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C 61300-3-43 : 2012 (IEC 61300-3-43 : 2009)
図1−正規化MTFの例
4.1 代替法
式(4)の分布因子αが未知の場合に用いることができるMTF算出のための代替式を,次に示す。
全モード励振した(すなわち,全てのモード番号において,MTF=1)光ファイバの近視野強度分布Io(r)
は,おおよそ屈折率分布の二乗n(r)2と同じ形であることが知られている[3]。さらに,式(4)のrα−1の項は
n(r)2の微分と等しい(定数は無視する。)。したがって,正規化モード番号の値を算出するために,式(4)
でα=2とすると,式(7)が得られる。
なお,一般的なマルチモード光ファイバは,α=2で設計されている。
dI(r) 1
MTF( )= (7)
dr dIo (r/) r r
=Δ
2
a
したがって,MTFは,測定結果として得た強度分布の導関数と,同一の光ファイバを全モード励振条件
で測定した場合の強度分布の導関数との比率に等しい。
4.2 モードパワー分布
グレーデッドインデックスマルチモード光ファイバにおいて,特定のモードグループの個別モード数は,
主モード番号と比例している。全てのモードが等しく励振している場合には,このように高次モードグル
ープはより多くのモードを含んで伝搬する。これをモードパワー分布(MPD)といい,式(8)で定義する。
MPD(m)=MTF(m)×m (8)
ここに, m : 主モード番号
モードグループ内のこの関係によって,MPDからモードグループの相対パワーを効率的に計算すること
ができる。
正規化MPDの一例を,図2に示す。ここで,ピークパワーレベルは,正規化モード番号0.65近傍で生
じている。
――――― [JIS C 61300-3-43 pdf 6] ―――――
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図2−正規化MPDの例
4.3 制約
この規格に規定するMTF測定方法は,次の条件を満たす場合に有効である。
− モードグループ内のモードは同じパワーで伝搬する。
− 伝搬モード間では位相はランダムである。
光源の線幅Δλが十分に広ければ,両方の条件を同時に満たすことが分かっている[4]。いわゆる“モー
ド連続体近似”といい,式(10)及び式(11)による。
2Δ
≧ (10)
a k0 N
ここに, λ : 光源波長
Δλ : 光源の線幅
Δ : 比屈折率差
k0 : 2π/λ
N : 群屈折率
1
N=n1− (11)
一般的に,コアの直径が50 μmの光ファイバで,開口数が0.21の場合,波長が850 nmにおいてはΔλ
が0.5 nmより大きく,波長が1 300 nmにおいてはΔλが1.0 nmより大きいことが条件である。
光源の線幅が,この基準を満たさない場合には,伝搬モード間の干渉が発生し,近視野像にスペックル
パターンが現れる可能性がある。このような光源を使用した場合でも,供試品の光ファイバを穏やかに揺
するか,又は激しく振動させて,スペックルパターンを時間平均することによって,この測定方法を適用
することができる。この場合,近視野像が軸対称でなければならない。光ファイバを軸を中心に45°間隔
で回転して,MTFを3回測定し,その全てにおいて軸対称であることが確認できればよい[5]。
MPDのピークは,0.8未満の正規化モード番号において生じる。
――――― [JIS C 61300-3-43 pdf 7] ―――――
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C 61300-3-43 : 2012 (IEC 61300-3-43 : 2009)
測定して得た近視野強度分布I(r)は,全モード励振した光ファイバに対する式(1)のべき乗屈折率分布と
比較して,コアとクラッドとの境界線の方向にずれる場合がある。この場合,4.1によるMTF算出のため
の代替法を用いることが望ましい。
5 装置
5.1 概要
装置は基本的に,供試品の光ファイバの端部の近視野像を,光学系を用いてカメラの撮像面上に投影す
るビデオ顕微鏡である。ビデオデジタイザは,カメラの像を量子化し,分析及びデータ表示のためにコン
ピュータに転送する。
代表的な測定装置の構成の概略図を,図3に示す。
コンデンサレンズ 結像レンズ
ビームスプリッタ
LED光源
光ファイバ保持部及び
XYZ微動ステージ
NDフィルタ
カメラ
コンピュータ
図3−測定装置の概略図
5.2 供試品
供試品は,光源に取り付けた状態のマルチモード光ファイバのパッチコードである。パッチコード終端
でのモード分布は,光源の励振状態とパッチコードとの組合せによって決まる。したがって,結果として
得られるMTFは,光源又はパッチコードの個別の特性だけではなく,曲げ半径のようにパッチコードを配
置している条件を含んだ組合せの条件で決まる。
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5.3 供試品位置決め装置
位置決め装置は,供試品の光パッチコードの終端位置を測定器の光軸上で移動可能とし,カメラに対し,
像の最適な焦点となる軸に位置決めすることができるものでなければならない。例えば,XYZ微動ステー
ジを用いることができる。可能な場合には,適切な光コネクタ用のレセプタクルを光軸上に配置すること
が望ましい。例えば,FC形(F01形 : JIS C 5970),ST形,SC形(F04形 : JIS C 5973)などの幾つかの
光コネクタ形に適用できる標準の2.5 mmフェルールのレセプタクルである。この場合,パッチコードの
XY位置は明確に決まるため,焦点を合わせる調整だけが必要である。
注記 対応国際規格では,適切な光コネクタ用のレセプタクルとしてST形も例示されているが,我
が国では使用されていない。
5.4 光学系
光学系は,光ファイバ端の像をカメラに投影する拡大光学系である。最良の測定分解能を得るために,
光学倍率は,光ファイバのコアの像がカメラの撮影範囲のうち適切な比率を占めるように選ぶのがよい。
一般的に,カメラの撮像エリアの垂直方向の範囲の20 %から50 %までの間がよい。
結像レンズ光学系の開口数は,供試品の光ファイバの開口数より大きくする。
図3に示すように,ビームスプリッタ,LED光源などを結像レンズとカメラとの間に配置し,反射によ
って光ファイバの端面を照らす落射照明手段を備えてもよい。また,カメラへの光量を調整するためのND
フィルタを備えてもよい。
5.5 カメラ
感度の直線性及び面感度の均一性が保証された品質の高いカメラを使用する。カメラの画素寸法(Picsize
とする。)は,拡大した近視野像に対して十分に小さく,すなわち,式(12)に示すように,測定系の回折限
界の二分の一未満でなければならない。
.061Mag
Picsize< (12)
2NA
ここに, Mag : 光学倍率
NA : 光ファイバの開口数
例えば,Mag=20,NA=0.21,λ=850 nmの場合,Picsizeは24 μm未満である。しかし,カメラの画素
寸法は,これより十分に小さいことが望ましい。この例の場合,カメラ側の1画素の寸法に対応する光フ
ァイバ上の寸法は,PicsizeをMagで除して1.2 μmとなる。
5.6 ビデオデジタイザ
ビデオデジタイザはカメラと接続し,量子化した光ファイバ端の像をコンピュータへ提供する。代表的
なビデオデジタイザは8ビット階調の像を提供するが,ダイナミックレンジの向上のために,より多くの
階調(例えば,12ビット階調)を用いてもよい。
5.7 校正
校正係数の単位は,μm/pixelである。7.4でのμm単位のデータから画素空間への変換に用いる。
光学測定システムは,顕微鏡用の目盛板(レチクル),クラッド直径の判明している光ファイバなど,寸
法が既知の加工物を測定することによって校正することができる。校正のための加工物を装置の測定対象
平面に配置し,カメラの焦点を調整する。レチクルの場合は,照明は透過光及び反射光のいずれであって
もよい。光ファイバの場合は,反射光を使わなければならない。図3に示すようにLED光源及びビームス
プリッタを配置することによって,反射光を用いることができる。
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注記1 照明用光源の波長は,色収差による,系の倍率性能への影響を最小にするために,供試品の
光源の公称波長から30 nm以内の波長であることが望ましい。
校正の加工物の寸法をnpixとして画素数単位で測定する。加工物の寸法がμm単位でncalであれば,校正
係数Calfactorは式(13)による。
ncal
Calfactor= (13)
npix
5.5でPicsizeの規定に用いる光学倍率Magは,校正係数を用いて式(14)によって計算する。
Picsize
Mag= (14)
Calfactor
カメラの画素形状が非正方形の場合は,校正係数は,後述のMTF測定に用いるカメラの特定の軸に沿っ
て決定しなければならない(箇条7参照)。
注記2 カメラの画素形状が非正方形の場合の校正係数に関する規定は,対応国際規格では,注記に
記載があるが,要求事項であるため,この規格では注記から本文に移した。
6 手順
6.1 供試品の取付及び調整
測定する光ファイバを,光学系の測定対象平面にある供試品位置決め装置に取り付け,光ファイバ端面
を照明するための光源のスイッチを入れる。
カメラで焦点が合った近視野像を得るために,必要に応じて,光ファイバ端の位置を光軸に沿って調整
し,光ファイバに焦点を合わせる。端面照明用光源のスイッチを切り,供試品の光源のスイッチを入れる。
必要に応じて,供試品の光源が安定するまで待つ。
6.2 最適化
ビデオデジタイザのアナログ・デジタル変換器(ADC)の性能を十分効果的に活用するためには,一般
的に,像による信号強度がADCの測定可能最大値の約90 %になるように調整する。これは,次の手段の
いずれか一つ又はその組合せを用いることによって実現できる。
− 光源の強度を調整する。
− カメラの手前にNDフィルタを挿入する。
− カメラの利得及び/又はカメラの電気的シャッターを調節する。
6.3 データ取得
量子化した光ファイバ端面の像を,コンピュータに転送し,分析する。通常,像をADC出力値の二次
元配列に変換する。複数の像又はフレームを連続的に取得し,それらのADC出力値を画素ごとに平均化
することによって,信号対雑音比を改善することができる。通常,フレーム数は10から20までであるが,
コヒーレント光源を使用して,振動を与えてスペックルパターンを消している場合には,数百フレームと
することが一般的である。
4.1による代替法を適用する場合には,光パッチコードから供試品の光源を取り外し,代わりに全モード
励振用の光源を接続して,同様にして光ファイバ端面の像を測定する。
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- IEC 61300-3-43:2009(IDT)
JIS C 61300-3-43:2012の国際規格 ICS 分類一覧
- 33 : 電気通信工学.オーディオ及びビデオ工学 > 33.180 : 光ファイバ通信 > 33.180.20 : 光ファイバ接続装備