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C 62137-3 : 2014 (IEC 62137-3 : 2011)
注記 リフトオフ試験の場合には,プリント配線板の両面のランドとリード端子とを鎖状にはんだで
接続している。
4 一般事項
この規格で,評価する接合領域を,図1に示す。これらの試験方法は,部品本体に対する機械的強度を
求める試験方法ではなく,実装するプリント配線板のランドと部品とのはんだ接合部(接合界面)の強度
を評価することを目的としている。
このため,そのはんだ接合界面の評価に用いる温度急変試験及び高温保存試験の加速ストレス試験の条
件は,部品の保証温度範囲を超える条件となる可能性がある。
鉛フリーはんだ合金は,従来のすず−鉛共晶系はんだ合金とは,材料特性が異なるため,はんだの組成
並びに部品の端子形状及び端子表面処理によって,そのはんだ接合部の耐久性が低下する場合がある。
Sn96.5Ag3Cu0.5(鉛フリー)はんだ合金の場合の接合耐久性に影響を及ぼす要因例を,図2に示す。“す
ず−鉛共晶系はんだ合金に比べて硬くて変形しにくい。”,“高融点である。”,などの材料特性をもっている。
また,“それらの特性に起因して接合部に加わる応力が増大する。”,などの接合耐久性に影響する要因をも
っている。
これらの要因は,温度変化の繰返し,機械的応力などの加速ストレス要因が加わることによって,はん
だ接合部の破壊を引き起こす場合がある。
落下試験結果だけでなく,その他の試験にも表面実装部品の電極又は端子の表面材質の影響がある。し
たがって,全ての試験において,この影響を考慮することが望ましい。
――――― [JIS C 62137-3 pdf 6] ―――――
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C 62137-3 : 2014 (IEC 62137-3 : 2011)
表面実装部品(電極形) 部品本体
電極 電極材料
はんだ合金 評価領域 めっき層
はんだ合金
反応層
拡大
ランドパターン
プリント配線板
表面実装部品 プリント配線板 ランドパターン
(アレイ形) 部品本体 プリント配線板
部品本体
はんだ合金
プリント配線板 電極材料
評価領域
めっき層
はんだ合金
プリント配線板 拡大 反応層
表面実装部品(リード形) リード端子
プリント配線板 ランドパターン
はんだ合金
リード端子
ランドパターン めっき層
プリント配線板 評価領域
はんだ合金 反応層
拡大
挿入実装部品(片面実装)
リード端子
プリント配線板 ランドパターン
プリント配線板 はんだ合金
ランドパターン
図1−接合耐久性試験の評価領域例
加速要因
材料特性 接合耐久性に影響する要因
温度サイクル(熱応力)
機械的応力
1 硬くて,変形しにくい ・ はんだにかかる応力増大
衝撃応力
2 高融点 ・ 接合界面又は下地の応力増大 部品重さ又は外力
凝固温度が高い (リフトオフなど)
はんだ付け温度高い ・ 反応層成長
3 反応性増大(Snリッチ) ・ 電極又はランド溶解,拡散進行
クラック又は離 はんだ破壊
4 低融点金属(PbBi)混入による ・ 偏析層形成による信頼性低下 接合界面破壊
の生成又は進展
偏析相形成 ・ 電極自体の破壊 電極破壊
5 部品端子の材質又は構成変更 ・ フィレット形状変化,欠陥形成 ※部品,基板本体
6 はんだ付け性の低下 の破壊は対象外
影響パラメータ
部品 : 端子構造、サイズ
基板 : ランド,板厚,材質
接合形状
図2−Sn96.5Ag3Cu0.5(鉛フリー)はんだ合金の場合の接合耐久性に影響を及ぼす要因例
――――― [JIS C 62137-3 pdf 7] ―――――
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C 62137-3 : 2014 (IEC 62137-3 : 2011)
5 接合耐久性試験の選定手順
5.1 試験方法と市場での予想ストレス
試験方法と市場でのストレスとの関係を表1に示す。このとき,試験の検証が効果的な部品の種類及び
適用基板を参考に記載した。端子形状などから見た試験方法の選定方法は,5.2に示す。
表1−試験方法と市場でのストレスとの関係
試験方法(適用規格ほか) 加速ストレス 部品の種類及び 市場での予想ストレス及び対象製品
試験の方法 適用基板(参考)
導通性判定による試験a), b) 温度急変c) 表面実装 次のいずれかのストレスが加わる。
(附属書B) 高温・高湿c) a) 機器のON/OFF及び外部環境温度の変化
引きはがし強度試験a) 高温保存c) 表面実装 に伴う部品とプリント配線板との間の熱
JIS C 62137-1-1 (ガルウィング) 膨張差によって,はんだ接合部に加わる繰
横押しせん断強度試験a) 表面実装 返し熱応力を想定。
JIS C 62137-1-2 b) 機器を高温・高湿下に置いた場合の湿度に
トルクせん断強度試験a) 表面実装 よるはんだ接合部の劣化を想定。
(附属書C) c) 機器を高温下に置いた場合の高温による
限界曲げ強度試験a) 表面実装 はんだ接合部の劣化を想定。
(附属書D)
繰返し曲げ強度試験 繰返し基板曲 表面実装 キー操作などによって,部品又はプリント配線
JIS C 62137-1-4 げ 板を介して,はんだ接合部に加わる繰返し機械
的応力を想定,主として携帯機器。
機械的せん断疲労強度試験 繰返しせん断 表面実装 機器のON/OFF及び外部環境温度の変化に伴
JIS C 62137-1-5 う部品とプリント配線板との間の熱膨張の差
によって,はんだ接合部に加わる繰返し熱応力
を想定。
繰返し落下衝撃強度試験d) 繰返し落下 表面実装 機器の使用中などでの落下によって,はんだ接
JIS C 62137-1-3 合部に加わる衝撃応力を想定,主として携帯機
繰返し鋼球落下衝撃強度試験d)
繰返し鋼球落 表面実装 器。
(附属書E) 下
引張り強度試験 温度急変 片面TH孔 機器のON/OFF及び外部環境温度の変化に伴
(附属書F) 挿入実装 う部品とプリント配線板との間の熱膨張差に
よって,はんだ接合部に加わる繰返し熱応力を
想定。
クリープ強度試験 規定の温度で 片面TH孔 はんだ接合部に継続的な力が加わっている場
(附属書G) の外力 挿入実装 合のはんだ接合部の劣化を想定。
リフトオフ評価試験 − e) 両面TH孔 はんだ付け後に,はんだ接合部のはんだ合金と
(附属書H) 挿入実装 端子めっきとの間又はランドとの間に発生す
る可能性がある,リフトオフ現象を想定。
注記1 振動試験は,実装後及び機器輸送時における振動が加わることに対する耐久性試験である。ただし,振動
試験の中で,最も厳しいランダム振動試験においても,はんだ接合部の劣化を顕在化することが検証でき
なかったため,この規格では,振動試験は含めないこととした。
注記2 片面TH孔とは,孔をもつ片面スルーホール基板を示し,両面TH孔とは,孔をもつ両面スルーホール基板
を示している。
注a) この試験は,加速ストレス試験としての温度急変,高温保存及び高温・高湿によって,はんだ接合部に繰り
返し加えられる温度ストレスによるはんだ接合部強度の劣化を評価する。供試品の端子形状の部品の特徴に
応じた,適切な加速ストレス試験を選定することが望ましい。
b) はんだ接合部に機械的な力を加えずに,抵抗値の変化を測定して,はんだ接合部の破壊の有無を判定する試
験である。BGA,LGAなどの試験として有効であるため,この表1及び表2には,試験方法の選定の一つと
して取り上げた。
――――― [JIS C 62137-3 pdf 8] ―――――
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C 62137-3 : 2014 (IEC 62137-3 : 2011)
表1−試験方法と市場でのストレスとの関係(続き)
注c) はんだ合金によって適用する加速ストレス試験は,次による。
1) 温度急変試験 : Sn-Ag-Cu系,Sn-Zn系,Sn-Bi系及びSn-In系
2) 高温・高湿試験 : Sn-Zn系
3) 高温保存試験 : Sn-Bi系
d) それぞれのはんだ合金によって,次の落下衝撃試験を実施することが望ましい。
1) 繰返し落下衝撃強度試験 : Sn-Ag-Cu系
2) 繰返し鋼球落下衝撃試験 : Sn-Zn系,Sn-Bi系,Sn-In系
e) 基板ランド離が発生した場合の加速ストレス試験としては,温度急変が望ましい。
5.2 電子部品の形状及び電極・端子形状から見た場合の試験方法選定の在り方
5.2.1 表面実装部品
表面実装部品の形状及び電極・端子形状によって分類した,推奨試験方法を,表2に示す。
表2−表面実装部品の形状及び電極・端子形状によって分類した,推奨試験方法
部品の種類及び端子 加速ストレス試験を適用 繰 繰 せ
端子形状 端子 参考部品例 返 返 ん
引 横 ト 抵 限 し し 断
数 き 押 ル 抗 界 曲 衝 疲
し ク 測 曲 げ 撃 労
が せ せ 定 げ
し ん ん
断 断
本
一 2面電極(リード曲げ) 2 タンタルC,コイル − A,B − − − − C −
般
電 3面電極 2 SM角抵抗器, − A,B − − − − C −
子
部 フィルムC
品 5面電極 2 SM積層C, − A,B − − − − C −
(ギャップを含む。) SM積層L,
サーミスタ,
ヒューズ
多端子電極 4 抵抗器アレイ, − A,B − − − C C −
(端面電極) Cアレイ
ガルウィング−1 4 トランス A,B C − C − C −
ガルウィング−2 6 スイッチ − B A,B − − − C −
ガルウィング−3 4 コネクタ − A,B A,B − C − C −
下面電極 2 コイル,タンタルC − A,B B − − − C −
丸電極 2 円筒形C・R, − A,B B − − − C −
(ギャップを含む。) ヒューズ
半 2面電極(リード曲げ) 2 ダイオード − A,B C − − − C −
導
体 ガルウィングリード 36 ミニトランジスタ C B C − − − C −
部
品 ガルウィングリード 6 QFP,SOP A,B − − C C C B B
リードなし 6 QFN,SON − − − A,B C C B B
下面電極ボール付き 多数 BGA,FBGA − − − A,B C B B B
下面電極ボールなし 多数 LGA,FLGA − − − A,B C B B B
注記1 A : 加速ストレス試験を適用する場合に推奨する試験,B : 一般に試験可能,C : 条件を満足した場合に試験
が可能,− : 試験を適用しない。
――――― [JIS C 62137-3 pdf 9] ―――――
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C 62137-3 : 2014 (IEC 62137-3 : 2011)
表2−表面実装部品の形状及び電極・端子形状によって分類した,推奨試験方法(続き)
注記2 加速ストレス試験の前後に,次の三つの接合強度試験から,部品形状に適した試験を選定して実施すること
が望ましい。
a) 引きはがし試験 : ガルウィング形端子をもつ表面実装部品
b) 横押しせん断試験 : 角形表面実装部品であって,部品側面に押しジグを当てることができる部品
c) トルクせん断試験 : 横押しせん断試験が難しい形状の部品及び比較的寸法の大きい(ピン数が比較的多い)
半導体部品,コネクタなどの部品
注記3 導通性判定を用いた試験は,搭載プリント配線板上又は供試品の内部にデイジーチェーンの配線を組むこと
ができる部品に適用できる。この例として,BGA,LGA,QFNなどのリード端子をもたない多ピンタイプの
半導体部品がある。
注記4 限界曲げ強度試験は,抵抗測定が可能,かつ,部品自体が変形し難い比較的高さが高い又は寸法の大きい部
品に適用できる。
注記5 繰返し曲げ強度試験及び繰返し落下衝撃強度試験は,主として携帯機器に搭載する部品に適用できる。これ
らの試験の適用は,製品規格に規定することが望ましい。繰返し曲げ強度試験は,プリント配線板に搭載す
る半導体部品,及び寸法が大きい抵抗器アレイ・コンデンサアレイなどに用いることが適切である。
注記6 次に示すはんだ合金の場合,それぞれ次の温度による加速ストレス試験を適用する。
a) 温度急変試験 : Sn-Ag-Cu系はんだ合金,Sn-Zn系合金,Sn-Bi系合金,Sn-In系合金
b) 高温保存試験 : Sn-Bi系合金
c) 高温高湿試験 : Sn-Zn系合金
注記7 半導体部品の形状は,IEC 60191規格群の用語を用いている。ただし,下面電極にボールがないパッケージの
部品には,まだ形状に関する用語を定義していない。この規格では,下面電極にボールがないパッケージは,
BGAの“下面電極ボールなし”形状として定義する。
5.2.2 挿入実装部品
引張り強度試験は,挿入実装部品の基本的な試験である。クリープ強度試験は,大形の部品又はその構
造からはんだ接合部に継続的に外力が加わると思われる場合に適用する試験である。
挿入実装部品が片面プリント配線板に取り付けられる形態の場合,製品規格で試験方法を選定しなけれ
ばならない。両面スルーホールプリント配線板の場合,挿入実装部品のリード端子の強度は,そのはんだ
接合部の強度より低いことが多く,これらの試験は,両面スルーホールプリント配線板を用いる機器には
適切でない。
挿入実装部品の質量,プリント配線板の種類,負荷の加わり方などによって分類した,推奨試験方法を,
表3に示す。
――――― [JIS C 62137-3 pdf 10] ―――――
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JIS C 62137-3:2014の引用国際規格 ISO 一覧
- IEC 62137-3:2011(IDT)
JIS C 62137-3:2014の国際規格 ICS 分類一覧
JIS C 62137-3:2014の関連規格と引用規格一覧
- 規格番号
- 規格名称
- JISC5603:1993
- プリント回路用語
- JISC6484:2005
- プリント配線板用銅張積層板―耐燃性ガラス布基材エポキシ樹脂