JIS C 60695-8-1:2004 耐火性試験―電気・電子―第8-1部:発熱―一般指針 | ページ 2

C 60695-8-1 : 2004 (IEC 60695-8-1 : 2001)
表1に燃焼熱(真燃焼熱)の例を示した。[2] エチレン,アセチレン,ポリオキシメチレン以外は,消
費酸素 1 kg 当たりの計算燃焼熱は 12.51 MJ と 13.6 MJ との間にある。表1に示す値は完全燃焼したも
のとして計算してある。しかし,上述したように,ハゲットは不完全燃焼効果を検討し幾つかの例につい
てΔHc(生成熱)の値を計算している。例えば,セルロースの燃焼において CO に対する CO2 の比が 9:1
となる場合では,
(C6H10O5) + 5.7O2 → 5.4CO2 + 0.6CO + 5H2O ΔHc = −13.37 MJ/O2 1 kg
また,かなり多量の炭素質炭状物が生成する燃焼では,
(C6H10O5) + 3O2 → 3CO2 + 3CO + 5H2O ΔHc = −13.91 MJ/O2 1 kg
完全燃焼の場合では,
(C6H10O5) + 6O2 → 6CO2 + 5H2O ΔHc = −13.59 MJ/O2 1 kg
である。
ハゲットは,その他の幾つかの例についても検討し,消費される単位量の酸素当たりの発熱量は一定で
あるという想定がほとんどの場合十分に正しいであろうと結論している。
もちろん,特定の材料に対して酸素1 kg 当たりのΔHc(生成熱)の正しい値が分かっている場合は,
この値を概略値の代わりに用いることが望ましい[3]。

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表 1a 各種燃料の燃焼熱(MJ/kg)と MJ/消費酸素1 kg との関係
ΔHc*
燃料 化学式
MJ/kg MJ/酸素1kg
メタン (g) CH4 50 13
エタン (g) C2H6 47 13
ブタン (g) C4H10 46 13
オクタン (l) C8H18 44 13
エチレン (g) C2H4 47 14
アセチレン (g) C2H2 48 16
ベンゼン (l) C6H6 40 13
ポリエチレン -(-C2H4-) n- 43 13
ポリプロピレン -(C3H6-) n- 43 13
ポリイソブチレン -(-C4H8-) n- 44 13
ポリブタジエン -(-C4H6-) n- 43 13
ポリスチレン -(-C8H8-) n- 40 13
PVC -(CH2CHCl-) n- 16 13
PMMA -(-C5H8O2-) n- 25 13
PAN -(-C3H3N-) n- 31 14
ポリオキシメチレン -(-CH2O-) n- 15 15
PET -(-C10H8O4-) n- 22 13
ポリカーボネート -(-C16H14O3-) n- 30 13
セルローストリアセテート -(-C12H16O8-) n- 18 13
ナイロン -(-C6H11NO-) n- 30 13
セルロース -(-C6H10O5-) n- 16 14
綿 - 16 14
紙(新聞紙) - 18 13
木材(カエデ) - 19 13
かっ炭 - 25 13
石炭(れき青炭) - 35 14
注* 25℃における反応物と生成物,生成物はガス状態
備考1. (g) = ガス,(l) = 液体
2. 3列目の値の大部分は,熱力学データから計算して求めた。4列目の値は,完全燃焼を仮定して3列目のデー
タを用いて計算した。
表1b 各種絶縁油の燃焼熱(MJ/kg)と MJ/消費酸素1 kg との関係
ΔHc*
絶縁油 化学式
MJ/kg MJ/酸素1 kg
シリコーン油 (1) - 25 14.5
ペンタエリスリトールエス
- 36.8 **
テル (2)
モノ-及びジペンジルトル
- 39.5 **
エン (3)
鉱物パラフィン (4) - 46.1 **
注* 25℃における反応物と生成物,生成物はガス状態 注** 現在,データなし
注(1) 変圧器用液体シリコーン,種別 T1, IEC 60836 [4]
備考 第10技術委員会は種々の資料から燃焼熱の値が25 MJ/kgから27 MJ/kgであると了解している。
(2) 変圧器用エステル油,種別 T1, IEC 61099 [5]
(3) コンデンサ用絶縁油,IEC 60867 [6]
(4) 変圧器及び開閉装置用鉱物油,IEC 60296 [7]

――――― [JIS C 60695-8-1 pdf 7] ―――――

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4.2 二酸化炭素生成量法による発熱

 この方法は,燃焼方法の化学量論の観点において,消費酸素の1
分子当たりに発生したエネルギーは生成した二酸化炭素1分子当たりに発生したエネルギーにほぼ等しい
という考えに基づいている。そのようにして,燃焼が完全であるならば(例えば,CO/CO2 比が非常に小
さい)反応物としての酸素の消費率は,生成物としての二酸化炭素の生成率に等しくなければならない。
この二つの率は,発熱の量を表しているはずである。この常数に対する平均値は,生成した二酸化炭素に
ついて 13.3 MJ/kg である。材料(燃料)又は製品(生成物)に対して,より正しい値が分かっている場
合は,その値を発熱の計算に用いることが望ましい。
一般に,二酸化炭素生成量法で測定された発熱の値は,酸素消費量法で測定された発熱率とよく一致し
ている。

4.3 ガス温度上昇法による発熱

 ガス温度法は,熱損失がなく,また,燃焼で生じた熱のすべてが空気
と燃焼放出物の熱い混合流の温度を上昇させるのに使われるので,その温度が燃焼域の下流で測定できる
という考えに基づいている。主として熱放射による熱損失が無視できるならばガス温度上昇法(熱電対列
法,サーモパイル法ともいう。)は,酸素消費量や二酸化炭素生成量法と同じ発熱の値を示すであろう。発
熱は,熱電対列の位置で,通常は周囲温度を基準温度としてガス温度の上昇値を測定して決める。ガス温
度上昇値は,空気と燃焼放出物との全流量を測定する手段によって,適切な空気温度における混合物の比
熱を用いて発熱に変換できる。又は,メタンのような発熱値既知の物質の一定流量を用いて補正するとい
う方法で簡単に求めることもできる。
一般に,温度測定によって求めた発熱の値は,酸素消費量や二酸化炭素生成量法で求めた発熱の値より
も小さい。なぜならば,熱損失を通常は無視できないからである。小規模試験では,試験装置をできるだ
け断熱状態とするよう試みることによって熱損失を最少にできる。

5. 試験方法選択のための検討

5.1 着火源

 着火源は,対象とする火災シナリオを代表とすると同時にできるだけ再現性があるように
選ばなければならない。
このことは着火源が次のいずれかにさらすことと同等の効果をもつものでなければならないことを意味
している。
a) 電気・電子機器又はシステムの中の,異常に偏った位置にある内部エネルギー源
b) 電気・電子機器又はシステムの外部にある,外部熱源又は外部火源

5.2 試験試料の種類

 試験試料の形状,大きさ及び配置を限定することが望ましい。装置の能力に応じ
て3種類の試験試料がある(試験方法によっては適用できる試料の種類が限られる)。
a) 製品試験 試験試料は製造製品とする。
b) 模擬製品試験 試験試料は,コンポーネント又は製品機能を模擬したものとする。
c) 材料又は複合材料試験 試験試料は,基礎的材料(固体,液体又はガス)又は材料の単純な複合物と
する。
5.3 試験条件の選択 大規模試験においては,製品の発熱試験条件を決める前に検討すべき幾つかの項
目がある。着火源の正しい選択に加えて,試験区画内配置(試験試料,着火源及び排気装置のそれぞれの
大きさと位置),その他のそこにある(例えば,その他の関連する燃焼性質の測定のために用いられる)設
備,換気の程度などが考慮されなければならない。
燃焼の換気は,換気の程度が異なる燃焼を表すように変動させる。例えば,換気良好の燃焼や換気不良
(換気を制御された)[8] 小規模試験においては,時として,正常の大気中の条件とは異なる条件の下で

――――― [JIS C 60695-8-1 pdf 8] ―――――

                                                            C 60695-8-1 : 2004 (IEC 60695-8-1 : 2001)
発熱を測定することもまた関心がもたれる(例えば,汚染雰囲気や,宇宙船内のような高酸素雰囲気の影
響を調べること,また,酸素を増やしたことによる熱放出の効果を模擬することなどである)。
5.4 試験装置 試験装置は5.2で規定した試験試料の中の一つの種類を水平位置又は垂直位置のいずれ
かで試験する能力をもっているものとする。選択する配置は,実際の製品とその製品の設置状態に関連す
る火災安全工学計算式に入力するために最も適切なデータを取得するようにすることが望ましい。
5.4.1 小規模試験装置 試験装置は,試験試料の被照射面に均一な放射熱流束を課せる装置をもつものと
する(均一な熱流束を放射できる設備をもっているものとする)。炭化けい素,タングステン-石英又は金
属巻線などの発熱要素をもつ電気的放射ヒータは,試験試料に均一な熱流束を照射可能であることが見い
出されている。試験装置は,試験試料表面に熱流束を当てることによって生じた燃焼放出物に点火できる
装置を用意するべきである。典型的な点火装置は,電気火花式点火装置又は小さな混合ガス炎であって,
両者とも十分に点火に役立つものである。
小規模試験装置は,燃焼放出物と排気の混合物全部を捕集する排気処理装置を備えていなければならな
い。質量流速と温度の測定を含む種々の測定装置も要求される。酸素消費量法に対しては十分な感度をも
つ酸素分析器,二酸化炭素生成量法に対しては十分な感度をもつ二酸化炭素と一酸化炭素分析器,ガス温
度上昇法に対しては十分な感度をもつ熱電対や熱電対列といった特殊な設備が必要である。
備考 試験設備は,多くの場合,試料の質量損失測定用ロードセル,煙による遮り測定のための排気
ダクト中に設けた光学装置,燃焼生成物濃度測定のための排気ダクト中に設けたガス分析器,
微粒子測定のためのすす収集装置,種々の位置に設けた温度・圧力測定機器のような,同時に
測定できる関連測定設備をもっている。また,当然試験装置を適切に校正できる装備をしてお
く。
5.4.2 大規模試験装置 大規模試験装置は,少なくとも,発熱測定のための適切な装置をもつ排気ダクト
が正しく設置されていなければならない。その他の装置・機器も,試験の要求項目に応じて設備される。
小規模試験のところで述べた装置と同じ種類のものは,大規模試験に対しても役に立つものである。
5.4.3 小規模試験方法と大規模試験方法との比較 発熱は,実火災における火災危険評価に対して必す
(須)の入力データであることが明らかになっている。火災危険評価に対する入力データは,大規模試験
装置や小規模試験装置から得られる。外部熱流束やその他の条件を適切に選択することで,小規模試験か
ら得られる種々の外部熱流束の水準における発熱と質量損失率の測定結果は,大規模試験で得られた測定
値と条件によってはよい相関がある。

6. 発熱データの関連性

 発熱データは,JIS C 60695-1-1に規定したように,火災危険評価と火災安全工
学の一部に用いられている。
実火災や大規模火災試験における発熱率は,火災の大きさの尺度である。そのため,大規模試験におけ
る発熱率は,電気・電子製品を巻き込んでいる火災の激しさを評価するために用いられる。

6.1 最大炎の広がりの推定

 発熱率の測定や発熱試験装置で測定可能なその他の燃焼特性の測定から,
最大炎の広がり(おそらく,炎の広がり速度も)を,コンピュータ火災モデル,又は場合によっては簡単
な経験則を用いて推定可能であることが分かっている。

6.2 自己伝ぱ燃焼しきい値の決定

 発熱率は,抑制される燃焼と,衰えずに燃焼しつづける(すなわち,
自己伝ぱするようになる)燃焼とのしきい値を場合によっては識別できることが分かっている。自己伝ぱ
のしきい値に対応する発熱率を決定することも重要である。

――――― [JIS C 60695-8-1 pdf 9] ―――――

C 60695-8-1 : 2004 (IEC 60695-8-1 : 2001)

6.3 フラッシュオーバに達する確率

 電気・電子製品が火災に巻き込まれているとき,製品の量と発熱
と発熱率・発熱速度がフラッシュオーバに達する可能性のある火災の激しさに大いに寄与する。

6.4 発熱試験の価値

 新組成(例えば,難燃剤の添加や重要な化学的成分の変更などによる材料の新組
成),新しい設計(例えば,電気・電子製品の形状や寸法の変更による製品の設計),また,全体系の中で
の個々の製品の幾何学的配置を有効に用いることなどが火災安全の改善になる。発熱測定は上述の例にお
いて有益なデータとなる。

――――― [JIS C 60695-8-1 pdf 10] ―――――

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JIS C 60695-8-1:2004の引用国際規格 ISO 一覧

  • IEC 60695-8-1:2001(IDT)

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