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Z 8732 : 2021
附属書JB
(参考)
ISO 3745:2012における試験室の暗騒音に関する記載
JB.1 一般事項
ISO 3745:2012では,試験室(無響室又は半無響室)の暗騒音に関して,次の規定を設けている。
なお,括弧内の箇条番号は,ISO 3745:2012における箇条番号である。
JB.2 暗騒音に関する基準(5.2)
JB.2.1 暗騒音の相対的基準(5.2.1)
JB.2.1.1 一般事項(5.2.1.1)
全てのマイクロホン位置又はトラバース経路にわたって平均した測定対象騒音源の時間平均音圧レベル
(暗騒音が存在する条件における値)と暗騒音の時間平均音圧レベルとの差ΔLpは,全ての周波数帯域に
わたって6 dB以上でなければならない。中心周波数が250 Hz5 000 Hzの1/3オクターブバンドでは,10
dB以上でなければならない。これらの条件が成り立てば,この規格における暗騒音に関する基準は満たさ
れている。
注記1 単発性の騒音の時間積分音圧レベルについても,同じ基準を適用する。その場合,暗騒音の
時間積分音圧レベルの測定時間は,単発性の騒音の測定時間と同じとする。
注記2 マイクロホンのトラバース装置を用いる場合には,それによって発生する騒音は,暗騒音と
なる。
JB.2.1.2 周波数帯域ごとの測定(5.2.1.2)
試験室内の暗騒音が極めて低く,よく制御されていても,JB.2.1.1に規定した要求事項を,全ての周波
数帯域にわたって満たすことができないこともある。このような場合,暗騒音に関するJB.2.1.1の要求事
項を満たすためには,ある周波数帯域の暗騒音の補正をした測定対象騒音源のA特性周波数重み付けをし
た音響パワーレベル(附属書C参照)が,最大のA特性周波数重み付けをした音響パワーレベルとなって
いる周波数帯域の値に対して15 dB以上低い場合,その周波数帯域は,対象周波数範囲から除外してもよ
い。
JB.2.1.3 A特性周波数重み付け測定(5.2.1.3)
周波数帯域ごとのレベルからA特性音響パワーレベル又はA特性音響エネルギーレベルを算出し,報告
する場合,計算結果がこの規格の暗騒音に関する基準を満たしているかどうかを調べるために,次の計算
を行う。
a) 特性音響パワーレベル又はA特性音響エネルギーレベルを,この規格で規定する手順に従って対象
周波数範囲に含まれる全ての周波数帯域のデータから計算する。
b) 次に,中心周波数が200 Hz以下及び6 300 Hz以上の1/3オクターブバンドでΔLp<6 dBとなっている
周波数帯域,及び中心周波数が250 Hz5 000 Hzの1/3オクターブバンドでΔLp<10 dBとなっている
周波数帯域を除いて,a) の計算を繰り返す。
これらのレベルの差が0.5 dB未満であれば,全ての周波数帯域のデータから計算したA特性音響パワー
レベル又はA特性音響エネルギーレベルは,この規格の暗騒音に関する基準を満たして求められたとして
よい。
――――― [JIS Z 8732 pdf 61] ―――――
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Z 8732 : 2021
JB.2.2 暗騒音の絶対値による基準(5.2.2)
測定時における試験室内の暗騒音のレベルが,対象周波数範囲全体にわたって表JB.1に示す値以下であ
れば,6 dB及び10 dBの要求事項(JB.2.1.1参照)を全ての周波数帯域で満たしていなくても,この規格
の暗騒音に関する要求事項を満たしているとして測定を行ってよい。そのような場合,6 dB及び10 dBの
要求事項を満たさない周波数帯域では,音源の放射音が低い,又は測定不可能なレベルであると考えるこ
とが可能で,報告するデータは,これらの周波数帯域で音響パワーレベル又は音響エネルギーレベルの上
限を示していると考えてよい。
音源から可能な限り近い距離(箇条8参照)で測定した音圧レベルが表JB.1に示す値以下である周波数
帯域がある場合,騒音源による音圧レベルが表JB.1に示す値を超える最低及び最高の周波数の間の連続し
た周波数帯域に,対象周波数範囲を限定してもよい。そのような場合,対象とする周波数帯域を報告しな
ければならない。
表JB.1−試験室内の暗騒音の最大値に関する絶対値による基準
各周波数帯域における最大音圧レベル
1/3オクターブバンド中心周波数
Hz dB
50 44
63 38
80 32
100 27
125 22
160 16
200 13
250 11
315 9
400 8
500 7
630 7
800 7
1000 7
1250 7
1600 7
2000 7
2500 8
3150 8
4000 8
5000 8
6300 8
8000 12
10000 14
12500 11
16000 46
20000 46
JB.2.3 暗騒音の基準を満たさない場合の記載(5.2.3)
JB.2.1で規定した相対値による基準及びJB.2.2で規定した絶対値による基準のいずれも満足しない場合
には,この規格の暗騒音に関する要求事項を満たしていない旨を,明確に報告する。周波数帯域別の測定
――――― [JIS Z 8732 pdf 62] ―――――
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の場合には,基準を満たさない周波数帯域を明示する。このような場合,報告書にISO 3745:2012に“完
全に適合して”測定を行ったと記載又は暗示してはならない。
JB.3 音響パワーレベルの算出における暗騒音の補正(9.4.2)
測定対象騒音源が作動している間に,i番目のマイクロホン位置又はi番目のマイクロホントラバースで
測定した時間平均音圧レベルに対する1/3オクターブバンドごとの暗騒音補正値K1iを,式(JB.1)によって
計算する。
Lpi /10
K1i 10log(110
10 ) (JB.1)
ここに, ΔLpi=L'pi(ST)−Lpi(B)
ただし,L pi(ST) : 騒音源の作動中に,i番目のマイクロホン又はi番
目のマイクロホントラバースで測定した1/3オク
ターブバンド時間平均音圧レベル(dB)
Lpi(B) : i番目のマイクロホン又はi番目のマイクロホント
ラバースで測定した暗騒音の1/3オクターブバン
ド時間平均音圧レベル(dB)
椢最 湘 には,K1iは0 dBとする。
中心周波数が200 Hz以下及び6 300 Hz以上の1/3オクターブバンドで,6 dB≦ 槿 15 dBの場合には,
式(JB.1)によってK1iを計算する。
中心周波数が250 Hz5 000 Hzの1/3オクターブバンドで,10 dB≦ 槿 15 dBの場合には,式(JB.1)に
よってK1iを計算する。
中心周波数が200 Hz以下及び6 300 Hz以上の1/3オクターブバンドで, 槿 6 dBの場合には,K1iは
1.26 dB( 槿 6 dBの場合の値)とする。中心周波数が250 Hz5 000 Hzの1/3オクターブバンドの一つ
又はそれ以上の帯域で, 槿 10 dBの場合には,K1iは0.46 dB( 槿 10 dBの場合の値)とする。いずれ
の場合にも,試験報告書に図及び表で明記し,それらの周波数帯域で測定対象騒音源の音響パワーレベル
の上限値であることを示す。
JB.4 音響エネルギーレベルの算出における暗騒音の補正(9.5.2)
測定対象騒音源が作動している間に,i番目のマイクロホン位置で測定した時間積分音圧レベルに対す
る1/3オクターブバンドごとの暗騒音補正値K1iを,式(JB.2)によって計算する。
,,/10
LETi
K1i 10log(110
10 ) (JB.2)
ここに, ΔLE,T,i=L'E,T,i(ST)−LE,T,i(B)
ただし,L E,T,i(ST) : 騒音源の作動中に,i番目のマイクロホンで測定
した1/3オクターブバンド時間積分音圧レベル
(dB)
LE,T,i(B) : i番目のマイクロホンで測定した暗騒音の1/3オク
ターブバンド時間積分音圧レベル(dB)
T,i≧15 dBの場合には,K1iは0 dBとする。
中心周波数が200 Hz以下及び6 300 Hz以上の1/3オクターブバンドで,6 dB≦ T,i<15 dBの場合には,
式(JB.2)によってK1iを計算する。
中心周波数が250 Hz5 000 Hzの1/3オクターブバンドで,10 dB≦ T,i<15 dBの場合には,式(JB.2)
によってK1iを計算する。
中心周波数が200 Hz以下及び6 300 Hz以上の1/3オクターブバンドで, T,i<6 dBの場合には,K1i
――――― [JIS Z 8732 pdf 63] ―――――
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は1.26 dB( T,i=6 dBの場合の値)とする。
中心周波数が250 Hz5 000 Hzの1/3オクターブバンドの一つ又はそれ以上の帯域で, T,i<10 dBの
場合には,K1iは0.46 dB( T,i=10 dBの場合の値)とする。いずれの場合にも,試験報告書に図及び表
で明記し,それらの周波数帯域で測定対象騒音源の音響エネルギーレベルの上限値であることを示す。
――――― [JIS Z 8732 pdf 64] ―――――
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附属書JC
(参考)
自由音場における音響パワーレベル及び音響エネルギーレベルの
測定の原理並びに気象補正
JC.1 一般事項
この規格による音響パワーレベル及び音響エネルギーレベルの測定は,無響室又は半無響室の内部の自
由音場を利用する方法に基づいている。この附属書では,その測定の原理と,音響パワーレベル及び音響
エネルギーレベルの算出式に含まれている気象補正の項(C1,C2及びC3)の意味及び導出を示す。
JC.2 音響パワーレベルの測定原理
測定対象騒音源を取り囲んで,無響室では球,半無響室では半球の測定面を設定する。その測定面を通
過する音響インテンシティ(単位面積を通過する音響パワー)I(W/m2)を,式(JC.1)のとおり,測定面全
体について面積分した量は,騒音源が放射する音響パワーP(W)に等しい。
P IS
d (JC.1)
S
2
自由音場では,音響インテンシティI(W/m2)と音圧の実効値peff(Pa)の間に I peff/c(ただし,ρc
は空気の特性音響インピーダンス)の関係があるので,式(JC.1)は式(JC.2)となる。
1 2
P dS
peff (JC.2)
c S
すなわち,測定面上の音圧の実効値の2乗を測定面全体について面積分することによって,騒音源の音
響パワーPが求められる。実際の測定では,測定面を細かいセグメントに分割し,各セグメント(面積 :
Si)を代表する点の音圧の実効値peff,iを測定して,式(JC.3)によって騒音源の音響パワーPを求める。
N
1 2
P Spi (JC.3)
eff,i
ci1
ここに, N : セグメントの数
全てのセグメントの面積が等しい場合には,各セグメントを代表する点の音圧の実効値の2乗を全ての
2
セグメントについて平均した値 pから,式(JC.3)によって騒音源の音響パワーPが求められる。
eff
S 2
P peff (JC.4)
c
ここに, S : 測定面の全面積(m2)
ここで,レベル表示における基準値として規定されている基準音響パワーP0(1 pW)と基準音圧p0(20
μPa)との間には,式(JC.5)の関係がある。
S0 2
P0 p0 (JC.5)
c
00
ここに, S0 : 基準面積(1 m2)
ρ0c0 : 基準の特性音響インピーダンス(400 Ns/m3)
この関係を用いて,式(JC.4)をレベル表示すると,式(JC.6)のとおり,騒音源の音響パワーレベルLW(dB)
の算出の基本式が得られる(3.3及び3.20参照)。
――――― [JIS Z 8732 pdf 65] ―――――
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JIS Z 8732:2021の引用国際規格 ISO 一覧
- ISO 3745:2012(MOD)
- ISO 3745:2012/AMENDMENT 1:2017(MOD)
JIS Z 8732:2021の国際規格 ICS 分類一覧
- 17 : 度量衡及び測定.物理的現象 > 17.140 : 音響及び音響測定 > 17.140.01 : 音響測定及び雑音除去一般
JIS Z 8732:2021の関連規格と引用規格一覧
- 規格番号
- 規格名称
- JISC1508:2000
- 騒音計のランダム入射及び拡散音場校正方法
- JISC1509-1:2017
- 電気音響―サウンドレベルメータ(騒音計)―第1部:仕様
- JISC1513-1:2020
- 電気音響―オクターブバンド及び1/Nオクターブバンドフィルタ(分析器)―第1部:仕様
- JISC1515:2020
- 電気音響―音響校正器