JIS C 61300-3-32:2013 光ファイバ接続デバイス及び光受動部品―基本試験及び測定手順―第3-32部:光受動部品の偏波モード分散測定 | ページ 2

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C 61300-3-32 : 2013

2 引用規格

  次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。これらの
引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。
JIS C 6842 光ファイバ偏波モード分散試験方法
注記 対応国際規格 : IEC 60793-1-48,Optical fibres−Part 1-48: Measurement methods and test
procedures−Polarisation mode dispersion(MOD)
JIS C 61300-3-2 光ファイバ接続デバイス及び光受動部品−基本試験及び測定手順−第3-2部 : シン
グルモード光デバイスの光損失の偏光依存性
注記 対応国際規格 : IEC 61300-3-2,Fibre optic interconnecting devices and passive components−Basic
test and measurement procedures−Part 3-2: Examinations and measurements−Polarization
dependence of attenuation in a single-mode fibre optic device(MOD)
IEC/TR 61282-3,Fibre optic communication system design guides−Part 3: Calculation of link polarization
mode dispersion
IEC/TR 61282-9,Fibre optic communication system design guides−Part 9: Guidance on polarization mode
dispersion measurements and theory

3 略語

  この規格で用いる略号は,次による。
ASE 増幅された自然放出光 (amplified spontaneous emission)
CWDM コースWDM (coarse WDM)
DGD 群遅延時間差 (differential group delay)
DOP 偏光度 (degree of polarization)
DUT 供試品 (device under test)
DWDM 高密度波長分割多重 (dense wavelength division multiplexing)
FA 固定アナライザ (fixed analyser)
FAFT 固定アナライザによるフーリエ変換 (fixed analyser Fourier transform)
FAEC 固定アナライザによる極値分析 (fixed analyser extrema counting)
FWHM 半値全幅 (full width at half the maximum)
GINTY 一般化した干渉法 (generalized interferometry)
INTY 干渉法 (interferometry)
ISI 符号間干渉 (inter-symbol interference)
JME ジョーンズ行列固有値解析 (Jones matrix eigenanalysis)
MMA ミュラー行列分析 (Mueller matrix analysis)
MPS 変調位相シフト (modulation phase shift)
PDL 偏光依存性損失 (polarization dependent loss)
PMD 偏波モード分散 (polarization mode dispersion)
PDV 偏光分散ベクトル (polarization dispersion vector)
PPS 偏光位相シフト (polarization phase shift)
PS ポアンカレ球 (Poincar sphere)
PSA ポアンカレ球解析 (Poincar sphere analysis)

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PSP 主偏光状態 (principal states of polarization)
RBW 波長分解能 (resolution bandwidth)
RMS 二乗平均平方根 (root mean square)
SOP 偏光状態 (state of polarization)
SPE ストークスパラメータ評価 (Stokes parameter evaluation)
TINTY 従来の干渉法 (traditional interferometry)
WDM 波長分割多重 (wavelength division multiplexing)
WWDM ワイドWDM (wide WDM)

4 概要

  PMDは,媒質の屈折率が光の振動面によって異なるため発生し,光信号パルスが伝搬するにつれて波形
の広がりをもたらす。光信号パルスの広がりは,受信機での符号間干渉(ISI)による受信誤りを引き起こ
し,その結果として伝送可能な信号帯域を制限する。
光信号パルスは,光受動部品中に存在する二つの複屈折軸に対応する,互いに直交する二つの主SOP
(PSP)と呼ばれる偏光成分の組合せによって,表すことができる(図1参照)。この二つの偏光成分は,
異なる群速度で伝搬するため,光受動部品出力端に到達する時間が異なる。PMDは,互いに直交する二つ
のPSP間の時間差であるDGD値Δτに関係する。
進相軸
遅相軸
図1−光受動部品内での光信号パルス伝搬におけるPMDの影響

4.1 モード結合

  光受動部品のPMDは,通常,光受動部品の性質によって決まり,現象は予測可能,再現可能かつ制御
可能である。光受動部品内で,二つの主偏光状態の成分がどのように結合するかを知ることは重要である。
実際,偏光成分の結合方法は,光受動部品の性質によって異なる。長尺ファイバの場合にしばしば見られ
るようなランダム又は強いモード結合に対して,通常の光受動部品(偏波面保存光ファイバ及び通常の短
い光ファイバの場合も含める。)の場合,モード結合は無視できる。モード結合が無視できる場合,光受動
部品内の複屈折軸は,一つの固定された複屈折領域となる。そのため,DGDは波長に対して一定となり,
PMDはDGDに一致する。
それに対し,固定された複屈折軸をもつ多くの領域を内蔵する光受動部品の場合,波長に対してランダ
ムなDGDを作り出す。その場合,モード結合はランダムである。DGDは波長の関数として変化し,モー
ド結合はランダムである。たとえDGDが様々な値をとっても,DGDの時間的変化は測定時間で一定とな
り,予想できるものである。また,現象は一つに決まる。この場合,PMDはDGDの波長特性の平均値と

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なる。一般的には,RMS値を用いてもよい。
光受動部品が複屈折の領域をほとんどもたない場合,上述の二つの場合の中間の事例もあり得る。この
場合,DGDは波長に対して単調又は正弦関数的なランダム性の低い変化を示す。PMDはDGDの波長平均
値又は二乗平均平方根となり,現象は予測可能であるが,モード結合は無視できるものではなく,ランダ
ムに発生もしない。
モード結合が強い又は弱いというのは,信号が光受動部品内を伝搬するときに,SOPを保つかどうかと
同義である。言い換えれば,入力光のSOPを用いて出力光のSOPを表す,いわゆる偏光変換関数として
光受動部品を捉えることもできる。この偏光変換関数は,一般的にジョーンズ行列で表すことができる。
これについては,この規格の後半で示す。

4.2 狭帯域光受動部品

  PMDの現象に関連して注意すべき他の分類があり,それには狭帯域光受動部品も含む。狭帯域光受動部
品のDGDの分布は,波長領域では小さいが,時間領域では複雑で広いフーリエ時間スペクトルをもち得
る。DGDを波長領域ではなく時間領域で分析する場合は,十分に注意しなければならない。

4.3 偏光依存性

  さらに,複雑な要因として,供試品中のPDLの影響がある。供試品の出力において,光パルスが広がる
だけ(PDLがない場合)ではなく,媒質がPDL特性をもち,ゆが(歪)んだ状態で伝搬する例を,図1
に示す。PDLがある場合,二つのPSPは必ずしも直交する(ポアンカレ球上で180度離れる)とは限らな
い。この場合,この規格の全ての測定方法は1 dB以下のPDLをもつ光受動部品に適用が限定される。こ
の条件は,DWDMシステムに使用される代表的な光受動部品の通過帯域内であれば適用できる。
PDLは,供試品の正確なDGDを決める上で大きく影響することがある。PDLは,JIS C 61300-3-2を使
用して測定してもよい。
また,起こり得る例外又は仮定は,状態の複雑さを軽減することができる。例えば,10 dBを超える高
いPDL をもつ光受動部品は一般的に単一偏光で用いる。そのような光受動部品では,PMDではなくPDL
を適切なパラメータとして議論することができる。
それゆえ,この規格の適用範囲には,上述の理由によって,10 dBを超える高いPDLをもつ光受動部品
を除外する。除外する光受動部品としては,例えば,偏光子,偏光依存性をもつスプリッタ,変調器など
がある。
DWDMに用いる,典型的な,1 dB未満の低いPDLをもつ光受動部品の場合,PDLは一般的にはDGD
測定にほとんど影響は与えないが,不確かさが僅かに増加する。つまりPDLが大きくなると,この不確か
さも大きくなる。
10 dBを超える高いPDLをもつ光受動部品では,この不確かさは許容できないほど大きくなる。

4.4 多重光路干渉

  光受動部品は,バルク光学素子,光ファイバと光導波路との接続,光ファイバと光学レンズとの境界な
どを含んでおり,それら光部材間の屈折率不整合によって反射光が生じる。この効果によって,多重光路
による分散が生じる可能性があるが,PMDに影響する場合(つまり,光路差に偏光依存性がある場合)と
PMDに影響しない場合(光路差に偏光依存性がない場合)とがある[1] 1)。
注1) 角括弧内の数字は,参照する参考文献の番号を示す。
偏光依存性をもたない反射光及び多重光路干渉による遅延は,DGDから分離して取り除くことができる。
ただし,偏光に依存する遅延差は,いかなる場合もDGDとみなす。

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4.5 光ファイバピッグテール

  光ファイバピッグテールはそれ自体がPMDをもち,曲げ,巻付け,ねじりなどによってPMDの値が変
化する。
供試品の入力部及び出力部に用いる光ファイバピッグテール(通常は,供試品のハウジング内に密閉す
る。)は,PMDの要因となる。光受動部品に具備している光ファイバは,通常は,高々数mの長さである
ため,その内部のランダムなモード結合は僅かで,PMDは実際には一つの値に決まる。数mの長さをも
つ一般的な光ファイバにおける標準的なPMDは,1 fs/m又はそれ以下のオーダである。光ファイバの複屈
折軸と供試品の主軸との間の一致の程度によって,数mの光ファイバのPMDが,供試品のDGDに加わ
ることも供試品のDGDを減らすこともある。この光ファイバの影響は,供試品のDGDを決める上での不
確定要素となる。曲げによる複屈折の発生を避けるため,光ファイバピッグテール部は50 mmより大きい
曲げ半径で,可能な限り直線となるように保持することが望ましい。それに加え,光ファイバ部でのPMD
への影響をランダムにするため,必要に応じて,光ファイバの状態を変えてDGD測定を何度も繰り返し
行ってもよい。光受動部品の真のDGDは,それら測定結果の平均値である。PMDが取り得る範囲を全て
カバーできるような光ファイバを準備しているか,確認する必要がある。
偏波面保存光ファイバをピッグテールとする光部品は,通常,高い偏光依存性をもつか,又は直線偏光
を出力する光源となるので,光ファイバピッグテールの偏光軸は,光受動部品の偏光軸に合わせる。また,
偏光軸を合わせるためのパラメータとしては,偏光消光比が適切である。いかなる偏光軸間のずれも重大
なPMDを引き起こす。

4.5A 要件

  光受動部品のPMDに関わる主な特徴を,次に示す。
− モード結合が小さい場合,個別の,複屈折率が一つに決まる光学素子を(相互の光学軸を調整しない
で)組み合わせた光学部品である。
− 比較的波長に依存しない進相軸と遅相軸との間のモード結合が限定的又は小さい場合,一般的にDGD
は一つに決まる。
− PMDの大きさは0.1 ps未満の小さい場合から2 psを超える大きい場合まである。
− 波長通過帯域は,限定的又は場合によっては非常に狭い。
− 光ファイバピッグテールは,PMDの変動をもたらす。
− 供試品内では,反射,多重光路などが生じて,分散の元になる可能性がある。
− 大きなPDL(1 dBを超え10 dB未満)をもつことがある。

4.6 基準測定方法

  この規格における基準測定方法は,ストークスパラメータを用いたポラリメータによる測定方法である。
また,この基準測定方法に従った形式的に等価な二つの解析方法がある[2],[4]。それらは,ジョーンズ行
列固有値解析(JME)法及びポアンカレ球解析(PSA)法である。この規格に規定する,JME法及びPSA
法以外の全ての測定方法は,代替の測定方法とする。

4.7 偏波モード分散係数

  光受動部品の場合,PMDの値は一つに決まるので,JIS C 6842に規定する光ファイバが短い場合と長い
場合との間の換算に用いるPMD係数の概念は,適用しない。光受動部品のPMDの単位は,ピコ秒(ps)
だけで表現する。

4.8 さまざまな測定方法における解析

  これらの測定法の基になる数学的なモデルは,IEC/TR 61282-9に記載している。

――――― [JIS C 61300-3-32 pdf 9] ―――――

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4.9 偏波モード分散の算出

  PMDの数学的な算出手法については,IEC/TR 61282-3に記載している。

4.10 校正

  モード結合が無視できる場合,既知のPMD値をもつ偏波面保存光ファイバを用いて測定器を校正する。
ランダムなモード結合の場合,正確な四分の一波長板を複数枚ランダムな方向に重ね合わせるのがよい。
1 psを超える大きなPMD値をもつランダムなモード結合の場合,簡単に校正できる基準器及び測定方法
はない。

5 供試品

  供試品は,一般に光ファイバピッグテールをもっており,PMD測定器,測定コード,光ファイバピッグ
テールなどと融着接続又はコネクタ接続する。供試品は実験室環境に置くが,必要に応じて測定中に低温
及び高温又は湿気にさらすために,恒温槽中に置くこともできる。
− PDLが10 dBよりも小さいこと,及びおおよその波長帯域が分かっていることを確認する。
光受動部品のPMD測定は,供試品のモード結合及びその結果として生じる複屈折軸の数に依存するた
め,この規格では次のように供試品を分類する。
− モード結合が無視できる
− ランダムなモード結合
− 中間的なモード結合
− 狭帯域のDWDM
測定のSOPに対する依存性のため,実際の光受動部品の次の構成を確認する必要がある。
− 光ファイバから光ファイバ
− プラグからプラグ
− レセプタクルからレセプタクル
− レセプタクルからプラグ
光受動部品が1 kmを超える長い光ファイバをもつ場合,DGD測定において,光ファイバ長によってラ
ンダム性を示す可能性に注意する。これは,大半の光ファイバがランダムなモード結合特性をもつことに
起因し,その結果としてPMDが確率的な振舞いを示す。対象となる供試品は,1 kmよりも十分に短い光
ファイバをもつものと考えられるため,PMDは一つに決まるものと考えられる。
測定のとき,供試品の二つの入出力端子構成は,光ファイバ素線,プラグ及び/又はレセプタクルとな
る。光受動部品が光ファイバ素線をもつ場合,供試品を偏光子及び検光子に一時的にメカニカルスプライ
ス接続してもよい。メカニカルスプライスの場合,反射光による干渉を避けるよう注意し,屈折率整合材
を使用することが望ましい。
光受動部品が二つ以上の伝達を意図する端子対をもつ場合,測定は一つの光路に対するものとなるが,
測定手順は全ての光路に対して同様に適用するのがよい。また,この場合,それぞれの光路に対するDGD
又はPMDを報告することが望ましい。
ランダムなモード結合による不確かさを減らすため,測定の間,供試品及び光ファイバピッグテールを
一定温度に保ち,固定しなければならない。供試品の機械的安定性及び温度安定性は,供試品の出力光の
SOPをポアンカレ球上の観測で確認してもよい。測定中の出力光のSOP変化は,波長の掃引によって生じ

――――― [JIS C 61300-3-32 pdf 10] ―――――

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  • IEC 61300-3-32:2006(MOD)

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