JIS Z 8845:2021 遠心法による粒子付着力測定方法

JIS Z 8845:2021 規格概要

この規格 Z8845は、粒子径が数µmから数十µmまでの微小粒子(以下,粒子という。)の対象物との付着力を,遠心力を利用して測定する方法について規定。

JISZ8845 規格全文情報

規格番号
JIS Z8845 
規格名称
遠心法による粒子付着力測定方法
規格名称英語訳
Determination of particle adhesion force by centrifugal method
制定年月日
2021年3月22日
最新改正日
2021年3月22日
JIS 閲覧
‐ 
対応国際規格

ISO

国際規格分類

ICS

19.120
主務大臣
経済産業
JISハンドブック
‐ 
改訂:履歴
2021-03-22 制定
                                                                                   Z 8845 : 2021

pdf 目 次

ページ

  •  1 適用範囲・・・・[1]
  •  2 引用規格・・・・[1]
  •  3 用語及び定義・・・・[1]
  •  4 測定原理及び評価指標・・・・[2]
  •  5 試験装置・・・・[3]
  •  6 試料及び測定の条件・・・・[3]
  •  7 測定の操作・・・・[3]
  •  8 測定結果の報告・・・・[4]
  •  附属書A(参考)遠心法による粒子付着力測定データシート・・・・[6]

――――― (pdf 一覧ページ番号 1) ―――――

Z 8845 : 2021

まえがき

  この規格は,産業標準化法第12条第1項の規定に基づき,一般社団法人日本粉体工業技術協会
(APPIE),国立研究開発法人産業技術総合研究所(AIST)及び一般財団法人日本規格協会(JSA)か
ら,産業標準原案を添えて日本産業規格を制定すべきとの申出があり,日本産業標準調査会の審議を経
て,経済産業大臣が制定した日本産業規格である。
  この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。
  この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願又は実用新案権に抵触する可能性があることに注意
を喚起する。経済産業大臣及び日本産業標準調査会は,このような特許権,出願公開後の特許出願及び実
用新案権に関わる確認について,責任はもたない。

――――― (pdf 一覧ページ番号 2) ―――――

                                       日本産業規格                             JIS
                                                                              Z 8845 : 2021

遠心法による粒子付着力測定方法

Determination of particle adhesion force by centrifugal method

1 適用範囲

  この規格は,粒子径が数mから数十mまでの微小粒子(以下,粒子という。)の対象物との付着力を,
遠心力を利用して測定する方法について規定する。

2 引用規格

  次に掲げる引用規格は,この規格に引用されることによって,その一部又は全部がこの規格の要求事項
を構成している。これらの引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。
    JIS R 6010 研磨布紙用研磨材の粒度
    JIS Z 8815 ふるい分け試験方法通則
    JIS Z 8816 粉体試料サンプリング方法通則

3 用語及び定義

  この規格で用いる主な用語及び定義は,次による。
3.1
遠心法(centrifugal method)
  遠心力を利用して,付着している粒子を分離する方法
3.2
平板(plane plate)
  粒子を付着させる対象物で,表面に平面部をもつもの
3.3
粒子の密度(density of particle)
  粒子内部の空孔及びクラックを体積に含めた密度
3.4
粒子付着力(particle adhesion force)
  粒子を平板から遠心分離するために必要な力
3.5
分離率(separation ratio)

――――― [pdf 2] ―――――

Z 8845 : 2021
  付着させた粒子の数に対する遠心分離された粒子の数の割合(百分率表示)
3.6
平均粒子付着力(average particle adhesion force)
  分離率(累積分布)が50 %に対応する粒子付着力

4 測定原理及び評価指標

  平板に付着した粒子に遠心力を作用させたとき,粒子付着力がその遠心力よりも小さい粒子は,分離す
る。遠心力を順次大きくした場合の分離率は,粒子付着力の累積分布に対応しており,その累積分布から
粒子付着力の代表値が求められる。
  この規格では,次の測定手順及び評価指標によって粒子付着力を求める。すなわち,図1に示すように,
m0個の粒子が付着した平板をある回転速度で一定の時間回転させて粒子が分離したとき,その粒子に作用
する遠心力を,粒子付着力Fとする。
                            平板          粒子
                    粒子分離前                        粒子分離後
                                       図1−遠心法の原理
  粒子付着力F(N)は,式(1)で求める。
                            πd3
                         F          (1)
                              6
  ただし,
                        α=rω2  (2)
                       ここで,    d :  粒子の直径(m)
                                   ρ :  粒子の密度(kg/m3)
                                   α :  遠心加速度(m/s2)
                                   r :  遠心分離時の粒子の回転半径(m)
                                   ω :  角速度(rad/s)
  遠心分離後の平板に残留した粒子の数mを計数し,分離率ηを式(3)で求める。
                                    m
                            100  1                 (3)
                                    m0
  回転速度を段階的に大きくして,mの計数を繰り返し,最終的にFの累積分布を,Fに対するηとして,
図2のように表示する。

――――― [pdf 3] ―――――

                                                                                   Z 8845 : 2021
                                   100
                                分離率 %
                                    50
                                                  F50
                                     0
                                              粒子付着力
                             図2−遠心法による粒子付着力の累積分布
  平均粒子付着力F50は,粒子付着力の累積分布が50 %に対応する付着力として,測定結果から読み取る
(図2)。

5 試験装置

  試験装置の構成は,次による。
a) 遠心分離装置 粒子に遠心力を加え,最終的に粒子の50 %以上が分離するような遠心加速度が得られ
    る装置。測定精度を上げるため回転速度のばらつき及び回転軸のぶれは少ないことが望ましい。
b) 平板 測定する粒子を付着させる対象物。表面粗さRaは,50 nm以下(可能ならば,25 nm以下が望
    ましい。),金属(SUS304など)の場合は,JIS R 6010に規定する微粉P400より粒子径の小さな研磨
    材を用いた表面処理(一般的なバフ研磨処理であり,可能ならば,鏡面研磨が望ましい。)を行う[1]。
    平板は,静電気の影響がないように接地する。表面が非導電性の場合,装置本体を接地するなど静電
    気の影響に注意して測定を行う。
c) 粒子径測定装置 光学顕微鏡など,画像で粒子径を測定する装置。粒子径の最小測定単位は,1 m以
    下が望ましい。
d) 記録装置 粒子付着力及び分離率を記録する装置。粒子付着力の最小測定単位は,1 N以下とする。

6 試料及び測定の条件

  試料及び測定の条件は,次による。
a) 試料の採取及び調製 試料の採取及び調製は,JIS Z 8815及びJIS Z 8816による。
b) 試料の再使用 試料は,再使用しないで,測定ごとに新しい試料を用いる。
c) 測定場所における温湿度環境の調整 試料を取り扱う測定場所の環境は,温度(23±5) ℃(温度5級)
    及び相対湿度 (50±10) %(湿度10級)が望ましい。それ以外の環境で測定を行う場合,温度及び相
    対湿度を測定データシートで報告すると同時に,特記事項に記載する。
d) 測定個数及び測定回数 試料の測定は,粒子付着力の再現性が確保できる測定個数及び測定回数で行
    う。試料の粒子径分布が広い場合,粒子付着力のばらつきを小さくするために,1回の測定で計測す
    る個数を増やす,又は測定回数を増やす必要がある。測定データシートには,測定個数及び測定回数
    を明記する。

7 測定の操作

  測定の操作は,次による。

――――― [pdf 4] ―――――

Z 8845 : 2021
a) 遠心分離 箇条5 a)に規定する装置を用いる。
b) 平板の表面状態 試料の散布前に,平板の表面状態を確認する。平板の表面は,十分に清浄で,かつ,
    表面に粒子の付着があってはならない。
c) 粒子の密度 置換法などで測定した密度,又は文献値を用いる。
      注記 密度の測定法として,液体置換,気体置換によるピクノメータ法などがある[2, 3, 4]。
d) 粒子の分散 試料を,振動,衝撃,気流などで空気中に分散し,自然沈降で平板に分散する。このと
    き,粒子が重ならないように粒子間の距離が十分に大きくなるようにする。
e) 粒子径測定 平板表面に散布した試料の測定箇所について,粒子径及び粒子数を測定する。得られた
    個数基準の粒子径分布によって求められる個数基準中位径を,式(1)で与えられる粒子付着力の算出に
    使用する。報告事項には,測定に用いた粒子径の定義を記載する。試料の粒子径分布は,幾何標準偏
    差が2未満であることが望ましい。
      注記 粒子径として,画像法で測定されるフェレー径,面積円相当径,2軸平均径などがある[5]。
f)  粒子付着力 粒子付着力は,1 N以下の最小測定範囲で計測する。
g) 遠心分離時の粒子の回転半径 回転中心から平板表面までの長さを用いる。
h) 遠心加速度の設定 最終的に粒子の分離率が50 %を超える遠心加速度を,510段階に分割すること
    によって設定する。
i)  遠心分離時間の設定 遠心分離を行う時間は,1分を標準とする。遠心分離時間を変更した場合,そ
    の時間を記録する。
j)  分離率の測定 測定箇所の残留粒子を計数し,式(3)を用いて分離率を求める。
k) 平均粒子付着力 累積分布が50 %に対応する付着力として,測定結果から読み取る。

8 測定結果の報告

  測定結果の報告は,次の項目を含める。報告するデータシートの例を,附属書Aに示す。
a) 測定年月日
b) 測定者名
c) 測定機器,型式及び測定機器の製造業者名
d) 試料名
e) 粒子径の定義(フェレー径,面積円相当径,2軸平均径など)及び測定方法(光学顕微鏡など)
f)  粒子径(個数基準中位径)
g) 粒子の密度
h) 平板の材質及び表面粗さ
i)  遠心分離時の粒子の回転半径(回転中心から平板表面までの長さ)
j)  遠心分離時間
k) 測定回数
l)  測定時の温度及び相対湿度
m) 測定結果[遠心加速度(m/s2),粒子付着力F(nN),測定個数(−),分離率(%),平均粒子付着力F50
    (nN)]
n) 遠心法による粒子付着力の累積分布

――――― [pdf 5] ―――――

                                                                                   Z 8845 : 2021
o) 特記事項[測定において参照した規格番号のほか,標準的な手順以外で行った場合(例えば,遠心分
    離時間などを変更した場合)の条件を明記する。]
      注記 表A.1には,遠心加速度の設定を5段階にした場合を記載している。

――――― [pdf 6] ―――――

Z 8845 : 2021
                                          附属書A
                                          (参考)
                     遠心法による粒子付着力測定データシート
  報告する事項の表示例を,表A.1に示す。
                                  表A.1−測定データシートの例
 1) 測定年月日                                                年     月     日
 2) 測定者名
 3) 測定機器,型式及び製造業者名
 4) 試料名
 5) 粒子径の定義及び測定方法
 6) 粒子径(個数基準中位径)                                            m
 7) 粒子の密度                                                       kg/m3
 8) 平板の材質及び表面粗さ                                     ,  Ra=            nm
 9) 遠心分離時の粒子の回転半径                                           m
 10) 遠心分離時間                                                       min
 11) 測定回数                                                           回
 12) 測定時の温度及び湿度                                    ℃,        %RH
 13) 測定結果
 平均粒子付着力F50                                                       nN
    遠心加速度     粒子付着力     測定個数     分離率                    備考
     (m/s2)        (nN)        (−)      (%)
        0              −                        0
 (1段階目)
 (2段階目)
 (3段階目)
 (4段階目)
 (5段階目)
 14) 遠心法による粒子付着力の累積分布
                                                         100
      右図のような遠心法による粒子付着力の累積
                                                      分離率 %
    分布図を記載又は添付する。
                                                          50
                                                                        F50
                                                           0
                                                                    粒子付着力
 15) 特記事項(規定以外の条件で測定した場合は明記する。)
   例 遠心分離時間,測定において参照した規格番号など。

――――― [pdf 7] ―――――

                                                                                   Z 8845 : 2021
参考文献
  [1] JIS B 0601 製品の幾何特性仕様(GPS)−表面性状 : 輪郭曲線方式−用語,定義及び表面性状パラ
      メータ
  [2] JIS R 1620 ファインセラミックス粉末の粒子密度測定方法
  [3] JIS Z 8807 固体の密度及び比重の測定方法
  [4] JIS Z 8837 体積置換による密度の測定-ガスピクノメータ法による骨格密度
  [5] JIS Z 8827-1 粒子径解析−画像解析法−第1部 : 静的画像解析法

JIS Z 8845:2021の国際規格 ICS 分類一覧

JIS Z 8845:2021の関連規格と引用規格一覧