JIS Z 8732:2021 音響―音圧法による騒音源の音響パワーレベル及び音響エネルギーレベルの測定―無響室及び半無響室における精密測定方法 | ページ 3

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5 試験室

5.1 試験室の適性に関する音響的基準

  この規格によって測定を行うための無響室又は半無響室は,次の条件のいずれかを満たす必要がある。
a) 一般的な目的のための測定では,対象周波数範囲全体にわたって附属書Aに規定する条件。
b) 特定の騒音源の音響パワーレベル又は音響エネルギーレベルを測定する場合には,対象周波数範囲全
体にわたって附属書Bに規定する条件。
附属書A,附属書JA及び附属書Bでは,理想的な自由音場又は半自由音場の条件からの偏差の程度を
評価する手順を規定し,試験室の適性を評価するための基準を示す。
A特性音圧レベルが,3.11に規定した対象周波数範囲外の高い又は低い周波数帯域の成分で決まってい
る騒音源については,それらの周波数帯域を含むように周波数範囲を広げなければならない。また,その
旨を,試験報告書に記載する。

5.2 暗騒音に関する基準

  対象周波数範囲(3.11参照)の1/3オクターブバンドごとに,測定面上の固定マイクロホン又はマイク
ロホントラバースで測定対象騒音源が作動している間に測定した時間平均音圧レベルと暗騒音の時間平均
音圧レベルとの差ΔLpが20 dB以上の場合は,暗騒音の影響は無視することが可能である。
ΔLpが20 dBより小さい場合は,9.4.2によって暗騒音の補正を行う(図2参照)。
単発性の騒音の時間積分音圧レベルについても,同じ規定を適用する。その場合,暗騒音の時間積分音
圧レベルは,単発性の騒音の測定時間と同じ時間にわたって測定する(9.5.1参照)。暗騒音の補正は,9.5.2
による。
A特性周波数重み付けによる測定にも,この規定を適用する。
マイクロホントラバースによる測定では,それによって発生する騒音が暗騒音となるので,トラバース
装置を作動しながら暗騒音を測定する。
なお,ISO 3745:2012における試験室の暗騒音に関する規定を,附属書JBに参考として示す。この附属
書によった場合には,その旨を試験報告書(箇条12参照)に記載する。

5.3 気温に関する基準

  試験室内の気温は,15 ℃30 ℃の間でなければならない。
注記 箇条9に示す音響パワーレベル及び音響エネルギーレベルの計算式には,多種類の騒音源を対
象とするために,多様な音響発生機構(モノポール,ダイポール,四極子など)を包含するた
めの近似による係数が含まれており,計算結果の偏差を0.2 dB以下に保つために,気温の範囲
を限定している。

6 測定装置

6.1 音響測定のための測定器

6.1.1 一般事項
音圧レベルの測定に用いる機器は,マイクロホン,ケーブル,ウインドスクリーン,録音装置及びその
他の附属品を用いる場合には,それらを含めてJIS C 1509-1のクラス1の要求事項に適合するものを用い
る。周波数分析に用いる機器は,JIS C 1513-1のクラス1の要求事項に適合するものを用いる。
マイクロホンは,その基準方向(JIS C 1509-1に規定)が測定面に垂直になるように設置する。
6.1.2 校正
測定に先立って,JIS C 1515のクラス1の要求事項に適合する音響校正器を用いて,一つ又はそれ以上

――――― [JIS Z 8732 pdf 11] ―――――

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の周波数で音圧レベルの測定システム全体の感度を校正する。測定の後にも感度を点検し,調整をしない
で読み値の変化が0.3 dB以下であることを確認する。読み値の変化がこの値を超えている場合には,測定
データは破棄する。
6.1.3 検証
音圧レベルの測定器,周波数分析機器,フィルタ及び音響校正器の要求事項に対する適合性は,有効な
適合証明書によって検証する。必要な場合,マイクロホンのランダム入射応答は,JIS C 1508の規定によ
って検証する。全ての適合性試験は,関連する試験及び校正の実施を認定されているか,又は国の認可を
受けた機関で,かつ,適切な測定標準に対して計量的なトレーサビリティを保証することができる機関に
よって実施する。
国が別の規定をしていない限り,音響校正器は1年を超えない期間で校正することを推奨する。また,
測定システムのJIS C 1509-1の要求事項に対する適合性,及び周波数分析器のJIS C 1513-1の要求事項に
対する適合性は,2年を超えない期間で検証することが望ましい。

6.2 気象観測のための測定器

6.2.1 一般事項
気象条件に関する測定器の最大許容誤差は,次のとおりとする。
a) 温度の測定器 : ±1 ℃
b) 相対湿度の測定器 : ±10 %
c) 静圧の測定器 : ±2 kPa
6.2.2 検証
気象条件を測定するために用いる測定器に関しては,測定量が規定の範囲内であることを,製造業者の
仕様によって検証する。
気象条件のいずれかの測定量が測定結果に直接影響を及ぼす場合には,測定器の要求事項に対する適合
性は,関連する校正の実施を認定されているか,又は国の認可を受けている機関で,かつ,適切な測定標
準に対して計量的なトレーサビリティを保証することができる機関が発行する有効な校正証明書によって
検証する。

7 測定対象騒音源の特定,配置,設置及び作動

7.1 一般事項

  測定対象騒音源の設置及び作動の仕方は,騒音源からの音響パワー又は音響エネルギーの放射に大きな
影響を与える可能性がある。この箇条では,測定対象騒音源の設置及び作動条件による騒音の放射の変化
を最小限にするための条件を規定する。測定対象騒音源が属する機械類及び装置類について騒音試験規程
がある場合には,それによる。測定対象騒音源の音響パワーレベル又は音響エネルギーレベルの測定では,
設置,据付け及び作動条件は,同一とする。
特に,機械が大型の場合には,どの構成部品,組立部品,補助装置,駆動源などの組合せが測定対象の
騒音源に入るかを決める必要がある。

7.2 補助装置

  測定対象騒音源に接続された電気配線,配管,空気ダクトなどが,試験室内に大きな音を出していない
ことを確認する。
可能な場合には,測定対象騒音源の作動に必要な全ての補助装置で本体の一部でないものは,試験室の
外に置く。それが不可能な場合には,それらから試験室内に放射する音を最小限にするように注意を払う。

――――― [JIS Z 8732 pdf 12] ―――――

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取り外すことが不可能,又は発生音を小さくすることが不可能な補助装置などがあれば,それらも含めて
測定対象騒音源とする。

7.3 騒音源の配置

  騒音源を試験室内に設置する場合,測定面が箇条8の要求事項に適合する形で騒音源を取り囲むことが
できるように,騒音源の周囲に十分な空間を取ることが重要である。
設置条件の詳細は,この規格の一般的要求事項によるが,関連する騒音試験規程に具体的な要求事項が
規定されている場合には,それによる。

7.4 騒音源の据付け

7.4.1 一般事項
多くの場合,測定対象騒音源が放射する音響パワー又は音響エネルギーは,騒音源の支持又は据付け条
件によって変化する。騒音源の据付け条件が決まっている場合には,それに従うか,又はそれに近い条件
とする。
騒音試験規程に特に指定がない限り,騒音源となる機器の製造業者が指定又は推奨する据付け条件に従
う。特に据付け条件が指定されていない場合,指定されていても測定では不可能な場合,又は多様な据付
け方がある場合には,据付け方によって騒音源からの音の放射が変化しないように注意する。騒音源を載
せる構造物からの音の放射が少なくなるように注意する。
寸法が小さな騒音源では,それ自体からの低周波数の音の放射が小さくても,据付け方によっては騒音
源からの振動が大きな面に伝わって,音の放射が大きくなる場合もある。支持面への振動の伝達を防ぐと
ともに,支持面から騒音源に対する反動を防ぐために,可能ならば測定対象騒音源を弾性支持する。その
場合,据え付けるベースが振動して音を放射しないように,硬くて十分に大きな機械インピーダンスをも
っている必要がある。ただし,このような弾性支持は,測定対象騒音源が実際に弾性支持して用いられる
場合に限る。
主要な駆動部分とそれによって作動する機械との結合条件が,測定対象騒音源からの音の放射に大きな
影響を与えることもある。
7.4.2 手持ち形の機械及び装置
手持ち形の騒音源は,手で持って測定するか,何かで支持するとしてもそれに振動が伝わって音が放射
されないように注意する。騒音源を作動するために何らかの支持が必要な場合には,支持器具は,測定対
象騒音源の一部とみなせるようになるべく小さくし,騒音試験規程がある場合には,その条件に合わせる。
7.4.3 床置き形,壁付け形及び卓上形の機械及び装置
床置き形,壁付け形及び卓上形の機械及び装置は,反射性(音響的に剛)の面(床又は壁)に設置する。
床置き形で壁に面して設置する機械·装置類は,音響的に剛な壁に面して音響的に剛な面上に設置する。
卓上形の機械·装置類は,騒音試験規程でテーブル又はスタンドへ設置することが規定されていない限り,
試験室の壁から少なくとも1.5 m以上離れた床上に設置する。テーブル又はスタンドは,試験室の吸音性
の面から少なくとも1.5 m離して置く。この種の機械·装置類は,標準試験卓の面上の中心に置く。
注記 標準試験卓の一例が,JIS Z 8737-1(対応国際規格 : ISO 11201[18])に示されている。

7.5 測定中の騒音源の作動

  固定されたものでも動くものでも,騒音源が放射する音響パワー又は音響エネルギーは,負荷,運転速
度及び運転条件によって変化する。可能な限り,騒音源は再現性が保たれ,代表的な使用条件で最も騒音
が大きい状態で測定する。騒音試験規程がある場合には,それによるが,それがない場合には,次のa)
g) の運転モードのうち,一つ又はそれ以上を選んで,測定を行う。

――――― [JIS Z 8732 pdf 13] ―――――

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a) 騒音源に特定の負荷と条件を与えた場合。
b) 騒音源に最大負荷を与えた場合[a) の条件と異なる場合]。
c) 騒音源に負荷をかけない場合(アイドリングの状態)。
d) 騒音源を決められた条件内で最高の運転速度にした場合。
e) 騒音源を通常の使用状態で発生音が最大になるように作動した場合。
f) 騒音源に決められた条件内で模擬的な負荷をかけた場合。
g) 騒音源を決められた条件内で特定のサイクルで作動した場合。
音響パワーレベル又は音響エネルギーレベルの測定の前に,安定した温度の条件で駆動源及び伝達系を
動かし,騒音源を適正な作動条件に安定させておく。負荷,速度及び運転条件のいずれも,測定中は一定
に保つ,又は定められた作動サイクルに従って変化させる。
加工する材料の種類及び切断道具の設計などの二次的な条件によって,音響パワー又は音響エネルギー
の放射が変化する場合には,その変化をなるべく小さくし,通常の使用条件を代表するように,これらの
条件を実際的な範囲で調整する。模擬的な負荷の条件とする場合には,測定対象騒音源の音響パワーレベ
ル又は音響エネルギーレベルが通常の使用状態を代表するように,条件を設定する。

8 測定面

8.1 無響室における球測定面

  球測定面は,その中心を測定対象騒音源の音響中心に一致させる。その場合,真の音響中心が分かって
いる場合はその点とし,それが分からなければ,騒音源の幾何学的な中心のような仮想的な音響中心とす
る。測定半径r(m)は,次の全ての条件を満たさなければならない。
a) ≧2d0,ただし,d0は,測定対象騒音源の特性音源寸法(m)(3.14及び図1参照)
b) ≧λ/4,ただし,λは,測定対象の最低周波数の音の波長(m)
c) ≧1 m
測定面は,附属書A又は附属書Bの規定を満たした無響室の中に全体が入るように設定する。
寸法が小さく,発生音も小さい騒音源で,対象周波数範囲が限られている場合には,測定半径が1 m未
満になることもあるが,0.5 m未満にはしない。ただし,a) 及びb) の条件から,測定半径を1 m未満に
すると,測定が可能な周波数に限界が生じる。
球測定面の全面積は,S1=4πr2(m2)である(9.4.4.1及び9.5.4.1参照)。

8.2 半無響室における半球測定面

  半球測定面は,その中心が試験室の床面上で測定対象騒音源の仮想的な音響中心の直下の点になるよう
に設定する。音響中心は,真の音響中心が分かっている場合はその点とし,それが分からなければ,騒音
源の幾何学的な中心とする。測定半径r(m)は,次の全ての条件を満たさなければならない。
a) ≧2d0又はr≧3h0のうちで,大きい方とする。ただし,d0は測定対象騒音源の特性音源寸法(m)(3.14
及び図1参照),h0は床から騒音源の音響中心までの高さ(m)。
b) ≧λ/4,ただし,λは測定対象の最低周波数の音の波長(m)。
c) ≧1 m
測定面は,附属書A又は附属書Bの規定を満たした半無響室の中に全体が入るように設定する。
寸法が小さく,発生音も小さい騒音源で,測定周波数範囲が限られている場合には,測定半径が1 m未
満になることもあるが,0.5 m未満にはしない。ただし,a) 及びb) の条件から,測定半径を1 m未満に
すると,測定が可能な周波数に限界が生じる。

――――― [JIS Z 8732 pdf 14] ―――――

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半球測定面の全面積は,S2=2πr2(m2)である(9.4.4.2及び9.5.4.2参照)。
2 2 2
a) 無響室 : d0 l1
(/2) l2
(/2) l3
(/2)
2 2 2
b) 半無響室 : d0 l1
(/2) (l2 /2) l3
図1−無響室及び半無響室内に設定する基準箱,測定面の中心
(騒音源の幾何学的中心とした場合)及び特性音源寸法 : d0

9 音響パワーレベル及び音響エネルギーレベルの算出

9.1 試験室内における測定

  無響室及び半無響室における測定の両方について,測定の手順が決められている。これらの試験室が附
属書A又は附属書Bの規定(5.1参照)を満たしていれば,これらの手順を適用してよい。
A特性音圧レベルが3.11に規定した対象周波数範囲外の高い又は低い周波数帯域の成分で決まっている
騒音源を対象とする場合には,対象周波数範囲を広げて,それらの周波数帯域を含めてA特性音響パワー
レベルLWA又はA特性音響エネルギーレベルLJAを算出し,その旨を試験報告書に記載する。

9.2 気象条件の測定

  測定時には,騒音源の周囲の気象条件(気温,静圧及び相対湿度)を測定する。

9.3 マイクロホン位置

9.3.1 一般事項
環境条件が,測定用マイクロホンに有害な影響を与えることがある。このような影響(例えば,測定対
象騒音源による強い電磁場,空気の排出による気流の衝突など)は,マイクロホンの適切な選択及び配置
によって避ける必要がある。
球又は半球の測定面上の時間平均音圧レベル又は時間積分音圧レベルを求めるために,次の4種類のマ
イクロホン配列のいずれか,又は9.3.7の規定を満たすように測定者が考えた配列を設定する。
a) 固定マイクロホンの配列で,位置は測定面上に分布させる(9.3.2及び9.3.3参照)。この方法による場
合,一つのマイクロホンを順次移動させる方法によってもよいし,多くの固定マイクロホンを用いて,
順次又は同時に測定する方法をとってもよい。
b) 一つのマイクロホンを,測定面上に等間隔に設定した多数の円経路に沿って移動する,又はマイクロ
ホンを固定しておいて,騒音源を360°又はその倍数の角度にわたって回転する(9.3.4参照)。

――――― [JIS Z 8732 pdf 15] ―――――

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JIS Z 8732:2021の引用国際規格 ISO 一覧

  • ISO 3745:2012(MOD)
  • ISO 3745:2012/AMENDMENT 1:2017(MOD)

JIS Z 8732:2021の国際規格 ICS 分類一覧

JIS Z 8732:2021の関連規格と引用規格一覧