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B 1702-1 : 2016
附属書F
(参考)
片歯面かみ合い試験
F.1 目的
F.1.1 一般
この附属書は,歯車の回転伝達誤差の説明,片歯面かみ合い誤差の許容値及び設計値について記載する。
回転伝達誤差は,駆動歯車の回転角度位置に対する,被駆動歯車の回転角度位置の理論値からの角度偏差
である。
片歯面かみ合い試験は,回転伝達誤差を測定する方法として用い,通常一対の歯車をかみ合わせて回す
機械上で行う。ときには,個々の歯車の回転伝達誤差への寄与を確かめるために,親歯車とかみ合わせる
ことがある。片歯面かみ合い試験は,試験機の変形が測定結果に及ぼす影響を避けるため,通常ごく軽負
荷で行う。重負荷の下での試験が必要であるときは(例えば,実際の使用条件では),実際の歯車装置又は
剛性の高い試験歯車箱を用いる。しかし,これはこの附属書の範囲外である。
片歯面かみ合い試験では,片側の歯面だけが当たるように所定の中心距離とアライメントで一対の歯車
を回転する。歯車対にはバックラッシが必要である。片歯面かみ合い試験は,歯車対の実際の運転状態を
シミュレートするので,歯車対の機能上の性能を管理するのに有効である。打痕及びばりを検出すること
もできる。
片歯面かみ合い試験は,無負荷における全かみ合い誤差及び1ピッチかみ合い誤差を検出する。1ピッ
チかみ合い誤差は,振動・騒音の管理及びかみ合いの滑らかさを知るうえで重要な要素である。無負荷に
おける全かみ合い誤差の許容値を考えるとき,累積ピッチ誤差が重要な要因である。1ピッチかみ合い誤
差については,かみ合う歯形の共役性が重要な要因である。
F.1.2 片歯面1ピッチかみ合い誤差の許容値
無負荷における1ピッチかみ合い誤差の許容値については,修整歯形と無修整歯形とに分けて考える。
a) 無修整歯形 無修整歯形は,家庭用器具,電動手工具,自動車補機駆動装置などのようなごく低負荷
で回転する多くの用途がある。低負荷である場合,歯面が共役であればあるほど滑らかに回転し,振
動・騒音の発生が少ない。したがって,許容値以下であればよい。
b) 修整歯形 修整歯形(歯形クラウニング,歯先修整,圧力角修整など)は,比較的高い1ピッチかみ
合い誤差を生じる可能性がある。これは,歯車を使用する特定の高い負荷で歯面が共役になるように
設計されているためであり,低い試験負荷では共役とならないからである。ごく低負荷で測定する1
ピッチかみ合い誤差が予想よりもはるかに低い場合,それは好ましいことではない。そのため,修整
歯形では,最大許容値及び最小許容値があることが望ましい。
最大許容値及び最小許容値を決定するために,二つの方法がある[F.1.3のa) 及びb)]。
F.1.3 片歯面1ピッチかみ合い誤差の許容値の設定方法
片歯面1ピッチかみ合い誤差の許容値の設定方法は,次による。
a) 実際の用途における経験に基づく方法 設計上及び製造上において片歯面1ピッチかみ合い誤差の平
均値及びばらつきを決定するために,実際の用途における経験若しくは負荷容量試験又はこれら両方
を使用する。これらの値は,精度等級には関係しない。
b) 計算式による方法 歯車対における片歯面1ピッチかみ合い誤差の許容値fisTの最大値fisT,maxは式(F.1)
――――― [JIS B 1702-1 pdf 36] ―――――
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によって計算し,最小値fisT,minは式(F.2)又は式(F.3)によって計算する。
A
fis(design)
fisT, max .0375mn 0.5 2 (F.1)
A
fis(design)
fisT, min .0375mn 0.5 2 (F.2)
fisT,minが負の場合には,式(F.3)による。
0
fisT, min (F.3)
試験機の読みが角度の単位である場合には,マイクロメータへの変換は,基準円直径d上で行う。
2 000
fisT (μ radian) (F.4)
fisT (μ m) / d(mm)
式(F.1)及び式(F.2)における片歯面1ピッチかみ合い誤差の設計値fis (design)は,用途及び試験条件を解析し
て決めることが望ましい。また,組立のばらつき,歯面形状のばらつき及び実用する運転負荷などの影響
も含めて考慮する。歯面の形状を決め,かみ合い誤差曲線を予測する歯当たり解析ソフトウェアを使用す
る方法もある。これらのソフトウェアでは,負荷回転時における歯形形状を解析し,併せて歯車箱及び軸
の変形を計算して,様々な負荷の下での1ピッチかみ合い誤差を予測するので,片歯面かみ合い試験機の
軽負荷における1ピッチかみ合い誤差を予測できる。
無修整歯形の場合fis (design)は,0(ゼロ)とする。
ハイパスフィルタリングした片歯面かみ合い誤差の1ピッチ振幅を,1ピッチかみ合い誤差を決定する
ために使用する。最大の1ピッチかみ合い全振幅がfisT,max以下で,最小の1ピッチかみ合い全振幅がfisT,min
以上が望ましい。
F.1.4 片歯面全かみ合い誤差の許容値,FisT
片歯面全かみ合い誤差の許容値(FisT)は,式(F.5)による。
FisT FpT (F.5)
fisT, max
F.2 試験機の構造及び出力データ
図F.1に,片歯面かみ合い試験機の概略図を示す。回転角θ1及びθ2は,小歯車と大歯車との軸に取り付
けたエンコーダなどの回転角センサによって検出する。歯車対の回転伝達誤差θeは,式(F.6)によって算出
する。
z1
e 2 1 (F.6)
z2
――――― [JIS B 1702-1 pdf 37] ―――――
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1 : ロータリエンコーダ
2 : 読取り装置
3 : 回転伝達誤差の計算
4 : フィルタ
5 : フーリエ変換装置
図F.1−片歯面かみ合い試験機の概略図
片歯面かみ合い精度を評価するための測定点の推奨最小数は,1ピッチ当たり30である。次に,データ
をフィルタリングし,フーリエ変換する。回転伝達誤差波形の例を,図F.2に示す。かみ合い誤差波形は,
小歯車と大歯車との累積ピッチ誤差に起因する複雑な形状をもっている。
3
回転角度(°)
1 : 1ピッチ
2 : 小歯車の1回転
3 : 片歯面全かみ合い誤差
図F.2−回転伝達誤差の例
1ピッチ内の小さな波は,歯形の誤差が原因で発生する。図F.3は,ハイパスフィルタリングした波形
であり,歯形の誤差のばらつきに対応した波形が現れている。図には,更に片歯面1ピッチかみ合い誤差
の最小値fis,minと最大値fis,maxとを示している。図F.4は,フーリエ変換した結果を示している。かみ合い周
波数の1次のピークは,1ピッチかみ合い誤差の平均値を示す。
――――― [JIS B 1702-1 pdf 38] ―――――
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回転角度(°)
図F.3−ハイパスフィルタリングした回転伝達誤差の例
かみ合い次数
a) 線形表示振幅
かみ合い次数
b) 対数表示振幅
図F.4−フーリエ変換した回転伝達誤差の例
――――― [JIS B 1702-1 pdf 39] ―――――
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附属書G
(参考)
隣接ピッチ誤差,fu
G.1 隣接ピッチ誤差の定義
G.1.1 個別隣接ピッチ誤差,fui
個別隣接ピッチ誤差fui(符号なし)は,右又は左歯面の連続した二つの個別単一ピッチの実測値の差で
ある。これは,二つの連続した個別単一ピッチ誤差の差に等しい(図G.1参照)。
fui(n) fpi(n) (G.1)
fpi(n -1)
G.1.2 隣接ピッチ誤差,fu
隣接ピッチ誤差fuは,個別隣接ピッチ誤差fuiの最大値である。
G.2 許容値
隣接ピッチ誤差fuの許容値は,式(G.2)による。
fuT 2fpT (G.2)
G.3 適用の考え方
隣接ピッチ誤差fuは,受渡当事者間で協定した場合に用いる。
fpi : 個別単一ピッチ誤差
fui : 個別隣接ピッチ誤差
j : 歯番号
n : ピッチ番号
図G.1−隣接ピッチ誤差
――――― [JIS B 1702-1 pdf 40] ―――――
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JIS B 1702-1:2016の引用国際規格 ISO 一覧
- ISO 1328-1:2013(MOD)
JIS B 1702-1:2016の国際規格 ICS 分類一覧
- 21 : 一般的に使用される機械的システム及び構成要素 > 21.200 : 歯車
JIS B 1702-1:2016の関連規格と引用規格一覧
- 規格番号
- 規格名称
- JISB0102-1:2013
- 歯車用語―第1部:幾何形状に関する定義
- JISB0121:2012
- 歯車記号―幾何学的データの記号
- JISB1702-2:1998
- 円筒歯車―精度等級 第2部:両歯面かみ合い誤差及び歯溝の振れの定義並びに精度許容値