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Z 8803 : 2011
a) 平円板定速方式 b) 円すい定速方式 c) 定トルク方式
図7−円すい−平板形回転粘度計の図例
表9−円すい−平板形回転粘度計の寸法例
円すいの半径R 愀
円すいと平円板とがなす角
cm rad
1.05.0 5.24×10−35.24×10−2 a)
注a) 懿 0.3°3.0°に相当する。
10.3 測定に用いる補助器具
測定に用いる補助器具は,次による。
a) 温度計 あらかじめ必要精度に応じて校正された温度計を使用する。
b) 恒温槽 恒温槽は,断熱性に優れた室温の影響を受けにくい構造のものを用意する。
室温付近では試料の粘度を精度1 %で測定しようとする場合は,温度変化は通常,0.1 ℃以内であ
る。また,適切なかき混ぜ機によって恒温槽内の温度分布を均一に保つ。
循環流によって試料部を一定恒温に保つ場合には,液体ジャケット及びそれに還流させる循環ポン
プを備えた恒温槽を用意する。
10.4 操作
10.4.1 準備
測定の準備は,次による。
a) 試料の粘度に応じて粘度計を選び,円すい及び平円板を適切な蒸発性の溶剤でよく洗浄し,溶剤が完
全になくなるまで乾燥する。このような操作を行っても,水性の試料の場合には僅かな付着成分が原
因で試料が円すい及び平円板面をぬらさないことがある。必要に応じて,水性の洗剤で洗浄し水です
すぎ洗いをした後,水分がなくなるまで十分に乾燥させる。
b) 試料は,ごみなどが含まれていないかどうかを調べ,必要に応じてフィルタでこす。
注記 円すい及び平円板の中心軸付近では,その隙間が非常に小さくなるために,ごみなどの固形
物があると測定値に影響を与える。また,試料が分散系液体の場合には,同様の理由によっ
て測定値に影響を与えるか,測定ができなくなるときもあるので,事前に注意する。
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10.4.2 試料の入れ方
測定に必要な正しい量を円すいと平円板との間に入れる。そのほかは,8.4.2に従って行う。
10.4.3 粘度計の設置
粘度計の設置は,次による。
a) 粘度計の回転軸が水平面に対して垂直になるように設置する。
b) 円すい及び平円板部は,試料の液面が恒温槽の液面から,又は液体ジャケットの上端から低くなる位
置に保持する。
c) 円すいの頂点,又は仮想上の頂点2)が平円板の中心に接する位置にくるように,円すい又は平円板を
調整する。
注2) 円すいの頂点が平円板に接していると,厳密には粘度測定のときにその部分に摩擦が生じる
ことになる。これを避けるために,実際の粘度計では,円すいの頂点を含む先端部分を僅か
に切り落とす。このとき,切り落とした先端部分が仮想的にあるとしたときの先端部分の頂
点を,仮想上の頂点とする。
10.4.4 測定
測定は,次による。
a) 8.4.4 a)に従って測定温度を確認する。
b) 室温と測定温度との温度差によって,円すいと平円板との間隔が変わることがあるので,間隔が正し
く保たれているかどうかを調べ,必要に応じて再調整する。
c) 粘度計を作動させ,粘度(平円板定速方式・円すい定速方式の場合にはトルク,又は定トルク方式の
場合には角速度)の指示が安定してから測定値を読み取る。
通常,角速度又はトルクを変えて少なくとも2点以上で測定を行い,それぞれの測定値を読み取る。
なお,測定のときに,指示値が時間の経過とともに徐々に変化することがある。試料の流動発熱に
よる不平衡な温度が原因となる場合などがあるが[8.5.3 b) 参照],非ニュートン液体にみられるチク
ソトロピー性によることが多い。後者の場合の取扱いは,次のd) に従う。
d) 試料がニュートン液体であるかどうか疑わしい場合,定速方式の粘度計のときには,角速度を変化さ
せた一連の測定から角速度にかかわりなく一定の粘度の測定値(測定値がトルクの場合には,粘度に
換算する。)が得られたかどうかを,また,定トルク方式の粘度計のときには,トルクを変化させた一
連の測定からトルクにかかわりなく一定の測定値(測定値が角速度の場合には,粘度に換算する。)が
得られるかどうかを確認する。異なる粘度の測定値が得られるときは,測定値に測定条件(ずり速度
又はずり応力)を記すとともに見掛け粘度として処理する。
注記 チクソトロピー性をもつ試料の場合には,一定の時間間隔で角速度(又はトルク)を増加さ
せ,ある最大の角速度(又はトルク)に達した後,角速度(又はトルク)を減少させて元に
戻す測定を行って流動曲線を求めるといった方法がよく用いられる。一般に,角速度(又は
トルク)を増加させたときの曲線と減少させたときの曲線とは一致しない。
10.4.5 計算
計算は,次による。
a) 10.4.4 c) で得られたトルク又は角速度の測定値をもとに,式(25)によって粘度の値を求める。
また,それぞれの測定値を得た場合には,式(25)によって粘度の値を算出し,これらの平均値を求
める。
b) ) で得た粘度の値に対し,必要に応じて10.5に規定する補正を行う。
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c) 非ニュートン液体の見掛け粘度の測定値に対しては,必要に応じて式(26)に従ったずり速度(又は応
力)を計算する。
10.5 補正
10.5.1 粘度計に入れる試料量の過不足による影響
測定の都度,円すいと平円板との間に一定量の試料を入れる必要があり,試料の量に過不足があると(特
に不足のときは著しい)測定値に影響を与える原因となる。例えば,ある円すいと平円板との組合せに対
して試料の量が1 cm3と指定されている場合に,0.1 cm3少なめに入れたとき,約2 %程度測定値に影響を
及ぼす。この影響量は,円すいと平円板との組合せ又は粘度計によって異なってくるので,必要に応じて
試料の量を変えた実験を行って影響の程度を確かめておく。
10.5.2 円すいと平円板との間隔が正しくないことによる影響
円すいの頂点が平円板の中心に接した状態で測定を行う必要があるので,離れていると測定値に影響を
与える原因になる。例えば,10.4.3 c) に従って常温で円すいと平円板との間隔の調整を行ったとしても,
測定温度と室温との温度差が大きいときには,円すいと平円板部とに使用された材料の熱膨張又は収縮に
よって円すいと平円板との間隔が変化し,その量は粘度測定上無視できなくなる。この影響を避けるため
には,測定を始める前に間隔の変化の有無を確認し,再調整すればよい。
この影響量は,例えば,ある円すいと平円板の組合せ(平円板の半径R=2.4 cm,平円板と円すいとの
なす角 懿 1°34')に対して,基準の位置から10 に,2.3 %程度となり,粘度の測定値に大
きく影響することが確かめられている。
10.5.3 円すいと平円板との中心軸が同一軸にないことによる影響
円すいの中心軸と平円板の中心軸とが同一軸上にない場合,すなわち,円すいと平円板とがなす角
等しくない場合には測定値に影響を与える原因となる。同一の中心軸に対して同一平面内でそれぞれの軸
が,円すいと平円板とがなす角 し僅かに 児 いているとすると,次の式(27)によって粘度の測
定値に及ぼす影響 攀 %)が求められる。
2
5 50 (27)
ここに, 攀 同一軸上にないことによる影響(%)
懿 円すいと平円板とがなす角(rad)
懿 同一平面内における円すいと平円板とがなす角
ずれの角(rad)
そこで,必要に応じて式(27)をもとに測定値に補正を加えるか,又はそれぞれの中心軸ができるだけ同
一の中心軸にくるように調整して,円すいの中心軸と平円板の中心軸とが同一軸上にないことによる影響
を避ける。
10.5.4 円すいの頂点を切り落としたことによる影響
円すいの頂点を含む先端部分を僅かに切り落とした場合[10.4.3 c)の注2)参照]には,測定値に影響を与
える原因となる。この影響量は,例えば,平円板の半径R=4.0 cm,平円板と円すいとのなす角 懿 2°,
切り落とした後の平面の半径Rc=0.82 cmとすると,粘度測定に約1 %の影響を与える程度である。むし
ろ,頂点を切り落とした円すいを用いるときには,特に10.5.2の円すいと平円板との一定間隔の維持に注
意する。
10.5.5 測定温度の変動による影響
測定温度の変動による影響は,8.5.3の規定に準じる。
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なお,円すい−平板形回転粘度計の場合は,粘度計の構造上,気体の恒温槽が用いられることもあり,
この場合には,温度制御上不利となるので特に注意する。
11 振動粘度計による粘度測定方法
11.1 特徴及び測定原理
11.1.1 特徴
振動粘度計による粘度測定方式の特徴は,次による。
a) 応答が速く連続測定が可能である。
b) ダイナミックレンジが広く,低粘度から高粘度まで測定できる。
c) 比較的少量の液体で測定できる。
d) 簡単な操作で測定することができる。
e) 液体が流れている状態で粘度を測定することができる。
f) 一般的な振動粘度計で測定される量は粘度×密度に比例した値である。
注記 振動平板の境界層の厚さが2枚の平板の間隔より大きくなる場合は,測定液の流速分布は直
線的で密度の項が現れない。
11.1.2 測定原理
振動粘度計による粘度測定方法の測定原理は,次による。
粘度η,密度ρの液体中に粘度検出部の表面積積分因子がSである振動片を入れて,一定の周波数のも
とで駆動力を与えて振動させると,振動片は,液体の粘性抵抗を受けて,振動の振幅が液体の粘度に応じ
て変化するので,これを利用して粘度測定ができる。振動粘度計による粘度測定の原理の詳細については,
附属書Aを参照。
a) 駆動力が一定で,振動変位に比例した振動センサの電圧出力Voutが得られる場合,粘度×密度は,次
の式(28)によって求められる。
2
2 AVin
C (28)
0
S2 0Vout
ここに, Vin : 駆動電圧
A : 駆動電圧と駆動力,及び電圧出力と変位に
関わる粘度計固有の比例定数に由来する既
知の定数
C : 振動部の内部抵抗に由来する既知の定数
ω0 : 共振周波数
b) 駆動力が一定で,共振周波数域における運動エネルギーの半値幅Δωから求める場合,粘度×密度は,
次の式(29)によって求められる。
2
2M2
2 ( 0)1 (29)
1S 2 00
ここに, M/S : 粘度検出部の仕様に由来する既知の定数
ω00 : 空気中における共振周波数
Δω0 : 空気中における共振周波数域における運動エ
ネルギーの半値幅
ω1 : 運動エネルギーが共振時の1/2になる周波数
(ω0−Δω/2)
c) 振動変位が一定になるように駆動力をフォースコイル電流の入力量で制御する場合,粘度×密度は,
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次の式(30)によって求められる。
2
2 BLI C (30)
2
0S x
0 0
ここに, B : 永久磁石を内蔵した磁気回路に発生する磁束密度
L : フォースコイルの全長(磁束密度と交差する長さ)
I : フォースコイル電流の入力量
x0 : 振動振幅
ω0 : 共振周波数
C : 振動部の内部抵抗に由来する既知の定数
11.2 振動粘度計の種類
振動検出部の構造,振動モードなどによる形状の分類は,次による。
a) 音さ(叉)によって平板を振動させるもの この粘度計は,1対の振動子を共振させ,粘性抵抗を求
める方式のもので,その原理を示す構造の例として,一対の平板振動子を面方向に振動する共振構造
をもつ方式を図8 a) に示す。
b) 回転振動(ねじれ)によるもの この粘度計は,円筒状の振動子を回転方向に共振させ,粘性抵抗を
求める方式のもので,その原理を示す構造の例として,円筒状の粘度検出部を回転方向に振動する共
振構造をもつ方式を図8 b) に示す。
a) 音さ(叉)によって平板を振動させるもの b) 回転振動(ねじれ)によるもの
図8−振動粘度計
11.3 測定に用いる補助具
測定に用いる補助具は,次による。
a) 温度計 あらかじめ必要な精度に応じた温度計を使用する。
b) 恒温槽 恒温槽の中に,試料の表面が恒温槽内の液面より低くなるような深さをもつ試料容器を設置
する。試料の容器内に適切なかき混ぜ機を設置し,測定試料内の温度分布が最小になるようにする。
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