JIS F 8074:2003 船用電気設備―第502部:タンカー―個別規定 | ページ 5

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7.4.4 ケーブルが長時間,貨物に浸される場合には,ケーブルの構造はさらされる物質に耐えるものとす
るか,又は物質に耐えるケーシング(金属パイプなど)に入れなければならない。
7.4.5 移動形電気機器用キャブタイヤケーブルの使用は制限しなければならない。必要な場合には,該当
公的機関が認めた基準によって製造及び設置し,可能な限りIEC 60079-14の規定に適合するものとする。
7.4.6 JIS F 8072 (IEC 60092-401)で認めた,定格20 Aを超える回路用の単心ケーブルを除き,危険区域
を通過する又は危険区域内の機器に接続する,動力及び照明用ケーブル用のすべての金属被覆は,両端部
で接地しなければならない。他のすべてのケーブルの金属被覆は,少なくとも一端で接地しなければなら
ない。

7.5 ケーブル接続

7.5.1  ケーブルの爆発保護容器への導入は,グランド又は容器の完全性を維持することができる同等手段
によってだけ行わなければならない。
7.5.2 他のすべての機器へのケーブル接続は,関連する保護形式によるものとしなければならない。

7.6 ケーブルの接合

  ケーブルの接合は,該当公的機関が満足するよう実施することを条件に,1種及び2種区域に認められ
る。本質安全回路を除いて,ケーブルの接合は0種区域には認められない。

8. 換気及び加圧

8.1 一般

8.1.1  ある区域内でのガス蓄積の可能性は,その区域内におけるガスの潜在的放出量と換気に依存してい
る。
8.1.2 次の主要な換気条件を認知する。
8.1.2.1 自然換気 自然換気をもつ区画及び場所の例
− 暴露甲板
− 自然換気用開口を有する閉鎖又は半閉鎖場所。例えば,貨物油ホース格納区画。
8.1.2.2 強制換気 強制換気をもつ場所の例
− 貨物ポンプ室及び貨物圧縮機室
8.1.2.3 強制換気による加圧 加圧する場所の例
− エアロックによって保護される区画
8.1.2.4 無換気 換気がない場所の例
− コファダム
− 独立形貨物タンクをもつホールドスペース
− 空所
− その他の囲われた部分又は区画において恒久的な開口のないもの(例えば,道具によってだけ開口
するものなど)。
8.1.3 人の安全及び快適さを確保するために設けられた換気装置は,この規格の目的であるガスの蓄積を
回避する除去装置として十分であるとは必ずしもみなされない。
備考 人身保護のためには,次の換気回数を満たすのがよい。
− 放出源のない危険場所 : 少なくとも6回/時
− 放出源をもつ危険場所 : 少なくとも30回/時

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8.1.4 より危険性が高い危険場所又は区域に開口をもつ隣接場所は,8.2及び8.4の規定によって設計及
び運転する強制加圧で更に危険性が低い危険場所又は非危険場所とすることができる。
8.1.5 強制加圧によって保護している場所を除き,危険区域の分類が通常,換気を条件としている場所に
ついては,例えば換気が連続でない場合でも,危険区域の分類は変わらない。(8.3.1参照)

8.2 設計の原則

8.2.1  危険場所の換気に使用するすべてのダクトは,非危険場所の換気に使用するものから分離しなけれ
ばならない。
8.2.2 気密囲壁によって,分離していない場所に強制換気を適用する場合には,危険閉鎖場所は,更に危
険性の低い危険場所よりも負圧状態に維持し,かつ,非危険閉鎖場所は,隣接する危険場所よりも加圧状
態に維持しなければならない。
8.2.3 危険閉鎖場所の吸気口は,当該吸気口がない場合に非危険場所となる区域から吸気しなければなら
ない。吸気ダクトが更に危険性の高い危険場所を通過する場合には,吸気ダクトは通過場所よりも加圧す
る。ただし,ダクトの機械的完全性及び気密性について,該当公的機関がダクト内へのガス漏れを生じさ
せないための圧力差の必要性がないと認めた場合を除く。
8.2.4 危険閉鎖場所の排気口は,当該排気口がない場合に換気している場所と同等か,更に危険性の低い
開放場所に設けなければならない。
8.2.5 非危険閉鎖場所の吸気口は,すべての危険区域の境界から少なくとも1.5 m離れた非危険区域から
吸気しなければならない。吸気ダクトが危険区域を通過する場合には,吸気ダクトは通過区画よりも加圧
する。ただし,ダクトの機械的完全性及び気密性について,該当公的機関が,ダクト内へのガス漏れを生
じさせないための圧力差の必要性がないと認めた場合を除く。
非危険閉鎖場所の排気口は,非危険開放場所に設けなければならない。

8.3 危険区域の分類と換気

8.3.1  危険区域の分類がその区画の換気に依存する場合は,長期間に渡って換気が中断しないように配置
しなければならない。
備考 IEC 60079-10にある換気のアベイラビリティに関する要件も参照する。
8.3.2 放出源の近く及び電気機器を設置する場所に,ガス又は蒸気が蓄積しないことが確実になるよう配
置しなければならない。
8.3.3 強制換気喪失時,人の居る場所に警報(可視可聴)を発しなければならない。
備考 ファン用電動機の運転又はファンの回転数監視装置による警報は,この要件を満たさない。

8.4 加圧による保護

 より危険性の高い危険場所又は区域に開口をもつ隣接場所は,次の規定によって,
更に危険性の低い危険場所又は非危険場所とすることができる。(表2参照。)
8.4.1 隣接するより危険性の高い危険場所又は区域から,最低25 Pa (0.25 mbar)の加圧を,すべてのドア
及び窓を閉じた状態で,漏れが生じやすい当該場所及び関連するダクト内部のすべての箇所で維持しなけ
ればならない。
備考 この加圧は風速約3.5 m/sまでの外気の侵入を防止する。
8.4.2 初期始動時又は危急遮断後に,危険区域の分類にかかわらず,加圧喪失下での危険場所の分類に応
じた保護がされていない電気機器に通電するまえには,次に掲げることを行う必要がある。
a) 内部雰囲気が危険でないことを確認するか,又は危険性でないと認められるまでの十分な持続時間,
先行パージする。さらに,
b) 当該危険場所を加圧する。

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備考 当該場所内,設備容器及び関連するダクト内のすべての箇所で,爆発性ガス又は蒸気の濃度が
爆発下限界の30 %以下である場合,雰囲気は非危険性であるとみなされる。測定箇所は,最高
ガス濃度が得られるように,慎重に考慮して選ぶのがよい。
8.4.3 より危険性の高い危険区域に開口をもつ場所における加圧機能を監視するために差圧監視装置又
はフローモニタリング装置又はその両装置を装備しなければならない。
備考 ファン用電動機の運転,又はファンの回転数監視装置による表示は,この要件を満たさない。
8.4.4 加圧喪失を表示するためフローモニタリング装置を使用する場合には,ドア又は他の開口部が開い
ている状態で,8.4.1に規定した加圧レベルを維持するか,又はドア又は開口部が閉鎖されていない場合に
警報が出ることを実証する。
8.4.5 加圧喪失の場合には,表5に示す保護措置を適用しなければならない。
表 5 加圧喪失時にとる保護手段
危険場所 設置される電気機器
の分類 (1) 1種区域に適した機器 2種区域に適した機器 危険区域用として保護が施されて
いない機器
1種場所 対策の必要なし − 適切な警報(可視可聴) − 適切な警報(可視可聴)
− 加圧復旧のための迅速な行動 − 加圧復旧のための迅速な行動
− 一定時間で加圧が復旧できな − プログラム遮断において設定
い場合,又は可燃性ガス濃度が された遅延時間内での,できる
危険レベルまで上昇した場合 だけ迅速な給電の自動切断
には,プログラムによる給電の
切り離し
2種場所 対策の必要なし 対策の必要なし − 適切な警報(可視可聴)
− 加圧復旧のための迅速な行動
− 一定時間で加圧が復旧できな
い場合,又は可燃性ガス濃度が
危険レベルまで上昇した場合
には,プログラムによる給電の
切り離し
注(1) 開口に通じる場所又は区画の分類

9. 検査及び保守

9.1 一般

 IEC 60092の規格群の他の部に規定されている要件に加え,危険区域内の電気設備は,IEC
60079-17の推奨規定,及び次に記載した要件によって検査,試験及び保守を行わなければならない。

9.2 検査及び試験

 加圧される機器及び区域に関連する警報,監視及びインターロックは,正常な動作
を確認するために定期的に試験しなければならない。

9.3 機器の切り離し

9.3.1  機器において,すべての表面温度,蓄積された電気エネルギーを点火できない程度まで減衰させる
ために必要な遅延時間を示す注意銘板を貼付したもの,又は機器の開放はガスフリー状態でだけ行うよう
に要求する注意銘板を貼付したものについては,これらの銘板に関する要件を遵守する。
9.3.2 電気的試験のために機器を再組立てするまえに電源の供給を復旧することが必すである場合,この
作業は,適切な管理手段がとられ,その間を通して安全状態が維持されていることを,十分な頻度で繰り

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返し確実にしながら試験を行うことを,確認するガスフリー証書の発行のもとでだけ実施しなければなら
ない。

9.4 保守

9.4.1 電気設備が常時適切な状態にあることを確保するため,必要に応じて保守を行わなければならない。
9.4.2 機器の修理又は開放が必要となった場合,IEC 60079-19によって行う。
9.4.3 改造,追加又は調整の後に,これらに関連した部分がこの規格の要求事項に適合していることを確
認するために検査及び試験を実施しなければならない。

9.5 資格

9.5.1  設備の検査及び保守は,船内の様々な機器の保護形式の取扱いや設置要領を含む訓練を受けた経験
者によってだけ行わなければならない。
9.5.2 このような経験者に対しては,定期的に適切な再教育を行わなければならない。

10. 文書

10.1 危険区域の分類

10.1.1 タンカーの危険区域は,危険区域分類図として文書化しなければならない。放出源は,その図面又
は添付一覧表に詳細に記載しなければならない。
図面には,プロセス機器の平面図及び断面図,危険区域の種別及び範囲を含まなければならない。さら
に,加圧/負圧になる場所,換気開口,エアーロック,隔壁,構造物などを明示しなければならない。危
険区域の範囲に影響を与えると思われる条件も示さなければならない。
10.1.2 異なる形式,レベルの換気及び加圧方式は,文書化しなければならない。

10.2 機器

10.2.1 危険区域及び加圧喪失によって危険となる場所に設置するすべての電気機器は,これら機器の保護
に必要な安全場所の関連機器(ツェナー安全バリアなど)も含めて,一覧表に記載しなければならない。
表には次の詳細を含めなければならない。
− 設置場所
− 危険区域の種別
− 機器の形式
− 製造者
− 形式名
− 試験機関及び証書番号,又は製造者宣言書の引用と日付
− 保護形式(6.5に記載されている)
− 機器グループ
− 温度等級
− 機器に適した周囲温度範囲
− 保護等級(IP)
備考 保護形式,機器グループ及び温度等級は,一般的に機器コードの形,例えばExdIIBT4,で与え
られる。このコードの後に周囲温度範囲 (6.2.6.2参照),例えば (Tamb = 60 ℃)を拡張して表示
してもよい。
10.2.2 0種区域又は1種区域用の証明された安全形機器は,可燃性雰囲気内での運転の安全性が,独立し
た権限のある公的機関によって発行した適合試験証明書又は同等の文書の形で保証しなければならない。

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10.2.3 2種区域用電気機器の証明に関しては,一般には10.2.2の規定によるのがよい。試験証明書が要求
されない場合,少なくとも機器がこの規格によって製造していることを確認するために製造者の宣言書又
は該当公的機関が発行する証明書を支給しなければならない。
通常の操作において,スパーク,アーク及び“ホットスポット”が発生しない形式の電気機器は,製造
者は機器がこの形式であり,通常の運転状態での最高表面温度を示した宣言書を支給しなければならない。
製造者の宣言書又は証明書には,該当公的機関が,意図した適用について機器の適合性を立証するため
に必要と考えるすべての追加情報も記載しなければならない。
備考 機器製造用の規格では扱われない,耐衝撃性,電気的接続の安全性,回転部の間げき(隙),プ
ラスチック部の表面導電性などに関連する情報を要求することがある。

10.3 設置

10.3.1 すべての機器,ケーブルなどは製造者が発行する設置要領及び指針によって,かつ,機器(安全形
の場合)の証明書又は承認文書に記載した安全使用に関する特別条件によって設置したこと,及び7. の規
定によって設置が行われたことを文書化しなければならない。
10.3.2 加圧によって保護する場所に関して,次に示す事項を文書化しなければならない。
− 区画の構造及び保護手段が審査されている。また,パージの有効性を確認するために該当公的機関
が必要と考えるすべての試験を実施した。換気装置の最小風量率における必要パージ時間を文書化
しなければならない。
− 8. によって要求される最小加圧は,通常の動作状態で,すべての開口が閉鎖され(換気風量率のみ
を監視する場合は,開放して),加圧システムが最低風量率の状態において維持できる。
− 換気による加圧又は風量率が規定値以下に低下した場合,要求する遮断及び/又は警報信号が作動
する。
10.3.3 加圧によって保護する区画を除き,危険区域の分類が機械通風に依存する場合の区画について,次
に示す事項を文書化しなければならない。
− 換気風量率が適切,かつ,配置上,ガス又は蒸気の蓄積に結びつくような空気のよど(澱)みがない
ことを確認するために該当公的機関が必要と考えるすべての試験を実施した。
− 要求するすべての換気喪失警報を正常に作動する。
10.3.4 危険区域の安全性が保護装置の正常な動作に依存する機器(安全増防爆形電動機の過負荷保護リレ
ー,又は電熱器の熱動式安全器)及び/又は警報の作動(内圧防爆形制御盤に対する加圧喪失警報など)
については,次の事項を文書化しなければならない。
− 装置が正しい設定値又は定格をもっている。
− 装置の正常な作動を確認するために,該当公的機関が必要と考えるすべての試験を実施した。
10.3.5 危険区域の安全性が,供給電源をヒュ−ズにより正常に遮断するか,又は供給電源の予期される故
障レベルの制限に依存する機器(特殊防爆形機器又はカプセル封じ形防爆形機器など)については,正し
い特性のヒューズリンクが取り付けられている,又は予期される故障レベルが許容値を超えないことを文
書化しなければならない。
10.3.6 サブマージ形貨物ポンプのように,適切なインターロック及び電源遮断装置を設けることによって
だけ認められる機器については,これらの装置の正常な作動を確認するために該当公的機関が必要と考え
るすべての試験を実施したことを文書化しなければならない。

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  • IEC 60092-502:1999(IDT)

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