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C 60695-7-1 : 2020 (IEC 60695-7-1 : 2010)
注記1 ある温度T及び圧力Pにおける混合気体中の気体の濃度は,理想気体として挙動すると仮定
するとその体積分率にその温度T及び圧力Pにおける密度を乗ずることによって求めること
が可能である。
注記2 他に規定がない場合,298 K及び1気圧を仮定する。
注記3 体積分率は,無次元であり,通常 cm3/m3(又は 106)に等しいリットル当たりのマイクロ
リットル(μL/L)又は百分率で表す。
注記4 JIS C 60695-4:2010の3.96を対応国際規格に応じて一部変更。
3.41
生成速度,収率(yield)
燃焼中に生成される燃焼生成物の質量を,試験片の喪失質量で除した値。
注記1 生成速度又は収率は,無次元である。
注記2 JIS C 60695-4:2010,附属書JAの4.355参照。
4 燃焼毒性危険性を決定する要因
4.1 燃焼毒性危険性の評価
火災による燃焼毒性危険性の評価に関する主な論題は,次による。
a) 製品の燃焼又は熱分解した量に応じた毒性の割合
b) その燃焼放出物の毒性
c) その燃焼放出物の拡散量
d) 避難の障害
4.2 燃焼速度
生成される放出物の量は,燃焼又は熱分解された生成物の量に比例する。放出物の発生比率は,燃焼速
度又は熱分解速度によって決まる。したがって,燃焼毒性危険性を最小限に抑えるためには,着火し難く
し,燃焼速度を低下すること,すなわち,火災成長速度及び火炎拡散速度を低下することが必要となる。
4.3 燃焼放出物の毒性
4.3.1 一般
燃焼放出物は,固体微粒子,液体エアロゾル及びガスの複雑な混合状態で構成されている。火災は多様
な異なる組成の放出物を生成するが,急性毒性の原因の中でガスが主要因であることを毒性試験が明らか
にしている。顕著な急性毒性影響は,次の二つに分類できる。
a) 窒息作用
b) 感覚刺激及び/又は上気道刺激
窒息作用については4.3.2に記載する。感覚刺激及び/又は上気道刺激については4.3.4に記載する。
注記 ISO 13344は,30分間の致死率FED値の計算式に,幾つかの式を与えている。これらの式はラ
ットにおける30分間でのLC50値(致死率50 %に対応する指数)を用いて窒息性と刺激性の両
方を述べている。ISO 13571では,そのような式を用いる場合,行動不能を致死性に関連付け
る場合にはLCt50の半分の値を近似的な暴露用量とすることを推奨している。
他に,毒性ではないが重要な生命への脅威がある。これらには,熱及び放射エネルギーの影響,酸素濃
度低下の影響,煙の遮光による視界低下の影響が含まれる。
多くの技術的研究によって,大半の製品及び材料は,同様の毒性強度をもつ火災様相を示すことが広く
認識されている。異常に高い毒性をもつ物質が火災において重要であるという証拠は見つかっていない。
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火災において可燃性燃料を想定する場合,性質と相対量が特定されていない材料と製品とが混在する場
合が多い。このような場合,燃焼毒性危険性を推定するためには,“一般的な”LCt50値として,換気支配
型火災発展シナリオとして,フラッシュオーバ前においては900 g・min・m−3,フラッシュオーバ後におい
ては450 g・min・m−3を用いる場合がある(参考文献[3],[4]及び[5]参照)。在館者又は搭乗者(輸送移動体
の場合)の避難の評価のためにISO 13571では,それぞれを450g・min・m−3及び220g・min・m−3の値を推奨
している。
試験データでは,電気・電子製品からの燃焼放出物が,他の材料又は製品(例えば,家具及び建築材料)
からの燃焼放出物よりも毒性が大きいということは示されていない。ISO 19706では,参考文献[5],[6],
及び[7]を追加のデータとして提供している。
4.3.2 窒息性
窒息は,火災における死因の主な原因である。窒息性物質は,低酸素(生体内組織に供給する,又は組
織内で用いる酸素の減少)を引き起こす毒性物質であり,意識消失を伴う中枢神経系の機能低下を引き起
こし,最終的には死に至る。これらの毒性物質の影響は,累積した吸収量に依存しており,すなわち,濃
度と暴露時間(又は,暴露している期間)との両方に依存する。用量の増大に伴い,その影響による重症
度も増大する。火災燃焼ガスの毒性物質の中で一酸化炭素(CO)及びシアン化水素(HCN)は最も多くの
研究があり,暴露された人の行動不能及び死に至る原因となる量的限度値(限界量)について最もよく分
かっている(参考文献[8]及び[9]参照)。
燃焼毒性危険性分析において窒息性物質の成分を算定評価するための基本的な事項は,それぞれの毒性
物質の暴露用量,すなわち,それぞれの濃度−時間曲線の積分面積(ISO 13571参照)である。それぞれ
の窒息性物質の時間積分が,それぞれの有効暴露量率(FED)を決定する。それらの累積合算量(積分量)
が規定したしきい(閾)値を上回るまでの時間が,選定する安全基準において,避難可能な時間を意味す
る。
一酸化炭素については,行動不能となる用量(体積分率×時間)は0.035分間である(参考文献[10]参照)。
シアン化水素については,行動不能となる用量は一定ではなく,体積分率によって変化する量である(参
考文献[8]参照)。 30×10−6から400×10−6までの範囲の体積分率について得られたデータの実証分析は,
指数関数式を用いてFEDを計算することが可能であることを示している
t2 5
10
exp XHCN / 3.4
FED t
t1 220 min
ここに, XHCN : 時間増分ΔtにおけるHCNの平均体積分率
(ISO 13571参照)。
30×10−6以下の体積分率では,次の式を用いる必要がある
t2
1
FED 3044. min XHCN t
t1
4.3.3 二酸化炭素
二酸化炭素(CO2)の体積分率が0.02を超えるとexp(XCO2 / 0.05)の因子,すなわち,二酸化炭素の体
積分率が時間増分ΔtにおけるCO2の平均体積分率(XCO2)に等しくなる状態を表す過換気によって窒息性
物質の実効暴露用量が増大すると考えられる(ISO 13571参照)。
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4.3.4 感覚刺激物及び/又は上気道刺激物
感覚刺激及び/又は上気道刺激は,目,鼻,喉及び上気道の神経受容体を刺激する。濃度だけに関連付
ける場合,その影響は,眼及び上気道の軽度の不快感から始まり,激しい痛みになるまで連続して起こる。
これらの急性な影響は,安全な避難の脅威となる可能性がある。
十分に高い濃度では,ほとんどの感覚刺激物及び/又は上気道刺激物は肺に深く浸透して,濃度と暴露
期間(すなわち,用量)との両方に一般的に関係性をもつ肺の炎症効果を引き起こす。一般に,これらの
影響は重大ではないため,安全な避難を脅かすものとはみなされない。しかしながら,肺の炎症は暴露後
の呼吸困難及び肺水腫が原因で暴露後の数時間から数日までに死に至る場合もある。
燃焼毒性危険性分析における刺激性ガス成分を算定評価するための基本的な原理は,各刺激性物質の濃
度だけが対象である。特定の時間おけるそれぞれの刺激物濃度の増加量が,それぞれの有効濃度率(FEC)
を決定する。それらの合算量が規定したしきい(閾)値を上回るまでの時間が,選定した安全基準におけ
る避難可能な時間を意味する。
幾つかの重大な刺激物から避難する時,有効な避難手段を講じようとする在館者又は搭乗者(輸送移動
体の場合)の能力を著しく損なうことを予想する刺激物の体積割合(F値)を表1に示す(ISO 13571参
照)。
表1−刺激物の体積割合(F値)(ISO 13571から抜粋)
刺激物 F値×106
アクロレイン 30
二酸化硫黄 150
ホルムアルデヒド 250
二酸化窒素 250
フッ化水素 500
臭化水素 1 000
塩化水素 1 000
ISO 19701は,これらのガス種の分析方法に関する指針を提供している。
4.3.5 異常に高い毒性及び極度の毒性強度
異常に高い毒性とは,火災において(すなわち,窒息性又は刺激性を除く)通常ではあり得ない毒性影
響をもつタイプの生成物質群の毒性を示す。序文で述べているように,異常に高い毒性をもつ生成物質群
が,火災において重要であるという報告はない。極端な毒性強度とは,生成物質の毒性が,通常の火災放
出物の毒性よりも質量ベースではるかに大きいことを示唆している。
これまでのところ,極度な毒性強度に起因した危険性が伴う火災事例の記録はない。
4.4 分散容量
放出物を希釈するとその毒性は低下するため,燃焼毒性危険性を評価するためには,放出物が分散する
容量を既知量とするか,又は仮定しなければならない。
4.5 避難時間
火災での避難を許容する時間を超える時間帯では,在館者又は搭乗者(輸送移動体の場合)が自らの避
難を実行する時の有効な手段を講じることができなくなる。この時間は,次の事項から見積った異なる時
間の中で,最短の時間となる。
a) 窒息性の火災ガス
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b) 刺激性の火災ガス
c) 熱
d) 煙による視力低下
ISO 13571は,火災データを利用して避難を許容する時間を見積るための指針を提供する。
5 燃焼放出ガスによる燃焼毒性危険性を評価するための小規模試験法の一般的な解釈
5.1 一般
小規模の毒性試験は,基本的に次の二つで構成する。
a) 望ましくは,火災のある特定の段階での生成する燃焼放出物と同じ相対組成をもつ燃焼放出物が発生
する分解条件(物理火災モデル−5.2参照)。
b) 燃焼放出物を制御した方法で動物に暴露し,その応答をモニタリングできる評価方法又は燃焼放出物
の化学分析を行い,その濃度から毒性強度を推定できる毒性強度の評価又は毒性強度を計算する燃焼
放出物の評価方法。
IEC 60695-7-2は,致死性及び亜致死性の急性毒性強度及び他の毒性試験の評価において一般的に用いる
試験方法をまとめている。これは,火災シナリオと関連する特別な所見を含み,その使用に関する推奨事
項を示している。
ISO 16312-1は,燃焼放出物の毒性データを得るための物理火災モデルの妥当性を評価するための指針
を提供し,ISO/TR 16312-2は,ISO 16312-1に示した基準を用いて12種類の試験方法を評価している。
幾つかの方法では,試験中のその材料の質量損失と観察した毒性影響(作用)又は毒性濃度とを関連付
けることができる。この情報がない場合,得たデータを既定の火災シナリオにおける燃焼毒性危険性評価
に用いることが不可能となる。これは,小規模毒性強度試験が燃焼毒性危険性を評価できない理由となっ
ている。 毒性強度データは,燃焼毒性危険性を推定するために,個別に決定された燃焼データ及び他の関
連データ(例えば,想定される分散量 : 分布が想定される拡散量)と組み合わせなければならない。
燃焼毒性強度を燃焼毒性危険性と混同してはならない。
ISO 19706の4.3において,“人々への燃焼放出物の影響は,放出物源としての可燃物だけに依存するの
ではないことから,燃焼放出物組成データを火災の危険性又は危険性の指標として単独で用いるのではな
く,火災の危険性評価又はリスク評価をとおして施設,火災及び人に関する追加情報と組み合わせなけれ
ばならない。”と述べている。
着火の可能性の低減とその後の炎の広がり速度の低下は,燃焼毒性危険性が低下する主要な検討事項で
ある。
5.2 物理火災モデル
既知の物質から発生する燃焼放出物の組成は,その物質の固有な性質ではなく,その物質が燃焼する条
件に極めて依存する。したがって,燃焼毒性生成物の収率及び燃焼放出物の毒性強度は,燃焼条件に依存
する。燃料の化学組成,分解温度及び換気量は,燃焼放出物の組成,すなわち,毒性強度に影響を及ぼす
主な変数である。
これらの変数は,炭素の酸化物への酸化効率[重要となるCO2 / CO比に関連する一酸化炭素(CO)及
び二酸化炭素(CO2)]に作用するため,決定的な影響を与える。低いCO2/CO比は,一酸化炭素の割合が
高いことを示しており,結果として燃焼毒性強度値が低いことを示す(すなわち,毒性放出物が高いこと
を示す)。
ISO 19703は,毒性生成物の収率を当量比として,火災条件を燃焼効率として計算するための定義及び
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式を示している。さらに,実際の事例の計算例を提供している。これらの方法は,時間分解データが入手
できる実験的な火災に対して瞬間値又は平均値のいずれかを得るために使用可能である。
標準化した試験方法を規定した試験条件(物理火災モデル)が適切であり,火災で予想する段階を再現
していることを示すことは必須である。ISO 19706は,表2に示す火災の種類の一般的分類を公開してい
る。燃焼放出物の毒性強度に影響を与える重要な要因は,酸素濃度及び放射量(irradiance)/温度である。
この表から試験室規模の試験では,用いる試験条件を実規模火災に可能な限り対応するように導き出すこ
とができる。ただし,火災は一連の物理的及び化学的現象の複雑で相互に関係した一連の現象を伴う結果
であるため,試験室規模の装置では火災の全ての側面を模擬することは困難である。この物理火災モデル
の有効性の問題は,全ての火災試験に伴う最も困難で唯一の技術的課題である。
着火後,環境条件に加え可燃物の物理的配置次第で,異なる方法で火災が成長することがある。ただし,
一般的な温度−時間曲線は,三つの段階と衰退段階とを示しているので(図1を参照),区画内での火災
成長を一般的なパターンとして確立することが可能となる。
第一段階(無炎燃焼分解)は,持続的な有炎燃焼(火炎燃焼)の前段階としての火災の初期段階であり,
火災室温度はほとんど上昇しない。この段階では,煙及び毒性の放出生成物が主な危険性である。この段
階では,火災の種類1a),1b)及び1c)の全てが発生する可能性がある。第二段階(火災成長期)は,着火で
始まり,火災室温度が指数関数的に上昇する。この段階では,炎の広がり,発熱,煙及び毒性放出物が主
な危険性である。火災の種類2はこの段階に対応している。第三段階(最盛期火災)は,部屋の全ての可
燃性物の表面が分解し,部屋全体に一気に着火が起こり,急激な温度上昇が始まる。(フラッシュオーバ)
火災の種類3b)はこの段階に対応している。
第三段階の終わりでは,可燃物及び/又は酸素の大部分を消費するため,換気,並びにそのシステムの
熱及び質量の移動特性に依存する速度で温度が低下する。これが衰退段階として知られている。
これらの段階のそれぞれにおいて,分解生成物は,異なる混合物を形成し,その段階で生成する燃焼放
出物の毒性の性質などに影響する。
第三段階
第二段階
第一段階 火災成長期
無炎燃焼 換気支配型 最盛期火災 衰退段階
有炎燃焼
区画内温度
火災の種類 火災の種類 火災の種類
1a), 1b) 及び1c) 2 3b)
着火 フラッシュオーバ 時間
図1−区画内での火災の成長が異なる様相
――――― [JIS C 60695-7-1 pdf 15] ―――――
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JIS C 60695-7-1:2020の引用国際規格 ISO 一覧
- IEC 60695-7-1:2010(IDT)
JIS C 60695-7-1:2020の国際規格 ICS 分類一覧
- 13 : 環境.健康予防.安全 > 13.220 : 火災に対する防御 > 13.220.40 : 材料及び製品の発火性及び燃焼性
JIS C 60695-7-1:2020の関連規格と引用規格一覧
- 規格番号
- 規格名称
- JISZ8051:2015
- 安全側面―規格への導入指針