JIS Z 8754:1999 真空技術―質量分析計形リークディテクター校正方法 | ページ 2

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Z 8754 : 1999 (ISO 3530 : 1979)
2.6.3 走査する (scan) (v) サーチガスのピークを得るのに必要な電圧(又はほかの等価なパラメーター)
を含んだ範囲で,リークディテクターのイオンの加速電圧(又はほかの等価なパラメーター)を変化させ
ることをいう。
2.6.4 同調する (tune) (v) リーク検出技術において,サーチガスに対する応答が最大となるようにリー
クディテクターの一つ又は幾つかの制御系を調節することをいう。走査制御だけの手段で行う同調を“ピ
ーキング”と呼ぶ。
2.6.5 ゼロ調する (zero) (v) リークディテクターの出力指示を,表示スケールのゼロ点又はほかの点に
置くために,バッキングオフ又はゼロ調節系を調節することをいう。

2.7 相対気体濃度

 (Relative gas concentration)
2.7.1 濃度比 (concentration ratio) モル比と同じ(2.7.2参照)。
2.7.2 モル比 (mole fraction) 混合気体中の全原子(分子)数に対するその中のある混合成分の原子(分
子)数の比。理想気体では,モル比は体積比と等しい値となる。一般に,リークディテクターは気体が理
想気体として振る舞う圧力範囲で動作する。濃度比と同じである。
2.7.3 分圧 (partial pressure) 混合気体中のある成分の分圧は,混合気体の全圧とその成分とのモル比又
は濃度比との積である。

2.8 感度の用語

 (Sensitivity terms)
2.8.1 感度 (sensitivity) 感度は,機器の出力の変化量を入力の変化量で除した値である。
2.8.2 最小可検信号 (minimum detectable signal) サーチガスによる出力信号で,ノイズとドリフトとの
合計とする。
2.8.3 最小可検リーク,最小可検リーク量 (minimum detectable leak, minimum detectable leak rate) 標
準空気リーク量で表される最小のリークで,リークディテクターで明確に検出できるもの(1.参照)。最小
可検リーク量は多くの要因に依存している。物理的には,イオン源でのサーチガスの体積流量(排気速度)
Qvi及び最小可検分圧pgに依存する。最小可検リーク量は,次の式で与えられる。
最小可検リーク量=pg×Qvi
最小可検リーク量は,最小可検信号を感度で除したものである。
備考 この規格の目的の一つは,バックグラウンド,体積流量(排気速度),時間の要因を考慮に入れ
て,最小可検リーク量を決定するための実際的な手順を規定することにある。
2.8.4 最小可検濃度比 (minimum detectable concentration ratio) スニッファー法に関連した用語で,あ
る最適な高い圧力に上昇させるような量の混合気体をリークディテクターに導入したとき,明らかに検出
できる空気中のサーチガスの最小の濃度比。この規格では,最小可検濃度比は既知の濃度比のヘリウムと
空気の混合気体に対する出力を観測することによって計算される。

2.9 時間の要因

 (Time factors)
2.9.1 時定数 time constant な入力の変化によって,機器又はシステムの出力が最終的に達する
(安定した)変化量に対して1−e−1又は63%に到達するまでの時間。
2.9.2 応答時間 (response time) ゼロ(又は小さなリーク量)の表示から,正(又はより大きなリーク量)
の表示へ変化したときの時定数。
2.9.3 クリーンアップ時間,クリアリング時間 (cleanup time,clearing time) 正のリーク量表示から,
ある小さな又はゼロのリーク量表示へ変化したときの時定数。

3. 試験条件

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3.1 雰囲気温度

 雰囲気温度は,23±7℃とする。

3.2 雰囲気圧力

 雰囲気圧力は,100kPa±5%とする。100kPa±5%を超える場合には,誤差が5%以内に
なるように適当な補正がなされなければならない。

3.3 リーク

3.3.1  一般 二つのリークが必要である。一つは小さなリーク量をもつリークであり,もう一つは大きな
リーク量をもつリークである。小さなリークは最小可検リーク量を決定するために使用され,大きなリー
クは最小可検濃度比を決定するために使用される。小さなリークは校正されたものであり,チャネル形又
はメンブレン形のものでよい。大きなリークはそのリーク量を可変できるような調節機能のついているも
のが好ましい。個々のリークは,次で詳細に規定する。
3.3.2 小チャネルリーク 圧力100kPa,温度23±7℃でヘリウムがリークを通してリークディテクターに
導入されたとき,チャート上の振れが最小可検信号の50倍以上になるようなリーク量をもつリーク(6.1.2
参照)。リークディテクターは,4.3に規定されているように調節する。リークに対して温度補正が規定さ
れ,この補正は使用時の温度と校正時の温度との差に対して適用される。
3.3.3 小メンブレンリーク この種のリークは内部に100kPa以上の圧力のヘリウムが封入されているリ
ークである。これは小チャネルリークで規定された振れを与える量のヘリウムリークである(3.3.2参照)。
このリークに対して温度補正が規定され,この補正は使用時の温度と校正時の温度との差に対して適用さ
れる。
3.3.4 大(調節可能)リーク 固定又は調節可能な粘性リークで,リークの導入側を大気の状態でリーク
ディテクターに接続したときに,リークディテクターの圧力を製造業者によって規定される最適な動作圧
力 (±50%) まで上昇できるように調節されたものである。

3.4 ヘリウム

 純度99%以上のヘリウム(容器入りで入手可能)である。

3.5 ヘリウム混合気体

 既知のヘリウム濃度をもったヘリウムと空気との混合気体で,圧力100kPa±5%,
温度23±7℃の条件下で大(調節可能)リーク(3.3.4参照)を通してリークディテクターに導入されたと
き,最小可検信号(6.1.2参照)の10倍以上の振れを生じさせるもの。可能ならば,ヘリウム混合気体の
代わりに空気を使ってもよい。いずれの場合も,混合するための空気は試験装置の置かれている建物の外
壁から少なくとも2m離れた位置から採取するとよい。ヘリウムの濃度比はCMの記号で表され,分子を1
として分数の形で表すとよい。又は,濃度比は混合気体の百万分の1に対するヘリウムの割合で表現する
こともある(体積で除した百万分の1の割合)。空気中のヘリウム濃度比は大体1/200 000又は5ppmであ
り,ヘリウムの混合気体を用意する場合には,このことを考慮されることが望ましい(2)。
注(2) ヘリウムの空気中の容積比は最新のデータでは,5.24ppmとなっている。
GLUECKAUF,E.,Compendium of Meteorology,T.F.Malone,ed.
(American Meteorological Society,Boston,1951),pp.3-10.

4. 装置

4.1 説明

4.1.1  リークディテクター

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4.1.1.1 ここで対象とするヘリウムリークディテクターは,基本的に質量分析計の原理を利用したガス分
析計である。分析管の中では,試験体からの気体がまずイオン化され,一連のイオンビームに分離される。
それぞれのビームは理想的には単一の気体種を表す(実際には,それぞれのビーム中のイオンは同じ質量
電荷比をもつ。)。ヘリウムリークディテクターには,ヘリウムイオンビームだけがイオンコレクターに達
するように“同調する”機能がある(機種によっては,ほかの気体にも対応するように同調できる。)。ビ
ームによって生じる電流は増幅され,その強度は分析管に入った気体の中のヘリウム分圧の尺度になる。
気体のイオン化は,熱フィラメントからの電子によって生成されると想定する。
4.1.1.2 リークディテクターは,分析管,分析管を真空に保持するための高真空システム,電源,イオン
電流増幅器から成っている。増幅器の出力はいろいろな方法で表示され得るが,ほとんどの場合,電気的
メーターで表示される。しかしながら,この規格の手順では,出力はチャート上に記録されることを想定
している。また,大きなリークが検出,測定できるように出力を減衰させる機能を備えている。言い換え
ると,リークディテクターはリーク量に応じて幾つかの検出レベルが設定できる。以下,このことを感度
の設定という。
4.1.1.3 分析管は試験体からの気体を受け入れ,かつ,真空に維持されなければならないため,外側から
分析管に気体を導くための導入配管が備えてある。導入配管は隔離するバルブ(導入バルブ)を備えてい
るものとする。同様に,圧力表示器も備えているものとし,分析管内部の圧力の観測用として,又は最大
規定動作圧力を超えないようにするために使用できる。
4.1.2 チャート記録計
4.1.2.1 チャート記録計は,リークディテクターの出力を記録するために少なくとも1時間の記録時間を
もつことが望ましい。
記録計の時定数は,リークディテクターの応答時間に誤差を生じさせないように十分小さいことが望ま
しい。
4.1.2.2 記録計と出力表示メーターとは,互いに影響を及ぼさないようにする。すなわち,それぞれのポ
インターの動きがほかに電気的な影響を与えないようにする。もし,記録計とメーターとが出力に並列に
接続されている場合には,出力インピーダンスに比べて200倍の入力インピーダンスをそれぞれがもって
いれば,この互いの影響は無視することができる。

4.2 試験の下準備

4.2.1  リークディテクターは,図1に示されるように補助システムに接続する(補助システムはリークデ
ィテクターの一部として組み込まれているものもある。)。
4.2.2 システム内ではゴム及びほかの有機物の露出表面積を最小限にすることが望ましい。なるべくなら,
このような表面はOリングの露出面だけにする方がよい。したがって,図1に示すリーク遮断バルブは全
金属製である方がよいが,いずれにしても大きなヘリウム放出源とならないことが望ましい。

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図1 試験用機器配置図

4.3 試験の準備

4.3.1  リークディテクターは,製造業者の仕様に合った電圧,周波数及び電源変動率をもつ電源に接続す
る。
4.3.2 リークディテクターは,試験を行う前に,製造業者の規定に従ったウォームアップをする。
4.3.3 リークディテクターは,製造業者が規定した手法によってヘリウムを最適に検出できるよう調節す
る。
4.3.4 リークディテクターの真空排気系が排気速度を調節できるようになっている場合,その設定を試験
の間中変えてはならない。
4.3.5 リークディテクターの感度が最高感度の設定になっているとき,記録計のフルスケールをリークデ
ィテクターの出力メーターのフルスケールに一致させる。次に,記録計のゼロも出力メーターのゼロに調
節する。

5. 試験の手順

5.1 一般

 最小可検リーク量及び/又は最小可検濃度比を決定するために,リークディテクターの感度
の限界に近いところでの動作を規定する必要がある。そこで,始めに最小可検信号をドリフトとノイズか
ら決定する。引き続いて,校正リークを基にして機器の総合感度を決定する。

5.2 最小可検リーク(量)

5.2.1  ドリフト及びノイズの決定
5.2.1.1 リークディテクターを最高感度に設定し,導入バルブを閉じた状態で,リークディテクターの出
力を記録計に接続する(4.3参照)。
5.2.1.2 分析管のフィラメントが点火している状態で,リークディテクターのバッキングオフ(ゼロ)調
節系を調節して,記録計の出力がフルスケールの約50%になるようにする。
5.2.1.3 20分間又は出力が正のドリフトの場合には,フルスケールに到達するまでの間,負のドリフトの
場合にはゼロ点に到達するまでの間,出力を記録する。

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5.2.1.4 5.2.1.3で記録された曲線に対して,1分間隔でチャートの時間軸に対して直角に交差する直線を
引く。この直線は5.2.1.3の手順が開始したところから始める。描かれた直線は“1分の線”と呼ばれる。
5.2.1.5 ドリフト及びノイズの曲線は,6.1.1で規定するように取り扱う。1分の線で区切られた各々の曲
線の近似直線を引く。
5.2.2 擬似信号の決定
5.2.2.1 この決定には小さな校正リークが必要である。校正リークがバルブを内蔵している形のものであ
り,メンブレン形のリークに使用されているメンブレンを除いてすべてが金属製であれば,5.2.2は手順か
ら除外してもよい。
5.2.2.2 図1の左側に示すように,リークディテクターに金属のプラグ(止め栓)を接続する。
5.2.2.3 フィラメントを点火した状態で出力をゼロ調する。
5.2.2.4 リーク遮断バルブを開く。
5.2.2.5 ポンプバルブを開く。
備考 安全のため,この時点でフィラメントは消してもよい。
5.2.2.6 プラグ(止め栓)と導入バルブの間の空気を排気した後,ポンプバルブを閉じる。
5.2.2.7 直ちに,しかし,ゆっくりと導入バルブを開く。リークディテクターの圧力が1分間何らの変化
も観測されなくなるまで待つ。
5.2.2.8 フィラメントが点火されていない場合は,点火する。
5.2.2.9 出力が安定したとき,しかし,5.2.2.7の手順を開始してから3分間以内に,出力を記録する。リ
ークディテクターが感度を下げて使われていれば,最高感度に換算した値に変換する。
5.2.2.10 速やかにリーク遮断バルブを閉じ,10秒間後に出力を記録する。5.2.2.9と同様に,必要であれば
読み値を変換する。
5.2.2.11 導入バルブを閉じる。
5.2.2.12 ベントバルブを開く。
5.2.2.13 導入配管からプラグ(止め栓)だけを取り外す。ほかの接続はそのままの状態に保つ。
5.2.2.14 ベントバルブを閉じる。
5.2.3 感度の決定
5.2.3.1 5.2.2.13で取り外したプラグ(止め栓)の位置に,小さな校正リークを取り付ける。
5.2.3.2 フィラメントを点火した状態で出力をゼロ調する。
5.2.3.3 リーク遮断バルブを開く。
5.2.3.4 ポンプバルブを開く。
5.2.3.5 校正リークに,100kPa±5%の圧力のヘリウムを与える。校正リークが独自のヘリウム供給源をも
っていれば,この手順は省くことができる。
備考 5.2.3.6の前にフィラメントは消してもよい。
5.2.3.6 校正リークとリークディテクターとの間の空気が排気された後,ポンプバルブを閉じる。
5.2.3.7 5.2.3.6の手順を開始した後,直ちに導入バルブを開く。リークディテクターの圧力が1分間何ら
の変化も観測されなくなるまで待つ。
5.2.3.8 フィラメントを点火していなければ点火する。
5.2.3.9 この時点で,感度の設定を変更する必要があるかもしれない。1分間の変化がドリフトの大きさ
を超えないような安定した出力に達したとき(感度の設定を変更して),出力の目盛上の読み値を記録する。
リークディテクターが感度を下げて使用されていれば,読み値は最高感度に換算した値に変換する。

――――― [JIS Z 8754 pdf 10] ―――――

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