この規格ページの目次
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Q 9025 : 2003
0.3 JIS Q 9000ファミリーとの関係 この規格は,組織がJIS Q 9001(品質マネジメントシステム−要
求事項)及びJIS Q 9004(品質マネジメントシステム−パフォーマンス改善の指針)に基づくマネジメン
トシステムを効果的かつ効率的に運営管理するための支援技法として使用されることを考慮している。ま
た,この規格は,JIS Q 9000ファミリー規格で採用されている品質マネジメントの原則を考慮に入れて作
成されている。
0.4 他のマネジメントシステムとの両立性 この規格は,環境マネジメント,労働安全衛生マネジメン
ト,財務マネジメント,リスクマネジメントなどのマネジメントシステムに関する固有な支援技法として
開発されてはいないが,関連するマネジメントシステムのパフォーマンス改善を支援する技法として組織
が使用することも可能である。また,この規格は,環境適合設計などの分野に使用することも可能である。
1. 適用範囲
この規格は,組織のマネジメントシステムのパフォーマンスを効果的かつ効率的に改善し
ていくための支援技法として,品質機能展開に関する指針を定めた規格であり,顧客の声を製品の品質特
性,構成要素,プロセスの要素に至るまで展開して実現する方法を提供している。更にさらに,製品品質
を確保するために,重要となる業務また又は職能を明確化する方法を提供している。この規格は,次のよ
うな事項を必要とする組織が利用できることを意図している。
新製品開発の観点からは,次の事項がある。
− 開発する新製品に対する,顧客の声を明確化し,一覧できる形式で整理できる。
− 市場からの要求を実現するための設計の諸要素を明確にできる。
− 開発製品で重点を置く要求品質及び品質特性を定量的に把握できる。
− 企画・開発段階において,製品の設計品質を定められる。
− 開発上ボトルネックとなる技術を早期に見出し,その解決策を検討できる。
− 品質,コスト,生産性,信頼性などのトータルな視点から新製品開発プロセスのマネジメントを捉と
らえることができる。
次に,品質保証の観点からは,次の事項がある。
− 顧客に対して保証すべき項目を明確にし,一覧できる形式で整理できる。
− 保証すべき要求を実現するために重要となる,製品品質特性や製品の機能,サブシステム,部品を定
量的に把握できる。
− 企画・開発段階において,QA(Quality Assurance)表やQC(Quality Control)工程表を作成し,製造
上のポイントを明確にして,量産段階における品質トラブルを未然に防ぐことができる。
この規格は,業種,形態及び規模,並びに提供する製品を問わず,組織のマネジメントシステムにおけ
るパフォーマンス改善を目指して,品質設計,環境適合設計などの分野に品質機能展開を効果的かつ効率
的に実施しようとしている,あらゆる組織に適用することを意図している。
2. 引用規格
次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成す
る。この引用規格は,記載の年の版だけがこの規格を構成するものであって,その後の改正版・追補には
適用しない。
JIS Q 9000:2000 品質マネジメントシステム−基本及び用語
3. 定義
この規格で用いる主な用語の定義は,JIS Q 9000の3.(定義)によるほか,次による。
この規格には,JIS Q 9000 : 2000 に規定されている定義及び用語,並びに次の定義及び用語を適用する。
――――― [JIS Q 9025 pdf 6] ―――――
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定義又は参考の中で用いた用語で,この規格の3.に定義されている用語は太字で示し,その後の丸括弧
内にその用語の項目番号を示した。JIS Q 9000に定義されている用語は太字で示し,その後の丸括弧内に
JIS Q 9000と示した。この太字で示した用語は,その用語の定義の全文と置き換えることができる。
この規格の全体にわたって,“製品”という用語が使われた場合には,“サービス”のこともあわせて意
味する。
3.1 品質機能展開に関する用語
3.1.1 変換(transformation) 要素を,次元の異なる要素に,対応関係をつけて置きき換える操作。
3.1.2 展開(deployment) 要素を,順次変換(3.1.2)の繰り返しによって,必要とする特性を定める操
作。
3.1.3 展開表(deployment table) 要素を階層的に分析した結果を,系統的に表示した表。
3.1.4 二元表(matrix) 二つの展開表(3.1.3)を組み合わせてそれぞれの展開表(3.1.3)に含まれる項
目の対応関係を表示した表。
3.1.5 対応強度 二元表(3.1.4)における対応関係の強さ。
参考 例えば,◎,○,△で対応関係を示し,◎,○,△に対して,3 : 2 : 1,5 : 3 : 1,4 : 2 : 1な
どの数値化が用いられる。
3.1.6 品質機能展開(quality function deployment : QFD) 製品(JIS Q 9000)に対する品質目標(JIS Q
9000)を実現するために,様々な変換(3.1.1)及び展開(3.1.2)を用いる方法論。QFDと略記することがあ
る。
参考 “品質展開(3.1.7)”,“技術展開(3.1.8)”,“コスト展開(3.1.9)”,“信頼性展開(3.1.10)”及び
“業務機能展開(3.1.11)”の総称。
3.1.7 品質展開(quality deployment) 要求品質(3.1.13)を品質特性(JIS Q 9000)に変換(3.1.1)し,
製品(JIS Q 9000)の設計品質(3.2.5)を定め,各機能部品,個々の構成部品の品質,及び工程の要素に
展開(3.1.2)する方法。
3.1.8 技術展開(engineering deployment) 設計品質(3.2.5)を実現する機能が,現状考えられる機構
で達成できるか検討し,ボトルネック技術(3.2.14)を抽出する方法。また,企業が保有する技術自体を展
開することを技術展開と呼ぶことがある。
3.1.9 コスト展開(cost deployment) 目標コストを要求品質(3.1.13)又は機能に応じて配分すること
によって,コスト低減又はコスト上の問題点を抽出する方法。
3.1.10 信頼性展開(reliability deployment) 要求品質(3.1.13)に対し,信頼性上の保証項目を明確化す
る方法。
参考 品質展開(3.1.7)がポジティブな要求品質(3.1.13)の展開(3.1.2)であるのに対して,ネガティブな故
障などの予防に関して信頼性手法を活用し,設計段階でこの故障を予防する。
3.1.11 業務機能展開(job function deployment) 品質(JIS Q 9000)を形成する業務を階層的に分析し
て明確化する方法。
3.1.12 顧客の声(voice of customer) 顧客(JIS Q 9000)の,製品(JIS Q 9000)に対する要求事項(JIS
Q 9000)。
参考1. 顧客の声(3.1.12)を原始情報と呼ぶことがある。
2. 顧客の声(3.1.12)を収集する方法には,一般的な面接調査を始め,アンケート調査,顧客行
動調査,意見カードの活用,社内情報の活用,業界ニュースの利用などがある。
――――― [JIS Q 9025 pdf 7] ―――――
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3.1.13 要求品質(required quality) 製品(JIS Q 9000)に対する要求事項(JIS Q 9000)の中で,品質
(JIS Q 9000)に関するもの。
3.1.14 ボトルネック技術(bottle neck engineering : BNE) 製品(JIS Q 9000)を開発・改善する上で,
解決しておかなければならない,決め手となる技術。
BNEと略記することがある。
3.1.15 QA表(quality assurance table) 設計が意図する品質保証上のポイントを製造部門に伝達するた
めの表。
3.2 品質表に関する用語
3.2.1 要求品質展開表(required quality deployment table) 要求品質(3.1.13)を階層構造で表した展開
表(3.1.3)。
参考 要求品質(3.1.13)を,親和図法などによってグルーピングして,展開表(3.1.3)の形に整理し
て作成する。
3.2.2 品質特性展開表(quality characteristic deployment table) 品質特性(JIS Q 9000)を階層構造で
表した展開表(3.1.3)。
参考 要求品質(3.1.13)を品質特性(JIS Q 9000)に変換(3.1.1)してグルーピングし,展開表(3.1.3)
の形に整理して作成する。
3.2.3 品質表(quality table) 要求品質展開表(3.2.1)と品質特性展開表(3.2.2)とによる二元表(3.1.4)。
参考1. 顧客の声(3.1.12)を言語表現によって体系化し,これと品質特性(JIS Q 9000)との関連を
表示し,要求品質(3.1.13)を実現する品質設計に用いる。
2. 品質表が定める範囲には,要求品質展開表と品質特性展開表との二元表だけを指す場合と,
これに品質企画企画品質設定表,設計品質設定表,品質特性関連分析を付加したものを指す
場合との二通りがある。
3.2.4 企画品質(quality of planning) 要求品質(3.1.13)に対する品質目標(JIS Q 9000)。
参考 品質表(3.2.3)を用いて,要求品質重要度,競合者の要求品質(3.1.13)に対する充足度も調査
して設定する。
3.2.5 設計品質(quality of design) 品質特性(JIS Q 9000)に対する品質目標(JIS Q 9000)。
3.2.6 レベルアップ率(ratio of level-up) 要求品質(3.1.13)について,企画品質(3.2.4)の現状の充
足レベルに対する比。
参考 企画品質(3.2.4)のレベルを組織(JIS Q 9000)の充足レベルで除して得られる尺度で,要求
品質(3.1.13)に対するレベルをどれだけ向上させるかを表す。
3.2.7 セールスポイント(selling point) 企画品質(3.2.4)を設定するときに,要求品質(3.1.13)の中
で販売の重点とするもの。
3.2.8 絶対ウェイト(unadjusted weight) 要求品質重要度,レベルアップ率(3.2.6)及びセールスポイ
ント(3.2.7)の積。
3.2.9 要求品質ウェイト(adjusted weight of required quality) 絶対ウェイト(3.2.8)の合計値に対する
各要求品質(3.1.13)の絶対ウェイト(3.2.8)の割合。
参考 要求品質重要度に方針を加味し,全体を100としたときの各要求品質(3.1.13)の重要度を示す。
3.2.10 品質特性ウェイト(quality characteristic weight)
要求品質ウェイト(3.2.9)を,品質表(3.2.3)の対応関係を用いて変換(3.1.1)して得られる値。
――――― [JIS Q 9025 pdf 8] ―――――
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4. 基本概念
4.1 一般
顧客満足を高めるために,組織は提供する製品に対する顧客のニーズ及び期待を把握し,製
品設計に反映させる必要がある。同時に,予期し得る品質問題の解決策を検討しておくことは,新製品開
発において重要である。品質機能展開によるアプローチは,製品の企画から製造までのプロセスに一貫性
を持たせ,顧客のニーズ及び期待を満たす製品設計の指針を与える。また,これを実現する製品の構成要
素,及び製造プロセスの望まれる結果を製品の企画・設計段階で明確にできる。このアプローチは設計的
アプローチであり,従来の解析的アプローチとは異なる源流からのアプローチである。
4.2 品質マネジメントにおける品質機能展開
新製品開発プロセスに対する品質機能展開の適用は,次
の事項に基づく。
a) 顧客重視 組織の目標を継続的に達成するためには,提供する製品の顧客満足を確保することが必要
である。
b) 人々の参画 すべての関係する組織からの参画によって,新製品に望まれる姿を検討することが可能
である。
c) 技術課題の早期抽出 顧客のニーズ及び期待を実現する際の技術課題を,開発早期に明確にする。こ
れらの改善案及び代替案を検討することが可能である。また,技術課題を,開発早期に明確にするこ
とによって,課題を源流管理することも可能である。
d) 開発管理 開発のリードタイムを短縮するために,コンカレントな開発プロセスの実現が可能である。
e) 確実な品質保証 顧客のニーズ及び期待を確実に実現するために,一貫したプロセスを構築し,運用
することができる。
f) 多面からの評価 品質の確保を基盤として,コスト,技術,信頼性の側面から,製品開発プロセスを
検討し,評価することが可能である。また,環境配慮の側面への適応も可能である。
4.3 品質機能展開の原理
品質機能展開は各種展開表を二元表として組み合わせ,この連鎖を用いて品
質の検討をする。これらの二元表は次の原理に基づいて作成される。
a) 展開の原理 抽出された項目の系統表示によって,構成要素の構造を把握する側面と,ユーザ顧客の
要求を実現するための情報を企画から生産プロセスへと一貫して展開する側面がある。
b) 細分化・統合化の原理 例えば,製品に対する顧客のニーズ及び期待とこれを実現するための設計要
素をそれぞれ分離して検討し,新たな発見を促す側面と,これらを二元表の形式で結合し,両者の因
果関係を明確にする側面がある。
c) 多元化・可視化の原理 得られた情報を二元的に検討する側面と,作成された二元表によりよって,
情報共有を行う側面がある。
d) 全体化・部分化の原理 作成された二元表の全体から,重要となる要素を抽出する側面と,重要要素
を部分的にとらえて具体化し,全体とのバランスを考慮する側面がある。
e) 変換の原理 各種の二元表を組み合わせることによって,顧客の要求及び期待に関する情報を製品の
品質特性やその構成部品へと伝達する仕組みを作ることが可能となる。
5. 品質表
5.1 一般
品質表は,要求品質展開表と品質特性展開表との二元表によって,企画品質を設定して重点
を置くべき要求品質を定め,これを実現するための品質特性を明確にし,製品の設計品質を定めることを
目的とした二元表である。これに品質企画企画品質設定表,設計品質設定表,品質特性関連分析を付加し
たものを品質表ということも呼ぶことがある。
――――― [JIS Q 9025 pdf 9] ―――――
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参考 5.3参照
5.2 展開表及び二元表
5.2.1 展開表 市場調査などによって得られた要求品質の全体を把握し,その構造化を行ったものが,要
求品質展開表である。通常は系統表示によって整理されることが多く,系統の上位項目から順に一次要求
品質,二次要求品質,三次要求品質···と呼ばれる。このように整理された要求品質の全体を,要求品質展
開表という。
展開表は,要求品質に限ったものではなく,親和図法によってグルーピングされた結果を系統表示した
ものである。したがって,品質特性を系統表示したものを,品質特性展開表と呼び,機能を系統表示した
ものは,機能展開表と呼ばれる。
品質機能展開の適用にあたって当たっては,展開表の形式で項目を表すのか,一覧表の形式で項目を表
すのかを検討しなければならない。得られた項目の数が膨大であり,かつ,その構造を把握する必要があ
るならば,展開表を作成する必要がある。これに対し,階層構造で表す必要性がない場合には,展開表の
作成を省略してもよい。あくまでも明確にすべき内容及びその目的が重要となる。
5.2.2 二元表 品質機能展開における二元表は,変換の原理[4.3 e)参照]との関連性が大きい。例えば,
要求品質展開表と品質特性展開表との二元表では,顧客の世界を表す要求品質と技術の世界を表す品質特
性との橋渡しを二元表が担っている。単なる対応を見るだけでなく,別次元の情報を多次元の情報に連鎖
させているのである。
品質機能展開では,その適用目的に応じて様々の二元表を作成する。特に情報の連鎖を意識した二元表
の構成を考慮することが重要である。二元表の構成方法と他の二元表への連鎖とを,十分に検討しなけれ
ば,組織の目的に応じた品質機能展開を実施するのは困難である。
5.2.3 重要度の変換法 例えば,要求品質展開表と品質特性展開表との二元表を作成した場合,開発製品
において重要視すべき要求品質又は品質特性を明確にすることが必要である。そのためには,要求品質に
示された項目に対する重要度合の評価を定量化しなければならない。次に,定量化された数値を二元表の
対応関係に従って,品質特性展開表中の項目の重要度に変換する必要がある。ここで,数値の変換方法は
次の事項による方法がある。
a) 独立配点法 一方の展開表中の要素に対して得られた数値と対応関係を数値化した値との積を求め,
他方の展開表中の要素に数値を変換する方法。
b) 比例配分法 一方の展開表中の要素に対して得られた数値を,対応関係を数値化した値に比例して配
分し,他方の展開表中の要素に数値を変換する方法。例えば,要求品質展開表と品質特性展開表との
二元表を例に考える。独立配点法では,二元表中の対応関係に直接要求品質ウェイトが掛け合わされ
るので,特に重要な品質特性が明確になる。その反面,算出した品質特性ウェイトの合計は,要求品
質ウェイトの合計と一致しないため,再度品質特性ウェイトを百分率に変換する必要がある。
比例配分法では,要求品質ウェイトを二元表の対応関係で比例配分されるため変換された品質特性
ウェイトが百分率として扱える。その反面,対応関係バランスによって,品質特性が過小評価された
り,逆に過大評価されたりする可能性もある。
いずれの方法もメリットとデメリットがあるため,どちらのいずれの変換方法を採用するかを検討
する必要がある。また,両者の方法によって変換を行い,結果の差異を検討することも大切である。
5.3 品質表の構成
品質表は基本的には,次の3つ三つの表から構成される。
a) 要求品質展開表 顧客のニーズ及び期待の全体を把握するために作成することを目的とする。目的に
応じて展開表の形を採用する。特に列挙される項目数が多い場合には,展開表として整理し,表現の
――――― [JIS Q 9025 pdf 10] ―――――
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JIS Q 9025:2003の国際規格 ICS 分類一覧
- 03 : サービス.経営組織,管理及び品質.行政.運輸.社会学. > 03.100 : 経営組織及び管理 > 03.100.01 : 経営組織及び管理一般
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