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B 0906 : 1998 (ISO 10816-1 : 1995)
c) 図6の評価に適用できるような重み回路をもつ測定装置を用いると,すべてのスペクトル成分を含む
広帯域振動の測定を行うことができる。得られた測定値はfx及びfyの間の一定振動速度の値に対応し
て評価される。
それぞれの機種ごとに利用できる評価基準は,ISO 10816-1に続く各部に規定する。附属書Cに補
足した指針が示してある。ある種の機械では,図6(5.6.3参照)に示す基準とは別の基準が定められ
ることもある。
5.4 評価基準II : 振動の大きさの変化 評価基準IIを用いれば,対象とする機械で以前の正常時の測定
で得た参照する値からの振動の大きさの変化を評価することができる。広帯域振動の大きさが著しく増加
又は減少した場合には,たとえ振動の大きさが評価基準IのゾーンCに達するほど大きくなくても何らか
の処置が必要になることがある。このような振動の変化は瞬時又は徐々に生じて,何らかの損傷発生の兆
候又は差し迫った破損やその他の正常でない状態を警告することがある。評価基準IIは,定常運転状態に
おいて生じる広帯域振動が変化する場合について適用される。
評価基準IIを適用する場合に,変化を比較するための基準の振動は同じ位置と方向で,かつ,同じ運転
状態で測定されなければならない。正常な振動から大きな変化があったときには,危険状態の回避のため
にその原因を調査すべきである。
運転監視を目的とした広帯域振動の変化を評価する評価基準は,ISO 10816-1に続く各部に規定する。
しかし,振動数成分に注目しなければ,ある種の振動変化を検出できない場合があることに留意する必要
がある。
5.5 運転上の制限値 ある種の機械では,長時間の運転のために運転上の振動制限値をあらかじめ決め
ておくことが常識になっている。この制限値は警報値及び停止値であり,これらは基準値を基に定められ
る。
基準値 : 機械が稼動してある運転時間を経ると,定常運転状態では安定した振動値を示す。このよう
に経験的に得られる機械の振動値の大きさとして基準値を定義する。これはまたベースライ
ンとも呼ばれている。
警報値 : あらかじめ定めた値に達したか,又は大きな振動値の変化が生じて処置が必要なことを警告
するための振動の大きさとして警報値を定義する。一般的には警報値を超えた場合でも,一
定期間は運転を続けることができる。一方,振動の変化の原因を特定し何らかの改善計画を
決定するための調査が行われる。
停止値 : この値を超えて機械の運転を続けると,損傷を生じるおそれのある振動の大きさとして停止
値を定義する。停止値を超えれば,振動を小さくする処置を直ちに行うか,又は機械を停止
しなければならない。
動的な負荷や支持剛性の違いを考慮して測定位置や測定方向の違いによって,異なった制限値を設けて
もよい。
異なったそれぞれの機械の警報値及び停止値を決める指針が,ISO 10816-1に続く各部に規定する。
5.5.1 警報値の設定 機械が異なれば,警報値もかなり異なった値にする必要がある場合もある。警報値
は対象とする機械に対し,測定位置及び測定方向において経験的に得られる基準値に基づいて決めるのが
通例である。
警報値は,基準値にゾーンBの上限値にある比率を乗じた値を加えて基準値より高く設定することが望
ましい。基準値が低いと,警報値はゾーンCより低くなることもあり得る。特定の機種ごとの指針及び上
記の比率は,ISO 10816-1に続く各部に規定する。
――――― [JIS B 0906 pdf 11] ―――――
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B 0906 : 1998 (ISO 10816-1 : 1995)
例えば,新しい機械で基準値がまだ確定していない場合,当初の警報値を同種の他の機械での経験や関
係者が同意した受入試験の振動値に基づいて決める。ある運転時間を経ると定常運転状態の基準値を確定
でき,それに従って警報値を設定し直す。機械のオーバホール後のように定常運転状態の基準値が変わっ
た場合には,警報値を見直すべきである。同じ機械でも軸受位置が異なると動的負荷と支持剛性の相違に
よって実際の警報値が軸受位置ごとに異なることがある。
5.5.2 停止値の設定 停止値は,通常その機械の健全性を維持することに関係するとともに,異常な動的
負荷に対する機械の耐久性を考えた設計方法にも関連する。したがって,設定する停止値は,同じ設計の
すべての機械で同じ値であるはずであり,警報値の設定と違って定常運転状態の基準値とは関連がない。
設計の異なる機械では停止値に差があることもあり,停止値の明確な指針をここで示すことは不可能で
ある。
停止値は一般に,ゾーンC又はDの中にある。
5.6 付加的な項目
5.6.1 振動数及びベクトル この規格で意図した振動の評価は広帯域振動だけに限り,振動数や振動位相
まで参照しないことを基本としている。この評価の方法は,ほとんどの機械の受入試験や運転監視に適し
ている。しかし,ある種の機械では振動の評価のためにベクトル情報の利用が望ましいことがある。
機械の動的な状態の変化を見付けて判断するのに,ベクトル変化の情報は特に有用である。このような
変化は広帯域振動の測定では検出できない場合がある。ベクトル変化についての評価の例は,附属書Dに
示す。
ベクトル変化の評価基準の明確な記述は,現状ではこの規格の適用範囲外である。
5.6.2 機械の振動感度 特定の機械では,定常運転条件の変化に対して振動が敏感なことがある。多くの
場合には,この敏感さは顕著ではない。しかし,特定の機械ではある定常運転条件では満足な振動状態で
あるが,別の定常運転条件では不満足な振動状態になるような振動感度をもつことがある。
機械の振動感度に疑問がある場合には,追加のいろいろな試験や理論的評価の必要性について受渡当事
者間の合意が望まれる。
5.6.3 転がり軸受の評価のための特別な技術 転がり軸受の状態を評価するための技術の開発が,広帯域
振動測定以外の方法でも進められている。これについては附属書Eに示してある。このような付加的な評
価基準の定義は,この規格の適用範囲外である。
――――― [JIS B 0906 pdf 12] ―――――
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B 0906 : 1998 (ISO 10816-1 : 1995)
附属書A(参考) 振動波形の関係
序文 この附属書(参考)は,振動波形の関係について記述したものであり,規定の一部ではない。
長年の実績から,振動速度のrms値の測定は,広範囲の種類の機械に対して振動応答を特徴づけるため
に有効であることが認められている。大きな不規則振動又は衝撃成分を含まない正弦波では,特定の振幅
及び位相をもつ幾つかの調波成分の和から成り,フーリエ解析で厳密に得られた数学的関係によって,い
ろいろな基本量(例えば,変位,速度,加速度,ピーク値,rms値,平均値など)の関係が得られる。こ
れらの関係は他の専門書で取り扱われており,この附属書では,その詳細は取り扱わない。ただし,幾つ
かの有用な関係式を示す。
振動速度の時系列の測定記録から,振動速度のrms値は,次の式で算出する。
1 T
2
rms t dt (A.1)
T 0
ここに, t) : 時間の関数としての振動速度
振動速度のrms値
T : t) の主要な振動数成分の周期より長いサンプリング時間
スペクトル分析によって,加速度,速度及び変位振幅の大きさが異なる振動数 (f1,f2,···,fn) の関数と
して定まる。
振動の変位振幅のp-p値s1,s2,···,sn ( は,振動速度のrms値 ···, mm/s) 又は
速度のrms値a1,a2,···,an (mm/s2) 及び振動数f1,f2,···,fn (Hz) が得られたとすると,これらから振動
速度のrms値は,次の式で算出する。
3 1 2 2 2
rms 10 s1 f1+ s2 f2+ + sn fn
2
2 2 2
1+ 2+ + n (A.2)
2 2 2
10 3 a1 a2 an
+ + +
2 f1 f2 fn
特別な場合として,振動が二つの振動数成分から成りrms値で 椀 び 愀 堰
の 近似的に次の式で算出する。
1 2 2
rms max+ min (A.3)
2
振動加速度,振動速度及び振動変位を相互に換算する計算は,ただ一つの振動数をもつ正弦波の場合に
だけ可能である。例えば,附属書A図1を用いて換算できる。ただ一つの振動数成分をもつ振動速度が分
かっている場合には,変位振幅のp-p値は,次の式で算出する。
450 i (A.4)
si
fi
ここに, Si : 変位振幅のp-p値 (
槿 振動数fi (Hz) 成分の振動速度のrms値 (mm/s)
――――― [JIS B 0906 pdf 13] ―――――
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B 0906 : 1998 (ISO 10816-1 : 1995)
附属書A図1 単一の振動数をもつ振動における加速度,速度及び変位間との関係
――――― [JIS B 0906 pdf 14] ―――――
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B 0906 : 1998 (ISO 10816-1 : 1995)
附属書B(参考) それぞれの機械グループごとの広帯域振動の暫定基準
序文 この附属書(参考)は,それぞれの機械グループごとの広帯域振動の暫定基準について記述したも
のであり,規定の一部ではない。
非回転部分における機械の振動測定及び評価のための一般的指針を示したものである。それぞれの機械
グループごとの評価基準は,ISO 10816-1に続く各部で扱う。ただし,それらの各部が発行されるまでは,
附属書B表1に示した評価基準を暫定的に用いる。次に定める各クラスの機械の暫定の振動基準値は,ゾ
ーンAC(本体5.3.1参照)の上限値に一致する。したがって,これらの値を使用する前に,ISO 10816-1
に続く各部の値と変わっていないことを確認すべきである。対応するすべての部が発行された後は,この
附属書を廃止する。次に機械のクラス分けを示す。
クラスI : 通常の運転条件の下で,全体の完成機の一部の構成要素として組み込まれたエンジン及び機械
[代表例 出力15kW以下のはん(汎)用電動機]
クラスII : 特別の基礎をもたない中形機械(代表例 出力15kW75kWの電動機)及び特別な基礎上に
堅固に据え付けられたエンジン又は機械(300kW以下)
クラスIII : 大形原動機及び大形回転機で,剛基礎又は振動の測定方向に比較的高い剛性をもつ重い基礎上
に据え付けられたもの。
クラスIV : 大形原動機及び大形回転機で,振動の測定方向に比較的柔らかい剛性をもつ基礎上に据え付け
られたもの(代表例 出力10MW以上のターボ発電機セット及びガスタービン)。
附属書B表1 代表的なゾーン境界値
備考 各境界値は,上のゾーンに入る。例えば,クラスIIのゾーンBは,1.12を超え2.8以下である。
――――― [JIS B 0906 pdf 15] ―――――
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JIS B 0906:1998の引用国際規格 ISO 一覧
- ISO 10816-1:1995(IDT)
JIS B 0906:1998の国際規格 ICS 分類一覧
- 17 : 度量衡及び測定.物理的現象 > 17.160 : 振動,衝撃及び振動の測定