JIS Z 4120:2008 診断用X線管装置―焦点特性 | ページ 6

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Z 4120 : 2008 (IEC 60336 : 2005)
附属書C
(参考)
国際規格策定の経緯

序文

  この附属書は,この規格の対応国際規格であるIEC 60336の策定経緯について記載するものであって,
規定の一部ではない。
C.1 概要
この附属書は,IEC 60336の策定経緯について記載し,幾つかの難解な部分の理由を明らかにすること
を目的とする。
C.2 第1版 (1970)
第1版は“ピンホールカメラを用いた診断用X線管の焦点寸法の測定”と呼ばれ,初期ICRUの推奨(NBS
ハンドブック“National Bureau of Standards Handbook 78, Report of the International Commission on
Radiological Units and Measurements, (ICRU) 1959, U.S. Government Printing Office, Washington, DC, 1961”及
び“National Bureau of Standards Handbook 89, Methods of Evaluating Radiological Equipment and Materials:
Recommendations of the ICRU, U.S. Government Printing Office, Washington, DC, 1962”及び国家規格“DIN
6823, Roentgenroehren, Ermittlung der Brennfleckgroesse, Beuth-Verlag, Berlin, 1968”に基づいていた。この第
1版では,焦点寸法を決定する測定法としてピンホール法だけが規定されていた。フィルムの直接読取り
には,10倍の拡大鏡の使用及び長さ方向の係数0.7の使用が規定されていた。
C.3 第2版 (1982)
“医用X線管装置の焦点特性”と名称が改められた。ピンホールを通るときの透過量及びX線負荷を考
慮した場合,例えば撮影用フィルムへの繰返し照射が必要となり,これらの因子が測定結果に影響を与え
る。このようなことから焦点の呼び(公称焦点値)が0.3より小さい焦点を焦点ピンホールX線像によっ
て決定することが困難であり,スリット法が追加された。この新しい方法はすべての焦点の呼び(公称焦
点値)に適用された。この方法によって前述の焦点寸法決定時の不確かさを排除することができ,焦点が
ゆがんでいる場合でも意味ある結果を得ることができた。さらに,一対の一方向MTFの形式で焦点によ
る画質特性の決定も併せて紹介された。
このようにピンホール法は焦点特性のうちの分布及び方向を見るためだけに用い,スリット法は焦点の
呼び(公称焦点値)及びMTFを決定するのに用いることとなった。加えて現場での使用を考慮した第3
の方法(焦点スターX線像)が規定された。焦点スターX線像は,スターパターン解像度を確認すること
によって現場での条件下におけるシステムの画質特性を簡単に評価できる有用性があり,規格化された。
0.1,0.15,0.2の焦点には長さ方向の係数0.7を用いないことも追加された(C.5参照)。
C.4 第3版 (1993)
“医用X線管装置−焦点特性”と再度名称変更された。X線コンピュータ断層撮影用X線管装置及び
0.25焦点の追加以外の変更はなかった。追加した公称焦点値0.25及びCT用途の焦点には長さ方向の係数

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0.7を導入しなかった(C.5参照)。
C.5 係数0.7と非対称な範囲
IEC 60336の次の二つの問題は,多くの誤解及び論議の原因となってきた。
− 長さ方向の係数0.7
− 公称値の非対称な範囲の考え方[例えば,(焦点の呼び)公称焦点値0.8には,0.81.2まで許される。]。
この二つの問題は理解するのが難しく,ある代表的な焦点についてのLSFを示すことで説明すること
ができる。
注記 長さ方向と幅方向とは,同じ形状である。
図C.1−小焦点(0.3 mm未満)をもつX線管のLSF
図C.2−大焦点(0.3 mm以上)をもつX線管のLSF
LSF値の両端の傾斜から分かるように,寸法の読取りは通常,最大値の50 %の強度における半値幅で

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ある。しかし,1950年代から1960年代での科学技術では拡大鏡を用いてのフィルムの読取りしかできな
かったため,LSFの1020 %に相当するところまで読取値に含まれていた。図C.1及び図C.2から分か
るようにこの場合は,測定値はより大きくなる。これが幅及び長さ方向の寸法の範囲が異なる基本的な理
由である。
図C.3−図C.2のLSFに対応するMTF
大きな焦点の長さ方向の代表的なLSFは,図C.2に示されるようにかなり浅い端部を示す。これによっ
て長さ方向の読取値(1020 %における。)は,MTFがほぼ等しいX線管の幅方向の読取値に比べて約
40 %大きくなることが分かる。
これらのことから,得られる画質が同等となる公称値とするために,係数0.7が導入された。
図C.3から分かるように図C.2におけるLSFは,最初の最小値までほぼ同一のMTFとなっており,実
質上それらからは同じ画質が得られるということである。
注記 RMS粒状度法では,いかなる形状のLSFでもそれと同じ画像特性を与える方形のLSFの幅を
算出できる。RMS粒状度は,統計的な確率によって求めた粒状性(度)であり,均一に露光さ
れたX線フィルムをミクロフォトメータで測定した濃度変化の標準偏差で求められる。この方
法は,将来この規格で用いられるかもしれない。
C.6 第4版 (2005)
IEC 60336の第4版の主な変更点は,次による。
a) 主にカメラの寸法と一直線性についての公差を実用的な仕様とした。
b) SFを焦点寸法決定法の唯一の基準とした。長さ及び幅を決めるのに用いる濃度分布は,目視評価に
替わり濃度計による評価によって決定する。
c) 焦点のゆがみは考慮しない。
d) 公称焦点値の許容値の範囲は,最大許容値だけで表す。
e) EC 60336の決定法との等価性が検証されれば,ほかの測定方法も認める。
a) に関して : 対応国際規格の第3版(IEC 60336:1993)では幾つかの公差,とりわけ焦点カメラの試験で
の配置については不必要に厳しかった。例えば,基準軸と絞りの対称軸の交差角は0.001 rad以内なのに対

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し,基準軸に対する絞りの位置には何の公差も決められていなかった。このような不合理は,今回の公差
の見直しによって是正した。
b) に関して : 過去多くの製造業者は,焦点寸法を決定するとき,焦点X線像の濃度分析を行っていた。
LSFの評価を行うこの手順は,MTFを決定するために行わなければならないことと同じものであった。
この点でLSFの評価手順を規格化し目視評価に依存した方法を廃止することは合理的であった。
よってMTF及び焦点寸法の決定は,ともに同じ焦点スリットX線像に基づいたLSFの測定から得られ
る。
c) に関して : X線管の製造及び開発方法の改善によって,焦点のゆがみの発生は非常に軽減されてきて
いる。加えて,焦点スリットX線像による焦点寸法の測定は,焦点ピンホールX線像ほど焦点のゆがみに
敏感ではない。したがって,焦点のゆがみに関する項は削除された。
e) に関して : 市場には,焦点特性を決定するための撮影フィルムの代わりとなるもの,例えばCCDカ
メラを用いたような測定装置が沢山ある。これらの方法は製造業者の毎日の試験に次第に多く用いられる
ようになっており,附属書Bでは,このような場合の推奨項目を示す。また,明らかに製造業者は焦点測
定のためにこのような測定機器を使用しようとしている。
撮影フィルムを使う規格化された方法と同じ結果を得ることができると確証されれば,その方法は,測
定方法として認められる。これは,IEC 60336第1版第3版の中で拡大鏡を使った目視による評価方法
にも適用される。
この規格は,必ずしも表C.1に示すすべての特性についての記載を要求するものではない。
X線管装置として供給しなければならない情報は,JIS Z 4751-2-28に示されたものである。
IEC 60336の第3版においてRMS粒状度法を用いた焦点の特徴付け法が補足で記載されている。この方
法はいまだ広くは受け入れられていない。しかし,JIS Z 4751-2-28での1方向MTFの必す(須)仕様の
削除に伴い,またデジタルX線像収集システムの進化によってRMS粒状度法が重要度を増すかもしれな
い。
表C.1−焦点特性を特徴付ける各種評価方法
測定方法 参照する箇条 評価する項目 参照する箇条 適合確認のため評価する項目
焦点スリットX線像 6 寸法 8 指定の公称焦点値
画像特性 9 指定の一組のMTF
焦点ピンホールX線像 6 焦点形状
放射線強度分布
焦点形状の対称性
焦点スターX線像a) 10 スターパターン解 11 スターパターン解像度
像度
ブルーミング比 12 ブルーミング比
寿命に至るまでの
使用期間中の焦点
特性変化
注a) 焦点の放射線強度分布からは,必ずしもMTFが空間周波数軸と交わる点を知ることができない。この場合
焦点スターX線像の測定方法は適用されない。

――――― [JIS Z 4120 pdf 29] ―――――

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参考文献
[1] DOI, K. and ROSSMANN, K. Evaluation of FOCAL SPOT distribution by RMS value and its effect on blood
vessel imaging in angiography. Proceedings of the Symposium on Application of Optical Instrumentation in
Medicine III, Vol. 47. Palos Verdes Estates, CA: Society of Photo-Optical Engineers, 1975: 207-213
[2] DOI, K. et al. X-RAY TUBE FOCAL SPOT Sizes: Comprehensive Studies of Their Measurement and Effect of
Measured Size in Angiography. Radiation Physics, July 1982, Volume 144, Number 2, p 383-393.
[3] National Bureau of Standards Handbook 78, Report of the International Commission on Radiological Units and
Measurements, (ICRU) 1959, U.S. Government Printing Office, Washington, DC, 1961
[4] National Bureau of Standards Handbook 89, Methods of Evaluating Radiological Equipment and Materials:
Recommendations of the ICRU, U.S. Government Printing Office, Washington, DC, 1962
[5] DIN 6823, Roentgenroehren, Ermittlung der Brennfleckgroesse, Beuth-Verlag, Berlin, 1968
[6] JIS Z 4751-2-28 診断用X線源装置及びX線管装置−安全
注記 対応国際規格 : IEC 60601-2-28: 1993, Medical electrical equipment−Part 2: Particular requirements
for the safety of X-ray source assemblies and X-ray tube assemblies for medical diagnosis (IDT)

――――― [JIS Z 4120 pdf 30] ―――――

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JIS Z 4120:2008の引用国際規格 ISO 一覧

  • IEC 60336:2005(IDT)

JIS Z 4120:2008の国際規格 ICS 分類一覧

JIS Z 4120:2008の関連規格と引用規格一覧

規格番号
規格名称
JISZ4004:1989
医用放射線機器図記号
JISZ4005:2012
医用放射線機器―定義した用語