JIS F 8063:2006 船用電気設備―第202部:システム設計―保護 | ページ 2

F 8063 : 2006 (IEC 60092-202 : 1994)

3. 定義

 この規格で用いる主な用語の定義は,次による。
3.1 定格負荷(rated load) 定格状態に対して規定されている負荷の最大値をいう[IEV 151-03-16,一
部修正,IEC 60050 (151)]。
3.2 過負荷(over load) 電気的損傷のない回路において,過電流を起こす運転状態をいう[IEV 441-11-08,
IEC 60050 (441)]。
3.3 過電流(overcurrent) 定格電流を超える電流をいう[IEV 441-11-06,IEC 60050 (441)]。
3.4 短絡(short circuit) 通常は異なる電圧状態の回路において,相対的に低い抵抗又はインピーダンス
によって,2点以上の箇所の事故又は故意による接続をいう[IEV 151-03-41,IEC 60050 (151)]。
3.5 バックアップ保護1)(back-up protection) 次に掲げる事項によって,ある時間内に系統障害が除去
されない場合に,作動させようとする保護設備又はシステムをいう。
− 障害箇所に最も近接する一つの保護装置の動作不良又は動作不能,又は
− 障害箇所に最も近接する保護装置を除く,一つの保護装置の動作不良
3.6 過電流選択遮断(overcurrent discrimination) 定められた限度内で過電流が発生したときに,作動す
べき装置は作動し,それ以外の装置は作動しない,二つ以上の過電流保護装置作動特性の協調を取ること
をいう[IEV 441-17-15,IEC 60050 (441)]。
3.7 全体的選択遮断(全体選択性)1)[total discrimination(total selectivity)] 二つ以上の過電流保護装置
が直列に装備されているときに,負荷側の保護装置が上流の保護装置を作動させることなく保護する過電
流選択遮断をいう。
3.8 部分的選択遮断(部分選択性)1)[partial discrimination(partial selectivity)] 二つ以上の過電流保護
装置が直列に装備されているときに,障害箇所に最も近い保護装置が,上流の保護装置を作動させること
なく,定められた値の短絡電流まで保護する過電流選択遮断をいう。
3.9 給電の連続性1)(continuity of supply) 回路内の障害が継続する間及びその後においても,健全な
回路への給電が連続的に確保される状態をいう。
備考 図1の回路3を参照。
3.10 設備稼働の連続性1)(continuity of service) 回路内の障害が除去された後に,健全な回路への給電
が再び確立される状態をいう。
備考 図1の回路3を参照。
1) nternational Electrotechnical Vocabulary(IEV)のこれらの用語に関する定義は,この規格に適用しな
い。

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               障害発生前                    障害発生中                    障害除去後

電 1 1 1




2 3 2 3 2 3

備 1 1 1






2 3 2 3 2 3
図 1 給電の連続性・設備稼働の連続性

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F 8063 : 2006 (IEC 60092-202 : 1994)

4. 一般要求事項

4.1   電気設備は,適切な装置によって短絡事故を含めた過電流事故から保護しなければならない。各種
保護装置の選定,配置及び特性は,次の事項を確保できるように完全,かつ,協調した自動的保護ができ
なければならない。
− いずれの場所に事故が生じたときでも,保護装置の選択遮断又は他システムの協調動作によって,健
全な重要設備回路へ給電の連続又は少なくとも設備稼働の連続を確保する(図1を参照)。
− システムの損傷を減少させるように事故の影響を排除し,かつ,火災の危険を除去する。
このような条件の下で,システムの部品は許容できる時間内,短絡を含め起こり得る過電流によって生
じる熱的及び電気力学的の応力に耐え得るような設計及び構造としなければならない。
4.2 過電流保護装置は,その要求に従って,特に次の事項に関連して,選定しなければならない。
− 過負荷
− 短絡

5. 短絡電流

 交流及び直流の両系統の短絡電流計算例は,IEC 60363に示す。

5.1 交流系統の短絡電流

5.1.1  推定短絡電流の計算には,その事故点からみた系統の等価インピーダンスを考慮しなければならな
い。
5.1.2 電流発生源には,同時に接続できる発電機の最大台数及び通常同時に系統に接続される電動機の最
大台数を含まなければならない。発電機及び電動機の寄与分はそれぞれの特性を基に計算しなければなら
ない。
備考 上記特性に対する正確な資料がないときは,短絡電流の最大波高値を決定するための誘導電動
機の寄与分(すなわち発電機の短絡電流の最大波高値に加える電流値)は,8 Inとしてよい。
ここにIn(実効値)は,通常同時に運転すると推定される電動機の定格電流の合計である。
さらに,正確に計算する場合には,次の実効値を使用してもよい。
− 短絡が発生した瞬間(次過渡値) 6.25 In
− 時間Tにおいて,すなわち短絡発生してから1サイクル後 2.5 In
− 時間2Tにおいて,すなわち短絡発生してから2サイクル後 1.0 In

5.2 直流系統の短絡電流

5.2.1  系統の特定の点の推定短絡電流は,その事故点からみた系統の等価抵抗を考慮して計算しなければ
ならない。
5.2.2 短絡電流発生源には,同時に接続できる発電機の最大台数及び通常同時に系統に接続される電動機
の最大台数を含まなければならない。回転機の寄与分はその特性の関数として計算しなければならない。
正確な資料がないときは,短絡電流の最大値を決定するときの電動機の寄与分は,通常同時に運転する
と推定される電動機の定格電流の合計の6倍とするのがよい。

6. 短絡定格に関連する保護装置の特性及び選定

6.1 一般

6.1.1  短絡保護装置は,遮断器及びヒューズに関するIEC規格と適合する必要があるが,船用の設備条
件として,はん(汎)用品と,特に次の点について異なる点があることを考慮しなければならない。
− 船内交流系統の短絡時の力率は,通常の配電用遮断器の短絡定格の根拠となっている値よりも低い。

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− 交流短絡電流の次過渡分及び過渡分。
このため,配電系統の通常の条件に対応する遮断器の定格遮断容量とそれに関連する投入容量との比は
本質的に適合しない。遮断器は,IEC 60947-2を参照する。
この場合遮断器は,通常の条件に適合しているその短絡遮断容量が実際の適用に必要な値に対して余裕
があっても,その短絡投入容量を基に選定しなければならない。
発電機回路には,カテゴリBの遮断器(IEC 60947-2による。)を使用しなければならない。その他の短
絡遮断のため短限時を要する遮断器にもこれを使用するのが望ましい。これらは定格短時間耐電流容量を
考慮して選定しなければならない。
短絡遮断についての短限時を要しない遮断器は,カテゴリA(IEC 60947-2による。)の遮断器を使用し
てもよい。これらは定格短絡遮断容量を考慮して選定されなければならない。
6.1.2 短絡保護は,遮断器又はヒューズによって行わなければならない。
特に1 kVを超える交流系統などの場合は,ある形式のヒューズでは特定の過電流は関連するスイッチを
引き外すようなアレンジを必要とするような特性をもっていることに注意しなければならない。
6.1.3 その装備点における最大推定短絡電流以上の短絡遮断及び/又は投入容量をもたない保護装置で
も,必要最小限の短絡定格をもち発電機側に設けられたヒューズ又は遮断器(発電機用は除く。)によって
バックアップされているならば,その使用が認められる。
重要負荷がない場合には,同じヒューズ又は遮断器で遮断器2台以上をバックアップしてよい。
これらの組合せ短絡特性は,少なくとも単一の遮断器に対するIEC 60947-2の要求と同等なものとし,
その遮断器は,バックアップ遮断器として同じカテゴリーの短絡特性をもち,かつ,その組合せでの電源
端子における最大推定短絡電流のレベルの定格のものとする。
負荷側にヒューズを接続した遮断器を使用してもよい。ただし,ヒューズが動作するような過電流に遮
断器がさらされたとき,遮断器の極間又は金属部分に対してアークが発生しないように必要なときに確実
にヒューズが動作するようにバックアップヒューズ及び遮断器は協調のとれた設計でなければならない。
このようなバックアップ遮断の性能要求を決める場合,回路上の諸要素のインピーダンス,例えば,バ
ックアップ遮断器又はヒューズとバックアップされる遮断器間の電線のインピーダンスを考慮してもよい。

6.2 定格短絡遮断容量

 交流では,定格短絡遮断容量はその装備点における推定短絡電流の交流分の実
効値以上でなければならない(例外については,6.1.3参照)。
これは遮断開始時の固有の直流分がどのような値であっても,遮断器がその定格遮断容量以下の交流分
のどんな電流でも遮断する能力があることを意味する。
船内系統では,固有の直流分を決定する回路条件は,配電用遮断器に対する通常の条件(IEC 60947-2)
よりも更に厳しい。この場合定格遮断容量に相当する電流を遮断する遮断器の能力は,直流分の値には関
係なく,実際の設備の条件の下で確認しなければならない。

6.3 定格短絡投入容量

 短絡を閉路しようとする各機械的開閉装置の定格短絡投入容量は,その装備点
における推定短絡電流の最大波高値に対して適切なものでなければならない(例外については,6.1.3参照)。
備考 遮断器は,必要な最大時間遅れに相当する時間内には,開路することなくその投入容量に相当
する電流を投入できるものとする。

6.4 選択遮断要求に関連する保護装置の協調の選定

6.4.1  短絡状態での健全な回路への給電の維持は,全体的な選択遮断によってなされるものとする。
すべての方式に対する要件 :
− 直列接続の保護装置の引外し特性は,十分協調の取れたものでなければならない。

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F 8063 : 2006 (IEC 60092-202 : 1994)
− 事故電流の流れる保護装置は,完全に事故電流がなくなるまで,関連装置の装備点における最大電流
まで損傷することなく耐えるものでなければならない。
選択遮断に対する追加要件 :
− 事故に最も近い保護装置だけが事故回路を開路しなくてはならない。
− 保護装置は,その装備点における短絡電流以上の電流を,遮断器の開路に必要な時間と選択遮断に必
要な時間遅れだけ加算した時間以上,開路することなく通電し得るものでなければならない。
他の方式に対する要件 :
− 直列接続の保護装置の短絡容量はもちろん引外し特性は,十分協調の取れたものでなければならない。
また,IEC規格に従っていることがまだ承認されていないのであれば,製造業者と購入者の間とで合意
した試験方法に従った試験を行う。
6.4.2 健全な回路における設備稼働の連続性が要求される場合には,保護装置及び使用設備の動作特性は
協調が取れたものであり,かつ,検証されたものでなければならない。
6.4.3 保護装置は,全体的選択遮断に要する時間及び定められた値の短絡電流に至るまでの部分的選択遮
断に要する時間以上開路することなく,その装備点における短絡電流以上の電流を,通電し得るものとし
なければならない。

7. 過負荷に関連する保護装置の選定

7.1 機械的開閉装置

 過負荷保護用の機械的開閉装置は,保護すべき系統の部品の過負荷耐力及び選択
遮断に適合する引外し特性(過電流引外し時間)をもつものが望ましい。

7.2 過負荷保護用ヒューズ

 過負荷保護用のヒューズは,適切な特性のものである場合には,320 Aまで
は使用が認められる。ただし,200 Aを超えるときは,遮断器又は同様の装置が望ましい。高圧交流系統で
は,過負荷保護にヒューズの使用は認められない。

8. 適用に関する保護装置の選定

8.1 一般

 各非接地線には,短絡保護を設けなければならない。
回路の各非接地線には,過負荷保護を設けなければならない。ただし,絶縁直流回路,絶縁単相回路及
び実質的に負荷が平衡している絶縁三相回路に対しては,一線の過負荷保護は省略してもよい。
短絡又は過負荷用の保護装置は,接地線を断路してはならない。ただし,多極開閉装置によって同時に
非接地線を全部断路する場合は除く。

8.2 発電機保護

8.2.1  一般 発電機は,多極遮断器によって短絡及び過負荷に対して保護しなければならない。
特に過負荷保護は,発電機の熱容量に適合するもので,次の要求によらなければならない。
a) 10 %未満の過負荷に対しては,発電機定格電流の1.1倍以下に設定され,15分以下の限時リレーによ
って動作する可聴警報を備えるよう考慮してもよい。15分を超える時限でも,運転条件上必要で,か
つ,発電機設計上認められるならば,適用してもよい。
b) 1050 %間の過負荷に対しては,遮断器は発電機の定格電流の1.5倍以下で最大2分までの時限で引
外されなければならない。ただし,50 %という数値及び2分の時限は,運転条件上必要で,かつ,発
電機の構造上認められる場合には,超過してもよい。
c) 50 %を超える過電流に対しては,“瞬時”引外しは系統の選択遮断保護と協調していなければならな
い。短絡保護用に設計された“瞬時”引外し装置に選択遮断を目的として短時限を導入してもよい。

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  • IEC 60092-202:1994(IDT)

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