JIS Z 4751-2-45:2017 医用電気機器―第2-45部:乳房用X線装置及び乳房撮影定位装置の基礎安全及び基本性能に関する個別要求事項 | ページ 4

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Z 4751-2-45 : 2017 (IEC 60601-2-45 : 2011,Amd.1 : 2015)
固定した場合,操作可能な動く部分は意図しない動きをしてはならない。
電源(商用)が停電した場合,操作可能な動く部分は,患者のいかなる部分にも20 Nを超える圧力が加
わってはならない。
201.9.2.4 緊急停止装置
追加
患者の身体的傷害を起こす可能性のある全ての電動駆動の動きには,緊急停止手段を備えなければなら
ない。緊急停止によって,乳房用X線装置が使用できない間,患者に近づいたり,患者を移動させたりす
るための手段を備えなければならない。
(試験)適合性は,機能試験及び取扱説明書の調査によって確認する。
注記101 これらの要求事項は,IEC 60601-2-32:1994の22.4.1から採用している。
追加
201.9.2.101 *3次元定位及び乳房せん刺ガイド
201.9.2.101.1 ステレオ定位画像に関するX線源装置の位置決め
ステレオ定位画像におけるあらかじめ定められた角度位置に,X線源装置を設定できるようにしなけれ
ばならない。X線源装置は,あらかじめ定めた位置で確実に固定しなければならない。あらかじめ定めた
位置で一度固定した場合,X線源装置の次に続く動作は操作者によって行われなければならない。
この細分箇条は,乳房用トモシンセシスには適用しない。
(試験)適合性は,201.9.2.101.3の試験によって確認する。
201.9.2.101.2 生検又は指標の留置の期間における装着部の動き
一定の加圧状態では,患者支持器と圧迫板との間におけるお互いの変位は,±0.5 mm及び±0.5°とす
る。患者に対するそれらの変位は,±2 mm及び±2°とする。
針を挿入した状態の針保持部又は組織生検銃の保持部を動かすためには,操作者によって連続的な作動
及び制御を必要とするようにしなければならない。
(試験)適合性は,201.9.2.101.3の試験によって確認する。
201.9.2.101.3 せん(穿)刺針の位置決め精度
せん(穿)刺針の針先におけるx方向,y方向及びz方向の精度は,指定した生検容積内で±1 mmとす
る。
(試験)適合性は,次の試験の測定によって確認する。
a) 試験機器 この試験では,異なったせん(穿)刺針の方向について,試験ができるように設計した試
験器具が必要である。試験器具には試験針を配置できるような取付金具を備える。長さが異なる,少
なくとも3本の金属製試験針を取付金具に固定する。この際,取付金具の外に突き出る針先の部分は,
取付金具表面と直角方向で,かつ,同じ方向を向くように固定する。
金属製試験針は,針先が試験対象となり,試験針は,指定した生検容積を十分補うように配置しな
ければならない。試験針の一つの針先は,生検容積の中心の±5 mmで配置しなければならない。他
の二つの針先は,指定された生検容積内で,正確さを確認するため,生検容積のそれぞれの縁から10
mm以内とする(附属書JAA参照)。
b) 試験手順 せん(穿)刺針の長さを測定し,その測定結果と,せん(穿)刺針の公称の長さ,針位置
決め装置に記憶させたせん(穿)刺針の長さ,又は設定したせん(穿)刺針の長さとを比較する。測
定した値は,公称の長さの±0.3 mmで一致する。試験針の針先の一つが,指定した生検容積の中心の
±5 mmに配置し,他の二つの針先は,位置決めの正確さを確認するため,生検容積のそれぞれの縁

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Z 4751-2-45 : 2017 (IEC 60601-2-45 : 2011,Amd.1 : 2015)
から10 mm以内になるように,試験器具を指定された患者支持器の上に配置しなければならない。例
えば,厚さ2 mmのアルミニウムのような均一な減弱物質を,X線源装置の近くに取り付けてもよい。
指定された焦点を選択する。
乳房用X線装置を乳房の頭尾方向に位置決めする。試験針のx,y及びzの位置を,臨床使用のた
めに製造業者が指定したとおりに設定する。それぞれの試験針に関して,計算された位置に従い,せ
ん(穿)刺針の針先を位置決めする。それぞれの試験針とせん(穿)刺針のx,y及びzの位置との相
違を測定し,記録する。それぞれの方向における臨床で使用する角度について,製造業者が指定した
範囲の極端な位置,及び90°の中間的な位置,又は代わりの多数の位置に,乳房用X線装置を回転し,
この試験を繰り返す。乳房撮影定位装置が試験器具に対して,二つ以上のせん(穿)刺針の方向で設
計している場合は,臨床使用のために製造業者が指定した範囲内で,可能な限り六つの異なった方向
でこの手順を繰り返す。これらの異なった方向の中に,少なくとも指定した範囲の極端な方向を二つ
含める。
c) 測定値の評価 上記の要求事項に対して,x方向,y方向及びz方向の相違を比較する。

201.10 不要又は過度の放射のハザードに関する保護

  次を除き,通則の箇条10を適用する。
201.10.1 X線放射
201.10.1.2 診断又は治療用のX線放射の発生を意図するME機器
追加
乳房用X線装置は,副通則JIS T 0601-1-3の該当する要求事項に適合しなければならない。また,箇条
203にも適合しなければならない。

201.11 過度の温度及び他のハザードに関する保護

  通則の箇条11を適用する。

201.12 制御及び計器の精度並びに危険な出力に対する保護

  通則の箇条12を適用する。

201.13 ME機器の危険状態及び故障状態

  通則の箇条13を適用する。

201.14 プログラマブル電気医用システム(PEMS)

  通則の箇条14を適用する。

201.15 ME機器の構造

  次を除き,通則の箇条15を適用する。
201.15.4 ME機器の部品及び組立一般
201.15.4.3 電池
追加
201.15.4.3.101 充電時のインターロック

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Z 4751-2-45 : 2017 (IEC 60601-2-45 : 2011,Amd.1 : 2015)
充電器が組み込まれた移動形乳房用X線装置は,蓄電池の充電を中断せずに,許可されていない人によ
る電動移動及びX線の発生を防止する手段を備えなければならない。
注記 この要求事項に適合する適切な例としては,鍵なしで充電できるが,鍵を差し込んでいるとき
だけ電動移動及びX線の発生が可能である鍵によるスイッチの設置である。

201.16 MEシステム

  通則の箇条16を適用する。

201.17 ME機器及びMEシステムの電磁両立性

  通則の箇条17を適用する。

202 電磁両立性-要求事項及び試験

  次を除きIEC 60601-1-2を適用する。
追加

202.101 基本性能のイミュニティ試験

  製造業者は,表201.101に挙げる追加の基本性能に対し,リスクマネジメントプロセスを通じて実用的
な水準まで試験要求を最小化してもよい。
試験項目を選択するときに,製造業者は,EMC環境での(乳房用X線装置の)感受性,EMC条件にな
る可能性,及び受容できないリスクに対する重大さ,並びに発生確率及び寄与率をリスクマネジメントプ
ロセスを通じて考慮する必要がある。
乳房用X線装置のイミュニティの評価に用いる測定機器の精度は,試験のための電磁的影響を受けては
ならない。
測定機器は,乳房用X線装置のイミュニティに影響を与えてはならない。
(測定装置が)影響を受けない測定だけを行わなければならない。
試験を実施する乳房用X線装置は,イミュニティ試験のために改造してはならない。
(試験)適合性は,リスクマネジメントファイルの調査によって確認する。

203 診断用X線装置における放射線防護

  次を除き,JIS T 0601-1-3を適用する。

203.4 一般要求事項

203.4.1 適合宣言
置換
乳房用X線装置又は乳房用X線装置のサブアセンブリとしてこの規格に適合していることを宣言する場
合,宣言書は,次に示す様式によって作成しなければならない。
乳房用X線装置 .... **) IS Z 4751-2-45:2017
**) 形式名称
注記 この様式は,乳房用X線装置の外部標示も含む。
追加
203.4.101 定義した用語の限定条件
203.4.101.1 電力

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Z 4751-2-45 : 2017 (IEC 60601-2-45 : 2011,Amd.1 : 2015)
高電圧回路の電力は,201.7.9.2.1 cc),dd)及びee)の規定に従い,次の式によって求める。
P f U I
ここに, P : 電力
f : X線管電圧の波形に依存する因子で,次から選択する。
a) 0.95 : 6ピーク形[X線]高電圧装置を備えた乳房用X
線装置
b) 1.00 : 12ピーク形[X線]高電圧装置又は定電圧形[X
線]高電圧装置を備えた乳房用X線装置
c) 他の乳房用X線装置については,X線管電圧の波形か
ら上の最も当てはまるものを選び,その選択理由を記
載する。
U : X線管電圧
I : X線管電流
203.4.101.2 *負荷時間
負荷時間は,次の二つの時間の差を測定することによって求める。
− X線管電圧が,最初にそのピーク値の75 %に達した時点
− X線管電圧が,最後にそのピーク値の75 %まで降下した時点
電子管又はX線管のグリッドによる高電圧回路の電子制御を備えた乳房用X線装置の場合には,負荷時
間はタイマが照射開始信号を発した時点と照射終了信号を発した時点との間の時間とする。
高電圧回路とX線管のフィラメント加熱とを同時に負荷する乳房用X線装置の場合には,負荷時間は,
X線管電流が最初に最大値の25 %に達した時点と,最後に最大値の25 %まで降下した時点との間の時間
とする。
上記以外の場合,負荷時間を制御及び決定する方法を,リスクマネジメントファイルに記載する。
注記1 JIS T 0601-1-3の3.37参照。
注記2 これらの要求事項は,JIS Z 4751-2-7:2008の2.101.4から採用している。

203.5 X線装置の標識,表示及び文書

203.5.2 附属文書
203.5.2.4 取扱説明書
203.5.2.4.2 量的な情報
追加
乳房用X線装置は,患者へのX線量を入射空気カーマ及び平均乳腺線量の両方で記載する。それらは,
製造業者が指定する方法とする。

203.6 放射線管理

203.6.2 照射の開始及び終了
203.6.2.1 正常な照射の開始及び終了
追加
203.6.2.1.101 外部のインタロックの接続
乳房用X線装置は,移動形乳房用X線装置を除いて,乳房用X線装置から独立した少なくとも一つの
外部電気回路への接続手段を備えなければならない。外部電気回路は,X線発生装置におけるX線照射の

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Z 4751-2-45 : 2017 (IEC 60601-2-45 : 2011,Amd.1 : 2015)
開始を防止するものである。
乳房用X線装置は,移動形乳房用X線装置を除いて,乳房用X線装置から独立した少なくとも一つの
外部電気回路への接続手段を備えなければならない。外部電気回路は,X線発生装置における照射中のX
線を停止するものである。
これらの外部電気回路からの信号の状態を乳房用X線装置の制御盤に表示しない場合は,施設内に視覚
的手段によってその状態を示すことが望ましい旨の,責任部門向けの情報を,附属文書に記載しなければ
ならない。
203.6.2.2 照射が正常に終了しなかった場合の安全機構
置換
照射が正常に終了しなかった場合の安全機構は,次とする。
a) 負荷の開始及び継続は,操作者による連続操作の手段による(デッドマン形制御)。
b) 前の照射の制御を終了することなく,意図しない次の照射が開始できてはならない。
c) 操作者が,いかなるときでも照射を停止できる手段を備えなければならない。
d) 照射が正常に終了できない場合には,照射を終了させる安全手段を備えなければならない。
e) 正常な終了が,連続的なX線測定(自動露出制御など)に基づかない場合は,a)に示す操作者による
連続操作には,d)で要求する安全手段を備えなければならない。
f) 正常な終了が,連続的なX線測定(自動露出制御など)に基づく場合は,次を満足する。
− 照射が正常に終了できない場合には,照射を終了させる安全手段を備えなければならない。
− 管電流時間積は,照射1回当たり800 mAs以下に制限しなければならない。ただし,製造業者によ
って指定し,妥当である場合は除く。
− 照射の正常終了のためのシステム及び安全手段に使用するシステムは,一つのシステムで発生した
故障がもう一方のシステムによる終了に影響を与えないように分離しなければならない。
− 安全手段によって負荷が停止した場合には,制御盤に目で見える表示をする。制御盤に配置された
リセット用制御装置を操作しない限り,同一の操作モードの次の負荷を行うことはできない。
g) 自動露出制御を備えた乳房用X線装置の場合,操作者が自動露出制御の機能を確認できる方法を備え
なければならない。取扱説明書には,その方法を記載しなければならない。
(試験)適合性は,調査及び適切な機能試験によって確認する。
203.6.3 放射線の線量及び線質
置換
203.6.3.1 放射線の線量及び線質の調整
203.6.3.1.1 放射線の線量及び線質の調整に関する一般要求事項
線質及びX線量は,乳房用X線装置の意図する使用に対応した乳房の厚さ及び構成に合わせて調整でき
なければならない。
画像に寄与するX線量の調整を,手動選択で行う場合において,X線量と比例関係にあるX線管負荷条
件の離散的な値,特にX線管電流,負荷時間又は管電流時間積の値は,JIS T 0601-1-3の附属書Bに従っ
て,R10又はR20系列から選択しなければならない。
注記 この幾何数列による値を使うことは,操作者が患者へのX線量及び画質の両方に適正なX線量
を調整するのに役立つ。
(試験)適合性は,調査によって確認する。
203.6.3.1.2 X線管負荷条件の限定範囲全体にわたる空気カーマの直線性

――――― [JIS Z 4751-2-45 pdf 20] ―――――

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JIS Z 4751-2-45:2017の引用国際規格 ISO 一覧

  • IEC 60601-2-45:2011(IDT)
  • IEC 60601-2-45:2011/AMENDMENT 1:2015(IDT)

JIS Z 4751-2-45:2017の国際規格 ICS 分類一覧

JIS Z 4751-2-45:2017の関連規格と引用規格一覧

規格番号
規格名称
JISB7761-3:2007
手腕系振動―第3部:測定及び評価に関する一般要求事項
JISC0445:1999
文字数字の表記に関する一般則を含む機器の端子及び識別指定された電線端末の識別法
JISC0447:1997
マンマシンインタフェース(MMI)―操作の基準
JISC1509-1:2017
電気音響―サウンドレベルメータ(騒音計)―第1部:仕様
JISC1509-2:2018
電気音響―サウンドレベルメータ(騒音計)―第2部:型式評価試験
JISC2134:2007
固体絶縁材料の保証及び比較トラッキング指数の測定方法
JISC2134:2021
固体絶縁材料の保証及び比較トラッキング指数の測定方法
JISC4003:2010
電気絶縁―熱的耐久性評価及び呼び方
JISC60079-0:2010
爆発性雰囲気―第0部:電気機器―一般要件
JISC60079-2:2008
爆発性雰囲気で使用する電気機械器具―第2部:内圧防爆構造“p”
JISC60079-6:2004
爆発性雰囲気で使用する電気機械器具―第6部:油入防爆構造“o”
JISC60364-4-41:2010
低圧電気設備―第4-41部:安全保護―感電保護
JISC60695-11-10:2015
耐火性試験―電気・電子―第11-10部:試験炎―50W試験炎による水平及び垂直燃焼試験方法
JISC6965:2007
ブラウン管の機械的安全性
JISC8282-1:2019
家庭用及びこれに類する用途のプラグ及びコンセント―第1部:一般要求事項
JISC8303:2007
配線用差込接続器
JIST60601-1-8:2012
医用電気機器―第1-8部:基礎安全及び基本性能に関する一般要求事項―副通則:医用電気機器及び医用電気システムのアラームシステムに関する一般要求事項,試験方法及び適用指針
JISZ8736-1:1999
音響―音響インテンシティによる騒音源の音響パワーレベルの測定方法―第1部:離散点による測定