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表I.2−比較的平たんな周波数スペクトルをもつ騒音源の500 Hz4 000 Hzの周波数及び
A特性音響パワーレベルに関するσR0を決める不確かさのバジェットの例
量 推定a) 標準不確かさa) 確率分布 感度係数a)
dB ui ci
L'p(ST)測定面上の時間平均音圧レベ L'p(ST) Ls 正規 1
'(ST) rep
p
110ΔLp /10
ルの平均 1
S 測定面の面積 S r /3 一様 8.7/r
10log10 S
0
K1 暗騒音補正値 K1 sLp(B) 正規 1
ΔLp /10
10 1
C1 特性音響インピーダンスの基 C1 0 一様 1
準化に関する補正
C2 音響放射インピーダンスに関 C2 0.2 三角形 1
する補正
C3 空気の音響吸収に関する補正 C3 0.1 C30.3 C3 一様 1
攀 環境における反射 K2 K2 正規 1
騒音計 0 0.3 正規 1
椀 サンプリング 0 '
V1/ n 正規 1
攀
愀最 角度 0 1.1 一様 1
rd0 ) 2
11.3(/
攀 方法 0 0 正規 1
注a) 表中に示す量は,数値例として示す。
I.4.2.3 測定面の面積
半径rの測定面の面積に関する不確かさは,usurf= 一 この不確かさが範囲± 爰湎
様分布になっているという仮定に基づいている。
感度係数csurfは,rに関するLWの偏導関数から求めることが可能である。測定面の面積をS=2πr2とす
ると,感度係数はcsurf=8.7/rとなる。
極端なシナリオとして,rのレンジ 爰 爰 ┰ 不確かさ寄与usurf csurfは0.4 dBとなる
さらに,注意深い測定を行えば,0.1 dBの不確かさを実現することが可能である。
I.4.2.4 暗騒音補正
暗騒音補正値K1による不確かさ uは,測定面上の一つのマイクロホンで繰り返して測定した暗騒音の
K1
Ls
レベル値の標準偏差 から求められる。
p(B)
暗騒音 Lp(B) による感度係数 cは,
K1 Lp(B) に関する音響パワーレベルLWの偏導関数から求めることが可
能である。式(11)のK1を置き換えることによって,感度係数は次のように表される。
1
cK1 ΔLp /10
10 1
Lp(ST) p(B) /10
これは, cK1 10 と表すことも可能である['(ST)
Lp の代わりに補正をした Lp(ST) を用いて]。
この例で,暗騒音は3 dBの標準偏差をもつと仮定すると,騒音が低い装置の場合には 瀰 柿 感
度係数が c=1となるような極端なケースが起こり得る。このような最悪のケースでは,不確かさに対す
K1
る全寄与は0.3 dBとなる。ただし,通常,騒音源は暗騒音に比べてはるかに大きな音を出しているので,
不確かさは0.01 dB以下になる。この不確かさは,暗騒音の変動を小さくすることによって減少させるこ
とが可能である。暗騒音を下げることによって,感度係数を小さくすることが可能である。測定面の面積
を1/2にするごとに,暗騒音の影響を3 dBずつ小さくすることが可能である。不確かさ uは,平均化時
K1
――――― [JIS Z 8732 pdf 51] ―――――
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間を4倍にするごとに,半分にすることが可能である。
I.4.2.5 気象補正
特性音響インピーダンスの基準化に関する補正C1については,不確かさは無視できてu=0(dB)とし
C1
てよい。この補正は測定に直接影響し,c=1で,全不確かさ寄与は0
C1 dBである。
音響放射インピーダンスに関するC2 [式(15),式(16),式(23)及び式(24)]の補正をした後に残る不確か
さは,u=0.2
C2 dBである。この補正は測定に直接影響するので,c=1で,全不確かさ寄与は0.2
C2 dBであ
る。静圧101.325 kPa(海面の高さ)及び気温23 ℃の基準気象条件で測定を行えば,不確かさ寄与は小さ
くなる。更に正確な補正の仕方は,適切な騒音試験規程で規定するか,測定器メーカが提供する。
空気の音響吸収に関する補正C3の音響パワーレベルLWに対する不確かさ寄与は,減衰係数 愀 f)がJIS Z
8738:1999から求められるとすれば,cu=0.1C3である。それに代って,9.4.4.1の注記3に記載した近似
C3C3
によってC3が推定できれば,不確かさ寄与は cu=0.3C3となる。この不確かさ寄与は,1
C3C3 000 Hzで半径
2 mの測定では無視できる程度であるが,10 000 Hzで8 mの半径の測定では0.5 dBまで大きくなり得る。
これらの結果は,C3がα0r(f/10 000)によって近似できるとの仮定で求められている。ここで,α0=0.2
(dB/m),u0
懿 0.1/3(dB/m)(分母は, 愀湎i c
布の仮定による)である。これによる感度係数は,
0
=r(f/10 000)となる。C3の不確かさに対する大きな寄与は 愀 柿 その他のf及びrの要素は無視
してもよい。
I.4.2.6 試験環境における反射
附属書Aによって評価される試験室内の環境における反射に起因する不確かさuenvは,次のように近似
することが可能である。
2
a r
uenv
3NM rmax
ここで,NMは測定点の数,aは測定した音圧レベルの理論的レベルからの偏差の上限値(表A.1に許容
値が示されている)の平均値,rは測定面の半径,rmaxはaを評価した距離である。
他の環境では,不確かさは,ISO 3744[6]で規定している環境補正値K2で近似することが可能である。
特定の騒音源について,附属書Bの二面法を用いる場合には,K2 1.5(S1/S2)δである。吸音材の量が少な
く,寸法がきわめて大きな試験室では,ISO 3744[6]に規定している環境補正の方法で,K2=10log10[1+
4(S/A) ](dB)で算出してよい。ただし,Aは試験室の等価吸音面積(m2)である。
測定環境における反射の条件が変化すると測定結果に直接影響を与え,感度係数はcenv=1となる。極端
なシナリオとしては,uenv=0.4 dBで,全不確かさ寄与は0.4 dBとなる。更に代表的な場合として,半無
響室で測定半径がrmaxの70 %である場合,中音域では全不確かさ寄与は0.1 dBとなる。測定距離を短くす
るか測定点を増やすことによって,全不確かさ寄与を小さくすることが可能である。
I.4.2.7 騒音計
JIS C 1509-1によれば,測定機器の不確かさuslmは,クラス1でuslm=0.5 dBである。騒音計の不確かさ
は,測定レベル値に直接影響するのでcslm=1であり,全不確かさ寄与は,通常,0.5 dBとしてよい。しか
し,国立研究機関の無響室における実際的な経験からは,その差は0.3 dBに近い。騒音計の不確かさに影
響を与える諸要因の詳細は,JIS C 1509-1に示されている。
I.4.2.8 サンプリング
マイクロホン位置の数を限定していることによる不確かさは,次のとおりである。
――――― [JIS Z 8732 pdf 52] ―――――
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uL'(ST) I
p
umic
NM NM
ここに, VI : 面上音圧レベル不均一指数(3.24参照)
NM : マイクロホン位置の数
サンプリングは全不確かさに直接影響するので,cmic=1である。極端なシナリオとして,マイクロホン
位置の数を20とした場合,この規格では,測定値の幅を10 dB以下に限定しているので,umicの最大値は
1.1 dBである。無響室で比較的寸法が小さい騒音源を測定する場合を考えると,不確かさ寄与は0.25 dB
程度と考えられる。マイクロホン位置の数を増やすか,測定距離を長くすることによって,不確かさ寄与
を小さくすることが可能である。
I.4.2.9 角度
音響エネルギーの入射角度による不確かさをuangleとする。音響インテンシティを音圧で近似することに
よって,音響パワーが過大に評価されがちである。半球測定面の場合,この過大評価の程度は,入射音の
角度及びインピーダンス(すなわち,騒音源の異なる部分が放射する音の音響インテンシティ及びコヒー
レンス)に依存する。過大評価は,0[{−2/[1−1.3(r/d0)2]}](dB)の間の値となる。ただし,d0は,騒音源
の特性音源寸法である。騒音源の最も高い位置の角に近い局部的な位置から音が放射される場合に,過大
評価が最大になる可能性が高い。反射面上の自由音場に設けた半球測定面の場合には,標準偏差は,次の
とおりとなる。
1.1
uangle 2
(dB)
11.3(/rd0 )
個々の周波数帯域では,不確かさuangleは,マイクロホンの指向性の影響を受ける。4 000 Hz以下の周波
数で1/2インチマイクロホンを用いる場合には,上に示す式は妥当である。それより高い周波数では,こ
の不確かさは次第に小さくなり,30°の指向性レスポンスが音響インテンシティプローブの指向特性に近
づく。10 000 Hzでuangle=0(dB)となり,それより高い周波数では,過小評価を避けるために騒音源の方
向に向ける必要がある。
ISO 3744[6]に規定している感度係数cangleは環境補正値K2の関数で,K2<0.5 dBで約1である(uenv参照)。
8.1で,最小のrは2d0であるので,最悪の場合にuangle=0.26 dBである。多くの場合,測定半径は最小値
よりも大きいので,不確かさに対する全寄与は,uanglecangle=0.1 dBである。この不確かさ寄与は,測定半
径を大きくするか,uangleのバイアス成分を補正することによって,小さくすることが可能である。ただし,
バイアス補正の大きさは騒音源によって異なるので,それぞれの騒音試験規程で規定する必要がある。
I.4.2.10 測定方法
自由音場における測定は音響測定の基準であり,測定方法に起因する不確かさの値umethodは0 dBで,不
確かさ寄与umethodcmethodは0 dBである。
I.4.2.11 σR0の代表的な値
I.4.2.2I.4.2.10に記載した事項の中の代表的な量を用いて,また入力量の間の相関が無視できるとすれ
ば,式(I.2)で表されるσR0は,次のとおりとなる。
R0 0.12 0.12 0.012 02 0.22 02 0.12 0.32 0.252 0.12 02 0.48 (dB)
I.4.2.12 各周波数帯域における測定
全ての周波数帯域において相関をもつ系統的な不確かさは,個々の帯域及びA特性値で同じ不確かさと
――――― [JIS Z 8732 pdf 53] ―――――
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なる。その例は,測定距離に起因するusurf及び測定角度に起因する 愀最 椰 歹 奎
ラメータで,u及び
C2 椰 関係にある場合が多い。
各周波数帯域における不確かさの間に相関がない場合には,A特性値の不確かさは,個々の周波数帯域
における不確かさよりも小さい。例えば,周波数帯域幅と時間との積に起因する不確かさは,多くの帯域
を足し合わせることによって小さくなる。その他の例としては,uL'(ST) ,u,
p K1
攀 び 椀 椰
個々の周波数帯域における不確かさubandに関連する感度係数cbandは,次の式で表される。
L /10
10 band
cband
10LA /10
ここに, Lband : 関連する周波数帯域における音圧レベル(dB)
LA : A特性音圧レベル(dB)
A特性音圧レベルの全不確かさは,次の式で表される。
2
uA uband )
(cband
ただし,ubandは,関連する周波数帯域の測定不確かさである。
A特性音圧レベルと周波数帯域ごとの音圧レベルにおける不確かさとの比較から,相関の程度を見るこ
とが可能である。例えば,表1の中の再現性の標準偏差σR0には相関がないという仮定に立てば,100 Hz
から10 000 Hzまでスペクトルが平たんであるとすると,A特性音圧レベルのσR0は,僅か0.27 dBとなる。
この値は,表1に示す値より0.23 dB小さく,これは0.4 dBの小さな不確かさ成分で周波数帯域の間に相
関があることを示している。
I.5 合成標準不確かさ
入力量の間の相関が無視できる場合には,音響パワーレベルの算出における合成標準不確かさu(LW)
(dB)は,式(I.3)で表される。
2 2 2 2
( W)
uL tot R0 omc ii )
(cu omc (I.3)
i
I.6 再現性データに基づく測定不確かさ
不確かさ寄与及び入力量の間の相関に関するデータがない場合には,箇条10に規定されている再現性の
標準偏差の値は,音響パワーレベルの算出における合成標準不確かさの推定値u(LW)とみなしてよいであ
ろう。その場合には,包含係数kを選べば,積kσtotによって設定した包含確率の条件における拡張測定不
確かさUを見積もることが可能である。慣例として,通常は95 %の包含確率が選ばれ,正規分布を仮定
すれば,両側包含係数は2となる。誤解を避けるために,拡張測定不確かさとともに包含確率も試験報告
書に記載するのがよい。
I.7 国立研究機関における基準音源に関する不確かさの原因となる諸要因の例
I.7.1 一般事項
この箇条で示す不確かさは,500 Hz4 000 Hzの間の周波数又はA特性音響パワーレベルの算出に妥当
であると仮定する。
I.7.2 不確かさに対する寄与,σomc
基準音源は,障害物が全くない空間で,硬くて平たんな床の上に置かれているので,音源の設置方法に
――――― [JIS Z 8732 pdf 54] ―――――
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関する不確かさは無視してもよい。製造業者が示している気温,気圧及び回転速度などの作動条件に関す
る補正をした結果,σomc=0.04 dBとなった。
I.7.3 不確かさに対する寄与,σR0
次に,不確かさのリスト及びσR0に関する説明を示す。
uL' cL' =0.10 dB : 音源の安定性は高く,比較的理想的な測定環境であるので,この不確かさパラメ
p(ST) p(ST)
ータの効果は,0.10 dBと小さく見積もることが可能である。
usurf csurf=0.05 dB : 測定半径は2 mまで取ることが可能で,測定は±20 mmの間で可能である。そこで,
usurf=0.012 m及びcsurf=4.35 dB/mとすることが可能である。
uc=0.00
K1 K1 dB : 基準音源は,90 dBのA特性音響パワーレベルを放射することが可能で,これは考え得
る暗騒音のレベルに比べて十分に大きい。これによって,感度係数 cは極めて小さいと考えられ,この不
K1
確かさ寄与は無視してもよい。
uc=0
CC
1 1
dB : 特性音響インピーダンスの基準化に関する補正の不確かさは無視してもよい。
uc=0
C2 C2dB : 製造業者が提供する気象条件に関する補正は,作動条件に関する不確かさに含まれている。
この規格の中の気象補正は適用しないので,この不確かさも0とみなしてよい。
uc=0
C3 C3 dB : 空気の音響吸収による不確かさは,補正の後は無視してもよい。
uenvcenv=0.09 dB : 適正な距離rmaxを3 mとし,ばらつきをa=1.5 dBとすると,uenv=0.09 dBとなり,全
不確かさ寄与は0.09 dBとなる。
uslm cslm=0.25 dB : 基準音源に関しては,限りなく理想に近い環境で特性が測定されている。国立研究機
関では,類似の装置及び手法を用いている。これらの状況から,騒音計の使用に関する再現性は,極めて
高い。騒音計の不確かさに関する詳細は,JIS C 1509-1に規定されている。
umic cmic=0.08 dB : 1/3オクターブバンドの帯域では,音源からの直接音と反射面による虚音源からの反
射音との干渉によって,10 dB近いレベルの谷が生じる。A特性周波数重み付けをすることによってその
ような効果は減少するが,測定点の数が20であることによる標準偏差は約1 dBとなるので,umic=0.22 dB
とした。マイクロホン位置を150点に増やしたとしても,これらの値について効果はほとんどないので,
マイクロホン位置の数を20以上としたときには,150点としたときの不確かさに基づいて,umic=0.08 dB
と仮定することが可能である。
uanglecangle=0.02 dB : 測定半径を2 m,基準音源の寸法を0.3 mとすると,uangle=0.02 dBとなる。
umethodcmethod=0 dB : 自由音場における測定は,音響測定の基準である。
これらの値を用い,入力量の間の相関が無視できるとすれば,再現性に関する標準偏差は,次のように
表される。
R0 0.10 20.052 0.002 02 02 02 0.09 20.252 0.082 0.02 202 0.30 (dB)
I.7.4 合成標準不確かさ
式(I.3)に基づいて,音響パワーレベルの合成標準不確かさu(LW)は,次のように表される。
2 2
uL
( W) tot R0 omc 0.30 (dB)
拡張測定不確かさは,合成標準不確かさの2倍となる。すなわち,包含確率95 %で正規分布を仮定する
と,拡張測定不確かさは0.6 dBとなる。
――――― [JIS Z 8732 pdf 55] ―――――
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JIS Z 8732:2021の引用国際規格 ISO 一覧
- ISO 3745:2012(MOD)
- ISO 3745:2012/AMENDMENT 1:2017(MOD)
JIS Z 8732:2021の国際規格 ICS 分類一覧
- 17 : 度量衡及び測定.物理的現象 > 17.140 : 音響及び音響測定 > 17.140.01 : 音響測定及び雑音除去一般
JIS Z 8732:2021の関連規格と引用規格一覧
- 規格番号
- 規格名称
- JISC1508:2000
- 騒音計のランダム入射及び拡散音場校正方法
- JISC1509-1:2017
- 電気音響―サウンドレベルメータ(騒音計)―第1部:仕様
- JISC1513-1:2020
- 電気音響―オクターブバンド及び1/Nオクターブバンドフィルタ(分析器)―第1部:仕様
- JISC1515:2020
- 電気音響―音響校正器