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附属書D(参考) 二相密閉瓶を用いた呼吸試験
D.1 原理 この試験方法は,例えば,先に記載したような呼吸装置が利用できない場合の代案となる。植
種源,試験材料及び参照物質は,あらかじめ体積の分かっている水溶液若しくは空気が入っている密閉瓶
に混入し,2025℃の温度条件下で振るか又はかき混ぜる。これによって水相と気相間の静的酸素分圧を
調整する。生分解は,水相での溶存酸素濃度を定期的に測定することによって求める。試験フラスコ内の
総酸素取込み量は,空試験及び試験フラスコで測定される溶存酸素濃度の差を,標準条件下での飽和酸素
量で除し,これに最初に液相及び気相に存在した総酸素量を乗じることで算出される。生分解度は,総酸
素取込み量を理論的酸素需要 (ThOD) で除すことで計算され,百分率で表される。
D.2 特別な装置
D.2.1 培養瓶 ガスを通さない瓶,例えば,容積200300mlの栓(例えば,すりガラス,ブチルゴム製,
又はスクリューキャップのもの)付きの首の部分が細くなった瓶で,光を通さない(例えば,褐色ガラス
製)の瓶を用意する。栓には留め金をすることを推奨する。各瓶は,油性ペンで印を付けておく。スター
ラー付き酸素電極が用意できない場合は,ポリテトラフルオロエチレンで被膜したマグネティックスター
ラーを用意する。標準容積の試験瓶を用いる場合は,使用する試験瓶の平均容積の標準偏差が1ml以内に
なるようにしなければならない。又は各番号を付けられた試験瓶の容積が,個別に1mlの精度で測定し,
記録しておく。試験瓶の密閉度を確実にするとともに,栓の取外しを容易にするために,不活性のシリコ
ン油を栓部分に塗っておくとよい。
D.2.2 酸素電極 望ましくは据え付けてあるかくはん装置を用い,010mg/lの濃度範囲を1%の精度で測
れるものがよい。電極の応答性については,約1.5分以内に安定状態に達するものを選んでおく。電極の
位置は,例えば,試験瓶の首の磨きガラス部分に,漏れのないように栓ができる状態で取り付けるか,又
は試験瓶に工夫してバイパスによって酸素濃度を測定できるようにしておくとよい。
D.2.3 マグネティックスタラー又はかくはん装置
D.3 操作 8.4に記載された試験瓶FT,FB,FCの三つを準備する。試験瓶内の試験培養液をかき混ぜる場
合は,振とうでなく,かくはんする場合は,スタラー棒をそれぞれの瓶に入れる。十分な試験培養液,望
ましくは標準試験培養液 (6.2.1) を準備して,完全な試験が実施できるようにする。十分な量の栄養を供
給するために,保存溶液中の塩化アンモニウムを3倍の1.5g/lとする。8.3に従って培養液に植種源を加え
る。このとき,できれば30mg/lの活性汚泥を用いることが望ましい。植種源と培養液とは,よく混合して
試験瓶に加えるとよい。このとき,試験瓶の空間容積の3分の2に相当する量を加える(例えば,300ml
の試験瓶なら200ml)。次に,試験瓶を培養装置に取り付けるか又は装置を使ってかき混ぜながら,20℃
25℃で1週間培養する。この間,微生物は体内の蓄積物質を消費するので,植種源は安定化(栄養が枯渇)
する。その後,飽和水蒸気で満たした圧縮空気を空気拡散器によって約15分間,試験瓶内をばっ気し,初
期酸素濃度を測定する。次に,試験材料及び対照材料を8.1及び8.2に規定された試験瓶に加える。この試
験では,試験材料の濃度は最大150mg/l ThOD,すなわち約90mg/l TOCに相当するものでなければならな
い。この後,試験瓶にしっかり栓をし培養を続ける。
1週間ごとに各試験瓶の溶存酸素濃度を測定する。試験期間中は試験瓶の温度は,常に設定温度のプラ
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スマイナス0.5℃で管理する。酸素電極は,製品仕様に従って正確に校正しておく。酸素測定は,試験瓶を
連続的に取り出して,約30秒間,手で勢いよくかくはんさせた後,試験瓶をスターラー装置に移して行う。
このとき培養操作は行わない。
次に栓を外して,直ちに酸素電極を取り付けた栓を試験瓶の首の部分に差し込む。このとき,栓は試験
瓶をうまく密閉でき,かつ電極の先端が液面下に届くように調整しておく。次に,スターラーをスタート
させ,渦が生じないようにしながら酸素濃度が測定できるように回転速度を調節する。この回転速度は,
酸素濃度測定時及び電極校正時を通して,一定にしておくとよい。電極の指示が安定したら,普通約2分
以内である,酸素濃度値を記録する。酸素濃度が1.5mg/l以上を示す試験瓶に限り試験を有効とし,試験
結果の生分解度の計算に用いる。この方法に代えて,水相での溶存酸素濃度を測定する他の適切な方法,
例えば,試験瓶の密閉度を保ったうえで,バイパスを設けて酸素電極を取り付けておくようなものがあれ
ば採用してもよい。
次に各試験瓶のpHを測定し記録しておく。もしpHが6.0以下であれば0.1mol/l0.5mol/lの水酸化ナト
リウムを用いて7.5に調整しておく。最後に空気拡散器を用いて試験瓶の培養液を約15分間ばっ気し,前
述の方法で酸素濃度を測定する。再び試験瓶に栓をし,シエーカーに取り付けて培養を続ける。測定した
BODは,試験の最後に窒素化することで補正する(8.4及び附属書Bを参照)。
D.4 結果の計算 各試験瓶の水相の取込み酸素量比Urは,式(D.1)によって算出する。
Ur= (CBt−Ct) /CS (D.1)
ここに, CBt : 培養時間tでの空試験の溶存酸素濃度の平均値 (mg/l)
Ct : 培養時間tでの試験瓶の溶存酸素濃度 (mg/l)
CS : 飽和溶存酸素量 (mg/l)
である。
このCSは,空試験又は試験瓶のばっ気後に測った平均値を用いる。標準気圧 (1 013hPa),20℃でのCS
の理論値は9.08となる。
試験瓶の総酸素容量OC(mg/瓶)は,次の式(D.2)によって,標準気圧,20℃での気相の最大含有酸素量
及び液相での酸素含量から算出する。
OC= (0.28×Vg) + (0.009×Vl) (D.2)
ここに, 0.28 : 標準的な空気の酸素含量 (mg/ml)
Vg : 試験瓶中のガス体積 (ml)
0.009 : 飽和水の酸素含量 (mg/ml)
Vl : 試験瓶中の溶液体積 (ml)
通常Vlは,一試験当たり一定となるようにするが,分析のために試料の一部が取り出された場合は例外
とする。また,Vgは試験に供した試験瓶によって異なる。各試験瓶間の容積差はできるだけ小さくし,OC
を一定として扱う。また,その差が顕著な場合(例えば,200ml容量瓶で2ml以上である場合など)は,
各試験瓶ごとにOCを計算しなければならない。試料が分取されるに従ってVlが減少する場合は,Vgはそ
れに伴って増加させないといけない。
酸素取込み量 (BOD) は,次の式(D.3)によって算出する。
BOD=Ur×OC (D.3)
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試験の終了時には,全(試験数nについて)培養期間のBOD総量を式(D.4)を用いて総計する。
BOD1+BOD2+···+BODn (D.4)
次に9.1に従って生分解度をパーセンテージに換算する。
非生物的な関与の除外,対照材料の生分解度及び植種源への生育阻害を評価する場合は,適宜,目的に
合った式を用いて求める。
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附属書E(参考) 炭素収支の測定例
E.1 原則及び範囲 プラスチック材料は,通常低分子量の物質に比較して,より複雑な組織からなりたっ
ている。二酸化炭素放出量又は生物学的酸素要求量 (BOD) だけを測定することは,その生分解性を特徴
付けたり,定量化するには十分でない場合が多い。生分解している間に,新しいバイオマス(生物資源)
が微生物によって築き上げられ,試験に使われる物質の炭素の一部は,生化学的に酸化されるのではなく,
バイオマスに変換される。したがって,二酸化炭素放出及び生物学的酸素要求量のような分析のパラメー
タは,試験材料の完全生分解の場合でさえも各々の理論値の100%にしばしば到達せず,また,その試験
結果から不十分な分解であると誤って過小評価されることにもなる。この附属書で記載されるように,全
体の炭素収支の測定は,このような場合,完全生分解性を確認するのに役立つだろう。
そのような収支は,次に示す測定から得られる炭素量の加算に基づいている。二酸化炭素として放出さ
れる炭素,新しいバイオマスとして生産される炭素,水溶性有機代謝物に変換されDOCとして測定され
る炭素,及び分解されない残存高分子物質。炭素総量は,試験系に導入される試験材料の有機炭素の量と
比較される。
E.2 試験操作 8.4で記載したようにBODを測定する。
試験のはじめ,試験材料を加える前,培養の終了時に培養液のサンプリングをする。サンプリングは,
代表する試料を得るために注意して行わなければならない。これらの試料を膜ろ過又は約40 000ms−2で遠
心分離する。
フィルター上又は残さ(渣)中のバイオマスを適切な方法,例えば,たんぱく測定によって測定する。
バイオマス中の炭素量を測定又は推測し,その差からバイオマスの有機炭素の増分を計算する。
試料のろ液中,DOCをISO 8245に従って測定し,有機炭素の増分を計算する。可能ならば,水溶性代
謝分の生産を確認するためにDOCを形成する物質の同定を試みる。
試験の終了時に,すべての残った試料を使って残存ポリマー中の炭素量を測定する。これは通常難しい
方法であり,もし,あるポリマーに特異的な分析が利用できるならば直接に(附属書F参照)又は間接に
測定できる。前者の場合,残さポリマーの量を抽出,測定し,その公知の組成から炭素量を計算する。間
接的に測定する方法は,洗浄,乾燥,残さ質量測定及び全有機炭素量 (TOC) 測定によって可能になる。
それから残さポリマーの炭素量を得るために,バイオマスの測定結果を使ってTOCからバイオマス炭素を
差し引く。さらに,別に可能なことは,残さを正確にはかり,あらかじめ確認するべきことであるが,ポ
リマーではなくバイオマスを破砕するための適切な方法で処理することである。例えば,次亜塩素酸ナト
リウムを使って,可溶部を除き,再び同試料をひょう(秤)量する。すべてのバイオマスが除かれたと仮
定して,その質量から残さのポリマー量を算出する。
E.3 炭素収支の計算 試験系に導入された試験材料(炭素含量CMAT)中,生化学的に酸化された炭素量
CBOD (mg/l) を,呼吸試験(9.1参照)の生分解性の程度Dt (%) から式(E.1)によって算出する。
CMAT DPO
CBOD (E.1)
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培養試験期間の最初と最後のバイオマスを比較することによって,試験材料を含んだフラスコ中のバイ
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オマスの炭素の増分CBIO (mg/l) を計算する。その際,式(E.2)に従ってバイオマスの炭素の測定量又は推定
量CB (start),CB (end) を考慮する。
CBIO=CB (end) −CB (start) (E.2)
最初と最後のDOC濃度DOC (start) とDOC (end) を比較することによって,培養期間のDOCの増分CDOC
(mg/l) を式(E.3)によって算出する。
CDOC=DOC (end) −DOC (start) (E.3)
試験の終わりの残存ポリマー中の有機炭素の量Cpolを測定する。
導入された炭素CMATの百分率として変換された炭素の異なった量を計算し,式(E.4)に示されるように炭
素計算値CCLAC (%) を得るために加算する。
CCLAC=CBOD+CBIO+CPOC+Cpol (E.4)
E.4 ポリ-(戀 ヒドロキシ酪酸)の炭素収支の例4) 試験材料の投入 : CMAT600mg/l=334.8mg/lC
生分解の程度 : Dt=78%
CB (end)
CB (start) CB DOC (end) OC CBOD
DOC (start)
g/l 3.2 61.0 57.8 2.0 22.0 20.0 261
of CMAT 17.2 6.0 78
計算された炭素収支 : CCLAC=78%+17%+6%=101% of CMAT
4) データ提供 : Puechner (1994) (附属書G参照)
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JIS K 6950:2000の引用国際規格 ISO 一覧
- ISO 14851:1999(IDT)
JIS K 6950:2000の国際規格 ICS 分類一覧
- 83 : ゴム及びプラスチック工業 > 83.080 : プラスチック > 83.080.01 : プラスチック一般