なお,11.3.1.16の操作によって調製してもよい。
13.3.24 鉄標準液(Fe : 20 mg/L)
鉄標準液は,11.3.1.17による。
13.3.25 アルミニウム標準液(Al : 1 mg/L)
アルミニウム[純度99.9 %(質量分率)以上]0.100 gをはかりとり,ビーカー(200 mL)に移し入れる。
硝酸(1+1)20 mLを加え,時計皿で覆い,加熱して分解する。常温まで冷却した後,時計皿の下面及び
ビーカーの内壁を水で洗い,時計皿を取り除く。溶液を100 mLの全量フラスコに水を用いて移し入れ,
水で標線までうすめて原液(Al : 1 g/L)とする。この原液を使用の都度,必要量だけ水で正確に1 000倍
にうすめてアルミニウム標準液とする。
13.3.26 ひ素標準液(As : 20 mg/L)
酸化ひ素(III)[純度99.9 %(質量分率)以上]0.132 gをはかりとり,ビーカー(200 mL)に移し入れ
る。水酸化ナトリウム溶液(40 g/L)2 mLを加えて溶解し,水で約20 mLにうすめ,フェノールフタレイ
ン溶液1,2滴を指示薬として加え,硫酸(1+10)で微酸性とした後,溶液を100 mLの全量フラスコに
水を用いて移し入れ,水で標線までうすめて原液(As : 1 g/L)とする。この原液を使用の都度,必要量だ
け水で正確に50倍にうすめてひ素標準液とする。
13.3.27 カドミウム標準液(Cd : 2 mg/L)
カドミウム[純度99.9 %(質量分率)以上]0.100 gをはかりとり,ビーカー(200 mL)に移し入れる。
硝酸(1+1)10 mLを加え,時計皿で覆い,加熱して分解する。常温まで冷却した後,時計皿の下面及び
ビーカーの内壁を水で洗い,時計皿を取り除く。溶液を100 mLの全量フラスコに水を用いて移し入れ,
水で標線までうすめて原液(Cd : 1 g/L)とする。この原液を使用の都度,必要量だけ水で正確に500倍に
うすめてカドミウム標準液とする。
13.3.28 金標準液(Au : 50 mg/L)
金標準液は,11.6.1.10による。
13.3.29 ニッケル標準液(Ni : 10 mg/L)
ニッケル標準液は,11.6.1.11による。
13.3.30 ゲルマニウム標準液(Ge : 100 mg/L)
ゲルマニウム標準液は,11.3.1.19による。
13.4 試料はかりとり量
試料はかりとり量は,1.0 gとする。ただし,種類Sn43Pb43Bi14及び種類Sn46Pb46Bi8を測定する場合
は,0.1 gとする。
13.5 操作
13.5.1 試料溶液の調製
試料溶液の調製は,次の手順によって行う。
a) 試料をはかりとり,ビーカー(200 mL)に移し入れる。
b) 王水50 mLを加え,時計皿で覆い,加熱して分解した後,液量が約30 mLになるまで加熱して濃縮す
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る。常温まで冷却した後,時計皿の下面及びビーカーの内壁を塩酸(1+2)で洗い,時計皿を取り除
く。ゲルマニウムを含有する試料の場合,分解酸として混酸B 50 mLを加え,時計皿で覆い,80 ℃
以下で加熱して分解した後,濃縮せず常温まで冷却し,時計皿の下面及びビーカーの内壁を塩酸(1
+2)で洗い,時計皿を取り除く。
注記 分解過程で沸点84 ℃の四塩化ゲルマニウムを生成すると煮沸によって蒸発するおそれがあ
る。
c) 溶液を100 mLの全量フラスコに塩酸(1+2)を用いて移し入れ,塩酸(1+2)で標線までうすめる。
d) 約1時間静置した後,乾いたろ紙(5種C)を用いてろ過する。
13.5.2 発光強度の測定
13.5.1 d) で得たろ液の一部を,ICP発光分光分析装置のアルゴンプラズマ中に噴霧し,表7に示す各定
量成分の測定波長における発光強度を測定する。
なお,共存元素の影響がある場合には,表7に示す波長以外の波長を用いて測定してもよい。
表7−測定波長の例
単位 nm
定量成分 波長
鉛 Pb II 220.353,Pb I 283.306又はPb I 405.782
銀 Ag I 328.068
アンチモン Sb I 206.838又はSb I 217.581
銅 Cu I 324.754又はCu I 327.396
ビスマス Bi I 223.061
インジウム In I 230.606
亜鉛 Zn II 206.200又はZn I 213.856
鉄 Fe II 238.204又はFe II 259.940
アルミニウム Al I 396.153
ひ素 As I 189.040又はAs I 228.812
カドミウム Cd II 214.438又はCd II 226.502
金 Au I 242.795
ニッケル Ni II 221.647又はNi II 231.604
ゲルマニウム Ge II 164.919又はGe I 265.118
注記 I : 原子線,II : イオン線
13.6 空試験
試料を用いないで,試料と同じ操作を試料と並行して行う。この溶液を空試験液とする。
13.7 検量線の作成
検量線の作成は,次による。
a) 試料用検量線の作成
1) すず,鉛,銀,アンチモン,銅,ビスマス,インジウム及び/又は亜鉛を,13.5.1 a) ではかりとっ
た試料中に含まれる合金成分の量とほぼ同じになるように,数個はかりとり,それぞれビーカー(200
mL)に移し入れる。
2) 13.5.1 b) の操作を行った後,定量成分の標準液(13.3.1213.3.30)020 mLを段階的に加える。
以下,13.5.1 c)13.5.2の手順に従って試料溶液と並行して操作し,得た発光強度と定量成分量との
関係線を作成し,検量線とする。
――――― [JIS Z 3910 pdf 30] ―――――
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JIS Z 3910:2017の国際規格 ICS 分類一覧
- 25 : 生産工学 > 25.160 : 溶接,ろう付け及びはんだ付け > 25.160.50 : ろう付け及びはんだ付け
JIS Z 3910:2017の関連規格と引用規格一覧
- 規格番号
- 規格名称
- JISH0301:1997
- 非鉄金属地金のサンプリング,試料調製及び分析検査通則
- JISH0321:1973
- 非鉄金属材料の検査通則
- JISH2105:1955
- 鉛地金
- JISK0050:2019
- 化学分析方法通則
- JISK0116:2014
- 発光分光分析通則
- JISK0119:2008
- 蛍光X線分析通則
- JISK0121:2006
- 原子吸光分析通則
- JISK0211:2013
- 分析化学用語(基礎部門)
- JISK1105:2017
- アルゴン
- JISZ2611:1977
- 金属材料の光電測光法による発光分光分析方法通則
- JISZ3001-1:2018
- 溶接用語―第1部:一般
- JISZ3001-3:2008
- 溶接用語―第3部:ろう接
- JISZ3282:2017
- はんだ―化学成分及び形状
- JISZ8401:2019
- 数値の丸め方