JIS Z 4751-2-54:2021 医用電気機器―第 2-54部:撮影・透視用X線装置の基礎安全及び基本性能に関する個別要求事項 | ページ 12

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Z 4751-2-54 : 2021 (IEC 60601-2-54 : 2009,Amd.1 : 2015,Amd.2 : 2018)
附属書AA
(参考)
個別指針及び根拠
この附属書は,この個別規格の特定の箇条及び細分箇条についての根拠を示す。箇条番号及び細分箇条
番号は,この個別規格の本文中の番号に一致している。
201.4.3.101 基本性能の追加要求事項候補
医用目的の画像生成のために,電離放射線を用いることに伴うリスクを,手順(手技)から期待できる
利益で相殺することによって,基本性能に関する要求事項を特定することが正当化される。
この個別規格についての要求事項の確立は,X線装置の画像描出能が,正常状態で十分な品質の画像生
成に欠かせない最先端技術に対応する。
設置された機器の十分な保守手順(受入試験及び不変性試験を含む。)によって,画像描出能は単一故障
安全(例えば,検出できない劣化)を維持してもよい。
したがって,基礎安全として規定しなかった要求事項を,表201.101に記載する。
201.8.7.3 許容値
1998年以降,IEC 60601-2-7で,通則の許容値が緩和されており,今でもこれらの許容値の修正を正当
化するような報告はない。
注記 これは,国際規格IEC 60601-2-7:1998の経緯説明をしたものであり,これの一致規格は,JIS Z
4751-2-7:2008である。
202.101 基本性能のイミュニティ試験
X線撮影及びX線透視を意図する目的としたX線装置のイミュニティ試験は,X線透視の実施によって
X線撮影と同等の電気的性能及びX線照射における信号経路をもつという十分な根拠をもつ場合には,X
線透視モードだけで実施してもよい。
203.5.2.4.5.101 c) 放射線データ
203.6.4.5の解釈を参照。
203.5.2.4.5.101 d) 患者照射基準点
この規格は,皮膚の吸収線量を推定するための間接的な表示の使用を認めている。焦点について指定さ
れる点の主要な空気カーマ又は空気カーマ率の計算に従ってX線装置のパラメータ表示から推定すること
が可能である。指定された点(ここでは,患者照射基準点と定義している。)とは,患者とX線ビーム軸
との交点を表すことを意味している。
アイソセンタをもつシステムについては,アイソセンタから焦点の方向へ15 cmの基準軸上の地点が患
者照射基準点として指定される。
この距離は,放射線学の手順(手技)中の実際の焦点皮膚間距離の近似値を表すものとされる。
透視及び大人の冠動脈造影検査[4] [5]のために選ばれた組織の吸収線量を推定するために現在利用でき
る方法を考慮するならば,これらの方法は,心臓のX線検査で一般的に用いられる特有の動作条件による。
これらの動作条件は,管電圧(kV),半価層(HVL),焦点皮膚間距離,焦点受像器間距離及び入射野寸法
のようなX線装置に関わる因子,並びに動脈の撮影方向及び観察に関係している。
参考文献[6] [9]の分析による作動条件の再考は,定義された患者照射基準点が,事実上,各照射野の焦

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点皮膚間距離の正しい近似であることを示す。
定義された患者照射基準点での吸収線量の誤差は,多方向からのIVRの手順(手技)によって平均化さ
れる。
放射線学の手順(手技)が一方向又は少ない方向で行われる場合は,定義した患者照射基準点での皮膚
への吸収線量の誤差は大きくなる場合がある。しかし,最悪の条件下でも,誤差は2倍未満とするのがよ
い。この誤差の大部分は,患者の位置を考慮し,適切な補正係数を計算することによって取り除くことが
可能である。
この規格は,アイソセンタをもたないシステムに対して,代替として定義した患者照射基準点の使用を
認める。この場合,患者照射基準点は,皮膚面と基準軸との交点を示す位置にあり,製造業者が定義し,
附属文書に記載する。患者照射基準点を定義するこの代替方法を製造業者が使用する場合の例として,実
際の焦点皮膚間距離を検知するX線装置,従来の幾何学的形状から逸脱したX線装置,又は焦点皮膚間距
離が固定されたX線装置がある。
注記 他の参照文献[7] [8]
203.5.2.4.5.102 線量情報の試験
X線装置は,意図する使用によって操作パラメータを手動又は自動で設定できるようにしてもよい。ま
た,それぞれの国の法規制及び要求に従って,異なる操作パラメータの設定が必要になる場合がある。
203.5.2.4.5.101 b) に従って,操作モードの詳細及び他の可能な設定事項の提示が要求される。
203.5.2.4.5.101 c) に従って,機器構成は試験配置とともに,基準空気カーマ(率)に関連する数値を提示
することが要求される。この機器構成及び試験配置で,この細分箇条で記載する方法を用いて基準空気カ
ーマ(率)に関連する数値が確認可能である。適合試験の第一段階は,前述の要求事項の適合性及び測定
方法の同等性を確認する(線量測定値を除く)。適合する場合,その情報は,提示された基準空気カーマ
(率)値の適合性を確認するための測定手順の中で用いる。適合しない場合,ME機器は更なる試験をせ
ずに不適合とみなす。一連の値と,それらの値を再確認するのに必要な情報とをME機器とともに提供す
る。どのような状況においても,用いるこの試験方法は意図する使用の範囲内に限る。
203.6.2.1 e) 正常な照射の開始及び終了
X線透視の目的は,対象又は対象内部の構造をリアルタイムに観察することである[18][19]。LIH X線像
は,X線透視を継続することなく,調査,相談,又は教育用に使用されるものである[18][19]。
その意図は,X線撮影画像の数を,診断に必要なだけ,又は結果及び装置の配置を文書化するために必
要なだけに制限することである。代表的なX線撮影の線量率は,代表的なX線透視画像取得よりも,少な
くとも10倍以上多い[18]。LIH X線像が目的を十分に果たし得る適切な画像であるならば,X線撮影によ
る画像の代わりに用いることが可能である。X線撮影画像による観察を追加して実施することがなければ,
患者に対する放射線被ばくが低減される[18]。
現在のところ,X線透視装置は,LIH X線像の品質にかかわらず,操作者の連続的な照射操作を終了し
た時点で,X線透視のX線照射が終了するように設計されている。X線透視における照射時間が1秒以上
であれば,適切なLIH X線像の画質を得ることができるので,これは問題ではない。しかし,X線透視に
おける照射時間が短すぎる場合,LIH X線像の画質が適切ではなく,用途に適さない。自動線量率制御を
安定に行うために,X線透視の照射時間が終了するまでに,必ず十分な照射時間を確保する必要がある。
この新しい要求事項を満足することによって,X線透視装置の照射操作手段に対する極めて短時間の照射
操作であっても,自動的にX線透視のX線照射が適切な時間で停止するため,手動によるX線透視の照
射停止よりも十分な画質のLIH X線像の自動生成が可能である。これによって,照射時間が短すぎること

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による適切ではないLIH X線像の画質,及び適切な画質のLIH X線像を得るために必要以上に長い照射
時間となることの両方が回避可能である。これによって,適切で短いX線透視の照射時間によるLIH X
線像が得られるため,患者放射線被ばくを小さくすることが可能である。
203.6.3.102 高線量率透視制御(HLC)
高線量率透視制御(HLC)又は高線量率モードは,患者の体の大きさが極端な場合,又はある特定の患
者に対する特有の手順(手技)のために非常に高い画質を必要とする場合は,許容してもよい。低線量率
で手順(手技)の利益が得られない場合には,患者へのより高い照射を提供しても差し支えない。各国の
法令は,標準及び/又は高線量率制御モード作動に対する最大空気カーマ率において,異なる制限を要求
している。
203.6.4.3.106 検査プロトコルの電子文書
システムレベルでは,X線装置は一つ以上の画像表示手段を含んでいる。画像表示システムの表示性能
特性は,この規格とは別の規格で定められている(例えば,JIS T 62563-1:2013[21]及びDICOM,Part 14
[22])。203.6.4.3.106で定められた条件で選択された画像表示システムの設定は,画像表示手段がX線装
置の仕様に適合し,画像表示手段がそれ自身の規格に適合して動作する条件において,有効である。
新たな追加は,二つ(又はそれ以上)の事前登録検査プロトコル間の差異を明確にする手段(例えば,
比較ツール)を提供することである。比較ツールは,異なる検査間,又は同じプロトコルの異なるバージ
ョン間の,検査プロトコル間を比較するために用いられる。
装置は,一つ以上の事前登録検査プロトコル(PPEP)を含むことがあり,各PPEPは,通常,X線照射,
X線受像器性能,及び必要な画像処理を含む。不正確又は不適切な設定は,患者への不適切な被ばく,及
び/又は得られる不適切な臨床画像をもたらす場合がある。
各PPEPの内容を確認することは,安全性と性能との両方にとって必須である。このため,装置の耐用
年数にわたるPPEPの文書化は,責任部門にとって有用である。責任部門による定期的な監査は,装置の
設置,試用,更新及び臨床用の構成変更後に,しばしば実施される。放射線量又は画像の臨床有効性に予
期せぬ変化が生じた場合には,追加の監査が実施される。
ダウンロードされたPPEPセットの複製は,装置の耐用年数にわたってそれらの状態を文書化するため
に,責任部門によって保存される場合がある。
監査は,現在インストールされているPPEPセットと,基準PPEPセットとを比較して,その差異を明
確にすることで,簡略化が可能である。参照するPPEPセットとしては,同様の機器に対して責任部門が
定義したローカル設定だけでなく,製造業者による出荷時の初期設定又は地域別設定を含む。
この規格は,PPEPについて,いかなる規定された内容も,又はフォーマットも,要求しない。これは,
X線照射又は得られる画像の特性のいずれかに影響を及ぼすPPEPに関わる全ての制御及び設定が,異な
るバージョン間の比較を簡略化できる形式で,適切に文書化されることを意味する。
203.6.4.5 線量測定値の表示
患者の診断中及びIVR手順(手技)中の放射線学の被ばく(曝)の定量評価の要求が,世界的に高まっ
ている。こうした要求は,地域及び国の法規則でも見受けられる。通則の第2版に関連する一部の個別規
格は,こうした要求事項を含む。IEC 60601-2-43:2000の第1版は,放射線データの提供,皮膚線量レベル
及びインターベンション基準点のような条件の導入,並びに線量測定の校正(6.8.2)及び線量表示
(51.102.4)を要求している。IEC 60601-2-44:2002の第2版は,線量当量(29.1.102.1)及び線量情報(29.1.103)
を要求している。当初,これらの二つの規格がそれらの要求事項の序文にあった理由は,IVR手順(手技)
及びCT検査が共に高線量を用いた手順(手技)のためである。

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通則の2012年版から2014年版への移行は,全ての医用X線モダリティに関する個別規格に放射線デー
タ及び線量表示における要求事項を導入する良い機会である。
IEC 60601-1-3:1994の序文では,次のように記載している : “経済的要素に関しては,比較的安価な種類
のX線装置の方がコストの理由で望ましい場合がある。したがって,この副通則では,それらの機器によ
る医療効果を制限するような要求事項及び効果に見合わないコスト増になる要求事項を避けている。”この
原則に基づいて,この規格は,直接X線撮影装置を線量表示の203.6.4.5に規定する要求事項から免除する。
しかし,直接撮影(フィルム増感紙X線撮影を含む。)に指定されるX線装置については,簡略化した線
量表示値を使用可能である。“前回行ったX線照射から導き出された基準空気カーマは,mGy単位で表示
する”。この値は,X線条件の関数としてあらかじめプログラムされてもよい。また,フィルム増感紙X
線撮影からCRに移行するとき,間接X線撮影の一般要求事項に対する適合性を確実にするのは責任部門
の義務であり,これが満たされない場合は,X線システムはこの規格に適合しない。間接X線撮影は,CR
及びDRシステムを含み,イメージインテンシファイアを用いた撮影も含む。
±35 %の線量表示精度についての要求事項は,EU及び米国の要求事項に整合されており,現在の技術
水準と一致している。附属文書に記載される放射線データに対し,±50 %の線量表示精度の要求事項は,
適合性評価に用いられる方法及びX線管の放射線出力は種類によって異なる事実を反映させるためである。
IEC規格にある放射線データ及び線量表示における全ての要求事項は,患者線量に関する情報を操作者
に与えることを意図したものであり,患者自身に対するものではない。
203.13.4.101 迷放射線の制限がある占居有意区域
負荷時に患者の近くに操作者又は他の医療従事者を必要とする放射線検査で,これらの医療従事者が受
ける可能性がある全迷放射線の多くは,X線ビーム内の患者及び他の物体からの散乱放射線に起因してい
る。消化管検査用として従来から最も広く利用されているX線装置において,占居有意区域における迷放
射線の許容値を設ける必要がある。取扱説明書には,適用する許容値及びそれを超えていないことを記載
しなければならない。これらの要求事項は,国内事情及び一般的な仕事負荷(仕事量)を考慮した上で,
医療従事者の防護のために確立されるべき国内規則及び指針のための標準化した根拠とすることが可能で
ある。

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Z 4751-2-54 : 2021 (IEC 60601-2-54 : 2009,Amd.1 : 2015,Amd.2 : 2018)
附属書JAA
(参考)
X線高電圧装置及び一体形X線発生装置の種類及び標準となる形名
JAA.1 一般
この附属書は,X線高電圧装置及び一体形X線発生装置の種類並びに標準となる形名について記載する。
この附属書では,現在製造されている変圧器式(単相電源)及びインバータ式のX線高電圧装置及び一
体形X線発生装置についてだけ記載している。
JAA.2 X線高電圧装置の種類及び標準となる形名
X線高電圧装置の種類は,次に示すインバータ式及び変圧器式の2種類とする。
なお,定電圧形X線高電圧装置は,これらのいずれかに属するものとする。
a) インバータ式X線高電圧装置 インバータ式X線高電圧装置の種類は,変圧器形及びエネルギー蓄積
形の2種類とする。
1) 変圧器形インバータ式X線高電圧装置は,用途,公称最大管電流及び公称最高管電圧によって区分
し,その標準となる形名の区分例を,表JAA.1に示す。
2) エネルギー蓄積形インバータ式X線高電圧装置は,用途,公称最高管電圧,公称最大管電流又は公
称最大管電流時間積によって区分し,その標準となる形名の区分例を,表JAA.2に示す。
表JAA.1−変圧器形インバータ式X線高電圧装置の標準となる形名の区分例
標準となる形名a) 公称最大管電流 公称最高管電圧
(mA) (kV)
IRF- 200-125 200 125
IR- 400-150 400 150
IRF- 400-150 400 150
IRF- 630-150 630 150
IRF-1 000-150 1 000 150
IRF-1 250-150 1 250 150
注記 形名に用いる文字及び数字の意味は,次による。
例 IRF - 1 000 - 150
· · ·
1項 2項 3項
1項 IRF : インバータ式の撮影及び透視用
IR : インバータ式の撮影用
2項 200,400,630,1 000及び1 250 : 公称最大管電流の値
3項 125及び150 : 公称最高管電圧の値
注a) 形名は,そのグループ内の標準となるものを示す。
なお,形名は,表JAA.1及び表JAA.2に従って表示するものとし,その装置がここに示す標準とな
る形名のいずれに該当するかを,取扱説明書に記載することが望ましい。

――――― [JIS Z 4751-2-54 pdf 60] ―――――

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JIS Z 4751-2-54:2021の引用国際規格 ISO 一覧

  • IEC 60601-2-54:2009(IDT)

JIS Z 4751-2-54:2021の国際規格 ICS 分類一覧

JIS Z 4751-2-54:2021の関連規格と引用規格一覧