JIS Z 8803:2011 液体の粘度測定方法 | ページ 4

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a) 落球粘度計は,試料中に球を落下させ一定距離を落下するために要する時間を測定して試料の粘度を
求めるもので,一般に円筒中に試料を入れてその円筒の中心軸上に球を落下させ(図4参照),次の式
(12)によって粘度を求める。
100d2 (0 ) gt
f (12)
18l
ここに, 試料の粘度(mPa・s)
d : 球の直径(cm)
ρ0 : 球の密度(g/cm3)
ρ : 試料の密度(g/cm3)
g : 重力加速度(cm/s2)
t : 一定距離の落下時間(s)
l : 球の落下距離(cm)
f : 管壁の影響に対する補正で,球の直径と円筒の直径が
決まれば一定となる。
注記 式(12)は,本来の原理式と異なり右辺に係数100の値が掛けられている。
b) 落下粘度計の構造寸法が決まれば,式(12)において
100d2g
f KF
18l
は一定値となり,式(12)は,次の式(13)のように書き換えられる。
KF ( (13
ここに, KF : 装置定数(cm2/s2)
球の密度(g/cm3)
試料の密度(g/cm3)
t : 一定距離の落下時間(s)
あらかじめ粘度の分かっている標準液を用いて実験的にKFを求めておけば,一定距離の落下時間と
試料の密度とを測定して試料の粘度が求められる。

――――― [JIS Z 8803 pdf 16] ―――――

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図4−落球粘度計及び補助装置

7.2 球及び円筒の選定

7.2.1  球
球は,次によって選定する。
a) IS B 1501に規定する玉軸受用鋼球の等級G60又はそれと同等以上の精度で直径及び真球度が分かっ
ている球を使用する。試料の粘度を精度1 %程度で測定しようとする場合は,JIS B 1501に規定する
基本径の値をそのまま用いてもよいが,それより精度よく測定する場合は,球の直径を必要精度に応
じて正確に測定しなければならない。
注記 球の直径の測定方法は,JIS B 1501を参照。
b) 直径dの球の使用範囲は,次の式(14)で計算される粘度 誚 類 の範囲とする。
10035 g( ) 3 (14)
m 0
ここに, 直径dの球によって測定できる最低粘度(mPa・s)
g : 重力加速度(cm/s2)
球の密度(g/cm3)
試料の密度(g/cm3)
d : 球の直径(cm)
表6に,種々の直径をもつ鋼球及びガラス球についての適用粘度範囲の例を示す。この場合,鋼球
の密度は8 g/cm3,ガラス球の密度は3 g/cm3,試料の密度は1 g/cm3として計算したものとする。

――――― [JIS Z 8803 pdf 17] ―――――

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表6−各球体に対する適用粘度範囲の例
使用する球の直径 式(14)によって求められる 落下距離50 mmの落下時間が20 s500 sの範囲
cm mPa・s mPa・s
ガラス球 鋼球 ガラス球 鋼球
0.16 200 400 1 000 30 000 4 000100 000
0.24 400 700 2 500 60 000 9 000200 000
0.32 600 1 100 4 500115 000 16 000400 000
0.40 900 1 600 7 000170 000 25 000600 000
7.2.2 円筒
円筒は,次によって選定する。
a) 材料を入れる円筒は,内径が球の直径の5倍以上でなければならない。
b) 円筒は,透明で容易に変形せず,肉厚一様なものでなければならない。
c) 円筒内径の均一性は,内径が平均内径の3 %を超える変化がないこと。ただし,必要精度が1 %より
もよい測定では,更に内径の均一性のよいものを用いる。
必要精度0.1 %の粘度測定では,測定部分の円筒が平均内径の0.3 %を超える変化があってはならな
い。
d) 球の落下時間を測定する標線間の距離は50 mm以上で,下部標線は底から50 mm以上の上部に,ま
た円筒の上端は,上部標線から70 mm以上の上部になければならない。
e) 標線は,円筒外面に全周に目盛るか,又は円筒中心に対して対称に目盛り,かつ,その標線は,円筒
中心軸に垂直な面内になければならない。

7.3 測定に用いる補助器具

  測定に用いる補助器具は,次による。
a) 測時用時計 あらかじめ必要精度に応じて校正された0.1秒の単位まで読み取ることができる秒時計
を使用する。
b) 温度計 あらかじめ必要精度に応じて校正された0.1 ℃以下の目盛をもつ温度計を使用する。
c) 恒温槽 粘度計円筒内の試料面が,恒温槽内の液面から20 mm以下に没するような深さをもち,円筒
の上下標線が,外部から透して見ることができるものでなければならない。
試料の粘度を精度1 %で測定しようとする場合は,温度変化は通常,0.1 ℃以内,精度0.1%で測定
しようとする場合は,温度変化は通常,0.01 ℃以内である。
また,適切なかき混ぜ機によって恒温槽内の温度分布を均一に保つことを必要とする。
なお,試料によっては,温度によって粘度が大きく変わるから,そのようなおそれがある試料の場
合には,粘度の測定精度に応じてあらかじめその変化を調べ,適切な恒温に保ち,必要な精度で温度
測定を行わなければならない。

7.4 操作

7.4.1  準備
測定の準備は,次による。
a) 7.2の規定によって球及び円筒を選び,適切な蒸発性の溶剤でよく洗い,ごみなどが付着しないように
して乾燥する。
b) 試料は,ごみなどが含まれているかどうかを調べ,必要に応じてフィルタでこす。

――――― [JIS Z 8803 pdf 18] ―――――

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7.4.2 試料の入れ方
試料の入れ方は,次による。
a) 試料面が上部標線から50 mm以上の上部にくるまで試料を円筒に入れる。
b) 試料を入れるときは,泡が入らないように注意する。
7.4.3 円筒の取付け
円筒の取付けは,次による。
a) 試料が入った円筒を,恒温槽内に円筒中心軸が垂直に振動しないように取り付ける。
b) 試料の液面が恒温槽内の液面から20 mm以上没するように取り付ける。
7.4.4 測定
測定は,次による。
a) 円筒内の試料の温度が測定温度に達したならば,試料内に泡がないことを確かめた後,球を円筒中心
軸の位置で落下させ,その球の上縁(又は下縁)が上下標線間を通過するために要する時間を測定し,
同様な測定を3回以上繰り返す。
注記 球を落下させるとき,球の表面に泡が付着しないように,球はあらかじめ試料で表面をぬら
しておくとよい(ただし,溶剤の揮発によって溶質が析出する場合を除く。)。
気温と測定温度とが著しく異なるときは,球を測定温度にした後落下させる。
b) 50 mmの落下時間は通常,20秒より長くする。
7.4.5 計算
計算は,次による。
a) 3回以上測定した落下時間の平均値を,次の式(15)に代入して粘度を計算する。
3 5
100d2 ( ) gt
0
1 .2104 Dd.209 Dd .095 Dd (15)
18l
ここに, 粘度(mPa・s)
d : 球の直径(cm)
球の密度(g/cm3)
試料の密度(g/cm3)
g : 重力加速度(cm/s2)
t : 測時標線間の落下時間(s)
l : 測時標線間の距離(cm)
D : 円筒の直径(cm)
b) あらかじめ粘度が分かっている標準液を用いて装置定数KF(7.1参照)の値が求められているときは,
次の式(16)を用いて粘度を計算する。
KF ( (16
ここに, KF : 装置定数(cm2/s2)

8 共軸二重円筒形回転粘度計による粘度測定方法

8.1 特徴及び測定原理

8.1.1  特徴
共軸二重円筒形回転粘度計による粘度測定方法の特徴は,次による。
a) 粘度測定のほか,角速度(又はトルク)を変えた一連の測定から,非ニュートン液体の流動曲線を求
めることができる。
b) 比較的理論に近いずり速度(又はずり応力)が決められる。

――――― [JIS Z 8803 pdf 19] ―――――

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8.1.2 測定原理
共軸二重円筒形回転粘度計による粘度測定方法の測定原理は,次による。
a) 共軸二重円筒形回転粘度計は,同一中心軸をもつ外筒及び内筒の隙間に満たされた試料を層流状態で
回転流動させ,次の1) 又は2) の方法でトルク又は角速度を測定して,粘度を式(17)によって求める。
1) いずれか一方の円筒を,一定の角速度で回転させたときの他方の円筒面に作用するトルクを測定す
る。
2) いずれか一方の円筒を,一定のトルクで回転させたときの円筒の角速度を測定する。
100M 1 1
2i 2

(pdf 一覧ページ番号 )

                            4π l lΩ  R    Ro
ここに, 試料の粘度(mPa・s)
円周率
l : 円筒(内筒)の長さ(cm)
円筒の長さで表した円筒端面の影響についての補正量
(cm)
角速度(rad/s)
M : 円筒面に作用するトルク(10−7 N・m)
Ri : 内筒の外径の1/2(cm)
Ro : 外筒の内径の1/2(cm)
注記1 式(17)は,本来の原理式と異なり右辺に係数100の値が掛けられている。
注記2 式(17)において,補正量 び外筒の組合せ,又は外筒中に置かれる内筒の位置関
係によって異なる値を示す(8.5.1参照)。
b) 共軸二重円筒形回転粘度計の構造及び寸法が決まれば,式(17)において
4100 1 1 KR
π(l l) i
2
Ro
2
は,一定値となり,式(17)は,次のように書き換えられる。
M (18)
KR
Ω
ここに, KR : 装置定数(rad/cm3)
角速度(rad/s)
M : 円筒面に作用するトルク(10−7 N・m)
したがって,あらかじめ粘度の分かっている標準液を用いて実験的にKRを求めておけば,任意の試
料の粘度は,a) 1) の方法に従ったトルク,又はa) 2) の方法に従った角速度を測定することによって
求められる。
注記 実際の粘度計では,便宜上,角速度 びトルクMにそれぞれ比例した量を測定して粘度を
求めることが多い。この場合には,装置定数KRの代わりにそれぞれの測定する量に応じた装
圀一
置定数を実験的に求める。例えば,角速度に比例する量を回転速度n (s−1)[n= 2 また,
トルクMに比例する量を指示目盛 燿 %,フルスケールは100 %)によって粘度測定を行う場
合には,次の関係を用いる。
KR
n
ここに, K'R : 装置定数

――――― [JIS Z 8803 pdf 20] ―――――

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JIS Z 8803:2011の国際規格 ICS 分類一覧

JIS Z 8803:2011の関連規格と引用規格一覧

規格番号
規格名称
JISB1501:2009
転がり軸受―鋼球
JISZ8809:2011
粘度計校正用標準液