JIS Z 4752-3-5:2021 医用画像部門における品質維持の評価及び日常試験方法―第3-5部:受入試験及び不変性試験―X線CT装置 | ページ 5

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Z 4752-3-5 : 2021 (IEC 61223-3-5 : 2019)
CT装置が,前述(この細分箇条で規定した)と同じ方法で,自動的に再構成スライス厚を評価する手
段をもつ場合は,これを用いてもよい。
一つの線に沿って画素のCT値をグラフ化し,評価するツールとして使用者が操作するCT装置のソフ
トウェアに組み込まれている場合,スライスプロファイルは,傾斜角度の補正後にアキシャル再構成スラ
イス厚に相当する傾斜物画像の最大半値幅を決定するために用いてもよい。
5.3.2.5 適用する基準
測定した再構成スライス厚と公称再構成スライス厚との差の最大値は,次による。
− 2 mmを超える公称再構成スライス厚 : ±1.0 mm
− 1 mm2 mmの公称再構成スライス厚 : ±50 %
− 1 mm未満の公称再構成スライス厚 : ±0.5 mm
注記 薄い再構成スライス厚は,測定用傾斜板の厚さのため,公称値より広く測定されることがある。
5.3.2.6 不変性試験
5.3.2.6.1 追加の基準
追加の基準はない。
5.3.2.6.2 試験の頻度
再構成スライス厚は,少なくとも1年に1回試験しなければならない。
5.3.2.6.3 取るべき処置
取るべき処置の指針を,附属書Fに示す。
5.3.3 ヘリカルスキャンの再構成スライス厚
ヘリカルスキャンの再構成スライス厚試験は,必須ではない。ヘリカルスキャンの再構成スライス厚測
定が求められる場合,附属書Eを参照。

5.4 線量

5.4.1 概要
線量測定は,JIS Z 4751-2-44:2018に規定する定義及び附属文書に記載している方法で実施しなければな
らない。
附属文書には,表示しているCTDIvolの検証を行うためCTDIwの測定方法及び計算方法,並びにCTDIvol
の計算方法について包括的な説明を記載しなければならない。
注記 CTDIwの測定方法の包括的な説明は,測定した値を正確で再現可能な値として確実にするため
にX線管の開始角度のような要因を取り込むことを目的とする。
5.4.2 試験器具
線量測定用ファントムは,JIS Z 4751-2-44:2018の203.108に規定するものを用いなければならない。CT
装置で用いるためのIEC 61674又はその他のCT用基準要求に適合する放射線検出器を用いることが望ま
しい。
5.4.3 試験手順
この細分箇条に従って実施する試験は,製造業者が指定した代表的な成人及び小児の頭部又は体幹部の
プロトコル要素がヘリカルスキャン用である場合は,ヘリカルスキャン用プロトコル要素を,ヘリカルス
キャン用プロトコル要素のX線ビーム制限幅に可能な限り近いX線ビーム制限幅(N×T)を用いたアキ
シャルスキャン用プロトコル要素に変換しなければならない。
その他のCT作動条件は,附属文書に記載しているように,ヘリカルスキャン用プロトコル要素のCT
作動条件に可能な限り近づけなければならない。プロトコル要素を上記のように変更する場合,この細分

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箇条では“代表的なプロトコル要素”として適用し続けなければならない。
CTDIw及びCTDIfree airを測定するために,各スキャンの代表的なCT作動条件は,撮影する線量測定用
ファントムの大きさに関係なく,臨床的に使用される実際の画像再構成表示領域(field of view)を反映す
るものでなければならない。
CTDI100測定で用いる線量測定用ファントムは,全ての体幹部用プロトコル要素に対して直径320 mmフ
ァントム,及び全ての頭部用プロトコル要素に対しては直径160 mmファントムを用いなければならない。
受入試験の場合,附属文書に記載しているとおりに,次の線量測定及び計算を実施しなければならない。
− 代表的な成人頭部及び成人体幹部のCT作動条件でのCTDIw
− 代表的な小児頭部及び小児体幹部のCT作動条件でのCTDIw
− 全ての公称X線ビーム制限幅でのCTDIfree air[公称X線ビーム制限幅以外の独立したCT作動条件は,
可能な限り附属文書に記載されている代表的な成人体幹部のCT作動条件とする(表1参照)。]
− 全ての設定管電圧でのCTDIfree air[設定管電圧以外の独立したCT作動条件は,可能な限り附属文書
に記載されている代表的な成人体幹部のCT作動条件とする(表1参照)。]
− 代表的な成人頭部のCT作動条件でのCTDIfree air
− 代表的な小児頭部のCT作動条件でのCTDIfree air
− 代表的な小児体幹部のCT作動条件でのCTDIfree air
附属文書に指定した(N×T)に対して少なくとも1回の測定が必要である。
N×T>40 mmの場合のCTDI100は,直接的には測定は不可能である(JIS Z 4751-2-44:2018の201.3.203
参照)。
それは(N×T>40 mmの場合のCTDI100),20 mm又は20 mmを超えないうちで,最も大きなN×Tの参
照X線ビーム制限幅に対するCTDI100及びCTDIfree airとともに,その(N×T>40 mmの場合における)N
×Tに対するCTDIfree airから計算しなければならない。
CTDIvolの定義を用いて,アキシャルスキャンをしたときの線量測定(CTDIw)からヘリカルスキャン時
の線量値が得られる。ヘリカルスキャンをしたときの線量の算出に用いられるCTDIw値は,アキシャルス
キャンのCT作動条件に対して,同じ又は可能な限り近いX線ビーム制限幅を用いて求めなければならな
い。
注記1 CTDIfree airは,ファントムを用いないことによって回転中心でのCT装置のX線出力の不変
性に対してCTDIwより感度が高い。一方,回転中心で測定するため,CTDIwに寄与する周辺
線量に反映されるX線ビーム形状フィルタのオフセンタ(Off-centre)効果を表していない。
注記2 公称X線ビーム制限幅は,N×Tと等価である。ここで,Nは,単一アキシャルスキャンで
生成されるスライスの数であり,Tは公称スライス厚である。
注記3 CTDIfree airを測定するその他の方法としては,線量プロファイルの測定及び十分な範囲のプ
ロファイルを積分することに基づいている。線量プロファイルは,IEC 61674に準拠した放
射線検出器を用いて測定可能である。例えば,小さな検出部をもつ線量計によってヘリカル
スキャンプロトコルを用いてアイソセンタを通して線量を均一に換算することで測定可能で
ある。附属書Bを参照。
注記4 JIS Z 4751-2-44:2012以前のCT装置の個別規格(JIS Z 4751-2-44)に従って設計したCT装
置は,それを設計した際のCT装置の個別規格(JIS Z 4751-2-44)によって決定したCTDIvol
を表示している。追加情報については,附属文書を参照。
注記5 JIS Z 4751-2-44:2012以前のCT装置の個別規格(JIS Z 4751-2-44)に従って設計した一部の

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CT装置は,160 mm径のCTDI線量測定用ファントムで決定した小児体幹部のCTDIvolを表
示している。追加情報については,附属文書を参照。
表1−成人体幹部用プロトコル要素のCTDIfree air試験パターン
管電圧の設定 公称X線ビーム制限幅の設定(N×Tの積)
X線ビーム X線ビーム X線ビーム X線ビーム X線ビーム
制限幅1 制限幅2 制限幅3 制限幅4 制限幅5
(代表値)
kV 1 測定
kV 2(代表値) 測定 測定 測定 測定 測定
kV 3 測定
表1で定義した試験パターンの事例に加えて,CTDIfree airは,代表的な成人頭部,代表的な小児頭部及
び代表的な小児体幹部のプロトコル要素における管電圧及びX線ビーム制限幅を用いて試験しなければな
らない。
5.4.4 データ評価
線量は,5.4.15.4.3に規定したCTDIw値及びCTDIfree air値を算出することによって決定しなければなら
ない。
注記 CTDIwは,直接的に測定せず,受入試験及び不変性試験においても線量測定用ファントムで測
定したCTDI100値を用いて計算することが周知されている。しかし,この細分箇条の線量デー
タの評価を明確にするために,受入試験及び/又は不変性試験のCTDI100の測定結果から得ら
れたCTDIwを,測定値として扱う。
測定したCTDIw値及びCTDIfree air値を,附属文書に記載している公称値の仕様と比較しなければならな
い。
CTDIvolは,次の四つの試験事例に対して評価しなければならない。
− 代表的な成人体幹部のCT作動条件に対するCTDIvolの値
− 代表的な成人頭部のCT作動条件に対するCTDIvolの値
− 代表的な小児頭部のCT作動条件に対するCTDIvolの値
− 代表的な小児体幹部のCT作動条件に対するCTDIvolの値
測定したCTDIw値を用いて,成人及び小児における代表的な頭部及び体幹部のCT作動条件に対する
CTDIvolを算出しなければならない。四つの試験事例ごとに,算出したCTDIvolと制御盤に表示された
CTDIvolとを比較しなければならない。
5.4.5 適用する基準
計算したCTDIvol値は,制御盤に表示したCTDIvol値から±20 %又は±1 mGyのいずれか大きい方を超え
てはならない。
測定したCTDIw値及びCTDIfree air値は,指定した基準として,附属文書に記載した値及び許容範囲を超
えてはならない。
5.4.6 不変性試験
5.4.6.1 追加の基準
不変性試験では,測定したCTDIfree air値又は測定したCTDIw値は,基礎値と比較しなければならない。
CTDIfree airの測定値は,基礎値から±20 %又は±1 mGyのいずれか大きい方を超えてはならない。

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CTDIwの測定値は,基礎値から±20 %又は±1 mGyのいずれか大きい方を超えてはならない。
さらに,5.4.5の受入試験の基準を適用しなければならない。
注記1 CTDIfree airは,ファントムを使わないことによって回転中心でのCT装置のX線出力の不変
性に対してCTDIwより感度が高い。一方,回転中心で測定するため,CTDIwに寄与する周辺
線量に反映されるX線ビーム形状フィルタのオフセンタ(Off-centre)効果を表していない。
注記2 放射線検出器の校正許容範囲を考慮しない場合,製造業者が規定した許容範囲よりも大きな
測定結果となる可能性がある。代表的な放射線検出器の精度は±5 %である。これには,放
射線検出器のエネルギーに依存した誤差を含んでいない。
通常,X線管の放射線出力は経時的に減少する。製造業者は,これを説明するために,−20 %を超える
放射線出力(CTDIfree air,CTDIw,CTDIvol)の許容範囲にしてもよい。
CTDIfree air又はCTDIwが基礎値と比較して20 %よりも減少していることが不変性試験の中で確認された
場合,線量の不変性試験は不合格となる。
減少した放射線出力測定の原因及びその他の取るべき処置(附属書F参照)を決定するために品質保証
計画に従うことが望ましい。
放射線出力の減少の潜在的な原因は,X線管それ自体(例えば,X線発生器の性能)に限定されない。
調査後,減少した放射線出力が,X線管の寿命の間の想定の範囲内の変化であり,製造業者の仕様の範
囲内にある場合,X線管のようなX線サブシステムの構成として製造業者によって置き換えることを要求
してはならないし,したがって,故障した部品とは考えてはならない。
さらに,新しい試験結果を用いて新しい基礎値を確立することが望ましい。
例として,製造業者は,放射線出力の公称値,特に±20 %の許容範囲をもつCTDIfree airを附属文書に規
定している。受入試験の際に決定したCTDIfree airの基礎値が,附属文書に記載されているCTDIfree airの公
称値より5 %大きい値として決められている。
その場合,不変性試験においては,CTDIfree airは,附属文書に規定された放射線出力の公称値より16 %
小さい値として,したがって,基礎値より21 %小さい値として測定される。
ここに,CTDIfree air測定が,基礎値より20 %を超えて低くなったことで,線量の不変性試験としては不
合格となる。しかし,CT装置としての放射線出力,特にCTDIfree airとしては±20 %の許容範囲にまだ入
っている。
5.4.6.2 試験の頻度
線量は,少なくとも1年に1回測定及び評価をしなければならない。
さらに,基礎値は主要な保守作業の実施後には,5.4.35.4.5に従って再設定及び評価をしなければなら
ない。
5.4.6.3 取るべき処置
試験器具(ファントム)の位置決め及び測定用の放射線検出器の校正は,測定結果に重大な影響を及ぼ
す可能性があることから,試験器具(ファントム)の再位置決めの後に測定を,最初に行うことが望まし
い。
5.4.2の仕様に合致する2台目の放射線検出器を,測定機器の保全性の検証に用いてもよい。
5.4.5の基準に測定又は測定値が適合しない場合には,施設の品質保証計画ごとに適切な処置を取らなけ
ればならない。
取るべき処置の指針を,附属書Fに示す。

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5.5 平均CT値,ノイズの大きさ及び均一性

5.5.1 概要
平均CT値及びノイズの大きさは,均一な材質の試験器具(ファントム)の表示画像内の,中心での関
心領域におけるCT値の平均及び標準偏差を算出することによって評価しなければならない。
均一性は,均一な材質の試験器具(ファントム)の画像内,数箇所の関心領域における平均CT値によ
って評価しなければならない。
平均CT値,ノイズの大きさ及び均一性は,それぞれアキシャル又はヘリカルスキャンを用いて次の代
表的なプロトコル要素を表すCT作動条件で評価しなければならない。
− 成人頭部
− 成人体幹部
− 小児頭部
− 小児体幹部
これらのプロトコル要素のCT作動条件は,附属文書に記載しなければならない。
分かりやすくするために附属書J(参考)には,平均CT値,ノイズの大きさ,及び均一性に関連する
受入試験及び不変性試験の要約した表を含めている。
5.5.2 試験機器
均一な物質を満たした,指定の大きさの円筒形をしたファントムを二つ用いなければならない。
− 外径が16 cm20 cmで,少なくとも16 cmの水の減弱当量をもつファントム(“小ファントム”とい
う。)
− 外径が30 cm35 cmで,少なくとも30 cmの水の減弱当量をもつファントム(“大ファントム”とい
う。)
品質保証試験のために提供された製造業者の画質ファントムが水ファントムでない場合,このファント
ムは附属文書に記載され,小ファントム又は大ファントムのいずれか一つにその総減弱が合致したものを
用いてもよい。
測定値を製造業者の許容範囲と比較するために,附属文書に指定したファントム及びCT作動条件で行
わなければならない。
ファントムは,ファントム内のその他の物体の直接照射又は散乱線によって,測定に悪影響を及ぼさな
いよう十分な長さにしなければならない。
前述のファントム仕様からの僅かな差異に対応するため,附属文書に指定がない限り,前述のファント
ムの仕様を適用しなければならない。
不変性試験について,小ファントムだけが必要になるが,大ファントムを任意で用いてもよい。
注記1 画質を評価する目的で,16 cmの水ファントムの総減弱は,5歳の平均サイズの体幹部に対す
る合理的なモデルである。さらに,このファントムは,5歳以上の小児患者の頭部に対する
合理的なモデルである。
注記2 ノイズの測定結果は,ファントムの実際の寸法及び材質によって変化する。
注記3 僅かな差異に対応できる例としては,ファントム内の水の外径が上記の最大値に等しいが,
ファントムの外径が,ファントムのシェルのために僅かに大きい場合である。
5.5.3 試験手順
ファントムは,CT作動条件に適切な配置をするための支持具を使って,アイソセンタ(回転中心)に
位置決めし,架台回転軸との位置決めをしなければならない。今後の不変性試験で試験を再現できるよう,

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JIS Z 4752-3-5:2021の引用国際規格 ISO 一覧

  • IEC 61223-3-5:2019(IDT)

JIS Z 4752-3-5:2021の国際規格 ICS 分類一覧

JIS Z 4752-3-5:2021の関連規格と引用規格一覧

規格番号
規格名称