JIS C 61300-3-50:2016 光ファイバ接続デバイス及び光受動部品―基本試験及び測定手順―第3-50部:光スイッチのクロストーク測定 | ページ 2

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C 61300-3-50 : 2016 (IEC 61300-3-50 : 2013,Cor.1 : 2015,Cor.2 : 2015)
図2−1×N光スイッチのクロストークの測定系
シングルモード光スイッチのクロストークは,入射光の偏光状態に依存する。偏光状態変更装置(PSCS;
偏光制御器又は偏光スクランブラ)を光源に接続して用いる。この場合,一般的にクロストークは,入射
光を全ての偏光状態に変化させて測定したクロストークの最大値とする。マルチモード光スイッチの入射
光の励振条件は,JIS C 61300-1の規定に従う。
光スイッチのクロストークレベルは非常に小さい(−70 dB以下)ため,幾つかの要因によって,測定
値が実際のクロストークより大きくなる可能性がある。この測定手順は,それらの要因を排除し,適切な
対策を施し,適切な試験装置を選択できるように規定する。クロストークの測定値が実際の値より大きく
なる要因は,次による。
− 周辺照明光の測定端子への結合
− 光ファイバピッグテール端からの反射戻り光
− クラッドモード光
− 低い光レベルにおけるパワーメータの測定不確かさ
− レイリー散乱光が生じる光ファイバピッグテール長

4 装置

4.1 光源 S

  光源は,ピッグテール光ファイバ,又は供試品(以下,DUTという。)の入力端子及び適合する出力光
ファイバをもつ。光源は,JIS C 61300-1で規定する励振条件を満たすように設計,調整する。広帯域特性
をもたないDUTを測定するために,光源の出力光のスペクトル特性は,通過帯域だけではなく,通過帯
域外の光源スペクトルの裾野の光出力を規定する。光源に対する要求事項として,ピーク波長からY nm
離れた波長での光出力が,ピーク出力からX dB以上小さい値であると規定することで実現する。必要に
応じて,光源の後段にインラインバンドパスフィルタを接続することで光源のサイドモードを抑圧する。
また,用いるパワーメータにおいて,十分な測定ダイナミックレンジを確保するように,光源の光出力パ
ワーは十分に大きくする。出力安定性は,1時間当たり,0.05 dB以下の変動とする。光源とパワーメータ
との組合せによる測定ダイナミックレンジは,測定する最小クロストークの絶対値より,10 dB以上大き
くする。
シングルモード光スイッチの測定では,クロストークの偏光依存性を考慮する。クロストークの偏光依
存性を測定するためにPSCSを用いる。PSCSの詳細条件は,JIS C 61300-3-2で規定する。PSCSを用いる
場合,PSCSの光出力は,光源の励振状態,光出力の安定性及び出力可変範囲の要求条件を満足する。

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C 61300-3-50 : 2016 (IEC 61300-3-50 : 2013,Cor.1 : 2015,Cor.2 : 2015)

4.2 テンポラリジョイント TJ

  テンポラリジョイントは,一時的に2本の光ファイバ端同士の位置を調整し,再現性よく,かつ,低損
失で接続するための手段,装置又は機械式ジグである。一般的に,メカニカルスプライスは,光ファイバ
端面が光ファイバの軸と直角ではない場合,偏光依存性をもつため,融着接続を用いる。テンポラリジョ
イントの安定性を,必要な測定精度で満足する。

4.3 終端 T

  終端は,DUTの出力端子からの反射戻り光を抑えるための部品又は手法である。次に3種類の終端の例
を示す。
− 斜め研磨した光ファイバ端
− 光ファイバ端への屈折率整合剤の接触
− 光ファイバでの減衰,例えば,心棒巻き付け
終端は,測定する最小クロストークの絶対値に対して,10 dB以上大きい反射減衰量とする。

4.4 パワーメータ D

  光源とパワーメータとの組合せによる測定ダイナミックレンジは,測定する最小クロストークの絶対値
よりも,10 dB以上高いダイナミックレンジをもつパワーメータを用いる。測定する波長範囲は,DUTの
使用波長範囲よりも広くする。測定の不確かさが最小となるように,パワーメータの受光感度は十分な線
形性をもつ。パワーメータの受光面は,測定するDUTの出力光ファイバからの出射光を全て受光するよ
うに,面積が十分に広く,出力端から十分近くに配置する。

5 測定手順

5.1 一般事項

  端子構成がM×N光スイッチのクロストークの測定手順について規定する。

5.2 測定系

  クロストーク測定系を図3に示す。光源は,必要に応じてテンポラリジョイント(TJ)によって,又は
光コネクタ付きのDUTの場合には光コネクタによって,DUTの選択した入力端子(I1)に接続する。パ
ワーメータは,クロストークを測定するDUTの伝達を意図する出力端子(O1)に接続し,その測定端子
とは別の選択をした出力端子(O2)に対するクロストークを測定する。測定時は,DUTのそれら以外の全
ての端子を終端(T)する。
図3−P1の測定構成

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5.3 P1の測定

  光源(S)の電源を入れた後,光源が安定するまで十分な時間をおく。選択した入力端子(I1)と伝達を
意図する出力端子(O1)との間を接続するように,DUTの光スイッチの接続状態を設定する。P1(dBm)
を測定し,記録する。
シングルモード光スイッチの測定において,光源とPSCSとを組み合わせて用いる場合は,JIS C
61300-3-2の規定に従って,入力光の偏光状態を変化させる。全偏光状態法又はミュラー行列法のいずれか
を用いて測定してもよい。図3のP1は,偏光状態に応じて,最小値P1minから最大値P1maxまで変化する。
この場合,P1minをP1として用いる。

5.4 P2の測定

  選択した入力端子に対して阻止を意図する出力端子(O2)にパワーメータ(D)を接続する(図4参照)。
出力端子(O1)を終端し,この出力端子(O1)がDUTの入力端子に対して伝達を意図する端子になって
いることを確認する。端子(O2)からの出力光パワーP2(dBm)を測定し,記録する。
シングルモード光スイッチの測定において,光源とPSCSとを組み合わせて用いる場合は,JIS C
61300-3-2の規定に従って,入力光の偏光状態を変化させる。全偏光状態法又はミュラー行列法のいずれか
を用いて測定してもよい。図4のP2は,偏光状態に応じて,最小値P2minから最大値P2maxまで変化する。
この場合,P2maxをP2として用いる。
図4−P2の測定構成
5.5 Piの測定(i=3N)
出力端子(O1)に対して5.4に規定する測定手順を,iを3Nまで繰り返し,出力光パワーPi(dBm)
を測定し,記録する。
5.6 その他の入力端子の測定
光源(S)を,別の入力端子Ij(jを2Mまで)に接続し,5.25.5に規定する測定を繰り返す。

6 計算

6.1 特定の端子対のクロストークの算出

  入力端子(I1)から出力端子(O1)と,入力端子(I1)から出力端子(O2)との対におけるクロストーク
(XT12)は,5.3及び5.4の規定に従って測定したP1及びP2を用いて,式(1)で算出する。
XT12 P2 P1 (1)

――――― [JIS C 61300-3-50 pdf 8] ―――――

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C 61300-3-50 : 2016 (IEC 61300-3-50 : 2013,Cor.1 : 2015,Cor.2 : 2015)
このクロストークは,DUTがM×N(M個の入力端子及びN個の出力端子をもつ)光スイッチを用いて,
光スイッチの入力端子(I1)及び出力端子(O1)を,伝達を意図する端子対に設定し,出力端子(O1)か
ら信号光1を入力し,出力端子(O2)から信号光2を入力する場合,信号光1と入力端子(I1)の信号光1
に対する不要光である信号光2との間のクロストークである。ただし,信号光1及び信号光2の入力パワ
ーは,同じとする。
シングルモード光スイッチでは,クロストークの偏光依存性を考慮しなければならない。この場合,式
(2)を用いてクロストーク(XT12)を算出する。出力端子(O1)が入力端子(I1)の伝達を意図した端子の
場合を式(2)に示す。
XT12 ILmin,12
ILmax,11 (2)
ここに, ILmin,12 : 入力端子(I1)から出力端子(O2)への全偏光状態での
最小挿入損失
ILmax,11 : 入力端子(I1)から出力端子(O1)への全偏光状態での
最大挿入損失
全偏光状態での平均挿入損失(ILave)及び偏光依存性損失(PDL)から,式(3)及び式(4)を用いて挿入損
失の最小値及び最大値を算出する。
ILmin ILave PDL2/ (3)
ILmax ILave PDL2/ (4)

6.2 特定の出力端子におけるトータルクロストークの算出

  トータルクロストークは,阻止を意図する出力端子から漏れる光パワーの総和と伝達を意図する端子か
ら出力する信号光のパワーとの比である。このDUTのM×N光スイッチの端子(I1)及び端子(O1)を,
伝達を意図するように設定した場合,端子(O1)におけるトータルクロストークXTtot(O1)は,式(1)を拡張
した式(5)を用いて算出する。
i N 1
Pi
XTtot (O1 )
10 log10 10 10 P1 (5)
i 2
ここに, Pi : 入力端子(I1)から光を入力したときの,i番目の出力
端子での光パワー
シングルモード光スイッチにおいて,M×N光スイッチの端子(I1)及び端子(O1)を接続した場合,端
子(O1)におけるトータルクロストークXTtot(O1)は,式(2)を拡張した式(6)を用いて算出する。
i N 1
ILmin,1i
10
ILmax,11
XTtot (O1 ) 10 log10 10 (6)
i 2
ここに, ILmin,1i : 入力端子(I1)と出力端子(O1)とが伝達を意図する
関係にある場合の,入力端子(I1)から出力端子(Oi)
(i=2,...N)への全偏光状態での挿入損失の最小値
ILmax,11 : 入力端子(I1)から出力端子(O1)への全偏光状態で
の最大挿入損失
N×1光スイッチにおいて,N個の入力端子(図1参照)から一つの端子を選択する場合,未接続の全て
の端子から出力端に伝達する光パワーが不要光となる。システムの供給者にとって,トータルクロストー
クは伝送特性,特に光信号対雑音比(OSNR)を見積もるために必要である。

6.3 M×N光スイッチのクロストーク

  M×N光スイッチのクロストークは,全ての端子対の組合せに対するクロストークの最大値とし,式(1)

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を用いて算出する。

6.4 M×N光スイッチのトータルクロストーク

  M×N光スイッチのトータルクロストークは,全ての出力端子と伝達を意図する全ての端子対における
トータルクロストークの最大値とし,式(6)を用いて算出する。

7 個別に規定する事項

7.0 一般事項

  必要に応じて,次の7.17.6の事項を製品規格などに規定する。

7.1 光源

  光源は,次による。
− 光源の種類
− 中心波長
− スペクトル幅
− 出力光パワー
− 測定中の出力光パワーの安定性
− PSCSの種類及び偏光依存性の測定方法(使用する場合)
− モードフィルタの種類及びモードフィルタから出射する光の励振モード状態(使用する場合)

7.2 テンポラリジョイント

  テンポラリジョイントは,次による。
− 種類
− 反射減衰量
− 挿入損失

7.3 終端

  終端は,次による。
− 種類
− 反射減衰量

7.4 パワーメータ

  パワーメータは,次による。
− 種類
− 受光感度のダイナミックレンジ
− 受光感度の線形性
− 受光感度の偏光依存性

7.5 DUT

  DUTは,次による。
− 入力端子と出力端子との組合せ
− 規定端子(入力端子,出力端子及び非伝達端子)間の組合せにおける要求クロストーク

7.6 その他

  その他は,次による。
− この規格で規定する測定方法との差異

――――― [JIS C 61300-3-50 pdf 10] ―――――

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JIS C 61300-3-50:2016の引用国際規格 ISO 一覧

  • IEC 61300-3-50:2013(IDT)
  • IEC 61300-3-50:2013/CORRIGENDUM 1:2015(IDT)
  • IEC 61300-3-50:2013/CORRIGENDUM 2:2015(IDT)

JIS C 61300-3-50:2016の国際規格 ICS 分類一覧

JIS C 61300-3-50:2016の関連規格と引用規格一覧