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B 0906 : 1998 (ISO 10816-1 : 1995)
附属書C(参考) 評価基準の明確な記述のための一般的指針
序文 この附属書(参考)は,評価基準の明確な記述のための一般的指針について記述したものであり,
規定の一部ではない。
本体図6に示した振動速度の判定基準は,次のような一般式で表す。
fZ/fX) (fY/fW) (C.1)
ここに, 許容振動速度のrms値 (mm/s)
振動数fxとfy間の一定振動速度範囲でのゾーンAの振動速度
rms値 (mm/s)
G : ゾーンの境界を定める係数(例えば,G=1とすればゾーンA
の上限値,G=2.56とすればゾーンBの上限値,またG=6.4
とすればゾーンCの上限値が得られる。)この係数は,機械
の速度又は運転条件(例えば,負荷,圧力,流量など)の関
数
fx,fy : 振動速度が一定とみなす振動数範囲 (Hz) で表した上限値及
び下限値(本体5.3.2参照)
f≦fyのときfw=fy
f>fyのときfw=f
ff≧fxのときfz=fx
f : 測定された振動数 (Hz)
k及びm : 機械のクラスによって決まる定数
特定グループの機械に対しては,図6のような折れ線の代わりに,速度のrms値を一定値とする場合も
ある。
――――― [JIS B 0906 pdf 16] ―――――
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B 0906 : 1998 (ISO 10816-1 : 1995)
附属書D(参考) 振動変化のベクトル解析
序文 この附属書(参考)は,振動変化のベクトル解析について記述したものであり,規定の一部ではな
い。
この規格の評価基準は,定常運転時の広帯域振動の大きさ及び振動の大きさの変化について定めている。
しかし,振動変化は個々の振動数成分のベクトル解析によってだけ特定ができる場合があるので,振動の
大きさの変化の評価基準には限界がある。非同期成分のベクトル解析の手法はまだ開発段階なので,その
成分の評価基準はこの規格では扱わない。
D.1 概要 機械で測定される広帯域の定常的な振動信号は,本来複雑で多くの異なった振動数成分から成
る。個々の成分は振動数,振幅及びある既知のデータとの位相で表される。従来の振動モニタリング装置
は,個々の振動数成分を分離せず,オーバーオール信号(すべての振動数成分が合成された信号)の大き
さを測定するものである。しかし,最近の診断装置は,複雑な信号を分析できるので個々の振動数成分の
振幅及び位相を求めることができる。これらは振動の異常な挙動の主要な原因を診断することに用いられ,
振動技術者にとって重要で役立つものである。
個々の振動数成分の振動の大きさの変化は重要であるが,広帯域振動の変化には必ずしも十分に反映さ
れていない。このため,広帯域振動の大きさの変化についての評価基準では,補足的に位相測定を要求し
ても差し支えない。
D.2 ベクトル変化の重要性 附属書D図1は,ポーラダイヤグラムであり,複雑な振動信号のある振動数
成分の振幅及び位相をベクトルで表すときによく用いられる。ベクトル Aは初期の定常状態における振動
1
状態を示しており,この例では振動の大きさは3mm/s(rms値)で,位相角は40°である。ベクトル Aは
2
機械にある変化が生じた後の定常状態での振動状態を示しており,振動の大きさはこのとき2.5mm/s(rms
値)で位相角は180°である。したがって,振動の大きさは3mm/sから2.5mm/sに,0.5mm/s(rms値)だ
け減少しているが,振動の実際の変化量はベクトル A−
2 Aとなり,5.2mm/s(rms値)の大きさになる。
1
これは,振動の大きさだけを比較した場合の10倍以上の値となる。
D.3 ベクトル変化のモニタリング D.2で示した例は,振動信号をベクトル変化で示す重要性を明白に表
している。一般に広帯域振動の振動信号は,多くの振動数成分から成っており,それぞれの成分がベクト
ル変化をしていることに留意しなければならない。また,ある特定の振動数で許容できない振動変化も,
異なった振動数成分に対しては許容範囲以内の場合もある。
附属書Dでは,振動の専門家でない人による通常運転での広帯域振動のモニタリングを本来の目的とし
ており,個々の振動数成分のベクトル変化に対する評価基準を定めることは現状では難しい。
――――― [JIS B 0906 pdf 17] ―――――
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附属書D図1 個々の振動数成分の大きさの変化とベクトル変化との比較
――――― [JIS B 0906 pdf 18] ―――――
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附属書E(参考) 転がり軸受の損傷検出のための専門的な計測及び分析
序文 この附属書(参考)は,転がり軸受の損傷検出のための専門的な計測及び分析について記述したも
のであり,規定の一部ではない。
この規格の本体中で述べたように,転がり軸受の軸受箱の加速度生データの単純な広帯域振動測定から,
軸受の運転状態について十分な情報が得られることが多い。しかしこのような単純な計測では,すべての
条件でよい結果を期待することができないことも分かっている。特に計測する周波数範囲に軸受及び軸受
箱の強い共振の影響がある場合並びに,歯車のかみ合い周波数など,他の要因で強い振動信号が軸受に伝
わる場合には,間違った評価をすることがある。
主にこのような問題点が契機となって,転がり軸受の故障を特定するのにより適した計測器や様々な分
析技術が進歩してきている。しかしまだすべての条件で好結果が得られることが明らかになった計測器及
び分析技術はない。例えば,いずれの技術もそれだけでは軸受の欠陥のすべてのタイプを特定することは
不可能であり,またある種の機械の主要な軸受損傷を完全に特定できる方法が他の機械では全く適さない
場合がある。どのような場合でも振動の一般的な特徴及びパターンは,主に軸受の形式,軸受の構造,計
測器,そしてデータ処理方法に依存している。こうしたすべての現象をよく理解する必要があり,そうで
なければ対象となるいかなる軸受評価法も適用できない。
特定の軸受故障検出に適した方法を選択するには,使用する計測方法及び計測する機械に関しての専門
的知識が必要になる。
E.1E.4では,限定した適用ではかなりの成果が示されている入手可能な計測器と幾つかの分析技術に
ついて概要を述べる。しかしながら評価基準値に関してのデータが不十分なために,どの手法も現在のと
ころ規格に組み込むことはできない。
E.1 振動生データによる分析(オーバーオール振動計測) 転がり軸受の故障検出のために,加速度生デ
ータの広帯域rms値の計測に代わる簡単な方法についていろいろな提案がある。これらの方法には,次の
ものがある。
a) 加速度ピーク値の計測
b) 加速度のrms値に対するピーク値の比(クレストファクタ)の計測
c) 加速度のrms値とピーク値の積
E.2 周波数分析 複雑な振動信号の個々の周波数成分は,いろいろなフィルタの組合せかスペクトル分析
によって求めることができる。特定の軸受について十分なデータがあれば,その種々の欠陥を特徴づける
周波数が計算でき,振動データの周波数成分との比較ができる。それによって軸受損傷の兆候を検知でき
るだけでなく,損傷の性質をも明らかにできる。
機械自体の振動が相対的に大きいために軸受損傷による周波数を検出しにくい場合には,これらの周波
数をより明確に識別することを目的に,コヒーレントな波形平均,適応ノイズ相殺,スペクトル差などの
データ処理技術が効果的に用いられる。さらに,振動波形の包絡線波形のスペクトル解析も用いられる。
包絡線波形は,ハイパスフィルタ(又は高周波のバンドパスフィルタ)を通した波形を整流及び平滑化し
て作る。これによって低周波の背景の振動成分が低減する。そして反復して現れる損傷に関係する微小な
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B 0906 : 1998 (ISO 10816-1 : 1995)
パルスは極めて検出しやすくなる。
周波数分析による他の有効な手法として,軸受状態を特徴付ける上で基本となる周波数そのものより,
これらの周波数の和差で生じる側帯波成分(サイドバンド)を調べる方法がある。これには,主に歯車か
み合いに関連した損傷を検知するのに使われていたケプストラム分析(対数表示されたパワースペクトル
についてのパワースペクトルで定義する。)があり,側帯波成分の影響を特定するのに利用できる。
E.3 衝撃パルスによる方法 転がり軸受が損傷すると衝撃パルスと通常呼ばれる短いパルスが発生し,こ
の現象に基づく多くの市販の計測器が使用できる。
衝撃パルスは,鋭いので非常に高い周波数成分を含む。市販の計測器は,これらの高い周波数成分を検
出し,独自の手法によって軸受状態に関する値を求めている。
他の手法としては,衝撃パルスの生波形の包絡線波形を周波数分析する方法がある。
E.4 その他の方法 転がり軸受の故障の検出方法として,振動計測によらない方法が幾つかある。この中
には音響ノイズ分析,サーモグラフィ,摩耗粉分析(フェログラフィ)などがある。しかし,すべての場
合によい結果が期待できるわけでなく,ある場合は適用することさえできない。
――――― [JIS B 0906 pdf 20] ―――――
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JIS B 0906:1998の引用国際規格 ISO 一覧
- ISO 10816-1:1995(IDT)
JIS B 0906:1998の国際規格 ICS 分類一覧
- 17 : 度量衡及び測定.物理的現象 > 17.160 : 振動,衝撃及び振動の測定