JIS Z 8803:2011 液体の粘度測定方法 | ページ 8

                                                                                             33
Z 8803 : 2011
循環液によって測定試料部を一定温度に保つ場合は,液体ジャケット及びそれに環流させる循環ポン
プを備えた恒温槽を用意する。
c) 密度計 粘度又は動粘度を算出する場合に使用する。

11.4 操作

11.4.1 準備
測定の準備は,次による。
a) 粘度計は,粘度計校正用標準液で校正されているものとする。
b) 粘度検出部を適切な蒸発性の溶剤で十分に洗浄する。検出端子表面に油分などが付着している場合な
ど,必要に応じて中性洗剤などで洗浄し,水分を十分に乾燥させた後使用する。
11.4.2 試料の入れ方
試料の入れ方は,次による。
a) 試料の液面位置が決められている専用容器をもつ機種はその位置まで入れる。任意の容器で測定する
場合は,粘度検出部が試料に十分に浸すことができる位置まで入れる。
b) 試料が不均質の場合は,十分にかくはん(攪拌)し均一にしたものを入れる。
c) 試料を入れるときに泡が入らないように注意する。
d) 試料と同時にかくはん用のスターラーなどを入れるとよい。
11.4.3 粘度計の設置
粘度計の設置は,次による。
a) 必要に応じて,粘度計の粘度検出部を水平面に対して垂直になるように設置する。
b) 粘度計の粘度検出部が試料に十分に浸されるように試料の容器を設置する。また,粘度検出部に液体
を浸す位置が指定されている機種については,試料の液面が正しくその位置にくるように容器の位置
を調整する。
c) 試料に粘度検出部を浸すときに,検出部表面に気泡が付着しないように注意する。
d) 粘度計は,測定中に微動することのないように専用の固定台にしっかりと固定する。
11.4.4 測定
測定は,次による。
a) 測定に先立ち,試料の温度を測定して所用の温度に達したか確認する。又は恒温槽若しくは液体ジャ
ケットによって試料の温度を制御する場合,試料が容器内で温度分布を生じないようかくはんを行い
ながら測定するのが望ましい。
b) 粘度計を動作させ,(又は既に動作している)粘度の指示値が安定してから,測定値を読み取る。測定
のときに,指示値が時間とともに変化する場合は適切な速度で液体をかくはんして,指示値が安定し
てから測定値を読み取る。
11.4.5 計算
計算は,次による。
a) 得られた測定値を繰り返し測定した場合は,平均値を求める。
b) 粘度を求める場合は,振動式粘度計から得た値を密度計から得た値で除算する。

11.5 補正

11.5.1 液面変動及び設定値の変動の影響
粘度検出部に液面を浸す位置が規定されている機種で,測定中に発生する液面変動及び繰返し測定によ
る設置位置の変動は,測定値に影響を与える。低粘度と比べ高粘度測定の方がこの度合が大きい機種があ

――――― [JIS Z 8803 pdf 36] ―――――

34
Z 8803 : 2011
る。
11.5.2 温度変動による影響
粘度値は温度によって変化し,特に高粘度液体ほど温度に対する粘度の変化率が大きい。このため,温
度を規定した粘度測定の場合には,試料の温度係数を求めるなどして温度補正を行う。特に,粘度計の校
正などで粘度計校正用標準液などを用いる場合には,校正された温度計を用いて温度制御に十分留意して
実施し不確かさ要因を最小にする必要がある。

12 測定結果の表示

  測定結果の記録には,次のa)   e) の事項,及び必要に応じてf)   i) の事項を記載する。
a) 試料名
b) 測定値
c) 測定方法及び粘度計の種類
d) 測定年月日
e) 測定者名
f) 測定時の温度
g) 粘度計の校正方法及び用いた標準液
h) 測定不確かさ
i) その他の必要な事項

13 測定不確かさ

  箇条6箇条11に規定されている各粘度計による測定の不確かさは,基準として用いた標準液の不確か
さ,標準液を用いた粘度計校正の不確かさ,及び校正した粘度計を用いた粘度測定における不確かさを主
要な,不確かさ要因として総合的な不確かさ評価を行う。このとき,要因ごとにおける不確かさ成分の特
定とその見積りは,測定値に影響を与え得る粘度測定における各補正,測定の繰返しのばらつきなどを考
慮して行う。液体の粘度は一般に温度依存性が大きいため,温度測定の不確かさが粘度測定の不確かさに
及ぼす寄与は大きくなる場合が多いので,その見積りには注意する。不確かさ評価の一般的な方法につい
ては,次の規格を参照する。
a) IS Z 8404−1 測定の不確かさ−第1部 : 測定の不確かさの評価における併行精度,再現精度及び真
度の推定値の利用の指針
b) IS Z 8404−2 測定の不確かさ−第2部 : 測定の不確かさの評価における繰返し測定及び枝分かれ実
験の利用の指針
c) SO/IEC Guide 98-3,Uncertainty of measurement−Part 3: Guide to the expression of uncertainty in
measurement (GUM:1995)
注記 平成19年からは,JCSSにおいて粘度の校正事業が整備され,登録校正事業者による粘度計校
正用標準液の校正,及び校正された標準液を基準にした各種の粘度計の校正を事業として行う
ことが可能となった。この制度では粘度,動粘度,粘度×密度について計量計測トレーサビリ
ティが確保された値及び測定不確かさが校正証明書に記載される。

――――― [JIS Z 8803 pdf 37] ―――――

                                                                                             35
Z 8803 : 2011
附属書A
(参考)
振動粘度計による粘度測定の原理
液体中に振動片を入れて振動させると,液体の粘性抵抗を受けて,振動の振幅は液体の粘度に応じて変
化するので,これを利用して粘度測定ができる。
粘度η,密度ρのニュートン液体の測定液に粘度検出部を入れて,周波数ω,振動変位xで振動させる
とき,測定液に伝ぱ(播)する振動速度を,粘性流体の運動方程式であるNavier-Stokes式の解として求め
ることができる。このとき,測定液の粘性によって振動検出部に作用する力Fは,粘度検出部の表面積積
分因子をS,振動速度をx 次の式で表される。
F S j x
j=ejπ/2の関係を用いると,Fは,次のようになる。
F S jS x
2 2
ここで,Fとx 湫 F x 己 に測定液の負荷による機械的インピーダンスと呼び,これをZとし,
抵抗成分をR,リアクタンス成分をXとして,Z=R+jXとすると,
R X S (A.1)
2
となり,Rを求めることによって粘度×密度ηρを求めることができる。
いま,粘度計の振動部に与える駆動力をFT=F0ejωt,粘度検出部の位相遅れφを伴った振動変位を
x=x0ej(ωt−φ)とすると,振動部について測定液に浸したときの運動方程式は,次の式で表される。
Mx FT F f kx
ここで,Mは振動部の慣性質量,kは振動部のばね定数である。また,Fは上記の液体の粘性による力
で, F Zx であり,fは粘度計固有の内部抵抗による力で,rを内部抵抗として, f rx で表される。
2
このとき, x x 及び x j x から,上記の運動方程式は,次のようになる。
2
M X j (r R) kx FT
駆動力とその結果生じた変位xとの比x/FTを伝達関数といい,次の式(A.2)で表される。
x
)
x0ej( t 1
j( t) (A.2)
FT F0e 2 X
M j (r R) k
このとき,測定液中で常に共振状態で振動するように制御された系では,位相はπ/2遅れ,伝達関数の
虚部だけが残るから,このときの共振周波数をω=ω0,RをR0とすると,上記の式(A.2)は,
j 2π
0t
x0e 1
F0ej0t j 0 (rR0 )
となる。よって,

――――― [JIS Z 8803 pdf 38] ―――――

36
Z 8803 : 2011
F0
x0 (A.3)
0(r R0 )
となり,共振状態において,振動振幅x0及び駆動力の振幅F0について,どちらかを一定に制御して他方
を観測することによって,R0を求めることができる。
a) 駆動力F0が一定で,振動変位x0に比例した振動センサの電圧出力Voutから粘度を求める場合
電圧出力Voutと振動変位の感度係数をα,駆動力を発生する駆動電圧Vinに対する変換係数をβとす
ると,共振状態における電圧出力は,式(A.3)から,次の式(A.4)によって表される。
F0 Vin
Vout x0 (A.4)
0 (rR0 ) 0 (rR0 )
空気中では,式(A.4)でR0=0となるので,
Vin
r (A.5)
V
0 out
したがって,rは,空気中における測定値Vin及びVoutによって定まる,既知の定数として扱うこと
ができる。
式(A.4)及び式(A.5)から,R0は次の式で表される。
Vin
R0 r
0Vout
0
このとき,R0=S / 2 を上記の式に代入し,粘度×密度ηρは次の式で表される。
2
2 AVin
C
0
S2 0Vout
ここで,振動部固有の定数αβをA,定数rをCとした。
標準液を用いることによって,ω0,S,A,及びCに関わる項を既知の定数とすることで,粘度×密
度ηρを,駆動電圧Vin,及び振動センサの電圧出力Voutから求めることができる。
b) 駆動力F0が一定で,共振周波数域における運動エネルギーの半値幅から粘度を求める場合
図A.1−振動子の運動エネルギーの応答曲線

――――― [JIS Z 8803 pdf 39] ―――――

                                                                                             37
Z 8803 : 2011
式(A.2)から,
2 F02
x0 2
(r R)
2 2
M X k
となる。
2 2 2
したがって, x j x から, x x0 となるから,振動子の運動エネルギーEは,次の式で表さ
れる。
21 M x221 M x2 2 21 M F02
E 0 2
(r R) 2 M X
共振状態(ω=ω0)においては,振動振幅は最大値をとり,x0=x0maxであり,運動エネルギーEは最
大値となり,
21 M x 220 21 M F20
E 0 max
(r R0 )2
となる。
運動エネルギーの応答曲線を図A.1に示した。運動エネルギーが共振時の1/2になる周波数をω1,
ω2とすると,半値幅Δωは,Δω=ω2−ω1となる。ω0,ω1及びω2に対応する機械的インピーダンスの
抵抗成分及びリアクタンス成分を,それぞれ,R0,R1及びR2と,X0,X1及びX2とすると,式(A.1)か
ら,次の式によって表される。
1 0 /2
R1 R0 R0
0 0
ここで,Δω/ω0≪1であり,十分に小さい値なので,(Δω/ω0)20とすると,上記の式は,ω=ω1のと
き,
41
R1 R0 1 (A.6)
0
となる。
同様に,ω=ω2のとき,
41
R2 R0 1 (A.7)
0
半値幅を与える条件は,共振時の運動エネルギーの1/2になる周波数,ω=ω1及びω=ω2,に対し
て,次の式の関係がある。
2
(r R) 2 M X k (2r R0 ) 2
ω=ω1のとき上記の式は,
2
X1 k
1M (2r R0 )2 (r R1 )2
1 1
となり,式(A.6)を代入して整理すると,次のようになる。
2 2
X1 k 2 41
1M (2r R0 ) r R0 1
1 1 0

――――― [JIS Z 8803 pdf 40] ―――――

次のページ PDF 41

JIS Z 8803:2011の国際規格 ICS 分類一覧

JIS Z 8803:2011の関連規格と引用規格一覧

規格番号
規格名称
JISB1501:2009
転がり軸受―鋼球
JISZ8809:2011
粘度計校正用標準液