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5.2.3.10 上記の手順が終わった後,直ちにストップウオッチをスタートさせ,同時に速やかにリーク遮断
バルブを閉じる。又は,開始時間を示すためにチャート上に印を付け,速やかにリーク遮断バルブを閉じ
る。
5.2.3.11 クリーンアップ時間(2.9参照)を決定するために,出力を連続的に観測し,読み値が5.2.3.9で
観測された読み値の37%に減少したときストップウオッチを止める。ストップウオッチの読みを記録する。
又は,出力が決められた値に減少するまでの時間をチャート上で調べる。
備考 クリーンアップ時間は感度の設定に依存する。もし,ほかの設定の場合には,観測された時間
は,最高感度設定時のクリーンアップ時間に修正されることが望ましい。
5.2.3.12 リーク遮断バルブを閉じて(5.2.3.10参照)1分間後に,出力を読み取り,記録する。5.2.3.9のよ
うに最高感度に換算した値に変換する。
5.3 最小可検濃度比
5.3.1 一般
5.3.1.1 最小可検濃度比を決定するためには,リークディテクターにヘリウムピークを走査する機能が必
要である。この機能は一般的には加速電圧の走査であり,ここではこの走査を想定している(2.6.3参照)。
リークディテクターの出力(スケール目盛)を加速電圧に対してプロットしたとき,一般的には図2 a)の
実線で描かれているような形の曲線が得られる。曲線の中に上昇があり,B点にピークが現れればヘリウ
ムの存在を示している。破線で示したなだらかな曲線はバックグラウンド信号で,すなわち,ヘリウムの
ない状態であり,ほかのイオンによる寄与を示している。バックグラウンドがなくてヘリウムだけであれ
ば,ピーク電圧の両側はゼロに近づくような対称形の曲線が得られる。図2 a)で示した曲線は,バックグ
ラウンドの曲線と,ヘリウムだけの対称形の曲線との重畳したものに非常に近い形をしている。
5.3.1.2 電圧がグラフの左から右に向かって変化したとき,出力は最初は減少し,次に増加し,最終的に
再び減少することに注目する。このようにして得られたピークは,ヘリウムの存在を表しており,メータ
ー上で目に見える形で容易に検出される。ヘリウムの量が減少していくとピークは小さくなり,結局は図
2 b)の実線で描かれているような曲線になる。この状態ではピークは見にくくなり,非常に小さな電圧範
囲では一定になり,通常の目視ではほとんど観測できない。ノイズとドリフトがなければ,この条件のヘ
リウム濃度比が最小可検濃度比を決定する。
5.3.1.3 ヘリウムのバックグラウンドは,図2 a)と同様な軌跡を示す。全体の様子は,図2 c)に描かれて
いる。第1の(一番下の)実線Gは,最小可検濃度比を示している。次の曲線Fは,ヘリウムを注入しな
い状態でのバックグラウンドによるヘリウムの出力を示している。第3の曲線Eは,入ってくるヘリウム
とヘリウムのバックグラウンドの加算された出力を示している。
5.3.1.4 以降,ヘリウムのバックグラウンドを擬似信号と呼ぶ。
5.3.1.5 実際的には,上で定義した最小可検濃度比を厳密に決定することはできない。感度の値を決定す
るために,次のやや便宜的な方法が使用される。このようにして得られた最小可検濃度比は,実際の経験
に照らし合わせても妥当なものである。
5.3.2 ドリフト及びノイズの決定
5.3.2.1 リークディテクターを最高感度に設定し,導入バルブを閉じ,フィラメントを消した状態で,リ
ークディテクターの出力を記録計に接続する(4.3参照)。
5.3.2.2 図1に示し,4.2.1で規定したようにリークディテクターを補助システムに接続する。
5.3.2.3 大(調節可能)リーク(校正されているか,又は調節可能のもの。)を,リークディテクターに
接続する(図1参照)。
――――― [JIS Z 8754 pdf 11] ―――――
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5.3.2.4 100kPa±5%の圧力の空気,又はヘリウム混合気体(3.5参照)をリークに導入する。空気を使う
ときには,導入ラインそれ自身がヘリウム源とならないようにする。そのためには,全金属製の構造であ
ることが望ましい。
5.3.2.5 リーク遮断バルブを開く。
5.3.2.6 ポンプバルブを開く。
5.3.2.7 リークと導入バルブの間の空気が排気された後,導入バルブを開く。
5.3.2.8 ポンプバルブを閉じる。
5.3.2.9 調節可能なリークが使用された場合には,3.3.4で規定したように,リークディテクターの圧力が
最適になるように調節する。
5.3.2.10 フィラメントを点火し,必要であれば記録計上の指示値がスケール内に入る最大感度に設定する。
5.3.2.11 記録計上の指示値ができるだけフルスケールの50%付近になるようにバッキングオフ(ゼロ)調
節系で調節する。
5.3.2.12 20分間,又は出力が正のドリフトであればフルスケール,負のドリフトであればゼロに達するま
で記録する。この記録をドリフト曲線と呼ぶ。
5.3.2.13 感度を最高感度の設定にする。指示がスケールから外れていれば,バッキングオフ(ゼロ)調節
系によってフルスケールの中間にもってくる。これができなければ,感度調節を行って,スケール内に入
る最高の感度に設定する。バッキングオフ(ゼロ)調節系によって指示をフルスケールの中間にもってく
る。
5.3.2.14 20分間又は出力がスケールから外れるまで出力を記録する。この記録をノイズ曲線と呼ぶ。
5.3.2.15 6.1.1に規定するようにドリフトとノイズ曲線を処理する。
5.3.3 擬似信号の決定
5.3.3.1 装置を5.3.2.13の終わりの状態にしておき,リーク遮断バルブを閉じる。
5.3.3.2 スケールで読取りができる最高の感度に,リークディテクターを設定する(必要であれば,ヘリ
ウムのピークに対して走査制御系を再調節する。)。
5.3.3.3 出力信号が安定して,1分間何らの変化も観測されなくなった後,機器に規定された手順に従っ
てヘリウムのピークを走査する。出力は,一般的に図2 a)のような曲線を示す。図2 a)の破線で示すよう
な曲線を引く。
5.3.3.4 ヘリウムのバックグラウンドを測定するためにA,Bの長さを測る。Bは曲線の最大値の位置で
あり,AはBの真下の位置である。
5.3.3.5 A,Bがゼロでなければ,ゼロになるまで,又は30分間を超えても変化しなくなるまで15分間
隔で走査を繰り返す。
5.3.4 感度の決定
5.3.4.1 導入バルブを閉じる。
5.3.4.2 リーク遮断バルブを開く。
5.3.4.3 ポンプバルブを開く。
備考 この時点でフィラメントは消してもよい。
5.3.4.4 リークと導入バルブの間の空気が排気された後,導入バルブを開く。
5.3.4.5 ポンプバルブを閉じる。
5.3.4.6 リークディテクターの圧力が安定し,1分間何らの変化も観測されなくなった後,フィラメント
が点火されていなければ点火する。
――――― [JIS Z 8754 pdf 12] ―――――
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5.3.4.7 ドリフトよりも大きい出力信号が安定し,1分間何らの変化も観測されなくなった後(6.2.1.1参
照),機器に規定された手順に従ってヘリウムのピークを走査する。出力は一般的に図2 a)で示したような
形状の曲線となる。図2 a)の破線で示すような曲線を引く。
図2 リークディテクターの出力対加速電圧特性
6. 試験結果の表現
6.1 最小可検リーク(量)決定の手順
6.1.1 ドリフト及びノイズ
6.1.1.1 5.2.1の近似折線を調べ,1分間隔の折線の中の最大のこう配のものを選ぶ。この最大のこう配は
1分間当たりの目盛の大きさとして測定され,ドリフトと呼ぶ。最大のこう配が記録計のフルスケールの
2%未満であれば,20分間の出力の全変化量(1分ごとの絶対値の総和)を求め,これを20で除した値を
ドリフトと呼ぶ。
6.1.1.2 それぞれの1分間隔ごとのノイズ曲線に対して近似折線からノイズ曲線までの最大偏差を絶対値
で求める。
6.1.1.3 これら最大偏差の平均値の2倍の値を,ノイズと呼ぶ。
備考 ノイズを決定する際,記録された曲線の中で1回しか発生しない大きな出力の変動は無視する。
6.1.2 最小可検信号 最小可検信号は,1分間のドリフトとノイズの合計とする。これは目盛の大きさで
測定される。合計がフルスケールの2%よりも小さい場合は,2%を最小可検信号と呼ぶ。
6.1.3 擬似信号の補正 5.2.2.9で示された値から5.2.2.10で示された値を差し引く。差が負の値であれば
ゼロとして扱う。この差は,“擬似信号の補正”と呼ばれ,6.1.4.2に適用される。
6.1.4 感度
――――― [JIS Z 8754 pdf 13] ―――――
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6.1.4.1 校正されたリークによる未補正信号とは,5.2.3.9に示した読み値と5.2.3.12に示した読み値をそ
れぞれ最高感度設定の読み値に換算した後,これらの間の差をとったものである。
6.1.4.2 校正リークによる補正された信号は,未補正信号(6.1.4.1参照)と6.1.3の擬似信号の補正との
差である。
感度は次の式で記述され,必ず応答時間とともに記載する。
校正リークによる補正された信号
感度=
校正リークの標準空気リーク量又は等価標準リーク量
(応答時間付記)
単位は,単位リーク量に対する目盛の大きさ(最高感度設定における)である(2.5及び2.8参照)。
6.1.5 最小可検リーク(量)6.1.2及び6.1.4.2から,最小可検リーク(量)は次の式で与えられる。
最小可検信号
最小可検リーク(量)=
感度
(応答時間付記)
単位は,リーク量の単位となる。
6.2 最小可検濃度比決定の手順
6.2.1 ドリフト及びノイズ
6.2.1.1 感度設定が引き下げてあれば補正して,6.1.1.1と同様にドリフト曲線からドリフトを決定する。
6.2.1.2 6.1.1.2及び6.1.1.3と同様にノイズ曲線からノイズを決定する。
6.2.2 最小可検信号 最小可検信号は,6.1.2と同様に計算する。
6.2.3 擬似信号 図2 a)及び6.2.4のA,Bが最終的にゼロにならなければ,この大きさが擬似信号とし
て扱われる。リークディテクターの感度設定を下げていれば,擬似信号 (s.s) は最高感度設定に換算する。
6.2.4 最小可検濃度比 曲線上で,点B(走査の最大値),点A(Bの直下),点D(走査の最小値),点C
(Dの直下)の各点に印を付ける。チャートの横軸(電圧軸)からの各点B,A,Cの距離を目盛の大き
さで測定し,これらをそれぞれb,a,cとする。リークディテクターの感度設定が下げられていれば,最
高感度設定に換算する[図2 a)及び5.3.4.7参照]。最小可検濃度比は,次の式で計算される。
c a
最小可検濃度比=CM×
b a s.s
ここに, CM : ヘリウム混合気体の濃度比(3.5参照)
s.s : 擬似信号
a, b, c : 上で定義した値
又は, (c−a) が最小可検信号MDS(6.1.2参照)よりも小さければ,次の式を用いる。
MDS
最小可検濃度比=CM×
b a s.s
7. 試験報告
7.1 試験結果
試験報告書は,5.で規定する試験から得られた結果及び6.に従って決定した結果に,精度
に関する記述を添えたものとする。
7.2 試験条件
試験報告書には,3.で規定したように,試験実施時の条件,特に重要な条件として試験気
体,雰囲気温度を記録するものとする。
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JIS Z 国際整合化委員会 構成表
氏名 所属
(委員長) 平 田 正 紘 工業技術院電子技術総合研究所
大 嶋 清 治 工業技術院標準部
橋 本 繁 晴 財団法人日本規格協会
石 川 雄 一 株式会社日立製作所機械研究所
荻 原 徳 男 日本原子力研究所関西研究所
○ 岡 原 真 株式会社島津製作所
門 芳 生 株式会社芝浦製作所
金 戸 成 株式会社大阪真空機器製作所
木 村 和 幸 大亜真空株式会社
小 林 正 典 高エネルギー加速器研究機構
榊 原 正 二 日本酸素株式会社
◎ 田 村 芳 一 アネルバ株式会社
○ 高 木 望 日本真空技術株式会社
橋 爪 寛 行 橋爪技術士事務所
福 山 泰 弘 神港精機株式会社
○ 堀 越 源 一 高エネルギー物理学研究所(名誉教授)
森 本 勝 直 アネルバ株式会社
(事務局) 間 山 正 義 日本真空協会
小 林 廣 子 日本真空協会
備考 ○印は,分科会委員も兼ねる。
◎印は,分科会委員だけ。
JIS Z 8754:1999の引用国際規格 ISO 一覧
- ISO 3530:1979(IDT)
JIS Z 8754:1999の国際規格 ICS 分類一覧
- 23 : 一般的に利用される流体システム及びその構成要素 > 23.160 : 真空技術