JIS C 2556:2015 単板試験器による電磁鋼帯の磁気特性の測定方法 | ページ 2

4
C 2556 : 2015
鉄損特性,交流磁化特性及び皮相電力特性の測定は,試料に加えられた磁界と磁束とを同時に検出する
方法によって行う。試料は1枚の電磁鋼板で,2個の巻線の中に置き,ヨークとともに閉磁気回路を構成
する。2個の巻線は,外側に巻かれた励磁コイルと内側に巻かれたBコイルとである。ヨークは,試料に
加わる磁界の分布と試料内の磁界の分布とを均一に近付けるために用いる。
単板試験器による電磁鋼帯の磁気特性の測定原理には,励磁電流法及びHコイル法の二つの方法がある。
励磁電流法についての測定原理は,次による。Hコイル法についての測定原理は,附属書JAに示す。
励磁電流法は,試験片を挿入した単板試験器を無負荷変圧器と捉え,試験片及びヨークを含め磁路長全
体の総合的な磁気特性が検出されるが,これを規定の磁路長lmの試験片の磁気特性と等価と仮定して算出
する。励磁電流法は,測定再現性がよい長所がある。しかし,JIS C 2552及びJIS C 2553の特性表の数値
と比較するためには,附属書JCに規定する規定の磁路長lm,試験片とヨークとの間のギャップの磁気抵
抗及びヨークの損失に関する補正が必要である。
注記1 JIS C 2552及びJIS C 2553では,磁気特性の表の数値について,JIS C 2550-1に規定するエ
プスタイン法による電磁鋼帯の磁気特性の測定方法を適用している。エプスタイン法の測定
原理は励磁電流法であり,実効磁路長を規定の値とするが,ヨークを使用せず試験片だけで
磁気回路を構成するため,試験片の磁気特性だけを測定している。
試験片は,1枚の電磁鋼帯の切板とし,次の2個のコイルの内側に挿入する。
− 外側に,一次コイル(励磁コイル)
− 内側に,二次コイル(Bコイル)
2個の同形状のヨークを用いて,閉磁路を形成する(図1参照)。ヨークの断面積は,試験片の断面積よ
りも十分に大きくなければならない。
注記2 ヨークを用いることによって,試験片に加わる磁界の分布及び試験片内の磁束分布が均一に
近付く。
図1−単板試験器の概要
試験片に加わる圧力による影響を最小限とするため,3.2.1に従い,上側ヨークの質量の一部を相殺する
機能のある懸架装置を用いる。

――――― [JIS C 2556 pdf 6] ―――――

                                                                                              5
C 2556 : 2015
温度の変化は,熱膨張収縮によって試験片に応力が発生しない範囲に保持する。

3.2 単板試験器

3.2.1  ヨーク
各ヨークはコの字形状で,絶縁された方向性電磁鋼板又は鉄−ニッケル合金薄板で構成する。ヨークは,
磁気抵抗が低いものとし,その鉄損Psは,1.5 T及び50 Hzにおいて1.0 W/kg以下とする。ヨークは,附
属書Aの必要条件に基づいて製作する。
ヨークは,渦電流効果を抑えてヨーク内の磁束がより均一な分布となるように,一対の接着した積層鋼
板鉄心で製作する。ヨークのコーナー部は,交互積みの突合せ接合とする(図1参照)。
注記1 積層鋼板の接着又は支持によってヨーク内に発生する応力は,極力小さくすることが望まし
い。
単位 mm
図2−ヨークの寸法
ヨークの磁極面の幅は,25 mm±1 mmとする。
それぞれのヨークの二つの磁極面は,0.5 mm以内で同一平面となるようにし,二つのヨークの対向する
磁極面の隙間は,可能な限り小さく,かつ,均一な状態とする。
ヨークは,試験片内に機械的応力を発生させないよう,高い剛性をもたなければならない。
内側寸法は450 mm
各ヨークの高さは90 mmから150 mmまでの間とする。ヨークの幅は50005
±1 mmとする(図2参照)。
注記2 磁極面間の隙間の均一性は,上側ヨーク及び下側ヨークの対向する磁極面の間に感圧シート
を挟み,上側ヨークの荷重をかけたとき,磁極面が不均一に接触する場合に現れる発色の偏
在がないことによって,確認できる。
注記3 試験結果の比較性能を証明できる場合には,他のヨーク寸法を採用できる。
ヨークの脚の間に,試験片を載せる絶縁非磁性体の支持台を配置する。支持台は,試験片がヨークの磁
極面と隙間なく接触するように,磁極面と同じ平面の中心に配置する(図2参照)。
上側ヨークは,試験片を挿入しやすいように,上方向に移動できる状態にする。また,試験片を挿入し
た後,上側ヨークは下側ヨークと正確に再整列できなければならない。上側ヨークの懸架装置は,ヨーク

――――― [JIS C 2556 pdf 7] ―――――

6
C 2556 : 2015
質量の一部を相殺できるものとし,試験片に加わる力が100 Nから200 Nまでの間となるように調整する。
注記4 正方形のヨークを採用すれば,無方向性電磁鋼帯の材料を1枚の試験片で測定できる。正方
形の試験片を90°回転することによって,圧延方向及び直角方向の特性の測定が可能となる。
3.2.2 コイル
一次コイル及び二次コイルは,440 mm以上の長さとし,絶縁非磁性体の四角形の巻枠に巻く。巻枠の
寸法は,次による。
− 長さ 445 mm ±2 mm
− 内側幅 510 mm ±1 mm
− 内側高さ 520 mm
− 外側高さ 15 mm以下
一次コイルは,次のいずれかによって製作する。
− 5個又は5個以上の同じ寸法で同じ巻数のコイルを,並列に接続して並べて全長とする(図3参照)。
例えば,5個のコイルであれば,直径1 mmの銅線を5層に巻いて,400ターンとする。
− 1個の全長にわたって連続かつ均一に巻いたコイルとする。例えば,直径1 mmの銅線を1層又は多
層に巻いて,400ターンとする。
二次コイルの巻数は,測定機器の特性に合わせて設定してよい。
注記 一次コイル及び二次コイルは,巻枠の同じ側から巻き始めて,同じ周方向に巻くことが望まし
い。
図3−一次コイルの5個のコイルの接続図

3.3 空隙補償

  空隙磁束の効果は,補償しなければならない。例えば,相互誘導器によって行える。相互誘導器の一次
コイルは,単板試験器の一次コイルと直列に接続し,相互誘導器の二次コイルは,単板試験器の二次コイ
ルと逆極性で直列に接続する(図4参照)。
注記 単板試験器の一次コイルの内側に,空隙補償用の二次コイルを設置し,相互誘導器の二次コイ
ルと同じ作用をさせることができる。
相互誘導係数の調整は,単板試験器に試験片がない状態で一次コイルに交流電流を流したときに,単板
試験器及び相互誘導器の二次コイルの非共有端子間で測定した電圧が,単板試験器の二次コイル単独の両
端間に現れる電圧の0.1 %を超えないように行う。
この調整によって,連結した二次コイルに誘起される電圧の整流平均値は,試験片内の磁束密度の波高
値Jに比例する。

3.4 試験片

  試験片の長さは,500 mm以上とする。磁極面の外側に出た試験片の部分は,測定に大きな影響を及ぼ

――――― [JIS C 2556 pdf 8] ―――――

                                                                                              7
C 2556 : 2015
さないが,試験片の出し入れを容易にするのに必要な最小限の長さとする。
試験片の幅は,可能な限り大きいものとし,ヨーク幅の60 %以上,ヨーク幅以下とする。
試験片は,過剰な切断かえり及び機械的な変形が生じないように切断する。試験片は,平たんでなけれ
ばならない。試験片を切断する場合には,鋼帯の母材の縁を基準方向とする。圧延方向と切断方向との角
度の許容差は,次による。
− 方向性電磁鋼帯については,±1°
− 無方向性電磁鋼帯については,±5°
無方向性電磁鋼帯については,試験片が正方形の場合を除き,圧延方向に平行な試験片1枚及び直角な
試験片1枚の,2枚の試験片を切断する。試験片が正方形の場合は,試験片1枚でよい。

3.5 励磁電源

  励磁電源は,内部インピーダンスが低く,かつ,電圧及び周波数の安定性の高いものを使用する。測定
時において,電圧及び周波数の精度は,±0.2 %以上とする。
さらに,二次コイルに誘起する電圧の波形は,可能な限り正弦波とする。二次電圧の波形率は,1.10 %
1.12 %とすることが望ましい。例えば,電子負帰還制御の電力増幅器を用いるなど,幾つかの方法によ
って達成できる。
注記 二次電圧の波形率“1.10 %1.12 %”を,対応国際規格では“1.111±1 %”と表記している。

4 鉄損の測定(励磁電流法)

4.1 測定の原理

  試験片を挿入した単板測定器は,無負荷の変圧器に等しく,その鉄損Psを図4に示す測定回路を用いて
測定する。

4.2 測定器

4.2.1  電圧計
注記 デジタルサンプリング法の適用は,附属書Dを参照。
4.2.1.1 平均値形交流電圧計
単板試験器の二次電圧の整流平均値は,平均値形交流電圧計で測定する。入力インピーダンスが1 MΩ
以上で,±0.5 %の精度以上のデジタル電圧計が望ましい。
注記 このような電圧計は,通常,1.111を整流平均値に乗じた値で表示されている。
二次側回路の負荷は,可能な限り小さくする。このため,平均値形交流電圧計の内部抵抗は,1 000 Ω/V
以上とする。
4.2.1.2 実効値交流電圧計
実効値に応答する電圧計を使用する。入力インピーダンスが1 MΩ以上で,±0.5 %の精度以上のデジタ
ル電圧計が望ましい。
4.2.2 周波数計
±0.1 %の精度以上の周波数計を使用する。

――――― [JIS C 2556 pdf 9] ―――――

8
C 2556 : 2015
A
M
S1
Hz
S2 一次 二次 S3 V1 V2
コイル コイル
W
試験片
Hz : 周波数計
A : 電流計
W : 電力計
M : 空隙補償用の相互誘導器
V1 : 平均値形交流電圧計
V2 : 実効値交流電圧計
S1,S2及びS3 : スイッチ
図4−鉄損の測定回路
4.2.3 電力計
電力計は,実際の力率及び波高率において±0.5 %の精度以上をもたなければならない。
注記1 電圧回路の入力抵抗が1 MΩ以上のデジタル電力計が望ましい。
注記2 デジタルサンプリング法の適用は,附属書Dを参照。
電力計の電圧回路の入力抵抗は,全てのレンジにおいて100 Ω/V以上とする。必要に応じて,二次側回
路の損失を読取値から差し引く。
注記3 二次側回路に接続する計器に,入力インピーダンスが十分高いデジタル電圧計及びデジタル
電力計だけを使用する場合は,二次側回路の損失を無視できる。また,レンジの1/4以下の
値の読取りは,可能な限り行わないことが望ましい。
電圧回路のリアクタンスを補償する機能のある電力計を除き,電力計の電圧回路の入力抵抗は,そのリ
アクタンスの5 000倍以上とする。
測定回路内に電流計が含まれている場合は,二次電圧を調整して損失を測定している間,電流計を短絡
する。

4.3 測定の手順

    注記 デジタルサンプリング法の適用は,附属書Dを参照。
4.3.1 測定の準備
試験片の長さを±0.1 %の精度以上で測定し,その質量を±0.1 %の精度以上で測定する。試験片をコイ
ル内に挿入してコイルの縦横軸の中央に置き,質量の一部を相殺した上側ヨークを降ろす。
測定前に,試験片は,測定時よりも十分高い初期磁場から減衰する交流磁界で消磁する。
磁気回路の既定の磁路長lmは,0.45 mを既定の値とする。したがって,試験片の鉄損Ps及び皮相電力
Ssの計算に用いる実効質量maは,式(3)による。

――――― [JIS C 2556 pdf 10] ―――――

次のページ PDF 11

JIS C 2556:2015の引用国際規格 ISO 一覧

  • IEC 60404-3:1992(MOD)
  • IEC 60404-3:1992/AMENDMENT 1:2002(MOD)
  • IEC 60404-3:1992/AMENDMENT 2:2009(MOD)

JIS C 2556:2015の国際規格 ICS 分類一覧

JIS C 2556:2015の関連規格と引用規格一覧