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である製品,並びにその結果を生み出すプロセス及びシステムである。
b) 事実に基づくアプローチ 改善活動では,経験又は勘だけに頼るのではなく,現状を的確に把握して,
事実をデータで定量化し,主観的判断を客観化する。
c) 論理的思考の一貫性 改善活動を効果的かつ効率的に進めるためには,次のように科学的で合理的な
一貫した論理的思考をとる。
1) 現状把握
2) 問題点,原因の抽出
3) 対策の立案
4) 実行
5) 評価
d) 改善機会の探求 問題が顕在化して改善機会が生じるのを待つのではなく,より高いパフォーマンス
実現の機会を探るよう努力する。
e) 漸進的な改善及び現状打破 漸進的な改善の基礎の上に,従来の延長上ではなく,環境変化に対応し
て,次のような事項において現状を打破する。
1) 新製品及び新技術の開発
2) 新たなプロセスの構築
3) 新事業への進出
4.2 トップマネジメントの役割
トップマネジメントは,継続的改善の運営管理を効果的かつ効率的に
実施するために,深く関与することの意志を,次の事項を確実にすることによって示すことが望ましい。
a) 継続的改善のための環境の提供
b) 将来の事業環境を見据えた方針の策定
c) 事業環境に基づいた事業方針及び目標の設定
d) 事業方針及び目標の,正確かつ確実な展開
e) 進ちょく(捗)の定期的レビュー
f) レビューに基づく処置
4.3 継続的改善のプロセス
4.3.1 計画 組織は,継続的改善の計画にあたって当たって,次の事項を確実に定める規定することが望
ましい。
a) 課題
− 方針によって展開された課題
− 日常業務の中で発生した問題で,組織の主要な目標に影響を与えるもの
b) 目標
− 組織の総体的な方針と関係をもち,組織のパフォーマンス改善に貢献する。
− 測定可能な定量値をもつ。
− ベンチマーキングなどによって,ストレッチなその達成には現状を上まわる取組みが必要なレベ
ルとする。
c) 方策 組織は,目標の達成にのために,次の手順で方策を明確にすることが望ましい。
− 目標を達成するためのプロセスを明確にする。
− プロセスとしては,製品実現プロセス,総務・人事・経理などの支援プロセス,及び技術開発,
人材育成などの組織の発展に重要なプロセスを対象とする。
――――― [JIS Q 9024 pdf 6] ―――――
d) 管理項目
− 目標の達成状況を示す項目
例 製品品質,納期,売上高
− 方策の実施状況を示す項目
例 設備点検回数,教育受講回数
参考 方策の達成度を管理するために,評価尺度として選定した項目は,点検項目又は要因系管
理項目と呼ばれることがある。
4.3.2 実施 組織は,継続的改善活動を実施するにあたって当たって,次の事項を確実にすることが望ま
しい。
a) 日,週,月,年等などの必要な区間を定めてスケジュールを決定する。
b) 問題又は課題,プロセス及びスケジュールからみて適切な担当者を決定する。
c) 実施結果が計画と異なる場合には,早い段階に当該部門の計画に対して責任を持っている管理責任者
と共に計画の見直しを行う。
4.3.3 実施状況の確認 組織は,継続的改善活動が実施されているかどうかを,次の手順によって確認す
ることが望ましい。
a) 実施計画に基づいて目標の達成状況,方策の実施状況を評価する。
b) 評価は計画段階に設定した評価基準に従う。
c) 計画通りどおりの成果及びプロセスの管理が達成されたかどうかを分析し,問題点を明らかにする。
d) 事実,データを解析する際には,適切な技法を活用する(7.参照)。
4.3.4 処置 組織は,実施状況の確認結果によって,次の処置をとることが望ましい。
a) 計画に対する異常があれば,直ちに応急処置をとる。
b) プロセスの異常を改善することによりよって,製品の品質が改善されることを確認する。
c) 改善活動によって所定の計画が達成できない場合には,新たな計画に移行する。
d) 計画通りどおりの成果が得られなかった場合には,その原因及び問題点を明確にする。
4.3.5 標準化 組織は,計画通りどおりの成果が得られた場合には,そのプロセスを標準化し,組織全体
に展開することが望ましい。標準化は,組織の人々が便益を公正に得るために,統一化・単純化を意図し
て,次の事項に関する標準的な内容を規定することである。
− 物体・性能・能力・配置・状態・動作・手順・方法・手続・責任・権限・考え方・概念など
− 測定に普遍性を与えるために定めた基準として用いる量の大きさを表す方法又は(量の大きさを表す)
もの
組織は,継続的改善活動の結果の便益が公正に得られるように標準を文書化し,維持することが望まし
い。その手順は次による。
a) 再発防止 改善活動を通じて明らかになった問題の原因を除去する,又は原因の影響を除去する手段
を明確にし,標準を改正又は新設する。
b) 標準類の発行 改正された標準又は新設された標準を組織全体に発行する。
5. 継続的改善の運営管理
――――― [JIS Q 9024 pdf 7] ―――――
5.1 継続的改善の課題
組織は,問題の発生によって改善機会が現れるのを待つよりも,効果的かつ効
率的な改善を継続的に追求することが望ましい。改善には,たゆまぬ漸進的な活動からブレークスルーに
よる戦略的な改善プロジェクトまでがあり得る。組織は,改善活動を明確にし,運営管理するためのプロ
セスを備えておくことが望ましい。また,現状が最適であると判断された場合は,その状態を維持すると
よい。
これらの改善は,製品及び製品実現のプロセスの変更に留まらず,マネジメントシステム又は組織にか
かわる変更という結果をもたらすことがある。それは結果として組織の体質を改善することになる。
課題の対象となる製品及びプロセスには,次の事項がある。
a) 製品
− 顧客のニーズに応え,組織の存在価値の核となる。
− 顧客のニーズを先取りして,組織の競争優位の源となる。
b) プロセス
− 顧客に対して,製品の品質を保証する。
− 組織の方針,方策を立案,実施する。
− 組織を支える人材を教育・訓練する。
− 組織を支えるコアコンピタンスを構築し,新たな技術・製品を開発する。
5.2 継続的改善のための組織化
トップマネジメントは,組織の人々が継続的改善活動に参加できるよ
うに,活動の範囲及び重要性を明確に定め,十分な資源を配分することが望ましい。そのために,組織の
すべての部門を対象として,継続的改善活動を推進する部門,実施する部門を設置するとよい。その部門
の例は,次による。
a) 推進する部門
− 組織のトップマネジメントがリーダーとなり,組織全体を統括する部門
例 機能別管理を実施する機能別委員会
b) 実施する部門(JIS Q 9023方針によるマネジメントの指針 附属書3.参照)
− 部門横断チーム 部門単独では達成できない場合には,既存の組織の部門及び階層にとらわれる
ことなく,取りり組む課の内容に適した関連知識及び技能をもつ人々を結集した,部門横断チー
ムを編成して,組織的に取りり組む必要がある。
− 部門 組織の方針を受けて,具体的に活動することは,部門の役割である。従来日常的に行って
きた活動の単なる延長では乗り越えられない短期的又は中長期的な課題については,部門は,組
織的に取りり組む計画を立案し,現存するプロセスの変更又は改善を行うことが望ましい。
− 職場の第一線の小集団 職制に基づく改善活動とは別に,職場の第一線でも小集団によって継続
的改善を進めることが重要である。
5.3 継続的改善のための環境
5.3.1 コミュニケーション トップマネジメントは,事業方針及び目標を,組織の人々に効果的,かつ,
効率的なコミユニケーション手段によって,周知させることが望ましい。
これらの情報提供によって,目標の達成に組織の人々の参加を促すことができ,組織のパフォーマンス
改善を支援することもできる。事業方針及び目標に結び付いた大きなパフォーマンス改善のためには,サ
プライチェーンの全体に及ぶ,組織の枠を越えた組織横断チームによる活動も必要であり,更にチームワ
ークに裏打ちされた相互信頼が不可欠である。
トップマネジメントは,活動経過及び成果を共有化する効果的で効率的なコミュニケーションを積極的
――――― [JIS Q 9024 pdf 8] ―――――
に実践することが望ましい。これらの情報提供によって,参加者の創造性発揮の機会を提供することがで
きる。
5.3.2 評価 トップマネジメントは,継続的改善の目標達成に対する組織の人々の動機付け,満足度向上
にも貢献できるよう,パフォーマンス改善の結果に対して,報奨する制度などによって評価することが望
ましい。
報奨する制度は,効果的かつ効率的に運営するために,業務分担及び役割に応じたパフォーマンスレ
ベル及び評価を明示した,公正性,透明性を持った仕組みとするとよい。
5.3.3 提案制度 トップマネジメントは,継続的改善に対する組織の人々の動機付け,及び問題に対する
改善提案を進めるために提案制度を作ることが望ましい。
提案制度は,提案件数及び提案内容の質を確保するために,報奨する制度を取り入れ,提案に対する効
果の大きさ及び件数に応じて評価する仕組みとするとよい。また,優秀な提案は公開し,組織内で成果の
共有化を図るとよい。
5.3.4 教育・訓練 組織は,組織の人々全員のレベル向上を目指した教育制度を設けることが望ましい。
更さらに,継続的改善の環境を整え維持するために,問題解決能力向上の教育・訓練プログラムなどの,
必要な教育・訓練の機会を,組織の人々に対して提供することが望ましい。また,組織は,問題解決能力
向上の教育・訓練プログラムに対して,それが十分機能し目的を果しているかどうかを,継続的改善の結
果によって見直すことが望ましい。
教育・訓練には,次の事項を考慮するとよい。
− 管理層,監督層,実務層などの階層別教育
− 作業標準,技術標準などの業務の基礎
− 現場における業務を通じて行う指導
− 体系的アプローチ,継続的改善の技法
5.3.5 情報技術の活用 組織は,継続的改善の環境を整え維持するために,情報技術活用による改善支援
の環境を,組織の人々に対して提供することが望ましい。例えば,7.にあるような“継続的改善のための
技法”の多くは,パッケージソフトになっているので,効率的なデータ処理のために導入するとよい。ま
た,改善の結果および及び事例は,知識化して,組織の人々が学習できるデータベースを構築するとよい。
6. 継続的改善の手順
6.1 一般
6.1.1 目的 あらゆる業務は,“問題を解決する”,又は“課題を達成する”ことである。したがって,そ
の“解決の仕方”,“達成の仕方”は,効果的かつ効率的であるとよい。これらを継続的に改善することが,
顧客に提供する製品の価値を高めることを通じて組織の持続的発展を可能とする。
問題解決,課題達成への体系的アプローチを用いることによって,初期認識,実施計画の立案,実施か
ら成果の展開までの一連の業務を効果的かつ効率的に実施することができる。
6.1.2 問題解決及び課題達成 問題は,“設定してある目標と現実とのギャップ”であり,課題は“設定
しようとする目標と現実とのギャップ”である。
組織がどちらいずれのアプローチをとっても,継続的改善のコンセプト,基本的手順は変わらない。
――――― [JIS Q 9024 pdf 9] ―――――
Help Box実践の手引き 問題解決型及び課題達成型プロセス
問題解決型が目前で火を噴いている問題(顕在化した問題)に対処するのに対し,課題達成型は,現
在は問題となっていないが放置しておけば将来大きな対応が必要になるであろう問題(潜在化している
問題)を扱うケースが多い。この点で両者は目標を設定するプランの段階でその設定技法や目標の捕ら
え方が異なる。課題達成型の課題は,組織の上位方針からトップダウン的に与えられる場合が多く,問
題解決型の問題は,現場の直面している問題を解決するボトムアップ的なものと対照的である。
また,実際の対策実施においても,問題解決型が現存プロセスの一つ一つを改善していく活動が主と
なる場合が多いのに対し(小変革の積み重ね),課題達成型では新規プロセスの設計・導入といったプロ
セスの全面変更を伴う場合が多い(大変革の実施)。
問題解決型 課題達成型
問題の在処 顕在化した問題 潜在的な問題
問題提起 ボトムアップ型 トップダウン型
解決法 現存するプロセスの中で行われる, 現存するプロセスの変更と改善,又は
たゆまぬ改善活動 新規プロセスの実施
次のシークェンスは循環型であり,どこから始めてもかまわない。PDCA(Plan,Do,Check,Act)
のサイクルはまたCAPD(Check,Act,Plan,Do)でもある。
ACT テーマ選定
標準化と
管理の定着
現状把握 PLAN
効果の確認 目標設定
CHECK
対策の検討と実施 計画の策定
要因解析
DO
図 1 問題解決及び課題達成のプロセス
6.2 手順
――――― [JIS Q 9024 pdf 10] ―――――
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JIS Q 9024:2003の国際規格 ICS 分類一覧
- 03 : サービス.経営組織,管理及び品質.行政.運輸.社会学. > 03.100 : 経営組織及び管理 > 03.100.01 : 経営組織及び管理一般
JIS Q 9024:2003の関連規格と引用規格一覧
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