JIS B 7912-1:2014 測量機器の現場試験手順―第1部:理論 | ページ 2

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B 7912-1 : 2014
− 同一の測定手順
− 同一の測定者
− 同一の測定器
− 同一の気象条件
− 同一の場所
3.2.5
繰返し性(repeatability),測定の繰返し性(measurement repeatability)
ある測定の繰返し条件下の測定の精密さ。
3.2.6
測定の再現条件(reproducibility conditions of measurement)
再現測定を行う際の条件。
注記 同一又は類似対象の繰返し測定を行う際,考慮すべき条件は次を含む。
− 異なる場所
− 異なる観測者
− 異なる測定器
3.2.7
再現性(reproducibility),測定の再現性(measurement reproducibility)
測定の再現条件下での測定の精密さ。
3.2.8
影響量(influence quantity)
直接の測定量ではないが,測定システムの指示値と測定結果との関係に影響を与える量。
例 トータルステーションによる距離測定時の温度。
3.3 不確かさの用語
3.3.1
不確かさ(uncertainty),測定の不確かさ(uncertainty of measurement),測定不確かさ(measurement uncertainty)
用いる情報に基づき,測定対象量に属する量の値のばらつきを特徴付ける負ではないパラメータ。
注記 測定不確かさは,一般に多くの成分から成る。その一部は,測定不確かさのタイプA評価によ
って一連の測定で得られる量の値の統計分布から評価され,また実験標準偏差によっても特徴
付けることができる。その他の成分は,測定不確かさのタイプB評価によって求められ,経験
又はその他の情報に基づいて推定された確率分布から得られる標準偏差の近似によって特徴付
けられる。
3.3.2
タイプA評価(Type A evaluation),測定不確かさのタイプA評価(Type A evaluation of measurement
uncertainty)
定義された条件下で得られる測定された量の値の統計解析による測定不確かさ(標準不確かさ)の成分
の評価。
注記 統計解析に関する情報については,4.1及びISO/IEC Guide 98-3:2008を参照。
3.3.3
タイプB評価(Type B evaluation),測定不確かさのタイプB評価(Type B evaluation of measurement
uncertainty)

――――― [JIS B 7912-1 pdf 6] ―――――

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測定不確かさのタイプ A 評価以外の方法で決定される測定不確かさ(標準不確かさ)の成分の評価。
例 測定不確かさの成分は,次に基づく。
− 以前の測定データ
− 当該材料及び機器の挙動及び特性についての一般的知識及び経験
− 製造業者の仕様
− 校正又はその他の証明書から得られるデータ
− ハンドブックから得られる参照データに指定された不確かさ
− 個人的経験を通して導き出された限界
注記 その他の情報については,4.3及びISO/IEC Guide 98-3:2008を参照。
3.3.4
標準不確かさ(standard uncertainty),測定の標準不確かさ(standard uncertainty of measurement),標準測定
不確かさ(standard measurement uncertainty)
標準偏差として表した測定不確かさ。
注記 標準不確かさは,タイプ A 評価及びタイプ B 評価のいずれかによって見積もることができる。
3.3.5
合成標準不確かさ(combined standard uncertainty),合成標準測定不確かさ(combined standard measurement
uncertainty)
測定モデルの入力量に付随する個々の標準測定不確かさ(及び適切な共分散)を用いて得られる標準測
定不確かさ。
注記 合成標準不確かさの手順は,よく“不確かさの伝ぱ(播)の法則”,一般用語では,根二乗和(RSS)
法と呼ばれる。
3.3.6
包含係数(coverage factor)
拡張測定不確かさを得るために合成標準測定不確かさに乗じる,1より大きい数。
注記 包含係数は,一般に,2と3の間にあり,包含確率又は区間の必要な信頼性のレベルに基づく。
3.3.7
拡張不確かさ(expanded uncertainty),拡張測定不確かさ(expanded measurement uncertainty)
包含区間で表した測定不確かさ。
注記 合成標準不確かさに包含係数を乗じて得られる。
3.3.8
包含区間(coverage interval)
ある確率で測定対象量の真値が含まれると推定される区間。
注記 統計上の概念と混同しないように,包含区間を“信頼区間”と呼ばないようにする。区間を特
定の信頼性レベルで関連付けることは,測定結果によって特徴付けられた確率分布に関する明
示的又は暗黙的な前提条件を要求する。
3.3.9
包含確率(coverage probability)
測定対象量の真値の集合が,特定の包含区間に含まれる確率。
注記 包含確率は,ISO/IEC Guide 98-3:2008では,“信頼の水準(level of confidence)”ともいう。

――――― [JIS B 7912-1 pdf 7] ―――――

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3.3.10
不確かさバジェット(uncertainty budget)
測定不確かさ,その測定不確かさの成分,並びにそれらの計算及び合成に関する見積表。
注記 不確かさバジェットには,測定モデル,推定値と測定モデルの量に付随する測定不確かさ,共
分散,適用した確率密度関数のタイプ,自由度,測定不確かさの評価タイプ及び包含係数を含
めることが望ましい。
3.3.11
測定モデル(measurement model)
測定に関連していると考えられる全ての量の間の数学的関係。
3.4 記号
記号は,表1による。
表1−記号及び定義
a 入力量Xiのとり得る値の一様分布の幅の半分a=(a+−a−)/2
a+ 入力量Xiの上限又は上側限界
a− 入力量Xiの下限又は下側限界
A 計画行列又はヤコビアン行列(N×n)
f
ci 偏導関数又は感度係数 ci i ,2,1 ..., N
i
C 感度係数ベクトルci(i=1, 2, ..., N)
e 単位ベクトル
fk 測定対象量Yk及び入力量Xjの間の,並びに出力推定値yk及び入力推定値xjの関数関係
f 要素を付記したベクトルfk(xT) (k=1, 2, ···, n)
自由度(ν, ν)及び信頼水準 (1−α) %のフィッシャーのF分布
F1−α/2(ν, ν)
gj 入力量の推定値xjと観測量liとの間の関数関係
k 出力推定値yの拡張不確かさU=k×uc(y) をその合成標準不確かさuc(y) から計算するのに
用いられる包含係数
li 観測量又は確率変数(i=1, 2, ···, m)
m 観測量liの個数
M 不確かさをタイプA評価によって見積もることができる入力量の個数
n 出力量又は測定対象量の個数
N 入力量の個数
N-M 不確かさをタイプB評価によって見積もることができる入力量の個数
N 正規方程式行列(n×n)
pj 入力推定値xj(j=1, 2, ···, N)の重み
P 重み行列pj(N×N)
Qykyk 出力推定値ykの余因子
Qy 出力推定値yk(n×n)の余因子行列
rj 入力推定値xj (j=1, 2, ···, N)の残差
r 残差ベクトルrj
r(xi, xj) 入力推定値xiとxjとの相関係数
s 標準偏差(一般)
s(yk) 出力推定値ykの標準偏差
tα(ν) 自由度ν及び信頼水準(1−α) %でのスチューデントのt分布
u 標準不確かさ(一般)
u(yk) 出力推定値ykの標準不確かさ
u(xj) 入力推定値xjの標準不確かさ

――――― [JIS B 7912-1 pdf 8] ―――――

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表1−記号及び定義(続き)
uc(yk) 出力推定値ykの合成標準不確かさ
U 拡張不確かさ(一般)
xj 入力量の推定値又は入力推定値(j=1, 2, ···, N)
x 入力量x jの推定値ベクトル
Xj 測定対象量Ykが従属するj番目の入力量
X 入力量Xiのベクトル
yk 測定対象量Ykの推定値又は出力推定値(k=1, 2, ···, n)
y 測定対象量ykの出力推定値ベクトル
Yk k 番目の測定対象量(k=1, 2, ..., n)
Y 測定対象量Ykのベクトル
α パーセントで表した誤りの確率
(1−α) 信頼水準
ν 自由度
σ 正規分布の標準偏差
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1 自由度ν及び信頼水準(1−α) %のカイ二乗分布

4 測定の不確かさ評価

4.1 一般

  不確かさ評価の一般的概念は,測定における不確かさをどのように表すかを国際的見地で述べた
ISO/IEC Guide 98-3:2008に記載されている。それは,測地及び測量のデータ解析で非常に一般的な分散・
共分散法の厳密な応用である。しかしながら,この背後にある考えは,測定における偶然誤差だけではな
く,全ての測定不確かさ量における系統誤差の扱いまで拡張している。
原理的に,測定結果は,近似値又は測定に伴う特定の量,すなわち測定対象量の近似値又は推定値にす
ぎない。つまり,測定結果は,推定値の質の状態である不確かさを伴って記述されたときにだけ,完全と
いえる。
測定の不確かさは,一般に幾つかの成分から成り,これらの成分の数値を見積もる方法によって次に示
す二つのタイプに分けられる。
a) 統計的手法によって評価するもの
b) その他の方法によって評価するもの
不確かさ評価方法の基本は,測定結果の不確かさに寄与する個々の不確かさ成分を標準偏差で推定する
ことであり,これを標準不確かさと呼び,記号uで表す。
タイプAに属する不確かさ成分は,統計的評価で得られた実験標準偏差si及び関連する自由度の数νi
によって表す。このような成分に対しては,標準不確かさuiは,ui=siである。観測データから統計的解
析で得られた不確かさ成分の評価を不確かさタイプA評価という(4.2参照)。
同様にタイプBに属する不確かさ成分は,量ujで表す。この量は,相当する標準偏差の近似値として考
えられたり,有効な全ての情報に基づく確率的分布で定義されることもある。量ujは,標準偏差として取
り扱われるので,タイプBの標準不確かさは単にujである。観測データから統計的解析以外の手法で得ら
れた不確かさの評価を不確かさタイプB評価という(4.3参照)。
いずれのタイプにおいても成分間の関係は,共分散又は相関係数の推定値によって特徴付けられる。

――――― [JIS B 7912-1 pdf 9] ―――――

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4.2 標準不確かさのタイプA評価

4.2.1  一般的数学モデル
多くの場合,測定対象量Yは,直接測定ではなくN個のある入力量X1, X2, ···, XNから,式(1)に示すよう
な関数関係によって決定される。
Y (1)
f X1 , X2 ,...,XN
測定対象量Yの推定値すなわち出力推定値yは,入力推定値x1, x2, ···, xNを用いて次の式(2)によって求め
る。
y (2)
f x1 , x2 ,..., xN
多くの場合,測定結果,すなわち出力推定値yは,この関数関係で求まる。
しかし,ある場合,特に測地及び測量における測定結果は,複数の例えば,N個の測定値(入力推定値)
から得られる複数の出力推定値y1, y2, ···, ynから成っている。
これから一般モデル関数(図1参照)は,次の式(3)となる。
y f xT (3)
ここに, x : 入力量xj (j=1, 2, ..., N)のベクトル(N×1)
y : 出力量yk (k=1, 2, ..., n)のベクトル(n×1)
f : fk (xT) (k=1, 2, ..., n)から成るベクトル(n×1)
fは,出力量yを決定するための適切なアルゴリズムと解釈できる(附属書C参照)。
入力 : 出力 :
ベクトルx, Ux ベクトルy, uy
入力量xj及びその不確かさ 出力量yk及びその標準不確かさ
u(xj) u(yk)
タイプA : 拡張不確かさ
観測値,統計的解析で得た値 U(yk)
xA, Ux(A) 評価モデル :
x, Ux y=f(xT) y, Uy
最終結果 :
yk±U(yk)
タイプB :
事前値,外部値など
統計的解析以外で得た値 他に適用する入力量として
xB, Ux(B) 使用できる
図1−一般的数学モデル及び不確かさ評価
4.2.2 タイプA不確かさ伝ぱ(播)の一般法則
測地測定過程においては,多くの場合入力量xjは,幾つかの観測量又は確率変数の関数となる[式(6)]。
観測量をベクトル表現で表すと式(4)となる。
lT (4)
l1 ,l2 ,l3 ....,lm
この例として,機器の内部測定処理,校正過程で得た補正値又は同一観測における複数回測定がある。
これに対応する不確かさ行列を,次の式(5)とする。

――――― [JIS B 7912-1 pdf 10] ―――――

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JIS B 7912-1:2014の引用国際規格 ISO 一覧

  • ISO 17123-1:2010(MOD)

JIS B 7912-1:2014の国際規格 ICS 分類一覧