JIS C 61340-2-2:2013 静電気―第2-2部:測定方法―帯電特性の測定 | ページ 2

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C 61340-2-2 : 2013
表1−静電荷が発生する代表的な例及び標準的な測定方法
標準的な測定方法

静電荷が発生する代表例電荷測定 静電界測定 電位測定

     表面上を物体が滑る動作
○ △ △
例えば,半導体デバイスが輸送用チューブから滑り出る動作
配管及びフィルタ中の液体の流動 ○ △ △
キャリアテープからカバーテープを離する動作 ○ △ ○
物体の摩擦
△ ○ ○
例えば,包装材中の電子部品が輸送中に動く動作
織物及びフィルム材料のロール表面の通過 △ △ ○
床表面上の人の歩行 × △ ○
注記 “○”は標準的な測定ができることを,“△”は測定に工夫が必要であることを,“×”は測定ができ
ないことを,それぞれ示す。

4 測定

4.1 測定時の環境及び注意事項

4.1.1  測定環境
4.1.1.1 一般事項
供試体の帯電状態は,環境の温度及び相対湿度の影響を受ける。
注記 絶縁体の電気的特性は,環境の温度及び相対湿度に依存する水分含有量によって,変化する。
4.1.1.2 現場での測定
現場で供試体の帯電特性を測定するときには,測定場所及び測定時における温度及び相対湿度を記録す
る。供試体の使用状況について,その内容を記録する。
4.1.1.3 実験室での測定
実験室で供試体の帯電特性を測定するときには,測定環境として温度及び相対湿度を,関連規格に適合
させる。
なお,関連規格に規定がない場合,実際に供試体の使用が予測される最も帯電しやすい環境(最も厳し
い使用環境)で,測定することが望ましい。
4.1.2 注意事項
4.1.2.1 測定者の注意事項
測定者が帯電している場合,帯電特性の測定値に影響を与える。そのため,測定者は,次の事項に注意
しなければならない。
a) 測定者は,リストストラップ,帯電防止靴などによって人体接地を必ず実施して,測定者の帯電電位
を確実に低く抑制する。
b) 測定者は,帯電防止対策を講じた帯電防止服を着用する。
4.1.2.2 測定周辺に関する注意事項
供試体の帯電特性を測定するとき,供試体及び測定システムの周囲に,測定値に影響を与える可能性が
ある,物体,ごみなどの不要な物体及び浮遊体を除去する。
4.1.2.3 供試体の注意事項
実験室での測定において供試体に前処理を施す場合,その内容を記載する。

4.2 電荷測定方法

4.2.1  測定器

――――― [JIS C 61340-2-2 pdf 6] ―――――

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測定器は,次による。
a) ファラデーケージ 電荷測定のためのファラデーケージの例を,図1に示す。ファラデーケージは,
接地している外容器及び電気的に絶縁した内容器からなる,二つの同心状導体容器で構成する。内容
器と検出器との接続には,ポリエチレンなどで被覆・絶縁されたリード線を用いる。外容器は,高さ
が内容器よりも約10 %高いものとし,内容器の外部電界からの電気的なシールド及び検出器をはじめ
とする電荷測定システムの保護のために用いる。
2
1
6
3 5
4
3
1 内容器
2 外容器(シールド)
3 絶縁体
4 接地
5 検出器
6 リード線
図1−ファラデーケージの例
内容器を載せるための絶縁体並びに検出器への接続及び配線は,内容器の電荷漏れが発生しないよ
うに設計して製作する。絶縁体の材料は,機械強度,漏えい抵抗,吸湿特性及び圧電特性を考慮して
選択する。
正確に電荷測定を行うためには,内容器に挿入した供試体の電荷からの電界の一部が,内容器の開
口部から漏れることを抑制する(防止する)必要がある。
注記1 絶縁体の抵抗値は,1×1015 Ωを超えることが望ましい。
注記2 単純円筒形の容器を内容器とし,供試体の大きさが内容器の底から高さ30 %の場合,電界
の漏れを全体の1 %未満に抑えるためには,内容器の深さhと直径dとの比率(h/d)は,
1.3を超えることが望ましい。また,漏れを5 %未満に抑えるためには,内容器の深さhと
直径dとの比率(h/d)は,0.8を超えることが望ましい。
b) 検出器 電荷を測定するために,ファラデーケージに検出器を接続する。この検出器の回路方式は,
次のいずれかの方式とする。各モードの電荷量測定システムの構成例を,図2に示す。
1) 電流モード方式 ファラデーケージの内容器に移動した電荷及び内容器の外側に誘導された電荷
を,電流計を介して接地したときの電流値と積算時間とによって求める。

――――― [JIS C 61340-2-2 pdf 7] ―――――

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2) 電位モード方式 内容器にあらかじめ接続した接触形静電電位計によって,電荷量を測定する。ま
た,内容器の電位増加を電界計又は非接触形静電電位計を用いて測定してもよい。このときは,既
知の内容器の静電容量から電荷量を求める。高電位を測定する場合,内容器の電位変化を制限する
ために,内容器と外容器との間に漏えい(洩)抵抗値が高いコンデンサ(例えば,ポリプロピレン
フィルムコンデンサ,セラミックコンデンサなど)を付加する。
2 2
1 1
3 5 3 5
A V
C
4 4
3 3
a) 電流モード方式 b) 電位モード方式
1 内容器
2 外容器(シールド)
3 絶縁体
4 接地
5 リード線

A 電流計
C コンデンサ
○電位計
V
図2−電荷量測定システムの回路方式(例)
4.2.2 測定手順
4.2.2.1 測定システムのゼロ点調整及び安定性の確認
ファラデーケージを含む測定システムのゼロ点調整及び安定性を確認する方法は,次による。
a) 測定開始前に,測定システムの接地線を接地接続点に適切に接続していることを確認し,外容器及び
内容器を接地した状態で,内容器のゼロリセット1)を実施する。
注1) ゼロリセットとは,測定を開始する前に,測定機器で接地導体を測定して,測定機器の表示
がゼロになるように調整する操作をいう。測定機器に表示のリセットスイッチがある場合は,
リセットスイッチをオン(ON)にして,測定機器の表示をゼロに調整する。
静電気電位を測定する場合には,毎回このゼロ表示を確認することが望ましい。表示がゼ
ロを示さない場合は,機器の取扱説明書に従って,ゼロ調整ダイアル又はポット(Pot)を回
して表示がゼロになることを確認する。この時に,測定対象接地導体が接地されていてゼロ
電位であることも確認する。
測定機器によっては,ゼロリセットスイッチをオン(ON)にすることで接地状態になり,
ゼロ電位を提供できる機器もある。

――――― [JIS C 61340-2-2 pdf 8] ―――――

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b) ゼロリセット終了後,ゼロドリフト2)を1分間以上かけて確認する。
注2) ゼロドリフトとは,測定機器の校正時及び測定時に,測定機器で接地導体を測定しながら,
ゼロリセットを行った後に,測定機器の表示がゼロを示し,安定的にゼロを示し続ける状態
をいう。
静電気電位を測定する場合には,毎回このゼロドリフトを確認することが望ましい。また,
測定機器ごとに取扱説明書などに安定性を確認する時間が記載されている場合は,それを参
照することが望ましい。
c) ゼロドリフトを確認した後,内容器を接地から切り離し,システム確認用の供試体を内容器に投入し
て,測定システムの応答及び絶縁性を確認する。
ファラデーケージの内容器を含む測定系の絶縁性の確認を,必ず実施する。
4.2.2.2 電荷量の測定
電荷量測定前に,4.1.1に規定する測定環境で,4.2.2.1に規定する測定システムのゼロ点調整及び安定性
の確認を行っていることを確認する。
電荷量の測定は,次による。
a) ファラデーケージの内容器に接地線を接続して,測定システムのゼロリセットを行う。
b) 電荷測定システムのゼロリセット終了後,内容器から接地線を切り離す。
c) 供試体を,内容器のいかなる面にも接触させずに挿入する。全電荷量は,直接測定できる。流動する
物体の場合には,接地電流を記録し,測定時間で積分して電荷量を求める。粉体の質量又は液体の体
積を記録すれば,単位質量(又は単位体積)当たりの電荷量が計算できる。
注記1 ファラデーケージに供試体を入れるために用いる工具は,取扱い時に発生する静電荷量を
抑制するために,帯電列において供試体に近い材質(絶縁物)のものを用いる。
注記2 供試体を取り扱う場合,様々な静電気帯電及び減衰を考慮して,供試体と取り扱う工具と
の接触面積を最小とし,内容器に挿入する又は取り出す場合,供試体が内容器に接触しな
いようにする必要がある。また,測定時に供試体を移動するときも,新たに電荷が発生し
ないよう,慎重に行うことが望ましい。
d) 電荷量Qは,直接内容器の電位を読み取り,式(1)を用いて求める。
Q=C×V (1)
ここに, Q : 電荷量(C)
C : 全キャパシタンス(F)
C=C1+C2+C3
C1 : ファラデーケージのキャパシタンス(F)
C2 : 測定器の入力キャパシタンス(F)
C3 : 接続ワイヤのキャパシタンス(F)
V : 電位(V)
接地電流が測定できる場合,電荷量は,式(2)を用いて求める。
t 0
Q= Idt (2)
ここに, Q : 電荷量(C)
I : 電流(A)
t : 測定時間(s)
粉体試料の質量又は液体試料の体積を測定して,単位質量当たりの電荷(C/kg)又は単位体積当た
りの電荷(C/m3)を求める。

――――― [JIS C 61340-2-2 pdf 9] ―――――

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注記 正及び負の電荷が共に存在する供試体の測定値は,供試体の全ての正及び負の電荷量の代数和
となる。
e) 次の供試体の測定をする場合は,a)のゼロリセットを必ず実施してから測定を行う。

4.3 静電界測定方法

4.3.1  測定器
測定器は,次のいずれかによる。
a) 誘導プローブ測定器 誘導プローブ測定器は,図3に示すように,接地との間に規定の静電容量をも
つ検出電極を増幅器に接続した単純な構造であり,かつ,安価な測定器である。入力抵抗は無限大で
はないため,誘導プローブ測定器は,接地平面を参照面として供試体表面を素早くスキャンする測定
に適している。この測定器で帯電面を連続測定する場合,誘導プローブの検出電極に誘導されている
電荷を打ち消すための反対極性の電荷が接地から流れ込み,ゼロ点がずれてしまう場合がある。この
ため,この測定器を用いるときには,ゼロ点調整を頻繁に行いながら測定する。
2
44
4 5
C R
1
11
3
6 7
1 帯電物体
2 電界
3 検出電極
4 増幅器
5 表示
6 シールド
7 接地
C コンデンサ
R 入力抵抗
図3−誘導プローブ測定器の構成(概略図)
b) フィールドミル電界計 フィールドミル電界計は,誘導プローブの弱点であるゼロ点のずれをなくす
ために,接地された回転シャッタ又は音さ(叉)振動シャッタで誘導プローブの検出電極に入る電界
の遮断を繰り返し行い,接地からの反対極性の電荷の流入を防ぐことによって,ゼロ点安定性を高め,
静電界の連続測定を可能とした測定器である。回転シャッタ付き及び音さ(叉)振動シャッタ付きの
フィールドミル電界計の構成を,図4及び図5にそれぞれ示す。

――――― [JIS C 61340-2-2 pdf 10] ―――――

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