JIS C 60068-3-1:2016 環境試験方法―電気・電子―第3-1部:低温(耐寒性)試験及び高温(耐熱性)試験の支援文書及び指針 | ページ 2

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C 60068-3-1 : 2016 (IEC 60068-3-1 : 2011)
K) 500
ほうろう巻線抵抗器
上昇(
空気の流れ
温度
400
9W
300
6W
200 4.5 W
3W
100
1.5 W
50 1W
0.5 W
0.25 W
0
0.5 1.0 1.5 2.0 2.5 3.0
風速(m/s)
図2−空気の流れが巻線抵抗器の表面温度に与える影響の実験データ(水平方向の空気の流れ)
風速による供試品の表面温度への影響に加えて,試験槽内の空気の流れも,試験中の供試品表面の温度
分布に影響を与える。このことを図3に示す。
したがって,発熱供試品を試験する場合,試験条件を一般的な自由空間状態又は供試品の実使用条件に
できるだけ近づけるために,供試品周辺又は表面の空気の流れの影響を把握しておくことが望ましい。

――――― [JIS C 60068-3-1 pdf 6] ―――――

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C 60068-3-1 : 2016 (IEC 60068-3-1 : 2011)
90° 曲線の算出に当たっては,供試品の
熱伝導は無視している(最悪値)。
100 K
90 K
80 K
70 K
60 K
50 K
40 K
30 K
20 K
10 K
空気の 0° 180°
流れ
V=2 m/s
V=1 m/s
V=0.5 m/ s
270°
ΔT : 周囲温度と供試品の表面温度との差
V : 風速(m/s)
空気温度 : 70 ℃
円柱の直径 : 6 mm
単位表面積当たりの放熱 : 1.5 kW /m2
図3−風速0.5 m/s,1 m/s及び2 m/sの空気の流れの中に置かれた均一に発熱している円柱体の温度分布
4.2.2 放射
発熱供試品の試験のための試験槽の条件を考える場合,放射による熱伝達は無視できない。“自由空間状
態”では,供試品から伝わる熱は周囲雰囲気に吸収される。
4.2.3 伝導
伝導による熱伝達は,取付具及びその他の接続部品の熱的な特性によって決まる。試験の前にこれらの
特性を把握しておくとよい。

――――― [JIS C 60068-3-1 pdf 7] ―――――

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C 60068-3-1 : 2016 (IEC 60068-3-1 : 2011)
発熱供試品の多くは,ヒートシンク又はその他の熱伝導の良い部品に取り付けているので,一定量の熱
が伝導によって移動する。
製品規格には,取付具の熱的な特性を規定し,試験を行うときに,これらの特性を再現することが望ま
しい。
供試品を熱伝導率の異なる方法で取り付けることができる場合には,発熱供試品の高温試験のときは熱
伝導率の低い取付具を用い,その他の試験(非発熱供試品の高温試験,及び発熱供試品又は非発熱供試品
の低温試験)のときは熱伝導率の高い取付具を用いることが望ましい。
4.2.4 強制空気循環
供試品の表面を代表する点の温度が試験槽内の風速に過度に影響を受けないことを確認するために,試
験槽内に供試品を置き,測定及び試験に用いる標準大気条件(JIS C 60068-1参照)で測定することが望ま
しい。試験槽内の強制空気循環の影響によって,供試品の全ての点の表面温度の低下が5 K以内の場合に
は,強制空気循環による冷却効果は無視してもよい。
表面温度の低下が5 Kを超える場合には,規定する試験条件における表面温度の算出の基礎とするため
に,供試品の表面の代表する幾つかの点の温度を測定することが望ましい。この測定は,製品規格に規定
する試験温度での負荷状態で行うことが望ましい。
周囲雰囲気と供試品表面との温度差が5 Kよりも小さい場合には,異なる周囲雰囲気温度で試験を行っ
ても,表面温度は同一とみなすことができる。
代表する温度測定点としてどこを選択するのかは,供試品の詳細情報(温度分布,熱的に重要な意味を
もつ点など)に基づくことが望ましい。類似する供試品に対して同じような試験を長期間行う場合には,
試験槽の性能を1回の確認試験で評価してもよいが,それ以外の場合には,異なる供試品の試験を行う前
に,試験槽の性能を評価する必要があるかもしれない。

4.3 試験槽

4.3.1  一般
非常に大形の試験槽であっても,供試品周囲の空気循環及び温度分布は,実際の自由空間状態とは同じ
にならない可能性がある。試験の目的として,自由空間状態を再現しようとすることは現実的ではないが,
これらの状態の影響をシミュレートすることは可能である。ただし,有効空間において空気の流れが小さ
い適切な大きさの試験槽では,供試品の温度に対して自由空間状態とほぼ同様の影響を与えることが,実
験結果及び試験経験から確認されている。
発熱供試品の試験に影響を与えると考えられる試験槽のパラメータを,表1に示す。
表1−発熱供試品の試験に影響を与えるパラメータ
熱の伝達機構 対流 放射 伝導
自由空間状態 強制空気循環
試験槽のパラメータ 試験槽の大きさ 試験槽の大きさ, 試験槽壁の放射率 取付具の熱伝導率
風速
4.3.2 試験槽の設定指針
4.3.2.1 自由空間状態の効果をシミュレートするための槽の設計
有効空間の温度調節に用いる加熱及び冷却部品は,有効空間内に取り付けないほうがよい。

――――― [JIS C 60068-3-1 pdf 8] ―――――

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C 60068-3-1 : 2016 (IEC 60068-3-1 : 2011)
4.3.2.2 強制空気循環を行う槽の設計
空気の流れはできるだけ均一にして,対流によって起きる温度の変動を最小化する方向に向けることが
望ましい。空気の流れの影響を,附属書Aに詳細に示す。

4.4 測定

4.4.1  温度
自由空間状態以外で,発熱供試品に関する試験を行う場合,供試品の表面又は供試品の内部の種々の点
での温度を測定することを推奨する。代表する温度測定点としてどこを選択するのかは,供試品の詳細情
報(温度分布,熱的に重要な意味をもつ点など)に基づくことが望ましい。
4.4.2 風速
同一の試験槽内で複数の供試品の試験を行う場合には,試験槽内の状態が均一なことを確かめるために,
試験槽内の風速を把握しておくことが望ましい。風速は,試験槽内の有効空間,並びに供試品の寸法及び
形状に基づいて,測定することが望ましい。

――――― [JIS C 60068-3-1 pdf 9] ―――――

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C 60068-3-1 : 2016 (IEC 60068-3-1 : 2011)
附属書A
(参考)
空気の流れが供試品の表面温度及び試験槽内の温度勾配に与える影響
A.1 算出に用いる記号
空気の流れが供試品の表面温度及び試験槽内の温度勾配に与える影響の算出には,次の記号を用いる。
V : 風速(m/s)
λ(V) : 熱伝達率[W/(m2・K)]
P : 単位時間当たりの伝熱量(W)
F : 放熱面の有効面積(m2)
G : 単位時間当たりの出入りする空気の質量(kg/s)
Cp : 空気の定圧比熱[1 000 J/(kg・K)]
γ : 空気の密度(1.29 kg/m3)
S : 試験槽の断面積(m2)
T : 表面温度(K)
A.2 供試品の表面温度
供試品の表面温度は,次の式によって表すことができる。
1 P
T
λ(V)
ここに,λ(V)は,切片a及び傾きbの一次関数で,次のとおり表す。
λ(V)=a+bV
a≒10
V 実験結果によって,試験に適する低い風速では,b≒3で,風速が上がるとともにbは増加し,風速3 m/s
で,b≒8となる。
V=0.3(m/s)の場合,Tの誤差は10 %以下である。
A.3 吸気温度と排気温度との間の温度勾配
吸気温度と排気温度との間の温度勾配は,次の式によって表すことができる。
P
ΔTair =
Cp G
例 各辺0.5 mの立方体の槽で,風速0.3 m/s,槽内の伝熱量100 Wの場合の温度勾配
S=0.25 m2
P 100
ΔT air 1 K)
≒(
Cp S V 1000 0.25 0.3 1.29
100 Wまでの放熱の場合には,温度勾配にあまり影響はない。1 kWになると,より大きな試験槽の使用
又はより速い空気循環を考えることが望ましい。

JIS C 60068-3-1:2016の引用国際規格 ISO 一覧

  • IEC 60068-3-1:2011(IDT)

JIS C 60068-3-1:2016の国際規格 ICS 分類一覧

JIS C 60068-3-1:2016の関連規格と引用規格一覧