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C 6824 : 2009
3 用語及び定義
この規格で用いる主な用語及び定義は,JIS C 6820によるほか,次による。
3.1
全モード励振 (overfilled launch)
被測定光ファイバの伝搬モード全部を励振させる励振方法。
3.2
限定モード励振 (restricted mode launch)
被測定光ファイバの伝搬モードの一部を選択して励振させる励振方法。
3.3
入射ビームスポット (launch spot)
光ファイバ入射端面上での光ビームの強度分布。
3.4
半値幅 (width at half maximum)
山形の分布を表す曲線において,最大値の半分となる分布の幅。幅全体を半値全幅 (Full Width at Half
Maximum, FWHM),その半分を半値半幅 (Half Width at Half Maximum, HWHM) という。
3.5
−3 dB帯域 (−3 dB bandwidth)
光ファイバのベースバンド伝達関数の絶対値が,直流の値に対し−3 dBに減衰するまでの最低の変調周
波数帯域。
4 測定方法の分類
ベースバンド周波数応答は,正弦波変調された光に対する光ファイバの応答から周波数領域で直接測定
することができる。又は,狭い光パルスの広がりからも測定可能である。これら二つの手法を,それぞれ
次のように呼ぶ。
− 周波数掃引法
− パルス法
いずれの手法も,全モード励振又は限定モード励振のいずれかの励振条件で行う。
基準測定法は周波数掃引法とし,代替測定法はパルス法とする。厳密に測定するときは,基準測定法を
用いるが,支障がない場合は,代替測定法で測定してもよい。
注記 これらの測定法は,生産又は研究開発において一般的に用いられるが,実用現場での実施は困
難である。
5 試験状態
試験は,規定がない限り,JIS C 60068-1の5.3[測定及び試験のための標準大気条件(標準状態)]に規
定の標準状態で行う。ただし,標準状態で試験することが困難な場合は,判定に疑義を生じない限り,標
準状態以外の状態で試験を行ってもよい。
6 装置
6.1 光源
6.1.1 周波数掃引法の場合
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光源には,CWインジェクションレーザダイオードなどを用いる。周波数掃引法には,光源の光を電気
的,光学的又は機械的に変調する機能を必要とする。
6.1.2 パルス法の場合
短い間隔でスペクトル幅の狭いパルス列を発生できる光源(例えば,インジェクションレーザダイオー
ド)を用いる。パルス法には,光源の光を電気的,光学的又は機械的にオン/オフする機能を必要とする。
6.1.3 両手法に共通な事項
周波数掃引法及びパルス法に共通な事項は,次による。
a) 波長が既知で,中心波長が規定の波長に対し±10 nm以内の光源を用いる。インジェクションレーザ
ダイオードの場合,光ファイバに入射する励起光の光強度は,自然放出光の光強度の15 dB以上でな
ければならない。
b) 帯域の測定値が,多モードひずみによる帯域の90 %以上を保証できるように,十分に線幅の狭い光源
を用いる。そのためには,規格化モード間分散限界(NIDL,附属書A参照)を計算すればよい。ただ
し,全プラスチックマルチモード光ファイバでは,レーザダイオードの線幅は帯域測定への影響を無
視できるほど十分に狭いため,考慮する必要はない。
c) 石英系マルチモード光ファイバ,多成分系マルチモード光ファイバ及びプラスチッククラッドマルチ
モード光ファイバでは,各測定波長に対し,光源のスペクトル幅から規格化モード間分散限界を,次
の式によって計算する。ただし,規格化モード間分散限界は1 200 nm以上1 400 nm未満の波長領域
では規定しない。この波長領域内では,光源のスペクトル半値全幅は10 nm以下でなければならない。
NIDL IDF /
ここに, NIDL : 規格化モード間分散限界 (GHz・km)
光源のスペクトル半値全幅 (nm)
IDF : 光源波長に対するモード内分散因子 (GHz・km・nm)
(附属書A参照)
注記 NIDLの値が許容されるか否かは,個別ユーザの検査仕様による。例えば,0.5 GHz・kmとい
うNIDLの値は,その光ファイバの帯域の最小値が500 MHz・km弱よりも大きいことを確認
するためには十分かもしれないが,最小値が500 MHz・kmよりも大きいことの確認には不十
分となる。
NIDLが非常に低すぎる場合は,よりスペクトル幅の狭い光源を必要とする。
d) 光源は,単一のパルス発生期間及び全測定期間にわたって安定していなければならない。
6.2 励振系
6.2.1 全モード励振
6.2.1.1 石英系マルチモード光ファイバに対する全モード励振
光源の放射特性に依存しない制御された励振を行うため,光源と被測定光ファイバとの間にモードスク
ランブラを設置する。モードスクランブラからの出射光は,附属書Eに従って被測定光ファイバの入射端
に結合しなければならない。被測定光ファイバは,測定の間,安定して静置しなければならない。光ファ
イバのアライメントを確認するために観察システムを使用してもよい。
試料からのクラッドモードパワーを除去する手段を設ける。光ファイバの被覆がこの機能を果たす場合
がある。そうではない場合には,被測定光ファイバの両端近傍にそれぞれクラッドモード除去器を設置す
る。被測定光ファイバをクラッドモード除去器の上に小さなおもりで固定する場合は,マイクロベンドが
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発生しないように注意する。
注記 全モード励振による帯域測定値は,石英系マルチモード光ファイバを850 nm又は1 300 nmの
LEDで使用する場合に特に対応する。レーザによる用途にも場合によって適用できるが,リン
ク長が短くなる(850 nmの場合),又はレーザ光源の種類が制約される(1 300 nmの場合)こ
とが考えられる。
6.2.1.2 多成分系マルチモード光ファイバ,プラスチッククラッドマルチモード光ファイバ及び全プラス
チックマルチモード光ファイバに対する全モード励振
全モード励振は,レンズ,アパーチャなどを組み合わせ,入射NAが被測定光ファイバのNA以上で,
入射ビームスポットの大きさが被測定光ファイバのコア径以上となる状態で行う。
6.2.2 限定モード励振
6.2.2.1 石英系マルチモード光ファイバに対する限定モード励振
限定モード励振条件は,附属書Eに規定する条件で,全モード励振された限定モード励振用光ファイバ
によって作る。その全モード励振条件は,入射光の広がりが限定モード励振用光ファイバに対して角度及
び径方向に十分大きければよい。限定モード励振用光ファイバは,コア径が23.5±0.1 μm,NAが0.208±
0.01となる。また,屈折率分布パラメータが約2のGI形であり,波長850 nm及び1 300 nmにおける全モ
ード励振による帯域が,700 MHz・km以上でなければならない。接続の簡易性のため,クラッド外径は125
μmとする。限定モード励振用光ファイバは,漏れ光モード成分を除去するために1.5 m以上の長さで,か
つ,過剰な損失を防ぐために5 m以下とする。上記の条件によって励振された限定モード励振用光ファイ
バを,被測定光ファイバに接合する。
クラッドモードを除去するために,光ファイバにコーティングを施す,及び/又は被測定光ファイバの
両端近傍にそれぞれクラッドモード除去器を設置する。被測定光ファイバをクラッドモード除去器の上に
小さなおもりで固定する場合は,マイクロベンドが発生しないように注意する。
最高の精度を得るために,限定モード励振用光ファイバの構造寸法及び屈折率分布には厳しい公差を要
求する。また,最高の測定再現性を得るために,限定モード励振用光ファイバは,高精度で被測定光ファ
イバの中心に位置合わせして接続しなければならない。
注記 IEC 60793-2-10のカテゴリA1b (62.5/125 μm) 光ファイバについて,この限定モード励振によっ
て得られる波長850 nmでの帯域の値は,ある特定の励振条件を満たす波長850 nmのレーザ送
信器を用いた場合の実際の帯域と相関があることが示されている。より明確にいえば,カテゴ
リA1bの光ファイバについて,“波長850 nmでの限定モード励振による帯域≧385 MHz・km”
とは,次の三つの励振条件を満たす光源に対し,最小で385 MHz・kmの実効帯域をもつことで
ある。
a) 公称動作波長 : 850 nm
b) 半径4.5 μmでのエンサークルドフラックス : 25 %以下
c) 半径15 μmでのエンサークルドフラックス : 75 %以上
なお,エンサークルドフラックスは,IEC 61280-1-4に従って測定する。
6.2.2.2 プラスチッククラッドマルチモード光ファイバに対する限定モード励振
プラスチッククラッドマルチモード光ファイバの場合,限定モード励振条件は,レンズ,アパーチャな
どの組合せによって作る入射NAが0.3のときとする。
入射ビームスポットの大きさは,被測定光ファイバのコア径以上とする。
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6.2.2.3 全プラスチックマルチモード光ファイバに対する限定モード励振
全プラスチックマルチモード光ファイバの場合,限定モード励振条件は,図1に示すような円柱に巻き
付けたモードフィルタを,全モード励振することによって作る。このモードフィルタは,被測定光ファイ
バと同一種類の光ファイバで作る。不要な損失を避けるため,このフィルタ作製に用いる光ファイバの長
さは,1 mとする。円柱の直径は,光ファイバのクラッド外径の20倍とし,巻き数は,5回とする。
図1−円柱巻き付け形モードフィルタ
注記 光ファイバを円柱に巻き付けるときに,過剰な力を加えてはならない。巻き付けた光ファイバ
は接着剤などで円柱に固定する。巻かれていない部分は,真っすぐに置く。
6.3 検出装置
検出感度に顕著なモード依存性が出ないように,被測定光ファイバからのすべての出射光が検出装置の
検出部に当たるようにする。検出装置は測定する光パワーの全範囲にわたり線形に応答しなければならな
い。検出装置に入る光強度を調節するために,光アッテネータを使用してもよい。
検出装置は,6.6を満たす十分な安定度及び再現性を保てるサンプル出射端保持機構をもたなければなら
ない。
検出装置は,測定波長において振幅応答が線形で,部位による感度のばらつきが10 %以内であり,かつ,
すべての出射光を検出するために十分な大きさでなければならない。
検出した光信号は,例えば,周波数掃引法の場合は電気のスペクトルアナライザのような適切な装置で,
パルス法の場合は掃引レートを校正した高速のサンプリングオシロスコープで,表示しなければならない。
プリアンプ又は検出系の電子回路も,信号レベルの全範囲にわたり振幅応答は線形(5 %以下の非線形度)
でなければならない。
6.4 記録装置
周波数掃引法の場合,検出装置からの高周波変調信号の振幅を検出して表示及び記録するために,トラ
ッキングジェネレータと電気スペクトルアナライザとを組み合わせるか,又はそれと同等の装置を用いる。
この場合,高調波ひずみは5 %未満に抑えなければならない。
パルス法の場合,検出したパルスの振幅を時間の関数として記録するために,デジタルプロセッサなど
の記録装置を接続したオシロスコープを用いる。その記録装置によって記録されたデータを測定値とし,
オシロスコープの画面から読み取ったデータは参考とする。
6.5 計算装置
パルス法の場合,波形記録装置に記録したパルス波形をフーリエ変換できる計算機を用いる。計算機に
は,各種の高速フーリエ変換のうちのいずれか,又は他の適切なアルゴリズムが組み込まれており,その
他の信号処理又は波形のアベレージング若しくは記録にも役立つ。
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6.6 全測定系の性能
周波数掃引法(8.1参照)及びパルス法(8.2参照)における,測定又はシステム校正期間にわたるシス
テムの安定性の検証方法を,次に示す。
測定系の安定性は,周波数掃引法の場合には入力の周波数応答を,パルス法の場合には入力パルスのフ
ーリエ変換を,ある時間間隔を置いて比較することによって調べることができる。附属書Bに示すとおり,
帯域の測定では光ファイバ出力パルスの変換をシステム校正変換によって規格化することになる。被測定
光ファイバの代わりに基準サンプルを測定すれば,その結果得られる応答H(f) は,時間間隔を置いた前後
での測定系自身の比較を表すことになる。この規格化されたシステム振幅安定度によって,SSFL (System
Stability Frequency Limit) を決める。
SSFLとは,システム振幅安定度が,一定値から5 %外れる最少の度数である。被測定光ファイバから基
準長さ分を切り出す方法による帯域測定の場合,SSFLは,実際の測定に要するのと同じ時間を置いた後
に再測定を行って決める。被測定光ファイバとは別に基準サンプルを用意する測定の場合,SSFLは,実
際上周期的なシステム校正で適用するのと同じ時間間隔で決める。
SSFLを決めるに当たっては,検出装置に到達する光信号強度を,被測定光ファイバによる損失に3 dB
加えた量以上減衰させる。そのためには,信号の規格化及び比較に使用する減衰器を既に設置していなけ
れば,光路内に減衰器を置く必要がある。また,SSFLを決めている間中,パルスの位置及び振幅,又は
周波数応答のずれは,視認できなければならない。
7 サンプル
7.1 被測定光ファイバ
被測定光ファイバは,長さが既知の光ファイバ又は光ケーブルとする。
7.2 基準サンプル
基準サンプルは,被測定光ファイバと同一種の短い光ファイバ又は被測定光ファイバから切り出す。全
プラスチックマルチモード光ファイバ以外では,基準サンプル長は,被測定光ファイバの長さの1 %未満
又は10 m未満のいずれか短い方とする。
全プラスチックマルチモード光ファイバでは,基準サンプル長は,1 m2 mとする。限定モード励振の
場合,モードフィルタからの出力が基準となる。
7.3 端面処理
光ファイバ軸に直角で滑らかな鏡面になるように,端面処理を行う。
7.4 被測定光ファイバの設定
被測定光ファイバは,張力がかからずマイクロベンドを極力抑えるように設置し保持する。
全プラスチックマルチモード光ファイバの場合,張力がかからない状態で,被測定光ファイバを直径が
300 mm以上の束状に巻く。被測定光ファイバにはマクロベンド又はマイクロベンドが発生してはならな
い。また,励振系の出力のエネルギー分布は,十分に安定していなければならない。
7.5 被測定光ファイバの位置合せ
被測定光ファイバの入射端を,6.2の励振条件を作る励振系の出射端に対し,位置合わせして固定する。
8 手順
8.1 周波数掃引法
8.1.1 一般
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JIS C 6824:2009の引用国際規格 ISO 一覧
- IEC 60793-1-41:2003(MOD)
JIS C 6824:2009の国際規格 ICS 分類一覧
- 33 : 電気通信工学.オーディオ及びビデオ工学 > 33.180 : 光ファイバ通信 > 33.180.10 : 光ファイバ及び光ケーブル
JIS C 6824:2009の関連規格と引用規格一覧
- 規格番号
- 規格名称
- JISC60068-1:2016
- 環境試験方法―電気・電子―第1部:通則及び指針
- JISC6820:2018
- 光ファイバ通則
- JISC6822:2009
- 光ファイバ構造パラメータ試験方法―寸法特性