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4.2.7 照度測定
照度測定は,JIS C 7612による。照度測定は,照明を対称に設置する場合には,基準面の1/2又は1/4
の範囲とする。
測定値と計算値との間には,次の要因によって,差異が生じる。
a) 電源電圧変動及び配線長による電圧降下に起因する差
b) 照明器具の設置位置,照準などによる差
c) 照明器具,光源などの製造上の差
d) 照度計の位置及び傾きによる差
e) その他
4.3 モデリング
人,ボールなどの視対象の形がはっきりと,かつ,質感が良好に見えるようなモデリングとするため,
空間照度と水平面照度との比を4.2.6に規定する範囲とする。
4.4 グレア
グレアは,運動競技,観戦などの妨げとなる。ただし,運動競技は,動的及び空間的であり,あらゆる
場面でグレアを完全に防止することは困難である。そこで,次の二つの手順でグレアの軽減を図る。
a) 運動競技者の視線方向を考慮し,主たる視線方向の視野内に高輝度光源を設置しない。光源·照明器
具の設置位置は,附属書Cを参考に定める。
b) IS Z 9110に規定する不快グレア評価方法に基づいてGRを求め,GR制限値GRL以下にする。
注記 視線が上を向く場合には,ルーバの設置,フードの設置など特別な配慮が必要になる。
照明施設のGRは,表5表8のGR制限値GRLを超えないことが望ましい。GRとグレアの程度との関
係は,表1による。
表1−GRとグレアの程度との関係
GR グレアの程度
90 耐えられない
70 邪魔になる
50 許容できる限界
30 あまり気にならない
10 気にならない
4.5 ちらつき
フリッカが運動競技及び観戦を妨げる原因となる場合には,これを抑制する。運動競技者及びボール,
竹刀などの道具が高速で動く競技においては,視対象が断続的に動いているように見えるストロボ現象を
避けるように設計する。
4.6 光色及び演色性
光色は,運動競技者の心理状態に影響を及ぼすので,特別な理由のない場合には,温白色,白色,昼白
色,昼光色又は色度がこれらの間にある光色を用いる。また,テレビジョン撮影及び写真撮影にも影響を
及ぼすので,昼光及び人工光を併用する場合には,昼光と調和する白色,昼白色,昼光色又は色度がこれ
らの光色の間にある人工光を用いる。光源又は照明器具の光色は,JIS Z 9112を参考に区分する。
物,人の皮膚などの色の見えを表現する演色性は,JIS Z 8726に規定する平均演色評価数Raを用いて評
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価し,表5表8に規定する推奨値を下回らないことが望ましい。
4.7 障害光
夜間の環境を保全するために,障害光を抑制する。障害光は,多くの場合,照明設備からの漏れ光によ
って引き起こされ,人又は周辺環境に,生理的及び生態的に影響を及ぼす。障害光の原因となる屋外照明
設備からの漏れ光は,表2に規定する値以下とすることが望ましい。
表2−屋外照明設備における障害光の許容される最大値
環境ゾーン 地所への照度a) 照明器具の光度 上方光束比 輝度
Ev I ULOR Lb Ls
(lx) (×1 000 cd) (cd/m2) (cd/m2)
減灯時間b)前 減灯時間以降 減灯時間b)前 減灯時間以降 ビル面 サイン面
E1 2 0 c) 2.5 0 0 0 50
E2 5 1 7.5 0.5 0.05 5 400
E3 10 2 10 1.0 0.15 10 800
E4 25 5 25 2.5 0.20 25 1 000
ここに,環境ゾーンはCIE 150:2003に規定する次のものをいう。
E1 : 自然環境,国立公園,保護された場所など本来暗い光環境
E2 : 地方部,産業的,居住的な地方領域など低い明るさの光環境
E3 : 郊外,産業的,居住的な郊外領域など中程度の明るさの光環境
E4 : 都市,都市中心,商業領域など高い明るさの光環境
ここで用いた記号は次のとおりである。
Ev : 地所の鉛直面照度の上限値(lx)
I : 障害を及ぼすと考えられる方向への各照明器具の光度(×1 000 cd)
ULOR : 照明器具を設置した状態において,照明器具又は装置の水平面より上に放射される光束のランプ光束に対す
る割合
Lb : ビル面の平均輝度の上限値(cd/m2)
Ls : サイン面の平均輝度の上限値(cd/m2)
注記 この表は,CIE 150:2003を参照した。CIE 150は2017年に改訂されたが,我が国特有の事情を考慮して最新
版への対応についてはより詳細に検討中である。
注a) 近隣住居の窓,将来住居になる予定の関係する面などに適用する。
b) 減灯時間が適用できない場合には,低い方の値を適用することが望ましい。
c) 照明器具が公共照明(道路など)である場合には,この値は1 lxとする。
4.8 保守率
保守率は,選定した光源,選定した照明器具並びに環境及び特定の保守計画を基に定める。推奨照度は,
保守率を見込んだ上で,光源及び照明器具の経年数及び状態にかかわらず維持しなければならない。
設計者は,保守率を導き出した条件を明らかにするとともに,光源又は照明器具の交換頻度,照明器具
の清掃頻度,清掃方法などを含む,包括的な保守計画を提示することが望ましい。
注記 保守率の算出方法には,一般社団法人照明学会の技術指針JIEG-001がある。
4.9 停電対策
高速で動く運動競技などでは,停電時に運動競技者がその運動競技を安全に停止するための照度を確保
することが望ましい。
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5 照明の個別要件
5.1 テレビジョン撮影の要件
5.1.1 一般事項
テレビジョン撮影及び写真撮影を行う場合は,5.1.25.1.6によることが望ましい。
5.1.2 撮影のための照度
撮影のための照度は,被写体の速度及び撮影距離に基づいて,表3に規定する空間照度による。
表3−撮影のための推奨照度(S/N比50 dB及び標準的なカメラ)
被写体の速度 最大撮影距離
25 m 75 m 150 m
A(比較的緩やか)a) 500 lx 700 lx 1 000 lx
B(中程度の速度)b) 700 lx 1 000 lx 1 400 lx
C(比較的速い)c) 1 000 lx 1 400 lx −
注記 この表は,CIE 83:1989を参照。CIE 83は2019年に改訂されたが,最新版への対応につ
いては,より詳細な技術的検討が必要であることから,1989年版を引用する。
注a) は,カメラを通して見た場合,ビリヤード,ダーツ,射的,スヌーカー,ボウリング,
アーチェリー,体操,馬術,水泳,カーリングなど,比較的緩やかに動くもの。
b) は,カメラを通して見た場合,野球,ソフトボール,ホッケー,バレーボール,バス
ケットボール,テニス,サッカー,ラグビー,フットボール,ハンドボール,バドミン
トン,体操,ローラースケート,競馬,競輪,自転車競技,ドッグレース,フィギュア
スケート,スピードスケート,ボブスレー,リュージュ,スキー·ジャンプ,スキー·
スノーボード,柔道,空手,レスリングなど,中程度の速度で動くもの。
c) は,カメラを通して見た場合,ラクロス,卓球,ラケットボール,スカッシュ,クリ
ケット,アイスホッケー,フェンシング,ボクシングなど,比較的動きの速いもの。
5.1.3 最大照度に対する最小照度の割合
基準面の空間照度の最大照度(Esp,max)に対する最小照度(Esp,min)の割合は次の式(2)の範囲とし,水平
面照度の最大照度(Eh,max)に対する最小照度(Eh,min)の割合は式(3)の範囲とする。また,水平面照度の勾
配は,5 m当たり25 %を超えてはならない。
Esp,min
≧0.3 (2)
Esp,max
Eh,min
≧0.5 (3)
Eh,max
5.1.4 ちらつき
人の目では感じられなくても,光源の光束又は分光分布の変動の周期がカメラの撮像素子のサンプリン
グ周期と同期すると,撮影された動画にフリッカ,ストロボ現象などのちらつきが生じたり,撮影するタ
イミングによって静止画の明るさが変化することがある。動画にちらつきが生じたり,又は静止画の明る
さが変化することがないように設計する。
5.1.5 光色
光源の光色は,特別な理由のない場合には温白色,白色,昼白色,昼光色又は色度がこれらの間にある
光色とする。昼光及び人工光を併用する場合には,昼光と調和する白色,昼白色,昼光色又は色度がこれ
らの光色の間にある光色とする。
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5.1.6 平均演色評価数
光源又は照明器具の平均演色評価数Raは,80以上とする。
5.1.7 観客席の照度
映像又は画像の背景となる観客席などの照度は,基準面における空間照度の平均値の25 %以上とする。
5.2 特定の運動競技の要件
5.2.1 運動競技の区分
運動競技の水準を表4に規定するように区分し,特定の運動競技の要件をそれに応じることが望ましい。
表4−運動競技の区分及び適用例
運動競技の区分 適用例
観客のいる国際,国内,地域全体又は特定地域における最高水準の運動競技会。
I
最高水準のトレーニング。
観客のいる地域全体又は特定地域における一般的な運動競技会。
II
高水準のトレーニング。
観客のいない特定地域の運動競技会。学校体育又はレクリエーション活動。
III
一般のトレーニング。
5.2.2 照明要件
特定の運動競技(球技,運動競技·陸上競技,水泳·ウインタースポーツ,格闘技など)のための照明
要件は,表5表8による。これらの表の構成は,次による。
a) 縦列に,特定運動競技の照明要件を示す。
b) 1行目3行目は,運動競技の種目及び区分を示す。
c) 4行目20行目は,照度段階であり,運動競技の区分I区分IIIの推奨照度を示す。運動競技種目又
は照度段階欄は,特に指定しない場合は水平面照度を示し,“空間”とある場合は空間照度を示し,“鉛
直面”とある場合には鉛直面照度を示す。表中に示す“I 0.7/50/60”は,運動競技の区分がI,望まし
い照度均斉度Uoの下限値が0.7,グレア制限値GRL(上限値)が50,及び平均演色評価数Raの下限値
が60であることを意味する。
d) 21行目(被写体の速度)は,表3の被写体の速度区分を示す。
e) 22行目(計算間隔)は,照度計算点の間隔を示し,23行目(測定間隔)は,照度測定点の間隔を示す。
f) 24行目は,基準面の高さを示す。
6 検証
6.1 手順
照明設備の検証は,測定,計算又はデータの検査によって,必要に応じて行う。
6.2 照度
照度は,4.2.3で定めた点を,4.2.7の規定に基づいて,測定する。
測定値から求めた平均照度が,設計した照度に適合することを確認する。また,照度均斉度が,規定し
た面において,表5表8に規定する値に適合することを確認する。反復測定には,同じ測定点を用いる。
6.3 グレア
GRは,設計者が提供する。このGRが表5表8に規定するGRLに適合することを確認する。また,
GRの計算において,照明設備及びその配置,空間並びに領域の表面仕上げが,計算条件に従っているこ
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とを確認する。
6.4 平均演色評価数
設計で使用する光源又は照明器具の平均演色評価数Raは,製造業者が提供する。Raが照明設計に適合す
ることを確認する。光源又は照明器具は,設計の段階で選定する。
6.5 光色
設計で使用する光源又は照明器具の光色は,製造業者が相関色温度(Tcp値)又は光色区分の名称によっ
て提供する。光色が,設計値に一致することを確認する。
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JIS Z 9127:2020の国際規格 ICS 分類一覧
- 97 : 家庭用及び商業用設備.娯楽.スポーツ > 97.220 : スポーツ設備及び施設 > 97.220.10 : スポーツ施設
JIS Z 9127:2020の関連規格と引用規格一覧
- 規格番号
- 規格名称
- JISC7612:1985
- 照度測定方法
- JISZ8113:1998
- 照明用語
- JISZ8726:1990
- 光源の演色性評価方法
- JISZ9110:2010
- 照明基準総則
- JISZ9112:2019
- 蛍光ランプ・LEDの光源色及び演色性による区分