JIS Z 8803:2011 液体の粘度測定方法 | ページ 6

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表8− 圀 替 テイラー渦が発生し始める限界値の代表的な例

Ri=0.5 cm Ri=1.0 cm Ri=2.0 cm
1.05 150 38 9.5
1.10 55 13.5 3.45
1.20 20.5 5.15 1.30
圀 椀
rad/s), g/cm3), mPa・s)
注記1 式(21)は,本来の原理式と異なり右辺に係数100が掛けられている。
注記2 式(21)又は表8から分かるように,同一の粘度計に対しては低粘度の液体ほどこの限界とな
る角速度 圀 椰 潜 估 意する。
b) どの方式の回転粘度計でも,角速度を大きくすると,試料液体の慣性力によって円筒端面で渦が発生
して内筒と外筒との隙間にある液体に影響を与える。このために,式(17)で示される端面の影響につ
いての補正量が一定値として取り扱えなくなり測定値に影響を与える。
このような渦の発生する領域での測定を避けるためにも角速度が小さい条件のもとで測定を行う。

9 単一円筒形回転粘度計による粘度測定方法

9.1 特徴及び測定原理

9.1.1  特徴
単一円筒形回転粘度計による粘度測定方法の特徴は,次による。
a) 他の回転粘度計に比し構造が単純なため,取扱いが簡便である。
b) 理論的にずり速度(又はずり応力)は確定できないが,角速度(回転速度)を変えることによって粘
性挙動を知ることができる。
c) 回転円筒に比し比較的大きい試料容器を用いることができるので,分散系の液体の場合でも分散質の
妨害なしに測定することができる。
9.1.2 測定原理
単一円筒形回転粘度計は,試料中にある円筒を層流状態で一定角速度で回転させたときの円筒面に作用
するトルクを測定して粘度を求めるもので,あらかじめ粘度の分かっている標準液を用いて実験的に装置
定数を決めておけば,粘度は,次の式(22)によって求められる。
M (22)
KB
Ω
ここに, KB : 装置定数(rad/cm3)
角速度(rad/s)
M : 円筒面に作用するトルク(10−7 N・m)
注記1 式(22)の関係は,式(17)を基準としている。すなわち,式(22)は,式(17)の右辺の(1/Ri2−1/Ro2)
において1/Ri2に比し1/Ro2の値が小さいか,又は無視できる関係で示す。
注記2 便宜上の装置定数については,8.1.2 b)の注記に準じる。

9.2 単一円筒形回転粘度計の種類

  単一円筒形回転粘度計の構造図例を,図6に示す。

――――― [JIS Z 8803 pdf 26] ―――――

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図6−単一円筒形回転粘度計の図例

9.3 測定に用いる補助器具

  測定に用いる補助器具は,次による。
a) 温度計 あらかじめ必要精度に応じて校正された温度計を使用する。
b) 恒温槽 8.3 b) に従ったものを使用する。
c) 試料容器 円筒状であって,円筒類に合わせた所定の大きさのものを使用する。特に試料が揮発性,
又は吸湿性を示すものについては,蓋付きの容器を使用する。

9.4 操作

9.4.1  準備
試料の粘度に応じた円筒を選び,粘度計に取り付ける円筒を適切な蒸発性の溶剤でよく洗浄し,溶剤が
完全になくなるまで乾燥する。このような操作を行っても,水性の試料の場合には僅かな付着成分が原因
で試料が円筒面をぬらさないことがある。必要に応じて,水性の洗剤で洗浄し水ですすぎ洗いをした後,
水分がなくなるまで十分に乾燥させる。
注記 試料の粘度が全く分からないときには,粘度計に過度のトルクが加わらないように,より高粘
度用の円筒を選ぶことがよい。
9.4.2 試料の入れ方
試料容器内に粘度計の円筒を,十分に浸すことができる規定の深さになるまで試料を入れる。その他は,
8.4.2に従って行う。
9.4.3 粘度計の設置
粘度計の設置は,次による。
a) 粘度計用の支持台にある調節ねじ及びその粘度計に付けられた水準器などによって,円筒の回転軸が
水平面に対して垂直になるように粘度計を取り付ける。
b) 試料容器は,試料の液面が恒温槽の液面より低くなるように保持する。
c) 粘度計の円筒を試料中に浸すときには,円筒面に泡が付着しないようにゆっくりと行う。
注記 泡が付着しないように円筒をあらかじめ試料中に浸して表面を十分にぬらしておくとよい。

――――― [JIS Z 8803 pdf 27] ―――――

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d) 円筒は試料容器の中央に置き,円筒の底面と試料容器の底面間の距離は通常,10 mm以上を保つよう
にする。また,円筒上面は試料面から5 mm以上の深さにする。
なお,円筒の先端部に浸液位置が指定されている粘度計にあっては,試料液面が正しくその位置に
くるように円筒の位置,又は試料の量を調整する。
9.4.4 測定
測定は,次による。
a) 測定に先立ち,試料の温度を直接測定して所要の測定温度に達したかどうかを確認するか,恒温槽の
液温をとおして試料の温度とする場合には,粘度計が十分な時間恒温槽内に放置したかどうかを確認
する。事前に試料各部の温度差及び測定温度との差がなくなるよう,かくはん棒によって試料を直接
かき混ぜるとよい。
注記1 試料が非ニュートン液体の場合には,かき混ぜによって測定値に影響を与えるものがある
ので,ゆっくりとかき混ぜる。また,かき混ぜによる影響が予測される試料は,その影響
がなくなるまで放置してから測定を開始する。
b) 粘度計が9.4.3の規定に従って正しく取り付けられているかどうか,及び円筒が試料容器中の所定の位
置に正しく置かれているかどうかを確認する。
c) 粘度計を作動させ,粘度(又はトルク)の指示が安定してから測定値を読み取る。
注記2 指示が安定しないで徐々に変化するときは,試料がチクソトロピー性[8.4.2 b) の注1)参照]
であることが多い。このような試料では,測定開始までの時間を測定しておく。
d) 測定結果が,使用円筒に対する粘度(又はトルク)の測定範囲内における上限値の20 %に満たない場
合には,同一円筒で角速度を変えるか,又は円筒を代えて測定を行う。
e) 測定は,その都度新しい試料を用いて2回以上繰り返す。
f) 試料がニュートン液体であるかどうか疑わしいときには,角速度を変えた測定から,角速度にかかわ
りなく一定の粘度の測定値(測定値がトルクの場合には,粘度に換算する。)が得られたかどうかを確
認する。
異なる粘度の測定値が得られたときは,測定値に測定条件(用いた円筒,角速度及び指示が安定し
ないときには,測定開始までの時間)を付記する。
9.4.5 計算
9.4.4で得られた測定値をもとに,式(22)によって粘度の値を求める。
また,必要に応じて9.5に規定する補正を行う。

9.5 補正

9.5.1  試料容器の壁面の影響
測定に用いる円筒に対して試料容器があまり大きくないと容器の壁面の影響を受け,円筒面に作用する
トルクが増大することになり,測定値に影響を与える。
このため,常に同一の組合せの円筒と試料容器を用いるか,又は容器が異なる場合には,式(17)をもと
に計算からその影響の度合いを求めて補正するか,あらかじめ幾つかの異なる試料容器を用いた実験によ
って補正を確かめ,必要とする精度に応じて補正を行う。
注記 試料容器の壁面の影響を受けない場合の値を基準にすると,試料容器の壁面の影響を受けると
きのトルク(又は粘度)の測定値に対する補正係数Aは,次の式(23)で表される。

――――― [JIS Z 8803 pdf 28] ―――――

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i 2
RR
A=1− (23)
o
ここに, A : 試料容器の壁面の影響の補正係数
Ri : 円筒の半径(cm)
Ro : 試料容器の半径(cm)
式(23)から,円筒径に対して試料容器の径をそれぞれ2倍,3倍,4倍としたときのそれぞれ
の補正係数の値は,0.75,0.89,0.94となる。
9.5.2 試料容器の底面の影響
試料容器の底面の影響は,8.5.1 b)の規定による。
注記 単一円筒形回転粘度計は,取扱いが簡便なので,前もって試料容器内で円筒を上下させて,こ
の底面間の距離による影響を実験で確認しておくとよい。

10 円すい-平板形回転粘度計による粘度測定方法

10.1 特徴及び測定原理

10.1.1 特徴
円すい−平板形回転粘度計による粘度測定方法の特徴は,次による。
a) 粘度測定のほか,液体のどの部分においても一定のずり速度(又はずり応力)が得られるので,角速
度(又はトルク)を変えた測定から非ニュートン液体の流動曲線を直接に求めることができる。
b) 試料が比較的少量でよい。また,このために,試料の温度を短時間に変えることができる。
c) 円すいと平円板間との隙間が小さいために,分散系の液体の分散質の大きさによっては粘度計として
適用できない場合がある。
10.1.2 測定原理
円すい−平板形回転粘度計による粘度測定方法の測定原理は,次による。
a) 円すい−平板形回転粘度計は,同一回転軸をもつ平円板及び頂角の大きい円すい間に満たされた試料
を層流状態で回転流動させ,次の1) 又は2) の方法でトルク又は角速度を測定して,粘度を式(24)に
よって求める。
1) 平円板又は円すいのいずれかを,一定の角速度で回転させたときの他の円板又は円すい面に作用す
るトルクを測定する。
2) 平円板又は円すいのいずれかを,一定のトルクで回転させたときの円板又は円すいの角速度を測定
する。
100 3 M (24)
2πR3 Ω
ここに, 試料の粘度(mPa・s)
円周率
R : 平円板の半径(cm)
懿 平円板と円すいとがなす角(rad)
角速度(rad/s)
M : 平円板又は円すい面に作用するトルク(10−7 N・m)
注記 式(24)は,本来の原理式と異なり右辺に係数100の値が乗じられている。
b) 円すい−平板形回転粘度計の構造及び寸法が決まれば,式(24)において,

――――― [JIS Z 8803 pdf 29] ―――――

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100 3α Kc
2πR3
は,一定値となり,式(24)は,次のように書き換えられる。
M (25)
Kc
Ω
ここに, Kc : 装置定数(rad/cm3)
角速度(rad/s)
M : 平円板又は円すい面に作用するトルク(10−7 N・m)
したがって,あらかじめ粘度の分かっている標準液を用いて実験的にKcを求めておけば,任意の試
料の粘度は,10.1.2 a) の1) の方法に従ったトルク,又は2) の方法に従った角速度を測定することに
よって求められる。
注記 便宜上の装置定数については,8.1.2 b) の注記に準じる。
c) ずり速度及びずり応力は,式(26)によって求められる。
Ω

(pdf 一覧ページ番号 )

                             3M
2πR3
ここに, ずり速度(s−1)
σ : ずり応力(10−1 Pa)

10.2 円すい-平板形回転粘度計の種類

10.2.1 平円板定速方式の円すい−平板形回転粘度計
この粘度計は,平円板を自由に一定の角速度で回転させる方式のもので,図7 a) にその原理を示す形状
を,表9に寸法例を示す。
10.2.2 円すい定速方式の円すい−平板形回転粘度計
この粘度計は,円すいを自由に一定の角速度で回転させる方式のもので,図7 b) にその原理を示す形状
を,表9に寸法例を示す。
10.2.3 定トルク方式の円すい−平板形回転粘度計
この粘度計は,回転軸に取り付けられた円すい(又は円板)を自由に一定のトルクで回転させる方式の
もので,図7 c) にその原理を示す形状を,表9に寸法例を示す。

――――― [JIS Z 8803 pdf 30] ―――――

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JIS Z 8803:2011の国際規格 ICS 分類一覧

JIS Z 8803:2011の関連規格と引用規格一覧

規格番号
規格名称
JISB1501:2009
転がり軸受―鋼球
JISZ8809:2011
粘度計校正用標準液