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Z 4752-3-5 : 2021 (IEC 61223-3-5 : 2019)
ファントムの位置を記載し,記録しなければならない。
ファントムを支持する,例えば,患者指示器,頭部固定具又は専用のファントム固定具を製造業者は附
属文書に指定しなければならない。
ファントムを,附属文書に従ったCT作動条件で撮影する。全ての関連撮影パラメータ[スキャンモー
ド(すなわち,ヘリカル又はアキシャル)],管電圧,管電流,X線ビーム制限幅,再構成タイプ,関連す
る設定などを記録する。再構成された画像再構成表示領域(field of view)の最小直線部の長さはファント
ムの直径の130 %を超えてはならない。
5.5.4 撮影条件
5.5.4.1 受入試験の撮影条件
受入試験では,表2において識別されたファントムを撮影し,画像再構成のため5.5.1に記載している
プロトコル要素を用いなければならない。
表2−プロトコル要素の組合せ及び受入試験のスキャンに用いるファントム
プロトコル要素 ファントム
成人頭部 小ファントム
成人体幹部 大ファントムc)
小児頭部 小ファントム
小児体幹部 小ファントム
全ての管電圧を用いた成人体幹部a) 小ファントム又は大ファントム
全ての管電圧を用いた小児体幹部b) 小ファントム
注a) 代表的な成人体幹部プロトコル要素のCT作動条件は,附属文書に記載しているように,全ての選択可能
な管電圧にわたって管電圧を変化させながら繰り返して選択したファントムをスキャンして,選択した
ファントムの画像を再構成することに用いなければならない。選択可能な管電圧にわたってCTDIvolを維
持するためには,管電流及び回転速度を調整してもよい。小ファントム又は大ファントムのいずれかを
この一連のスキャンに用いてもよい。
b) 代表的な小児体幹部プロトコル要素のCT作動条件は,附属文書に記載しているように,全ての選択可能
な管電圧にわたって管電圧を変化させながら繰り返して小ファントムをスキャンして,小ファントムの
画像を再構成することに用いなければならない。管電圧の選択に当たってCTDIvolを維持するためには,
管電流及び回転速度を調整してもよい。
c) 受入試験の場合,成人体幹部プロトコル要素は,大ファントムをスキャンし,受入試験データの評価に
用いる画像の再構成をすることに用いなければならない。ただし,不変性試験の場合,使用者は成人体
幹部プロトコル要素で小ファントム又は大ファントムのいずれかを撮影してもよい。使用者が意図して,
成人体幹部プロトコル要素で小ファントムをスキャンする場合は,受入試験時に,今後の不変性試験の
基礎値を生成するために,小ファントムは,成人体幹部プロトコル要素を用いてスキャンし,画像を再
構成し,データ評価を実施しなければならない。これらの基礎値は,受入試験の目的で用いてはならな
い。ただし,基礎値は,附属文書に規定した公称値及び許容範囲に従っているかを確認しなければなら
ない。
注記 合理的に達成できる限りCTDIvolを維持する。
5.5.4.2 不変性試験の撮影条件
不変性試験では,表3において識別されたファントムを撮影し,画像再構成のため5.5.1に記載してい
るプロトコル要素を用いなければならない。
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Z 4752-3-5 : 2021 (IEC 61223-3-5 : 2019)
表3−不変性試験の撮影で用いるプロトコル要素及びファントムの組合せ
プロトコル要素 ファントム
成人頭部 小ファントム
成人体幹部 小ファントム又は大ファントムa)
小児頭部 小ファントム
小児体幹部 小ファントム
四つの管電圧を用いた成人体幹部b) 小ファントム又は大ファントム
低い方から二つの管電圧を用いた小児体幹部c) 小ファントム
注a) 代表的な成人体幹部プロトコル要素のCT作動条件は,附属文書に記載しているように不変性試験のため
に小ファントム又は大ファントムのいずれかをスキャンして画像を再構成する。
b) 不変性試験の場合,附属文書に記載しているように最低四つの管電圧(最低,最高,及び二つの中間)
を用いて成人体幹部プロトコル要素でスキャンして画像を再構成しなければならない。ただし,CT装置
において選択可能な管電圧が四つ未満の場合は,全ての管電圧を用いて不変性試験を実施しなければな
らない。小ファントム又は大ファントムのいずれかをこの一連のスキャンに用いてもよい。
c) 不変性試験の場合,附属文書に記載しているように,低い方から二つの管電圧(代表的な小児体幹部プ
ロトコル要素に関連する。)を用いて,代表的な小児体幹部プロトコル要素で小ファントムをスキャンし
て,画像を再構成しなければならない。
5.5.4.3 フィルタ補正逆投影法の使用
CT装置のハードウェア性能とノイズとの関係を維持するために,ノイズを評価する画像はフィルタ補
正逆投影法を用いて再構成しなければならない。フィルタ補正逆投影法が利用できない場合は,その試験
方法を附属文書に記載しなければならない。
注記 非線形再構成アルゴリズム(例えば,逐次近似再構成)は,光子統計に基づいてノイズとX線
ビーム出力との従来の関係とは切り離すことが可能である。したがって,非線形再構成は,ノ
イズ測定におけるX線管の陽極の劣化などのハードウェアの誤作動又は劣化の影響を見えなく
することが可能である。
5.5.4.4 データの評価
アキシャルスキャンで収集する場合,附属文書に記載されているように,平均CT値,均一性及びノイ
ズの大きさは,単一アキシャルスキャンで再構成したそれぞれの画像について評価しなければならない。
ヘリカルスキャンで収集する場合,平均CT値,均一性及びノイズの大きさは,ファントムの中心に近
い画像で評価する。画像の位置を附属文書に指定し,不変性試験のために用いなければならない。
評価のためのアキシャルスキャン又はヘリカルスキャンで再構成した全ての画像を,アーチファクト(例
えば,リング,ストリーク)及び画像内のCT値の見掛けの不均一性について,視覚的に又は計算を利用
して確認しなければならない。検査の結果に疑わしい画質が得られた場合,画像及び結果の独立したレビ
ューを行わなければならない。目に見える程度に画質への問題がある場合,施設の品質保証計画の規定に
従って処置を始めなければならない。取るべき処置の指針を,附属書Fに示す。
画像の中央部に関心領域を設定し,次の方法で評価及びサイズを決定する。
附属文書に記載された次の基準に従って,適切な大きさの関心領域でノイズの大きさ及び平均CT値を
算出し,記録する。
ファントムの均一な領域の外側と関心領域の外側の端とを附属文書に指定した距離だけ離して,適切な
大きさの関心領域を等間隔に4か所設定し,平均CT値を算出し,記録する。推奨距離は,1 cmである。
再現可能な位置になるように,これらの位置を設定しなければならない(例えば,時計の3時,6時,9
時及び12時の位置に対応させる。)。
――――― [JIS Z 4752-3-5 pdf 27] ―――――
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関心領域の大きさは,次の基準に従い決定しなければならない。
− 平均CT値測定について,関心領域の範囲は,ファントムの直径のおよそ10 %の円形領域の範囲に相
当していなければならない。小ファントムで小児プロトコル要素を使用した場合を除き関心領域の範
囲は,ファントムの直径のおよそ20 %の円形領域の範囲に相当していなければならない。
− ノイズの大きさ測定について,関心領域の範囲は,ファントムの直径のおよそ40 %の円形領域の範囲
及び中心に相当していなければならない。
− 平均CT値測定の中央部の関心領域は,平均CT値のファントム周辺部の関心領域と重複してはなら
ない。
中央部の関心領域にあるCT値の標準偏差によって測定したノイズの大きさは,附属文書に記載された
規定の値と比較しなければならない。
中央部の関心領域の平均CT値は,附属文書に記載された規定の値と比較しなければならない。
四つの均一性の値は,中央部の関心領域の平均CT値及び4か所の周辺部の各関心領域の平均CT値と
の差の絶対値を算出することによって決定しなければならない。これらの四つの均一性の値の最大値は,
附属文書に記載された仕様と比較しなければならない。
受入試験及び不変性試験の全ての測定値は,記録しなければならない。受入試験の測定値は,今後の不
変性試験の基礎値として設定してもよい。
注記 小児体幹部のプロトコル要素のスキャンで得られ測定された平均CT値は,低線量被ばくで撮
影した結果として統計的な変動が大きくなる可能性がある。安定した結果を得るには,より大
きな関心領域の設定が必要である。
5.5.5 受入試験に適用する基準
附属書I(参考)は,平均CT値,ノイズの大きさ,及び均一性に関連する受入試験及び不変性試験の
両方に対応する基準の概要を示す。
全ての測定値を記録しなければならない。この細分箇条に記載されている以外は,今後の不変性試験の
基礎値として設定してもよい。
· ノイズ
受入試験のノイズの大きさの基礎値は,附属文書の規定の値から±15 %又は±0.75ハンスフィールドユ
ニット(HU)のいずれか大きい方を超えてはならない。
· 平均CT値
5.5.2に規定している均一なファントムが,水ファントムの場合は,全ての関心領域で平均CT値の公称
値はゼロであり,また,中心部の関心領域の平均CT値は,その公称値以内でなければならない。
− 成人頭部プロトコル要素を用いた小ファントムのスキャン画像 : ±4ハンスフィールドユニット(HU)
− 成人体幹部プロトコル要素を用いた大ファントムのスキャン画像 : ±6ハンスフィールドユニット
(HU)
− 小児頭部プロトコル要素を用いた小ファントムのスキャン画像 : ±4ハンスフィールドユニット(HU)
− 小児体幹部プロトコル要素を用いた小ファントムのスキャン画像 : ±4ハンスフィールドユニット
(HU)
− 選択可能な管電圧で成人体幹部プロトコル要素を用いた小ファントム又は大ファントムのスキャン
画像 : ±6ハンスフィールドユニット(HU)
− 選択可能な管電圧で小児体幹部プロトコル要素を用いた小ファントムのスキャン画像 : ±6ハンスフ
ィールドユニット(HU)
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5.5.2に規定している均一なファントムが水ファントムではない場合は,全ての試験について公称平均
CT値及びその最大偏差を附属文書で規定し,これらの代替基準を満たしているか検証するための試験を
行わなければならない。さらに,製造業者の水ではない画質ファントムの代わりに5.5.2の基準に適合し
た水ファントムを使用した場合,平均CT値は水ファントム基準を満たさなければならない。
· 均一性
5.5.2に規定している均一なファントムが水ファントムの場合
− 全ての成人頭部プロトコル要素並びに全ての小児頭部プロトコル要素及び小児体幹部プロトコル要
素の画像の均一性の値は,4ハンスフィールドユニット(HU)を超えてはならない。
− 全ての成人体幹部プロトコル要素(管電圧の変動の有無にかかわらず)の画像の均一性の値は,8ハ
ンスフィールドユニット(HU)を超えてはならない。
− 管電圧の変動を伴う全ての小児体幹部プロトコル要素の画像の均一性の値は,8ハンスフィールドユ
ニット(HU)を超えてはならない。
5.5.2に規定している均一なファントムが水ファントムではない場合は,全ての試験について均一性及び
その最大偏差を附属文書で規定し,これらの代替基準を満たしているか検証するための試験を行わなけれ
ばならない。さらに,製造業者が指定した水を用いていない画質評価ファントムの代わりに,5.5.2の基準
に適合した水ファントムを用いた場合,均一性は水ファントムの基準を満たさなければならない。
5.5.6 不変性試験に適用する基準
5.5.6.1 追加の基準
全ての測定値を記録しなければならない。
· ノイズ
成人頭部,成人体幹部,小児頭部,及び小児体幹部プロトコル要素を用いたスキャンから得られた画像
のノイズの大きさの値は,基礎値から±10 %又は±0.5ハンスフィールドユニット(HU)のいずれか大き
い方を超えてはならない。
さらに,評価する画像のノイズの大きさの値は,受入試験の基準を適用しなければならない。
不変性試験において,選択可能な管電圧で成人体幹部プロトコル要素及び小児体幹部プロトコル要素の
両方を用いたスキャンによって得られた画像のノイズの大きさを評価する必要はない。したがって,均一
性も評価する必要はない。
X線管の使用回数が増加するにつれX線管の耐用回数を超えることで,X線出力が減少すると予想でき
ることに関しては,5.4.6.1を参照する。このX線出力の減少は,画像ノイズの増加として測定される。こ
の条件では画像ノイズが,その仕様内に収まる場合,CT装置はその臨床的有用性を維持していると仮定
することが可能である。
調査結果として,予想される変化のうちX線管の経年劣化によるX線出力の低下が,画像ノイズの増加
の原因になる場合,新たな試験結果を用いて改めて基礎値を設定することが望ましい。
· 平均CT値
中心部関心領域の平均CT値は,基礎値に対して次の範囲でなければならない。
− 小ファントムを用い,成人の頭部条件にて撮影した画像 : ±5ハンスフィールドユニット(HU)
− 大ファントムを用い,成人の体幹部条件にて撮影した画像 : ±7ハンスフィールドユニット(HU)
− 小ファントムを用い,小児の頭部条件にて撮影した画像 : ±5ハンスフィールドユニット(HU)
− 小ファントムを用い,小児の体幹部条件にて撮影した画像 : ±5ハンスフィールドユニット(HU)
− 小ファントム又は大ファントムを用い,管電圧を変化させて,成人の体幹部条件にて撮影した画像 :
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±7ハンスフィールドユニット(HU)
− 小ファントムを用い,管電圧を変化させて,小児の体幹部条件にて撮影した画像 : ±7ハンスフィー
ルドユニット(HU)
さらに,受入試験の際の平均CT値の基準を適用しなければならない。
注記 平均CT値について不変性試験と同一の基準は,水ファントム及び水を満たしていないファン
トム両方に適用する。
· 均一性
不変性試験に関しては,管電圧を変化させて撮影した成人体幹部のプロトコル要素及び管電圧を変化さ
せて撮影した小児体幹部のプロトコル要素,いずれも,ノイズの大きさを評価する必要はない。また,均
一性に関しても同様である。
5.5.2で規定した試験器具が,水を満たしたファントムの場合,
− 小ファントムを用い,成人頭部,成人体幹部,小児頭部,及び小児体幹部のそれぞれのプロトコル要
素で撮影した画像の均一性は,4ハンスフィールドユニット(HU)を超えてはならない。
− 大ファントムを用い,成人体幹部のプロトコル要素で撮影した画像の均一性は,8ハンスフィールド
ユニット(HU)を超えてはならない。
5.5.2で規定した均一なファントムが,水を満たしたファントムではない場合,均一性及びその最大偏差
は,代替の基準に適合することを検証したうえで,全ての試験に関し附属文書で指定しなければならない。
さらに,製造業者で指定した水でない画質試験用ファントムに代えて,5.5.2の基準に適合した水を満たし
たファントムを使用した場合,均一性の値は,水を満たしたファントムの基準に適合しなければならない。
5.5.6.2 試験の頻度
少なくとも1年に1回,5.5.3及び5.5.4で定義する受入試験の手順全体を実施し,不変性試験に対する
評価を行わなければならない。
少なくとも月1回,代表的な成人頭部条件を用いファントムを撮影し,5.5.3の手順に従って画像再構成
を行い,5.5.4に従って少なくとも一つの中央位置の画像について,ノイズの大きさ及びCT値の大きさを
評価し,5.5.6.1の関連する基準に適合しなければならない。さらに,これらの画像を用い,5.5.4.4に記載
されているアーチファクトの検査を行わなければならない。
5.5.6.3 取るべき処置
取るべき処置の指針を,附属書Fに示す。
注記 その他の点では原因不明のノイズの大きさの低減が,気が付かない線量増加によって起こる場
合がある。
5.6 空間分解能(高コントラスト)
5.6.1 概要
空間分解能は,線又は点広がり関数(PSF)のフーリエ変換から適切に得られた変調伝達関数(以下,
MTFという。)曲線によって,最適に表現される。
注記 非線形再構成法(例えば,逐次近似再構成)は,CTハードウェアの性能と空間分解能との関係
を切り離すことが可能である。これらのタイプの再構成法は,空間分解能が,コントラスト及
び/又はノイズに依存する結果となる。
5.6.2 附属文書にて提供する情報
附属文書には,再構成パラメータを含む試験器具で用いられたCT作動条件,次のプロトコル要素の
MTF曲線における10 %及び50 %の箇所に対応する公称値及び許容範囲を示さなければならない。次のプ
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