JIS Z 4752-2-8:2005 医用画像部門における品質維持の評価及び日常試験方法―第2-8部:不変性試験―X線防護具類 | ページ 2

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とは全くないので,不変性試験の必要はない。

5.2 防護壁を含む散乱放射線防護遮へい体

5.2.1  概要 用具は,目視検査及び触知検査を行う。そして適宜,空気カーマ率(又は空気カーマ)を測
定し,防護遮へい具又は防護遮へい体の減弱特性が低下しているかどうか決定する。
5.2.2 試験用具
− 適切な放射線検出器を使用して放射線を測定しなければならない。
− ファントムを使って散乱放射線を発生させなければならない。
備考 ファントムの寸法と構成を何にするかは重要ではない。ファントムを使用する主目的は散乱放
射線の発生であり,患者と全く同様な状態を作り出すことではない。
5.2.3 試験手順 必ず最初の手順として検査の対象となる用具を点検する。検査には,次の作業が含まれ
るべきである。
− 損傷があるかどうか,目視検査する,
− 次の点に注意して,触知検査する。
・ひび,はく(剥)離又は他の物理的損傷を見つける,
・材料の重さによって上部は粗になり,その結果,下部は密になる。
次に,空気カーマ率(又は空気カーマ)を測定しなければならない。測定は次の手順で行わなければな
らない。
散乱線発生用ファントムを,通常患者が占める位置に置いて一次放射線ビームを照射しなければならな
い。
防護遮へい具又は防護遮へい体の平面は,一次放射線の放射線ビーム軸と平行にしなければならない。
X線管の設定は,初回不変性試験と同じ管電圧,同じ負荷にしなければならない。照射野は,入射面にお
ける散乱線発生用ファントム断面積を完全に覆う大きさにすべきである。それが不可能ならば,できる限
り大きな照射野を設定すべきである。適切な放射線検出器を使用して,一次放射線ビームの入る側と反対
側の防護遮へい体の裏面の全表面をスキャンしなければならない。ここで,放射線検出器と防護遮へい体
の距離は10 cmを超えないようにする。
5.2.4 データ評価 空気カーマ率(又は空気カーマ)の測定値を,同様の測定条件で得られた基礎値と比
較する。
5.2.5 適用する判定基準 目視検査及び触知検査で用具の欠陥が何も疑われない場合は,減弱の不変性が
確立されたとみなし,必ずしも測定を行わなくてもよい。
目視検査,触知検査の両者又はいずれかで,何らかの欠陥が疑われたときは,X線透視撮影による測定
を行うべきである。目視検査,触知検査の両者又はいずれかで,用具の損傷が見つかった場合は,減弱の
不変性は確立されなかったものとみなす。測定された空気カーマ率(又は空気カーマ)の値と,初回不変
性試験の各測定値との差が30 %以下の場合は,減弱特性の不変性は確立されたものとみなす。
5.2.6 取るべき処置 不変性が確立されなかった場合は,その用具の使用を中止し,修理又は交換の手配
をする。附属書Cを参照。
5.2.7 不変性試験の頻度 不変性試験は,製造業者の提供する取扱説明書に従って実施しなければならな
い。特に指示のない場合は,少なくとも年1回は不変性試験を実施しなければならない。又は,通常の検
査(蛍光ガラス線量計,熱ルミネセンス線量計,光刺激ルミネセンス線量計などを使用して,ある一定期
間の線量の積算値を求める検査など)で記録された放射線のレベルに突然の増加がみられたときなどに実
施しなければならない。

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5.3 操作者と患者の放射線防護用防護用具

5.3.1  防護エプロン[生殖せん(腺)防護エプロンを含む]及び防護スカート
5.3.1.1 概要 空気カーマ率(又は空気カーマ)は,試験の対象となる各防護用具と参照する減弱物質と
の相対減弱を決定するために測定する。
5.3.1.2 試験用具 減弱物質の数は1又は2とし,減弱物質の指定値によって決定する。放射線検出器を
使用して,放射線を測定する。
5.3.1.3 試験手順 必ず最初の手順として検査の対象となる用具を点検する。検査には,次の作業が含ま
れなければならない。
− 損傷があるかどうか,目視検査する,
− 次の点に注意して,蝕知検査する。
・ひび,はく(剥)離又は他の物理的損傷を見つける,
・材料の重さによって上部は粗となり,その結果,下部は密となる。
次に,空気カーマ率(又は空気カーマ)を測定しなければならない。測定は次の手順で行なわなければ
ならない。
防護エプロン又は防護スカートに一次放射線ビームを照射する。その際の管電圧は,100 kVとするか,
試験の対象である防護用具の指定鉛当量に合わせたX線管電圧とする。
試験は,通常の使用条件であるブロードビーム条件下でなわなければならない。付図1参照。
防護用具とX線管焦点距離は150 cmとしなければならない。
空気カーマ率Ko(防護エプロン又は防護スカートがない状態)を測定しなければならない。
その後,減弱物質を取り除き,その位置に防護エプロン又は防護スカートを置く。前回と同じ管電圧と
管電流時間積値での照射線量でもう一度照射しなければならない。そして,エプロン又はスカートの向こ
う側の空気カーマ率Kiを測定しなければならない。
減弱物質及び防護エプロン又は防護スカートの位置は,初回不変性試験のものと同一になるように留意
する。測定は両方とも,減弱物質又は防護用具から5 cm離れたところで行わなければならない。付図1
参照。
5.3.1.4 データ評価 2度の測定結果から,Ki/Koの率を計算で求めなければならない。この率の値を,
基礎値と比較する。
5.3.1.5 適用する判定基準 目視検査及び触知検査で用具の欠陥が何も疑われない場合は,減弱の不変性
が確立されたとみなし,必ずしも測定を行わなくてもよい。
目視検査,触知検査の両者又はいずれかで,何らかの欠陥が疑われたときは,X線透視撮影による測定
を行うべきである。目視検査,触知検査の両者又はいずれかで,用具の損傷が見つかった場合は,減弱の
不変性は確立されなかったものとみなす。測定された空気カーマ率(又は空気カーマ)の値と,初回不変
性試験の各測定値との差が30 %以下の場合は,減弱特性の不変性は確立されたものとみなす。
備考 X線透視撮影装置が使用可能な場合は,防護エプロンと防護スカートを患者支持器の上に置い
て透視撮影を行い,損傷の有無を確認すれば,検査時間をかなり短縮することができる。透視
像上では損傷を容易に見つけることができる。欠陥が見つかった防護用具の使用は中止すべき
である。製造業者による試験など,更に試験を行うべきである。
5.3.1.6 取るべき処置 不変性が確立されなかった場合は,その用具の使用を中止し,修理又は交換の手
配をする。附属書Cを参照。

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5.3.1.7 不変性試験の頻度 不変性試験は,製造業者の提供する取扱説明書に従って実施しなければなら
ない。試験の頻度について何も記載されていない場合は,少なくとも年1回は不変性試験を実施しなけれ
ばならない。
5.3.2 眼球防護遮へい具及び防護手袋
5.3.2.1 概要 目視検査を行い,防護用具が現在も使用に適するものか確認する。
5.3.2.2 試験用具 必要なし。
5.3.2.3 試験手順 防護用具が完全であり物理的な損傷もないことを目視検査しなければならない。
5.3.2.4 データ評価 検査では,防護材料に損傷の兆し,例えばひびや損傷などがあるかどうか見きわめ
るべきである。
5.3.2.5 適用する判定基準 物理的損傷が見つかった場合は,減弱の不変性は確立されない。
5.3.2.6 取るべき処置 不変性が確立されなかった場合は,その用具の使用を中止し,修理又は交換の手
配をする。附属書Cを参照。
5.3.2.7 不変性試験頻度 不変性試験は,製造業者の提供する取扱説明書に従って実施しなければならな
い。試験の頻度について何も記載されていない場合は,少なくとも年1回は不変性試験を実施しなければ
ならない。
備考 防護手袋の検査では,X線撮影用フィルムを巻き付け,それを手袋の指サックの中に1本ずつ
入れて照射するやり方をしてもよい。
5.3.3 卵巣遮へい具及び甲状せん(腺)防護遮へい具
5.3.3.1 概要 目視検査のほかに,X線撮影用フィルムの光学濃度の評価を行い,防護用具に欠陥がない
ことを確認する。
5.3.3.2 試験用具 X線撮影用フィルムを使用しなければならない。
5.3.3.3 試験手順 防護用具が完全であり物理的な損傷もないことを目視検査しなければならない。
防護遮へい具は,二つの部分が重なるような場合は全開した状態で,X線撮影用フィルムの上に置き,
基礎値で使用されたX線管電圧で一次放射線を照射する。照射線量は,遮へい具の下の均一光学濃度がか
ぶり込みベース濃度より0.5高い濃度になるように設定しなければならない。
5.3.3.4 データ評価 照射を受けたX線撮影用フィルムを,初回不変性試験で得られたフィルムと目視で
比較しなければならない。
5.3.3.5 適用する判定基準 X線像上に,顕著なしみや線が現れなければ,減弱の不変性は確立されたも
のとする。
5.3.3.6 取るべき処置 不変性が確立されなかった場合は,その用具の使用を中止し,修理又は交換の手
配をする。附属書Cを参照。
5.3.3.7 不変性試験頻度 卵巣遮へい具,甲状せん(腺)防護遮へい具の検査は,製造業者の提供する取
扱説明書に従って実施しなければならない。試験の頻度について何も記載されていない場合は,少なくと
も年1回は不変性試験を実施しなければならない。
備考 X線透視撮影装置が使用可能な場合は,卵巣遮へい具及び甲状せん(腺)防護遮へい具を患者
支持器の上に置き,照射野限定器を適切に設定して透視撮影し,しみや線の有無を確認すれば,
検査時間をかなり短縮することができる。欠陥が見つかった防護遮へい具の使用を中止し,製
造業者による試験などを更に試験を行うべきである。

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6. 適合の証明書

 試験報告書の表題は,次のようにしなければならない。
報告書
X線防護具類の不変性試験
(JIS Z 4752-2-8 : 2005)
この規格との適合性を述べる場合は,次のようにしなければならない。
防護遮へい体,...はJIS Z 4752-2-8に適合する。
識別(例 : 用具の名称,モデル又は形式名)
この規格の発行年

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Z 4752-2-8 : 2005
a: 実効焦点の基準面から,試験対象の防護用具の末端の面までの距離。aは150 cmとしなければな
らない。
b: 付図1では,ブロードビームの中心における,試験対象の防護用具の末端の面から,放射線検出
器の基準点までの距離。bは5 cmとしなければならない。
c: 放射線検出器の基準点から,近接した物体又は壁(放射線源と反対にあるもの)までの距離。
cは70 cm以上にしなければならない。
Ko : 減弱物質によって減弱されたブロードビームでの空気カーマ率。
Ki : 防護エプロン又は防護スカートによって減弱されたブロードビームでの空気カーマ率。
付図 1 測定時の配置例

――――― [JIS Z 4752-2-8 pdf 10] ―――――

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JIS Z 4752-2-8:2005の引用国際規格 ISO 一覧

  • IEC 61223-2-8/CD62/277/CDV(MOD)

JIS Z 4752-2-8:2005の国際規格 ICS 分類一覧

JIS Z 4752-2-8:2005の関連規格と引用規格一覧