JIS Z 8402-4:1999 測定方法及び測定結果の精確さ(真度及び精度)―第4部:標準測定方法の真度を求めるための基本的方法 | ページ 3

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Z 8402-4 : 1999 (ISO 5725-4 : 1994)
併行標準偏差が未知の場合には,
sw
S= (26)
n
となる。
試験室のかたよりの95%信頼区間は次のように計算することができる。
−Aw 曰曰 +Aw (27)
ただし,Awは式(20)で与えられている。 爰 知の場合には,その推定値srを代わりに用いなければな
らない。
この信頼区間が0を含むならば,試験室のかたよりは有意水準5%で有意ではないこととなり,0を含ま
ないならば有意ということになる。
試験室のかたよりはJIS Z 8402-6でも更に考察されている。

6. パネルへの報告書とパネルによる決定事項

6.1 統計解析者による報告書

  統計解析が完了したら,統計解析者は報告を書き,パネルに提出しなければならない。この報告書には
以下の情報が与えられなければならない。
a) 測定方法の規定内容についてオペレータ及び/又は監督者から受理した所見にかかわる一切の報告;
b) 外れ試験室として除外された試験室に関わる一切の報告;
c) 発見された外れ値,及びこれらが説明付けられ,訂正されたか,又は除外されたかに関わる一切の報
告;
d) 適切な平均と精度に関する尺度の最終結果を示す表;
e) 標準測定方法が認められた標準に対して有意なかたよりを持つかどうかの声明書。もし,有意なかた
よりを持つのならば,各測定水準毎にかたよりの大きさの推定値を報告しなければならない。

6.2 パネルによる決定事項

  パネルは統計解析者の報告について議論し,以下の質問に関する決定を下すことが望ましい。
a) 不整合な測定結果があるか? もしあれば,それは標準測定方法の記述の欠陥に起因するか?
b) 外れ試験室として除外された試験室に対し,どのような処置をとることが望ましいか?
c) 外れ試験室の結果及び/又は,オペレータ及び/又は監督者から受理した意見は,標準測定方法を改
善する必要性を示しているか? その場合,どのような改善が必要か?
d) 精確さ評価実験の結果は,測定方法を標準として採用することを正当化しているか? その公表に関
して,どのような処置をとるのか?

7. 真度の値の利用

  JIS Z 8402-1 : 1999の7.を参照せよ。

――――― [JIS Z 8402-4 pdf 11] ―――――

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Z 8402-4 : 1999 (ISO 5725-4 : 1994)
附属書A(規定) JIS Z 8402で用いられる記号
a 関係式s=a+bmの切片 s 標準偏差の予測値
A 推定値の不確かさを計算するのに用いる係 T ある表示の総和
数 t 試験対象または群の数
b 関係式s=a+bmの勾配 UCL 上側管理限界(処置限界または警戒限界)
B 全平均と試験室の測定値の偏差を表す成分 W 重み付き回帰式の計算で用いられる重み係
(かたよりに占める試験室成分) 数
B0 Bの成分の中で中間精度条件の下では変わ w 一組の測定値の範囲
らない,すべての要因 x グラッブス検定に用いられるデータ
B(1), B(2), など Bの成分の中で中間精度条件で変化 y 測定値
する要因 y 測定値の算術平均
c 関係式logs=c+dlogmの切片 y 測定値の全平均
C, C, C” 検定統計量 愀 有意水準
Ccrit, Ccrit, C”crit
統計的検定の棄却限界値 戀 第二種の過誤の確率
CDP 確率Pの許容差 最 再現標準偏差と併行標準偏差の比 ( 刀
CRP 確率Pの許容範囲 試験室のかたより
d 関係式logs=c+dlogmの勾配 定値
e 測定値の成分中,すべての測定値に生じて 測定方法のかたより
いる偶然誤差 定値
f 許容範囲の係数 二つの試験室または二つの測定方法間のか
Fp (v1, v2) 分子の自由度v1,分母の自由度v2のF分 たよりの検出可能な差
布のp分位点 試験特性の真値または参照値
G グラッブスの検定統計量 v 自由度
h マンデルの試験室間一致性の検定統計量 方法AとBの併行標準偏差間の検出可能な
k マンデルの試験室内一致性の検定統計量 比
LCL 下側管理限界(処置限界または警戒限界) 標準偏差の真の値
m 試験特性の一般平均;水準 最終校正からの時間経緯に起因する変動を
M 中間精度条件において考慮される因子の数 表す測定値の成分
N 反復数 方法AとBの試験室間平均平方の平方根の
n 一つの試験室で一つの水準(すなわち,セ 検出可能な比
ルごと)で得る測定値の数 v)
自由度vの 布におけるp分位点
p 共同実験に参加した試験室数
P 確率 添え字に用いる記号
q 共同実験における試験特性の水準数 C 校正法が異なることを示す
r 併行精度限界値(許容差) E 装置が異なることを示す
R 再現精度限界値(許容差) i 特定の試験室を示す添え字
RM 標準物質 I ( ) 中間精度に関する添え字,かっこ内に中間
s 標準偏差の推定値 精度条件のタイプの識別子を記述する

――――― [JIS Z 8402-4 pdf 12] ―――――

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j 特定の水準に関する添え字 (JIS Z 8402-2) オペレーターが異なっていることを示す
分析の一群あるいは要因に関する添え字 P 確率
(JIS Z 8402-3) r 併行精度
k 試験室iにおける水準jのk番目の測定値を R 再現精度
示す添え字 T 時間が異なることを示す
L 試験室間を示す W 試験室内を示す
m 検出可能なかたよりに関する添え字 1, 2, 3··· 測定値の得られた順序を示す
M 試験試料間を示す (1), (2), (3), ··· 測定値の大きさの順序を示す

――――― [JIS Z 8402-4 pdf 13] ―――――

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附属書B(参考) 精確さ評価実験の例

B.1 実験の概要

  鉄鉱石のマンガン含有量の原子吸収法による定量について,精確さ評価実験が,ISO/TC 102(鉄鉱石)
によって行われた。鉄鉱石試料として用いられたのは表B.1に示した参照値 ( ‰ 物質(測
定水準)である(表B.1の値は試験室には知らせなかった)。各試験室は,ランダムに選択された各測定水
準の測定用試料のびんを2本ずつ受け取り,各びん毎に2回分析を繰り返し実行した。2本ずつのびんを
用いるシステムの狙いは,びん間の変動が存在しないことを確認することである。分析は次のように行わ
れた。びん間の変動が存在しないことが確認された場合,4回の分析結果は併行条件における繰り返しと
見なし得る。分析の結果,びん間変動は有意でないことが示され,試料は均一と考えられた。こうして,
各試験室の測定結果は併行条件における繰り返しと見なすことができた。分析結果は表B.2に示した。5
種の試験物質(測定水準)の試験室平均と分散を表B.3に示す。
表B.1 鉄鉱石のマンガン含有量 : 参照値
測定水準 1 2 3 4 5
参照値 %Mn)0,010 0 0,093 0 0,401 0 0,777 0 2,530 0

B.2 精度の評価

  分析方法の精度を評価するために,データはJIS Z 8402-2に示された方法で分析された。各測定水準で
の測定結果は図B.1図B.5に示した。
コクランの検定,およびグラッブズの検定に基づいて,外れ値が識別された。それらは,表B.4に示さ
れている。図B.1図B.5の枠で括られた点は測定結果が1%外れ値と識別されたものを示している。表
B.4によれば,7つの試験室からの結果が1%外れ値として識別されている。その中で,5つが2つの試験
室(試験室10,19)から生じている。1つの試験室の結果は5%外れ値として識別されているが,これも
同一の試験室(試験室10)から生じている。
hとkの値を図B.6,図B.7に示す。hの値(図B.6)は明らかに試験室10が非常に低めの結果を得てい
ることを示している。その結果の2つ(測定水準2,3)が1%外れ値として識別されたのである。従って,
試験室10の結果をすべて除外することが決定された。これを,特別な注意の対象とし,この問題は解決さ
れるべきである。加えて,試験室7の測定水準1がグラッブズ検定により1%外れ値と識別され除外され
た。kの値(図B.7)は試験室10,17,19が他の試験室と比べて若干試験室内分散が大きい傾向があるこ
とを示している。ここで再び,これらの試験室を調べる,あるいは必要ならば測定方法の手順書を綿密に
するといった適切な処置がなされるべきである。解析に際して,コクランの検定で識別された1%外れ値
は除外することが決められた。すなわち,試験室19の測定水準3,5及び試験室17の測定水準5がそれに
該当する。
併行標準偏差,再現標準偏差はこれら除外したデータを含めずに計算された。この計算の結果は,表B.5
にまとめられ,測定水準毎に図B.8に描かれている。図B.8によれば,含有量の水準と精度の間の適切な
関係として,一次関数が妥当なように思われる。併行標準偏差及び再現標準偏差と含有量の水準との単回
帰式は次のようになる。
sr=0.000 579+0.008 85m

――――― [JIS Z 8402-4 pdf 14] ―――――

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sR=0.000 737+0.015 57m

B.3 真度の評価

  測定方法の真度は,式(18)を用いて測定方法のかたよりの95%信頼区間を計算し,それが0を含むか否
か(表B.5)で評価される。測定水準3,4,5では,信頼区間は0を含むので,この測定方法のかたより
はマンガンが高濃度の測定水準3,4,5では有意でないこととなる。測定水準1,2では信頼区間が0を含
まないので,かたよりはマンガンが低濃度の測定水準1,2では有意となる。

B.4 更なる解析

  補助的解析,例えばyと      湖     帰分析を行えば,データから更なる情報を引き出せるであろう。
表B.2 鉄鉱石のマンガン含有量 : 分析の結果 (%Mn)
試験室 びん 測定水準
No. No. 1 2 3 4 5
1 1 0,0118 0,0121 0,0880 0,08750,408 0,407 0,791 0,791 2,584 2,560
2 0,0121 0,0121 0,0865 0,08670,407 0,408 0,794 0,801 2,535 2,545
2 1 0,0131 0,0115 0,0894 0,08610,411 0,405 0,760 0,766 2,543 2,591
2 0,0115 0,0115 0,0887 0,08670,406 0,399 0,766 0,783 2,516 2,567
3 1 0,0118 0,0112 0,0864 0,08490,410 0,403 0,752 0,767 2,526 2,463
2 0,0110 0,0104 0,0867 0,08960,408 0,400 0,755 0,753 2,515 2,493
4 1 0,0107 0,0121 0,0881 0,08920,402 0,402 0,780 0,750 2,560 2,520
2 0,0114 0,0121 0,0861 0,08740,404 0,402 0,777 0,750 2,600 2,520
5 1 0,0120 0,0128 0,0904 0,09040,404 0,400 0,775 0,775 2,470 2,510
2 0,0112 0,0128 0,0862 0,08700,404 0,396 0,770 0,780 2,500 2,480
6 1 0,0111 0,0110 0,0892 0,08930,402 0,398 0,786 0,782 2,531 2,514
2 0,0110 0,0111 0,0900 0,08640,408 0,404 0,780 0,772 2,524 2,494
7 1 0,0088 0,0095 0,0893 0,08950,390 0,390 0,754 0,762 2,510 2,521
2 0,0070 0,0086 0,0859 0,08860,395 0,395 0,758 0,756 2,500 2,513
8 1 0,0115 0,0112 0,0823 0,08230,390 0,396 0,761 0,765 2,501 2,499
2 0,0113 0,0113 0,0828 0,08290,400 0,389 0,770 0,766 2,507 2,490
9 1 0,0123 0,0120 0,0862 0,08660,414 0,414 0,765 0,765 2,523 2,520
2 0,0117 0,0118 0,0865 0,08760,411 0,414 0,765 0,765 2,521 2,508
10 1 0,0095 0,0086 0,0780 0,07200,390 0,370 0,746 0,730 2,530 2,580
2 0,0092 0,0084 0,0780 0,07300,392 0,374 0,750 0,738 2,510 2,610
11 1 0,0125 0,0125 0,0900 0,08900,405 0,395 0,790 0,780 2,520 2,520
2 0,0130 0,0125 0,0890 0,08950,400 0,405 0,785 0,790 2,530 2,520
12 1 0,0125 0,0130 0,0885 0,08900,405 0,395 0,790 0,780 2,535 2,525
2 0,0115 0,0130 0,0890 0,08750,405 0,390 0,775 0,790 2,550 2,495
13 1 0,0125 0,0116 0,0842 0,08320,399 0,399 0,784 0,777 2,523 2,523
2 0,0121 0,0116 0,0832 0,08280,398 0,399 0,782 0,777 2,527 2,537
14 1 0,0116 0,0120 0,0898 0,08900,418 0,416 0,797 0,800 2,602 2,602
2 0,0098 0,0116 0,0900 0,09020,415 0,415 0,801 0,790 2,592 2,602
15 1 0,0108 0,0112 0,0871 0,08600,399 0,400 0,775 0,774 2,488 2,495
2 0,0112 0,0111 0,0883 0,08610,397 0,401 0,783 0,773 2,503 2,485
16 1 0,0109 0,0108 0,0846 0,08580,392 0,400 0,779 0,769 2,528 2,516
2 0,0111 0,0110 0,0849 0,08550,396 0,397 0,751 0,753 2,528 2,525
17 1 0,0100 0,0110 0,0849 0,08800,409 0,410 0,766 0,794 2,571 2,380
2 0,0100 0,0100 0,0830 0,08900,392 0,402 0,755 0,775 2,429 2,488
18 1 0,0117 0,0102 0,0880 0,08810,405 0,404 0,771 0,773 2,520 2,511
2 0,0125 0,0103 0,0868 0,08820,402 0,403 0,778 0,763 2,514 2,503
19 1 0,0099 0,0128 0,0945 0,09050,398 0,375 0,770 0,767 2,483 2,351
2 0,0118 0,0128 0,0924 0,08840,418 0,382 0,799 0,760 2,485 2,382
参考 表の中では,小数点としてコンマ (, ) を用いている。

――――― [JIS Z 8402-4 pdf 15] ―――――

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  • ISO 5725-4:1994(IDT)

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