JIS A 1405-2:2007 音響管による吸音率及びインピーダンスの測定―第2部:伝達関数法 | ページ 6

22
A 1405-2 : 2007 (ISO 10534-2 : 1998)
附属書E(参考)誤差要因
この附属書は,本体及び附属書(規定)に関連する事柄を補足するもので,規定の一部ではない。
備考 誤差要因については,二つの主要なカテゴリー,すなわち,かたより誤差及び偶然誤差に分け
て考えることができる。
E.1 かたより誤差 かたより誤差は,マイクロホン・ミスマッチ又は長さ若しくは距離の測定における誤
差とともに,エイリアシング,漏れ及びピケットフェンス誤差 (picket fence error) のような測定又は分析
(後処理)における潜在的な誤差を含む。周波数エイリアシング,漏れ及びピケットフェンス誤差は,よく
知られた信号収録及び処理手法を採用すれば最小に抑えられる。音響的なマイクロホン中心と幾何学的な
中心との不一致に伴うかたより誤差を,附属書AのA.2.2に示す。
参考 ピケットフェンス誤差とは,全体像をピケットフェンス(くいの並んだ棚)のすき間から見え
る切れ切れの像から推定する場合の誤差をいう。
E.1.1 タイムエイリアシング(非周期性信号) 非周期性信号の場合,各レコード長が,測定対象システ
ムのインパルス応答時間程度以下であるとタイムエイリアシング (time aliasing) を生じ,信号処理におけ
るクロストーク障害を引き起こす。
タイムエイリアシングは,各レコード長を音響管システム内部の音の伝搬時間に比較して十分大きく選
ぶことによって避けることができる。すなわち,
t 2x1 c (E.1)
ここに, t : サンプル・レコード長 (s)
1x : 試験体から,遠い方のマイクロホンへの距離 (m)
c : 音速 (m/s)
E.1.2 位相ミスマッチ 2マイクロホン法を用いる場合,マイクロホンの間の位相ミスマッチによる誤差
は避けられないので,その補正が必要である。これは,この規格の必要条件として本体の7.5に規定する
手法の中の一つに従えば達成される。
E.1.3 振幅ミスマッチ 二つのマイクロホンを用いるとき,感度ミスマッチが存在することが多い。それ
が一定である限り,これによる誤差は通常重要なことではなく,基本的に,2マイクロホン法については
本体の7.5で規定する測定手法によって修正される。しかし,一連のテストを通して始終一貫した振幅読
取りを確保するため,それとは別に,音圧レベル試験が附属書Aにおいて規定されている。
2マイクロホン法を用いる場合,その振幅の違いを0.3 dB以下に校正したマイクロホンを用いるならば,
有利である。
E.2 偶然誤差 偶然誤差は,通常,有限長のランダムノイズのレコードを処理することに起因するが,そ
のほかに計測器の電気的ノイズ又は外部からの音響信号に伴って生じることもある。
偶然誤差は,適切な平均化によって低く抑えられ,また,確定性信号を使うことによっても最小化され
る。マイクロホン・スペクトルのアンサンブル平均をするときのバンド幅及び信号長さ(レコード長)の
選択は,通常,各チャネルにおける偶然誤差を抑制する上で効果的である。

――――― [JIS A 1405-2 pdf 26] ―――――

                                                                                             23
A 1405-2 : 2007 (ISO 10534-2 : 1998)
レコード長及びバンド幅は,ランダム信号のr.m.s.レベル測定値の相対標準偏差を指定すれば,決めるこ
とができる。一般的に,周波数バンド幅と全平均時間との積を50100とすれば,偶然誤差は小さくなる
と考えてよい。
別法として,特定のマイクロホン位置での測定において,特定の標準誤差を達成するために必要な平均
回数は,次の式で与えられる。
2)
n 1( 2 (E.2)
ここに, n : 平均すべき独立の(オーバーラップではなく)
スペクトルの個数
標準誤差
E.3 伝達関数の精確さ この規格において特に関心が強い内容は,測定された伝達関数の最終的な精確さ
である。特定の周波数における伝達関数振幅の推定値に対して,指定された正規化標準誤差を達成するた
めに必要な平均回数は,次の式で推定される。
1 1
n 2 2
1 (E.3)
2
ここに, n : 平均回数
正規化標準誤差
2
柿 コヒーレンス関数
コヒーレンス関数は,次の式で算出される。
2 2
S12 S11 S22 (E.4)
備考 コヒーレンス関数の測定は,レコード長(又は周波数分解能)及び管内の残響効果に関連する
かたより誤差の影響を受けやすい。マイクロホンの間のコヒーレンスは,反射性が強い終端の
場合を除けば,0.9を超えるものと考えてよい。しかしこのコヒーレンスは,マイクロホンのい
ずれか一つに音圧の節が一致する周波数では0.5未満になることがある。

――――― [JIS A 1405-2 pdf 27] ―――――

24
A 1405-2 : 2007 (ISO 10534-2 : 1998)
附属書F(参考)この規格の結果を用いた局所作用性吸音材の
統計吸音率αstの算出
この附属書は,本体及び附属書(規定)に関連する事柄を補足するもので,規定の一部ではない。
“局所作用”(すなわち,吸音材内部で,その表面に平行な方向の音響伝搬がない。)の吸音材の場合,拡
散(すなわち,全方向)音響入射に対する吸音率 st この規格によって算出される比音響インピーダ
ンス比 z z'jz" から計算できる。
その関係は,次の式で表される。
z' z' 1 z'2z"2 z"
st 8 2 2
1 2
2z'
log e 1( z'2 z"2 ) arctan (F.1)
z' z" z' z"2 z" 2
z' 2
z" 1 z'
ここに, z Z c : 比音響インピーダンス比
z R c : 比音響インピーダンス比の実数部
z" X c : 比音響インピーダンス比の虚数部
z" z)' となる。この式から得られる
0 ならば,大括弧内の最後の項は 1 1( 湧Y
st
0.96である。
非局所作用性の吸音材(低密度の連続気泡材料又はミネラルファイバー材料のように,その内部で表面
に平行な方向の音響伝搬が無視できない吸音材料)の場合,このような簡単な関係式で表すことはできな
い。

――――― [JIS A 1405-2 pdf 28] ―――――

                                                                                             25
A 1405-2 : 2007 (ISO 10534-2 : 1998)
附属書G(参考)参考文献
この附属書は,本体及び附属書(規定)に関連する事柄を補足するもので,規定の一部ではない。
1) SO 266:1975,Acoustics−Preferred frequencies for measurements
2) IS A 1409 残響室法吸音率の測定方法
備考 ISO 354:1985,Acoustics−Measurement of sound absorption in a reverberation roomが,この規
格と一致している。
3) IS Z 8402-1 測定方法及び測定結果の精確さ(真度及び精度)−第1部 : 一般的な原理及び定義
備考 ISO 5725-1:1994,Accuracy (trueness and precision) f measurement methods and results−Part 1:
General principles and definitionsが,この規格と一致している。
4) IS A 1405-1 音響管による吸音率及びインピーダンスの測定−第1部 : 定在波比法
備考 ISO 10534-1:1996,Acoustics−Determination of sound absorption coefficient and impedance in
impedance tubes−Part 1: Method using standing wave ratioが,この規格と一致している。

JIS A 1405-2:2007の引用国際規格 ISO 一覧

  • ISO 10534-2:1998(IDT)

JIS A 1405-2:2007の国際規格 ICS 分類一覧